チームメンバーがDropboxを業務利用しているが問題はないのか?と思っているマネージャーも多いことでしょう。実際にDropboxは多くのビジネスパーソンが利用しています。しかし、個人向けDropboxを業務利用するには、いくつかのリスクがあります。
当記事ではDropboxの個人向けとDropbox Busines の機能や特徴、業務利用におけるリスクを説明し、個人向けからDropbox Businesへスムーズに移行するステップも解説します。
Dropbox個人向けの機能と特徴
初めに個人向け Dropboxサービスの機能と特徴について解説します。
Dropbox個人向けの主要な特徴と料金プランについて
Dropbox個人向けのサービスは、その利便性とアクセシビリティが特徴的です。簡単なアカウント登録プロセスを経て、無料で直ちに使用を開始できます。オンライン上のクラウドストレージにファイルをドラッグ&ドロップするだけで、手軽にサーバーにアップロードが可能です。ローカルのフォルダとほとんど変わらない使用感でデータの保存を行えるので、非常にユーザーフレンドリーです。また、保存されたデータはパソコン、スマートフォン、タブレットなど、複数のデバイス間でアクセスでき、自動的に同期されるため、どこからでもデータにアクセスすることが可能です。
Dropbox個人向けの基本的な機能は以下の通りです。
機能名 | 機能説明 |
---|---|
クラウドストレージ | オンラインでの安全なデータ保存スペースを提供します。 |
ファイル同期 | 複数のデバイス間でファイルを自動的に同期し、どのデバイスからでも最新のデータにアクセスできます。 |
ファイル共有 | 他のユーザーと簡単にファイルを共有でき、共同作業をスムーズに進めることが可能です。 |
バージョン履歴 | ファイルの以前のバージョンを保存し、必要に応じて復元することができます。 |
セキュリティ | 強固なセキュリティ機能を備えており、ユーザーのデータを保護します。 |
Dropbox個人向け 料金プランは以下の通りです。
無料版(Basic) | Plus | Family | |
---|---|---|---|
ユーザー数 | 1人 | 1人 | 最大6人 |
月額料金 | 無料 | 1,200円(年間払い) 1,500円(月間払い) | 2,000円(年間払い) 2,500円(月間払い) |
容量 | 2GB | 2TB | 2TBを共有 |
Dropboxの個人向け が向いているのは、以下のようなユーザーです。
- デジタルデータを安全に保管したい
- パソコン、スマートフォン、タブレットなど、複数のデバイスを使ってファイルを共有・同期したい
- プライベートのプロジェクトで、ファイルをほかの人と簡単に共有したい
- 過去のバージョンに戻すなど、ファイルのバージョン管理機能がほしい
- フリーランスや個人事業として複数の仕事を行っている
Dropbox個人向けの活用ケースとその特徴
Dropbox個人向けの便利な機能を活用する具体的なシーンは多岐に渡ります。以下に、いくつかの典型的なユースケースをご紹介します。
外出先からデスクトップで作成した書類に追記をする
インターネット接続さえあれば、どこにいても自分のクラウドストレージにアクセスできます。これにより、立地に関わらず、作業を続けることが可能です。
タブレットにメモを取り、後でスマートフォンで内容を確認する
複数のデバイスで自分のファイルにアクセスすることができるので、どのデバイスでも同じ内容を確認することができます。
スマートフォンで撮影した写真を、家に帰ってからパソコンの大きな画面で確認する
ファイルをアップロードするだけで、どのデバイスからでもそのデータにアクセスできます。これにより、最適なデバイスで内容を確認することができます。
Dropbox個人向けを業務に利用する際の懸念点とリスク
Dropbox個人向けは日常の用途には十分な機能を備えていますが、業務用途となるといくつか問題点が浮かび上がってきます。
セキュリティのリスク
Dropbox個人向けは基本的なセキュリティ対策を施していますが、アクセス履歴の追跡ができないため、情報漏洩が起こった場合にどこから情報が漏れたかを特定し対策を立てるのが困難です。
データの管理・統制手段の不足
Dropbox個人向けで業務を行うと、データへのアクセス制御が困難になります。組織全体のデータの可視化が難しくなり、各種ドキュメントやデータの管理が個々のユーザーに依存するリスクが存在します。
ストレージ容量の問題
Dropbox個人向けは無制限のストレージプランを提供していません。個人利用であれば十分な容量かもしれませんが、業務用途となるとさらに大量のデータを扱う必要があります。そのため、容量不足に陥る可能性があります。
サポートの制約
Dropbox Businessと比べると、Dropbox個人向けのサポートは制限されています。
Dropbox Business ではプレミアムサポートアドオンを購入することで、電話やメール、チャットを通じて24時間体制のサポートを受けることができます。
Dropbox Business(企業向け)の機能とその特長について
業務用途でDropbox個人向けを使用することは、多数のリスクを孕んでいます。そこで、より安全にクラウドストレージをビジネスで利用するための解決策としてDropbox Businessが提供されています。
Dropbox Businessとは?
Dropbox Businessは、ビジネス環境に特化したクラウドストレージサービスで、専門的なニーズに応えるための各種機能が強化されています。ProfessionalやDropbox Oneを除くすべてのプランでは、管理者が複数のアカウントを一括管理できるよう設計されており、各データの変更履歴やアクセス権限の管理が可能となっています。
複数のデバイスを使ったシームレスな作業が可能なDropboxの基本的な特性を保ちつつ、複数人での業務遂行を円滑に進めるための機能が追加されています。
例えば、Dropbox Businessを使用すると、複数のユーザーが同時に同じファイルにアクセスし、リアルタイムで編集することができます。遠隔地にいるメンバーや異なる部署のメンバー間での協同作業もスムーズに進行し、業務効率が向上します。
また、個人向けサービスに比べて、ファイルのバージョン管理機能が大幅に強化されています。具体的には、いつ誰がどのファイルを編集したのかを確認でき、かつ、デフォルトで180日間の復元期間が設けられています。
さらに、ビジネスにおいて重要なセキュリティ機能も強化されています。データの暗号化、二要素認証などにより、企業の重要な資産であるデータをしっかりと保護することができます。
これらの高度な利便性とセキュリティ機能により、業務利用においてはDropbox Businessが非常に有用であると言えます。
Dropbox Businessの機能の詳細は以下の記事で解説しています。
Dropbox Businessとは?機能・料金・使い方・導入ステップを徹底解説「30日間の無料トライアル」も
Dropbox Businessの主な機能と料金プラン
Dropbox Businessの主な機能は以下のとおりです。
機能名 | 機能説明 |
---|---|
管理者による統括管理 | この機能は、管理者が一元的なコンソールからユーザーやデータの管理権限を行うことができます。これにより、ユーザーの追加や削除、権限設定などが一つの場所から効率的に行うことが可能になります。 |
ファイル共有 | Dropbox Businessでは、ファイルの共有と自動同期が可能です。これにより、同じファイルを複数のユーザーが手元のデバイスで一斉に閲覧、編集することができます。 |
リアルタイムの共同作業 | これは複数人による同時作業と、その編集結果がリアルタイムで全員に反映される機能です。遠隔地にいるメンバー同士でも、まるで同じオフィスで働いているかのようにスムーズに協力して業務を進めることができます。 |
セキュリティ | Dropbox Businessでは、2段階認証の設定が可能で、更にデバイスの接続数やアクセスを制限することで、セキュリティ対策を強化することができます。 |
バージョン履歴とファイル復元 | ファイルの変更履歴が最大360日間保持されるため、過去のバージョンを参照したり、必要に応じて以前のバージョンに戻すことが可能です。 |
それぞれの機能は、Dropbox Businessの料金プランによって使用できる範囲や詳細が異なる場合があります。具体的な料金と利用可能な機能については、Dropbox Businessの公式ウェブサイトをご覧ください。
Dropbox Businessの料金プランは以下のとおりです。
※2023年10月現在
Dropbox個人向けとDropbox Businessの主な違い
Dropbox個人向けと企業向け(Dropbox Business)の主な違いを比較します。
機能面での違い
Dropbox個人向け と企業向け(Dropbox Business) のユーザー数と容量の違いは以下のとおりです。
プラン名 | ユーザー数 | 容量 | |
---|---|---|---|
個人向け | Dropbox無料版(Basic) | 1人 | 2GB |
Plus | 1人 | 2TB | |
Family | 最大6人 | 2TB | |
企業向け | Essentials | 1人 | 3TB |
Dropbox One | 1人 | 3TB | |
Standard | 3人以上 | 5TB | |
Business | 3人以上 | 9TB (チーム全体) | |
Business Plus | 3人以上 | 15TB (チーム全体) | |
Enterprise | 必要に応じた容量 • カスタマイズ可能 |
料金と利用目的の違い
個人向け、企業向け(Dropbox Business)の料金プランは以下のとおりです。
プラン名 | 料金 | |
---|---|---|
個人向け | Dropbox無料版(Basic) | 無料 |
Plus | ¥1,200/月(年間払い) ¥1,500/月(月間払い) | |
Family | ¥2,000/月(年間払い) ¥2,500/月(月間払い) | |
企業向け | Essentials | ¥2,200/月(年間払い) ¥2,700/月(月間払い) |
Business | 1 ユーザーあたり ¥2,400/月(年間払い) 1 ユーザーあたり ¥2,900/月(月間払い) | |
Business Plus | 1 ユーザーあたり ¥3,000/月(年間払い) 1 ユーザーあたり ¥3,600/月(月間払い) | |
Enterprise | 料金についてはセールス担当に相談 |
※2023年7月現在
企業向け(Dropbox Business) には個人向けのような無料プランはありません。
また、個人向け Dropboxは私的利用を前提としており、仕事で使う場合でも基本的に他者との連携や共同作業などは想定されていません。
一方、Dropbox Businessでは、Professional、Dropbox Oneを除き、複数のユーザーによる共同や連携作業を想定しています。また、Dropbox Business では企業の規模に合うプランを提供しており、部門単位での利用から企業全体での利用まで幅広く対応しています。
データ管理とセキュリティの違い
個人向け Dropboxには、管理機能は特に搭載されていません。
Dropbox Businessでは、管理者が管理コンソールによってユーザーの統括管理を行うことができます。
また、ファイルを復元できるデフォルトの期間は個人向け とDropbox Business では異なります。
Dropbox Basic、Plus、Familyは30日間、Dropbox Businessでは180日間です。
Dropbox Businessでは、セキュリティ面がビジネス向けに特に強化されています。
チームフォルダ内のデータに対してアクセス権限を設け、またログによって動向を管理できます。
不正アクセス防止のための、2段階認証の設定も可能です。 Dropbox BusinessのAdvanced以上では、全体管理者以外に「チーム管理者」「ユーザー管理者」「サポート管理者」を設定でき、効率的な管理が行える体制づくりが可能です。
クラウドストレージとしてのDropbox Businessの活用法
Dropbox Businessを活用することで、業務の様々な局面における課題を解消し、作業の効率化やセキュリティの強化を実現します。その具体的な役割と特徴について、以下で詳しく解説していきます。
効率的なチームワークを可能にする共同作業機能
Dropbox Businessを使用すると、同じプロジェクトに関与する複数のメンバーが共通のプラットフォーム上でファイルやドキュメントをリアルタイムで編集・共有することができます。これにより、情報の共有やチーム間のコラボレーションが極めてスムーズになります。また、各バージョンの詳細な管理機能が用意されているため、必要に応じて過去の状態に戻すことや、編集履歴を追跡して確認することも可能です。これにより、作業の透明性が向上し、誤操作によるデータ損失のリスクも軽減します。
データ管理とユーザー管理の最適化
Dropbox Businessでは、組織内の各メンバーのアクセス権を一元管理できます。必要な情報へのアクセスを適切に制限することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑え、セキュリティを向上させることが可能です。さらに、データの使用状況やアクティビティを追跡し、詳細な分析を行うことで、データの流通状況を視覚化し、問題が発生した場合には素早く対策を講じることができます。
強固なセキュリティとプライバシー保護機能
Dropbox Businessでは、データは安全なSSL/TLS暗号化通信を通じて送受信され、高度なセキュリティ対策が施されたデータセンターで安全に保管されます。また、2要素認証を含む複数の認証オプションが提供されており、不正アクセスを防ぐための一層のセキュリティを提供します。そして、ファイルやフォルダの共有設定を詳細に制御することで、特定のユーザーや外部の人々との共有許可を適切に設定し、機密情報の保護を確保します。これらの機能により、企業が業務で取り扱う情報の安全性を高めることができます。
Dropbox個人向け からDropbox Business への移行方法
Dropbox個人向けからDropbox Businessに移行する流れを解説します。
移行の手順と注意点
ステップ1:パスワードをリセットする
Dropbox Business移行後、ほかのメンバーから自分のアカウントにアクセスができないよう個人用アカウントを使用している場合には、パスワードの変更が必要となる。
dropbox.comにログインし、アカウントメニューから[設定]を選択する。 [セキュリティ]タブで[パスワードを変更]をクリックして、パスワードをリセットする。
ステップ2:アカウントをDropbox Businessにアップグレードしてチームメンバーを招待する
ビジネスアカウントを購入すると、アカウントをDropbox Business にアップグレードすることができ、管理者権限が与えられる。
管理者のアカウント情報を使用してdropbox.comにログインし、[管理コンソール]をクリックする。
[メンバー]ページを開いて、[メンバーを招待する]をクリックする。 招待するメンバーのメールアドレスを入力し、[チームに招待する]をクリックする。
ステップ3:遠隔操作でデバイスを削除する
Dropbox Business の管理者は、Dropbox ファイルを遠隔削除できる。 業務に使用していないデバイスや、紛失/盗難に遭ったパソコンなど、リスクの高いデバイスのファイルを遠隔操作で削除し、外部のアクセスを遮断する。
ステップ4:招待したメンバーがチームに参加する
招待したメンバーに招待メールが届き、メンバーは招待メールと同じメールアドレスを使用してチームに参加する。
ステップ5:フォルダの権限を設定する
チームメンバーがファイルを確認できるようにフォルダ権限を設定し、共有したフォルダが自動的に同期されるようにする。
初めに個人向けで使用していたパスワードをリセットすることで(ステップ1)、チームメンバーによって個別アカウントにアクセスされるのを防ぎます。
既存のアカウントからチーム用Dropboxアカウントに移行する際には、移行したいファイルとフォルダがすべてDropboxアカウントに保存されていることを確認する必要があります。 また、チーム用Dropboxアカウントに移行したくないファイルとフォルダについては、削除しておかなければなりません。
移行後のベストプラクティス
Dropbox Businessを業務で効果的に活用するためには、他のストレージやデスクトップに置かれているファイルやフォルダをDropboxに移行する必要があります。
まずはデータ移行の計画を立て、移行元のデータの総容量、ファイルの数、フォルダ構造や権限の割り当て状況について調査を行います。
調査結果をもとに、移行の方法について検討します。
Dropboxへのデータ移行方法は、大きく以下の2つがあります。
- Webブラウザを経由したファイルやフォルダの手動アップロード
- Dropboxデスクトップアプリを利用したデータアップロード
データボリュームが小規模であれば手動アップロードも可能ですが、データ容量が大きい場合や、大量のファイルを移行するような場合にはデスクトップアプリの利用がおすすめです。
Dropbox Businessの成功事例とその可能性
ある建築・土木関連企業の事例を通じて、Dropbox Businessがどのように業務を改善し、生産性を向上させるかを考察します。
この企業では以前、各現場監督が自分の書類を管理し、印鑑が必要な書類には会社まで移動して押印しなければならないという状況がありました。特に遠隔地の現場では、これが大きな時間を費やす原因となっていました。また、資料の交換はメールを主体としており、過去の資料管理も個々のハードディスクで行われていたため、新しい案件に対応する際の資料の再利用が困難な状況にありました。
これらの課題を解消するため、企業はDropbox Businessを導入し、全社の資料保管を一元的にDropboxへ移行しました。これにより、紙による資料のやり取りやメールでのコミュニケーションが大幅に減少し、結果として作業効率が大幅に向上しました。図面の修正情報をリアルタイムで共有できるため、スムーズなコミュニケーションが可能になりました。結果的に、これにより資料管理にかかる時間が月に約10時間削減されるという成果を上げました。
この事例から、Dropbox Businessの導入が現場監督の業務効率化と時間節約に寄与し、社内外のコミュニケーションも円滑に行えるようになったことが明らかになりました。印刷の手間も減らし、外部の関係者にも容易に資料を確認してもらえるようになったのです。このように全社でDropboxを活用することで、効率化と生産性の向上が図られたという成功事例です。
結論
Dropbox個人向けからDropbox Businessへの移行は、セキュリティの強化と業務効率の向上をもたらします。個人向け を業務用途で使い続けると、思わぬトラブルが発生する可能性もあります。そのため、信頼性と効率性を重視する業務環境においては、Dropbox Businessの利用を検討する価値があると言えるでしょう。
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