LINE WORKS(ラインワークス)とは、グループウェア機能を持つ法人向けチャットサービスのことです。スマホのアプリから社内掲示板やカレンダー、トークなどの機能が使えて、現場で働くノンデスクワーカーに広く利用されています。
LINE WORKSとLINEの名称が似ているため、「2つのサービスの違いは何だろう」「仕事もLINEだけで十分ではないか」と疑問に思う方もいることでしょう。そこで本記事では、LINE WORKSとLINEの違い、LINE WORKSを利用するメリットやよくある質問を解説します。LINEにはないLINE WORKSの魅力を詳しく紹介するので、ぜひご覧ください。
LINE WORKS(ラインワークス)とは
LINE WORKSは、ビジネス向けチャットサービスで、トークや掲示板、カレンダー、Driveといった機能を持っています。見た目はLINEとよく似ており、「ビジネス版LINE」とも呼ばれます。2017年にスタートし、2023年現在で43万社、450万ユーザーが利用しています。
一般企業だけでなく、介護や接客、建設業のノンデスクワーカーにも活用されています。普段、PCをあまり使用しない彼らでも、LINE WORKSを使えばスマホで簡単に情報を共有できるからです。また小売りでの利用が増えており、中小企業でも導入が簡単です。
LINE WORKSとLINEの違いは何か
LINE WORKSとLINEは、似ていますがまったく別のアプリケーションです。ここでは、2つのアプリケーションの違いについて解説します。
提供会社の違い
LINEとLINE WORKSの見た目や名称は似ていますが、提供会社は異なります。しかし、どちらも同じ企業グループに所属しています。
LINE WORKSは「ワークスモバイルジャパン」が提供しています。この会社はビジネス向けのコミュニケーションツールを中心にサービスを提供しており、LINE WORKSはその主要なサービスです。一方、一般ユーザー向けのLINEは「LINE株式会社」が担当しています。両社は、それぞれの目的やユーザー層に合わせたサービスを提供しています。
特徴・機能の違い
LINE WORKSとLINEでは特徴・機能に多くの違いがあります。以下の表では8つの点についてその違いをまとめています。
LINE WORKS | LINE | |
---|---|---|
ユーザー管理 | 管理者が登録したメンバー | 誰とでも自由に繋がる |
ユーザー登録方法 | 専用のIDとパスワード | 個人の電話番号 |
データの端末保存禁止 | ○(有料プランのみ) | × |
管理者向け機能 | 監査ログ・セキュリティ設定が可能 | × |
パソコンでの利用 | ○ | ○ |
複数デバイスでの 同時ログイン | ○ | ○ |
機種変更時の アプリデータ移行作業 | 不要 | 必要 |
既読確認 | 個人レベルの既読確認 | 既読数のみ |
上記の表から分かるように、LINE WORKSは法人向けの機能に特化しており、LINEに比べて管理が非常に厳格です。また機能が明確に分かれているので、LINE WORKSは仕事・LINEはプライベートと明確に使い分けられます。
LINE WORKSを利用するメリット
仕事において、LINEではなくLINE WORKSを利用するメリットを紹介します。
仕事で使える豊富な機能がある
トーク | トークはビジネス向けのメッセージングツールです。グループチャットや1対1の会話ができます。操作は簡単で、LINEのように使えます。 |
---|---|
掲示板 | 掲示板は企業やチームの情報共有ツールです。従業員はお知らせや更新情報を投稿・確認し、コメントでフィードバックや質問ができます。画像やファイルの添付は簡単で、読者の確認も可能です。 |
カレンダー | カレンダーはスケジュール管理ツールです。会議や期限の予定を共有・確認でき、リマインダーも設定可能です。 |
タスク | タスク機能は進捗や担当者管理のツールです。タスクの作成、割り当て、期限設定や進捗チェックができます。チームとの共有、優先度やサブタスクの設定も可能です。 |
アンケート | アンケートは意見やアイデアを収集できるツールです。手軽にアンケートの作成・配布ができ、多様な質問や選択肢を設定可能です。結果はすぐに集計・確認し、迅速な意思決定や評価に役立てられます。 |
アドレス帳 | アドレス帳は従業員情報の管理ツールです。部署、役職、連絡先を一覧で見ることができます。検索で人物や部署を探せ、同期機能で情報を最新に保ちます。 |
メール | メールはビジネス向けメールソフトです。高いセキュリティで通信を安全にサポートします。直感的な操作でメールの送受信、フィルタリングや検索が効率的に行えます。 |
Drive | Driveは、クラウドベースのストレージツールです。文書やメディアの安全な保存・共有が可能で、リアルタイム編集やアクセス権限の設定も行えます。共有リンクの生成も可能です。 |
Bot | Botは、自動応答や業務自動化をサポートするツールです。カスタマイズ可能なbotを用いて日常の質問対応や定型業務をスムーズに行えます。API連携で、社内システムや外部サービスとも簡単に統合できます。これにより、タスクの自動処理が可能となり、業務効率の向上やコストの削減に繋がります。 |
LINEとつながって連絡が取れる
LINE WORKSは、LINEと連携できる唯一のビジネス向けチャットサービスとして注目されています。LINE WORKS同士でのコミュニケーションはもちろん、個人が普段使用しているLINEアプリとの連携も可能です。
たとえば、企業が新卒の採用内定者と連絡をとる際、電話やEメールよりも気軽に、LINEの方がリアルタイムでの情報共有や確認しやすいです。LINE WORKSを使って内定者のLINEとつながれば、内定者が抱える疑問や要望に素早く応答し、入社前の円滑なコミュニケーションを実現できます。
LINEとUIが似ているので使いやすい
LINE WORKSは、広く利用されているLINEのユーザーインターフェース(UI:見た目)を基盤に設計されており、これが同サービスの魅力的な特徴の一つとなっています。この独特ながら馴染みのあるUIのため、日常でLINEを活用している多くのユーザーが、特別なトレーニングや高度なIT知識なしに、すぐにLINE WORKSの機能を習得できるのです。
LINEよりも高いセキュリティを利用できる
LINE WORKSは、単なるビジネス版のLINEとしての側面だけでなく、そのセキュリティ対策の厳格さにおいても注目されています。
国際認証の取得
LINE WORKSは日本国内の法令遵守はもちろんのこと、国際的なセキュリティ基準を満たすための認証も取得しています。これにより、企業は国際的なビジネスを行う際も、LINE WORKSを安心して使用することができます。
遠隔デバイス管理
デバイスの紛失はビジネスにおいて大きなリスクとなりますが、LINE WORKSは遠隔からのデバイス管理が可能です。これにより、紛失したデバイスのログイン情報の削除や、端末自体を初期化して情報漏えいを防ぐ対策が取れます。
シャドーIT対策
「シャドーIT」とは、組織の公式なIT方針や管理を迂回して行われる情報技術の利用を指します。LINE WORKSの遠隔管理機能は、こうした非公式なデバイスの利用を防ぐ対策としても効果的です。
ログ監査の機能
セキュリティ上の監査を行う際には、ログの取得が重要となります。LINE WORKSは、ログを詳細に確認することができ、不正なアクセスや情報の流出を迅速に察知するのに役立ちます。
これらの機能と取り組みにより、LINE WORKSはビジネスコミュニケーションツールとして、高いセキュリティを保障しています。
APIで外部サービスと連携できる
LINE WORKSはAPIを提供しており、この機能を活用することで多様な外部サービスと連携が可能です。これにより、異なるシステム間の情報共有や業務の自動化が実現し、業務効率化が図れます。
勤怠管理サービスとの連携:
たとえば、LINE WORKSと勤怠管理サービスを連携させることで、従業員がLINE WORKS上から出勤・退勤の打刻や、勤怠の異常や修正申請の通知をリアルタイムで受け取ることができます。これにより、管理者や従業員は別のシステムにログインする手間を省き、スムーズな勤怠管理を実現できます。
会議室管理システムとの連携:
会議室管理システムとLINE WORKSを組み合わせれば、会議室の予約や変更、確認をLINE WORKS上から行えるようになります。さらに、会議の開始前にリマインダーや変更があった場合の通知を自動で受け取ることができ、会議の運営を円滑に行うサポートが得られます。
このように、LINE WORKSのAPI連携機能を活用することで、従来は複数のプラットフォームやシステムを跨いで行っていた業務も、一元的に管理し、効率化することが可能となります。
LINE WORKSに関するよくある質問
LINE WORKSに関するよくある質問と回答を紹介します。
LINE WORKSの料金プランを教えてください
LINE WORKSは、個人向けのLINEとは異なり、ビジネス向けに特化したサービスとなっています。一般的なLINEは無料で使用できますが、LINE WORKSには無料プランの他、2つの有料プランが存在します。これらのプランは、使用できる機能やサポート内容に応じて異なります。
フリー | スタンダード | アドバンスト | |
---|---|---|---|
料金 | 無料 | 1ユーザー/月 450円(年額契約) 540円(月額契約) | 1ユーザー/月 800円(年額契約) 960円(月額契約) |
ユーザー数 | 100人まで | 無制限 | 無制限 |
ストレージ | 5GB | 1TB | 100TB |
基本機能 | 音声・ビデオ通話・画面共有(4人まで最大60分) トーク・掲示板・カレンダー・タスク・アンケート | フリープランの全機能 音声・ビデオ通話・画面共有(200人まで) 管理者機能 カスタマーサポート | スタンダードプランの全機能 Drive メール |
関連リンク
LINE WORKSのプランごとの料金や機能、選び方を紹介
LINE公式アカウントとの違いは何ですか?
LINE公式アカウントとLINE WORKSは、ともにLINEブランドの下で提供されているサービスですが、目的と機能面で大きな違いがあります。
LINE公式アカウントは、店舗や企業がLINE上でのプレゼンスを確立するためのサービスです。無料でアカウントを作成することができ、以下のような機能が提供されています:
- リッチメニュー:ユーザーがアカウントとやりとりする際に表示される、画像やボタンを組み合わせたメニュー。
- メッセージ配信:友だち追加されたユーザー全員や特定のセグメントに対してメッセージを一斉送信。
- ステップ配信:ユーザーのアクションに応じて段階的にメッセージを送る。
- クーポン配布:限定の割引や特典を提供するためのクーポンを配信。
- ショップカード:店舗情報や営業時間、位置情報などをカード形式で表示。
これに対して、LINE WORKSは、企業や組織の内部コミュニケーションを支援するためのグループウェアサービスです。社内のコミュニケーションや情報共有、タスク管理、スケジュール管理など、日常の業務に関連する機能が豊富に用意されています。
LINE公式アカウントは企業や店舗が消費者との関係を深化させるためのツールとして設計されているのに対し、LINE WORKSは組織内の業務効率化やコミュニケーションをスムーズに行うためのツールとしての位置付けになります。
まとめ
ここまで説明してきたようにLINE WORKSは、多機能かつ効率的なビジネスコミュニケーションツールとして多くの企業や組織に導入されています。一般的なLINEとは異なり、ビジネスのニーズに特化して設計されている点が特徴です。提供会社の違いや、豊富な機能、直感的なUI、高度なセキュリティ対策、そして外部サービスとの連携が可能という点で、他のツールと一線を画します。
特に普段から利用しているLINEのUIをそのまま使えるため、ITに不慣れな従業員がすぐに使いこなせるという点は、他社のビジネスコミュニケーションツールでは得られない大きな強みです。自社のコミュニケーション基盤として活用いただければと思います。