AIエージェントの種類と仕組みを徹底解説【特徴・活用シーン・導入のポイント】

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中山順司 著者:コンテンツ・エヴァンジェリスト/中山順司

AIエージェントは、「ユーザーの意図を理解して、目的に応じた行動を実行する」次世代の業務支援ツールです。生成AIと異なり、会話だけでなく外部ツールの操作複数タスクの自動実行まで行える点が特徴です。

しかし、「どのような種類があるのか(→AIエージェントの種類一覧)」「どんな仕組みで動いているのか」「どの業務に向いているのか」が分かりにくいと感じる人も多いのが現状です。

この記事では、AIエージェントの基本構造と主な種類を整理し、仕組みや活用のポイントを具体的に解説します。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、ユーザーの意図を理解し、必要な手順を組み立てて行動する仕組みをもつシステムのことです。

質問に回答するだけでなく、外部ツールを操作したり、複数の工程を踏んで結果を返したりします。ユーザーの目的を理解し、それに向けて自律的に動こうとする点です。この「動く」という性質が、従来の生成AIとの違いです。

AIエージェントは、おもに次のプロセスで動作します。

  • 意図の理解(自然言語で伝えた目的を把握する)
  • 計画の生成(目的に向けた手順を組み立てる)
  • 行動の実行(APIや外部サービスを使って処理する)
  • 結果の評価と再実行(必要に応じてやり直す)

このサイクルが続くことで、単発の応答にとどまらず、ある程度の自律性をもった動き方が生まれるのです。

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生成AIやチャットボットとの違い

生成AIやチャットボットは、ユーザーの入力に対して回答を返すことに特化しています。やり取りは基本的に一往復で完結し、質問に反応するスタイルが中心です。

それに対してAIエージェントは、状況に応じて次の行動を自ら選び、複数のステップを連続して進めます。必要であれば外部ツールを操作し、途中で結果を評価し直すこともあります。

生成AIが「知識や文章生成に強い存在」だとすれば、AIエージェントは「目的達成のために行動できる存在」に近いです。この行動性が、両者の大きな違いと言えます。

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RPAとの違い

AIエージェントとRPAも、比較されやすいです。RPAとは、Robotic Process Automationの略で、パソコンで行う定型業務を自動化する仕組みです。

両者の違いは、自律的な判断を行うかどうかにあります。

RPA
ルールが明確な定型作業(交通費精算のチェックや、請求書データの転記など)を正確に実行する。一方、シナリオにない作業など、想定外の状況には対応できない。
AIエージェント
「競合他社の最新価格を調査して」という目的や指示で動ける。たとえば、指定したURLが間違っていても、自ら正しいURLを検索して、指示を遂行できる。

AIエージェントとRPAは、「どちらが優れているか」という対立関係ではなく、適材適所の関係にあります。

※関連記事:AIエージェントとは? 仕組み・業界別の活用例・生成AIとの違い

ビジネスでの活用シーン

では、AIエージェントがよく活用されるシーンを紹介します。

バックオフィス業務(レポート作成・データ整理)

売上レポートの作成や、複数システムからのデータ収集・整形といった定型作業を任せられます。情報収集から下書きの生成までを一連の流れで実行できるため、人が最終チェックする前提であれば、作業時間を大幅に短縮できます。

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顧客対応・サポートチャットの自動化

よくある質問への回答、マニュアル参照、簡単な手続き案内など、パターンが決まっている問い合わせ対応に強みがあります。Amazon Connectのような音声対応型、Voiceflowのようなチャット設計型など、用途に合わせた選択肢も増えています。 ただし、エージェントが一次対応を行い、必要に応じて人に引き継ぐ形が現実的です。

営業支援・提案書作成・情報収集

競合調査、顧客企業の情報整理、提案書の下書き作成など、営業担当者の準備作業をサポートします。必要な情報を自動で集めて比較し、報告書の形にまとめることも可能です。

開発・テスト・運用の自動化(DevOps支援)

コードレビュー、テストケース生成、環境構築、ログ解析など、複数のタスクを連続して実行する利用が増えています。自律型エージェントが小さな改善ループを回し続け、開発サイクルの短縮につながるケースもあります。

エージェントが提示した案を開発者が調整しながら進める、支援ツールとしての位置づけが現実的です。

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AIエージェントのおもな種類

「AIエージェント」と一口に言っても、機能や得意分野はかなり異なります。代表的な6タイプを紹介します。

代表的な6種のAIエージェントをそれぞれ、概要や代表例

1.指示型(コマンド/プロンプト駆動型)

  • 概要: ユーザーの入力を起点に動作するタイプ
  • 代表例: ChatGPT、Claude、Gemini
  • 特徴・ポイント: 質問への回答や文章生成など、指示された範囲内で機能する。必要な場面で都度サポートを受ける使い方が基本

2.自律型(タスク自動実行・マルチステップ型)

  • 概要: ユーザーの入力を起点に動作するタイプ
  • 代表例: ChatGPT、Claude、Gemini
  • 特徴・ポイント: 質問への回答や文章生成など、指示された範囲内で機能する。必要な場面で都度サポートを受ける使い方が基本

3.業務統合型(RPA・SaaS連携型)

  • 概要:外部サービスと連携し、実際の業務フローに組み込むことを前提としたタイプ
  • 代表例: Copilot Studio、Zapier Agents
  • 特徴・ポイント: メール送信やデータ転記など、定型作業の自動化向き。業務システムと接続しやすい反面、設定や権限管理を丁寧に整える必要がある。

4.ブラウザ操作型(Webタスク自動化)

  • 概要: Webサイト上のクリックや入力など、ブラウザ操作を代理で行うタイプ
  • 代表例:AgentGPT、WebPilot
  • 特徴・ポイント::リサーチやフォーム入力など、RPAと生成AIの中間的な役割。Webサイトの構造変更により、動作が不安定になる可能性がある

5.会話特化型(音声・接客・問い合わせ対応)

  • 概要:対話やコミュニケーションに最適化されたタイプ
  • 代表例:Amazon Connect、Voiceflow
  • 特徴・ポイント:問い合わせ対応や予約案内など、流れが決まっている業務向き。音声インターフェースの進化により、店舗やコールセンターでの導入が進む

6.組み込み/OS統合型

  • 概要:デバイスやOSの深い層と連携し、ファイル操作や設定変更などを行うタイプ
  • 代表例:Windows Copilot、Apple Intelligence
  • 特徴・ポイント:特別なツールとして意識させず、日常の細かな作業を代行

AIエージェントの仕組みと構成要素

AIエージェントは単独の「賢いアプリ」というより、複数の技術が組み合わさって動く仕組みです。

ひとつの部品だけでは成立せず、いくつかの要素が連鎖することで自律的に動いているように見える状態が生まれます。

それでは、その中核となる要素「LLMによる理論」「メモリ、状態管理、RAG」「ツール連携」「エージェントフレームワーク」をそれぞれ解説します。

LLM(大規模言語モデル)による推論

エージェントの頭脳にあたる部分です。LLMがユーザーの指示を解釈し、状況から次に取るべき行動を判断します。タスクをどの順番で進めるか、結果が妥当かどうかを判断するときも、この推論能力が欠かせません。

ただし、LLMの判断は確率的で、同じ指示でも異なる結論になることがあります。

※関連記事:LLMの定義と歴史ー知性の爆発はどのように始まったかー

メモリ・状態管理・RAG

エージェントが文脈を保持し、過去の情報を活用するための基盤です。会話やタスクの履歴を記録する「メモリ」、今どの段階にいるかを追う「状態管理」、外部知識を参照する「RAG(Retrieval Augmented Generation)」などが含まれます。

これらが機能すると、エージェントは前回のやり取りを踏まえた回答や、社内ドキュメントを検索しながらの作業進行が可能です。この部分が弱いと、話が噛み合わなくなり、タスクが途中で破綻することもあります。

ツール連携(API/プラグイン)

行動を実行するための手足にあたる部分です。外部サービスのAPIを呼び出し、メール送信、データベース参照、ブラウザを操作などを実行します。ChatGPTのプラグインやCopilot Studioのアクションなどがこの役割を担っています。

エージェントフレームワーク(LangChain、CrewAI、AutoGen)

複雑なエージェントを組み立てるための骨組みです。

LangChainはツールやRAGを組み合わせるための構成要素が揃っており、AutoGenは複数エージェントの対話を前提に設計されています。CrewAIは役割分担型のワークフローをつくりやすい仕組みを提供します。

これらのフレームワークを使うことで、開発者は行動するAIを効率的に構築できます。ただし、どれを選ぶべきかは目的によって変わります。

代表的なAIエージェントツール(対応業務別)

代表的なAIエージェントを表にまとめました。

AIエージェントは、どんな業務を任せたいかを軸に選ぶ方法がおすすめです。
料金プランや細かな仕様は、各サービスの公式ページで最新情報を確認してください。

対応業務ツール名特徴価格帯の目安
企画、ドキュメント作成、情報整理ChatGPT
Claude
Gemini
文章生成や要約が得意で応答精度が高い無料〜数千円/月(APIは従量課金)
定型業務の自動化、SaaS連携Copilot Studio
Zapier Agents
業務アプリとの連携が容易でワークフロー構築に強い月額課金(プランにより異なる)
リサーチ、フォーム入力、Web操作AgentGPT
WebPilot
ブラウザ操作やWebタスクの代行が可能無料〜低価格帯
問い合わせ対応、予約案内Amazon Connect Voiceflow音声・チャット対応に最適化された設計従量課金(利用時間・API)
日常業務、軽めの作業支援Windows Copilot Apple IntelligenceOSレベルで動作し端末操作と統合OS依存(追加費用不要の場合が多い)

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AIエージェント導入のメリットと課題

AIエージェントの導入を検討するときは、期待される効果と潜在的なリスクの両方を、冷静に把握することが大切です。

メリット|効率化・ナレッジ活用・属人化の解消

AIエージェント導入のメリットは、大きく3つあります。

1.日々の作業負荷の軽減
調査や資料作成など、時間はかかるが判断ロジックが明確な作業を任せることで、担当者の工数を削減
2.社内ナレッジの有効活用
RAG(検索拡張生成)を活用すれば、散在するドキュメントから必要な情報を横断的に引き出せ、アウトプットが可能
3.業務の属人化防止
特定の人員に依存していた作業手順をエージェントに「型」として学習させ、欠員や引き継ぎ時の業務停滞リスクを最小限に軽減

課題|コスト・精度・ガバナンス・セキュリティ

一方、課題も3つあります。

1.コスト変動
タスク実行ごとにAPIを利用するため、従量課金によるコスト変動が発生
2.制度のばらつき
生成AIは確率的に動作するため、同一の指示でも結果が異なる場合があり、業務プロセスには一定の誤差を許容する設計が必要
3.セキュリティとガバナンス
外部ツールとの連携時、権限設定を誤ると情報漏洩につながるリスク

導入・運用を成功させるための実践ステップ

AIエージェントは、「どの業務に、どう組み込むか」という設計が導入の成否を分けます。現場でスムーズにAIエージェントを導入し、運用につなげるプロセスを、3つのステップで解説します。

ステップ1. 適用範囲の明確化と小規模PoC

いきなり本番運用を目指すのではなく、小さな検証(PoC:Proof of Concept/概念実証)から始めます。

PoCとは、新しいアイデアや技術が「本当に実現可能か」「期待した効果が得られるか」を、本格的な導入・投資の前に小規模な環境で確かめることです。

技術選定の前に、「負担になっている作業は何か」「AIに任せるべき範囲はどこか」を整理することで、導入後の「思ったほど役に立たなかった」という失敗を防げます。

検証には、コストを抑えられる無料枠や低価格プランの活用が有効です。

  • ChatGPT / Claude / Gemini:「思考・判断」が正しく機能するかを検証
  • Zapier / Make::外部アプリと連携した、「実行(行動)」の仕組みを検証
  • Voiceflow:ユーザーとの「対話の流れ」をプロトタイプとして検証

まずは1つの業務に絞り、負荷軽減の実感や精度の限界(どこから人が介入すべきか)を確認してください。運用の実態を早期に把握することで、手戻りのない設計が可能になります。

ステップ2. 社内データ連携とセキュリティ設計

業務への適合度を高めるには、RAGやデータベースとの接続が鍵となります。「自社の状況に即した判断」が可能になるためです。

ただし、全データを無条件に連携させるのではなく、アクセス権限や範囲を慎重に設計する必要があります。「最低限の領域から接続し、徐々に広げる」アプローチが、セキュリティリスクを抑える上で安全です。

ステップ3. 継続的な評価とチューニング

AIエージェントは「導入して終わり」ではありません。プロンプトやワークフローの微調整によって精度が大きく変わるため、現場のフィードバックを反映させる運用体制が不可欠です。

効果測定においては、「時間の削減」だけでなく、「担当者の心理的負荷が減ったか」「対応スピードが向上したか」といった体感指標も重要です。「小さく回して改善を続ける」サイクルを回せる組織こそが、AIエージェントの価値を最大化できます。

まとめ

AIエージェントは、派手さよりも日々の仕事の流れを少しずつ変えていく力に特徴があります。文章作成や調査、単純作業の肩代わりといった小さな効率化が積み重なると、業務全体の負荷が目に見えて変わります。

最適なタイプは企業や業務によって違います。指示型が向く場面もあれば、自律型がしっくりくるケースもあります。相性を確かめながら段階的に育てていくことが大切です。小さく試し、社内データとのつなぎ方を整え、現場の声を反映する。この地道なプロセスを続ければ、エージェントは確実に力を発揮します。

迷ったときは、まず「どんな負荷を減らしたいか」を言語化するところから。そこが明確になるだけで、選ぶべきエージェントの姿も自然と見えてきます。

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本記事の著者
中山順司
中山順司
コンテンツ・エヴァンジェリスト