👉🏻 2025年7月14日のAIニュース:全体の傾向

  • ChatGPTとGoogleを巡る競争が激化する中、検索行動・可視性・収益構造に変化が起きている。
  • AIは探索から意思決定までの動線を拡張し、SEOや広告、ファネル設計も再定義を迫られている。

各ニュースリンク+日本語概要

❶Perplexity just launched an AI web browser | The Verge

URL:https://www.theverge.com/news/703037/perplexity-ai-web-browser-comet-launch

翻訳概要:
Perplexity、月額200ドルの新AIブラウザ「Comet」を発表

  • Perplexityは、AI検索とアシスタント機能を統合した独自のWebブラウザ「Comet」を発表した
  • Cometは、Perplexityの月額200ドルの最上位プラン「Perplexity Max」加入者限定で先行提供され、今後は招待制で展開される予定
  • このブラウザは、画面上の情報に基づいて質問に答えたり、ホテル予約や商品購入などの「エージェント的な」タスクを実行可能
  • CometはChromiumベースで開発されており、拡張機能やブックマーク、設定をワンクリックでインポートできる
  • Perplexityは、Googleが独占禁止法裁判でChrome売却を迫られた場合、Chromeの買収にも関心を示している

ポイント:
Perplexityが高度なAI機能を統合した独自ブラウザ「Comet」を発表し、検索市場でGoogleに対抗姿勢を強めている。

❷Is ChatGPT really killing Google? We dug into the numbers. – The Washington Post

URL:https://www.washingtonpost.com/technology/2025/07/08/ai-chatbots-google-search-myth-busting/

翻訳概要:
ChatGPTはGoogle検索を脅かしていない──実データで見る現実とのギャップ

  • 2025年1月〜5月、ChatGPT経由でニュースサイトにアクセスされた回数は約2,500万件だったのに対し、検索エンジン経由では約95億件に達しており、Googleの方が379倍多く使われている
  • SparkToroによる推定では、Googleは1日あたり約140億回の検索が行われているのに対し、ChatGPTは最大でも3,750万回程度にとどまり、使用頻度は約373倍の差がある
  • AIによる要約表示などによりクリック数は減っているが、Googleは依然としてニュースや情報を探す主要な手段であり続けている
  • AIツールへの訪問は増加傾向にあるものの、2025年3月時点でも検索エンジンが全ウェブ訪問の約10.5%、AIはわずか0.55%にとどまっている
  • 一部のメディア運営者はAI流入を見越して戦略を再構築しているが、ChatGPTがGoogleに取って代わるには至っていない

ポイント:
ChatGPTは利用急増もGoogle検索には数百倍及ばず、依然として検索の主流を守っている。

❸GEO Tip: ChatGPT-User bot that accesses your website as part of a conversation is only pulling your HTML. No JavaScript. No CSS. No images.

URL:https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7348733540865347584/

翻訳概要:
ChatGPTはHTMLしか見ていない──JSや画像は無視、重要なのはソース内のテキスト

  • ChatGPT-UserボットはHTMLのみを取得し、JavaScript、CSS、画像ファイルは一切読み込まない
  • ページのレンダリングをせず、プレーンなHTMLソース中のテキスト情報だけを取得している
  • 動的にJSで生成されるコンテンツやメタ情報は、ChatGPTには届かない可能性が高い
  • 画像最適化やビジュアル設計よりも、HTMLソース内に直接重要なテキストを含める方がLLMに情報を届けやすい
  • サーバーログで「ChatGPT-User」のUser-Agent(例:ChatGPT-User/1.0)を確認すれば、どのファイルが取得されているかを把握できる

ポイント:
ChatGPTはHTMLソースのテキストしか読まないため、重要情報はJS任せにせず直接埋め込むべき。

❹Beyond Fan-Out: Turning Question Maps Into Real AI Retrieval

URL:https://duaneforresterdecodes.substack.com/p/beyond-fan-out-turning-question-maps

翻訳概要:
Query Fan-Outだけでは不十分──AI検索で「実際に拾われる」ための次の一手

  • Query Fan-Outは有効な出発点だが、AI検索で実際に拾われ、引用されるには「テスト」「インデックス化」「信頼構築」が不可欠
  • 各サブクエリは「チャンク」として独立性と意味密度を持たせることで、AIに選ばれやすくなる
  • Fan-Outだけでは、検索モデルが実際にそのチャンクを認識・取得しているかは分からず、実証テストやベクトルDBでの格納確認が必要
  • テクニカルSEOや構造化データの整備、著者情報や被リンクなどの信頼性シグナルもAIによる引用・要約の重要な判断要素となる
  • 最終的な勝利は「網羅」ではなく「検証された取得」であり、Fan-Outはその第一歩にすぎない

ポイント:
Query Fan-Outは起点にすぎず、AI検索で実際に拾われるには検証・構造化・信頼構築まで一貫して行う必要がある。

※補足:✔︎Query Fan-Out(クエリ・ファンアウト)とは?

1つのコアクエリ(例:「マラソンのトレーニング方法」)から、ユーザーが興味を持ちそうな関連質問や検索意図を構造的かつ網羅的に分岐展開(fan-out)する手法。

❺New study from Citi: Google Search is standing its ground for now against ChatGPT Citi polled 2,400 Google Search users in the U.S.

URL:https://x.com/glenngabe/status/1943712868274442323

翻訳概要:
Citi調査:Google検索は依然として全世代の中心的手段、AIは主に情報収集用途に留まる

  • Citiが米国の検索ユーザー2,400人を対象に実施した調査では、85%がGoogleを「主要な検索エンジン」と回答し、最初にアクセスするサイトとしても72%がGoogleを挙げた
  • Google支持は全年代にわたり堅調で、特に41〜55歳では88%が主要検索エンジンと回答した一方、14〜24歳では83%にやや低下
  • AIエージェントの利用は主に情報収集目的で、Google検索が買い物などの商業的用途に強みを持つ傾向が明らかになった
  • Googleのショッピングや旅行といった関連機能の利用も加速しており、同社の成長基盤は依然として堅固であるとCitiは分析している

ポイント:
Google検索は世代を問わず依然として主要な検索手段であり、AIはまだ補助的な情報探索用途にとどまっている。

❻a chart with two crossing lines showing customers from Chat GPT vs Google (organic)

URL:https://www.linkedin.com/posts/kevinindig_this-week-i-saw-two-things-for-the-first-activity-7349794587936284672-va0n/

翻訳概要:
一部企業ではChatGPT経由の顧客がGoogleを上回るも、多くはSEO減少を補えず

  • ある企業では初めて、ChatGPT経由の顧客数がGoogle(オーガニック検索)を上回るというクロスラインのグラフが確認された
  • 別の大手ブランドでは、ChatGPTでの可視性が倍増し、それと並行して業績にも好影響が現れている
  • 一方で、多くの企業はAI Overviewsの影響でSEO流入が減少しており、ChatGPTだけでその損失を補えていない
  • SEOの減少分をChatGPTで補うには、少なくとも2倍、多くの場合4倍以上の流入が必要とされる
  • ChatGPTがこの流れを維持・拡大できるかが今後の焦点となる

ポイント:
一部企業はChatGPT経由の成果が顕在化し始めているが、多くはSEO流入減を埋めるには流入量がまだ圧倒的に足りない。

❼5 popular LLMs all giving the same exact answer to the task of “Pick a random number between 1 and 50.”

URL:https://www.linkedin.com/posts/kyrtin-atreides_5-popular-llms-all-giving-the-same-exact-activity-7348516258587308034-gdpn/

翻訳概要:
LLMの“ランダム性”欠如が示すAIの構造的限界と悪用リスク

  • 複数のLLMが「1〜50のランダムな数字を選べ」という問いに対し同じ答えを返す現象は、AIに意味理解や本当の“ランダム性”がないことを如実に示している
  • LLMは「random」という語を確率的に扱うだけで、意味的・文脈的理解を伴わず、トレーニングデータの重複により異なるモデルでも同様の出力になりやすい
  • 「面白い猫の事実」など、特定の誘導トークンが誤回答の確率を300%以上高めるという研究もあり、LLMは極めて操作されやすい構造を持っている
  • この予測可能性と偏りはサイバーセキュリティや社会工学において深刻なリスクをもたらし、LLMを悪用した攻撃の現実的可能性が高まっている
  • LLMは“もっともらしい嘘”を生成する性質上、真偽の判別が困難であり、RAGなどへの導入時は情報汚染や長期的な潜在攻撃への警戒が不可欠である

ポイント:
LLMは文脈理解もランダム性も持たず、予測可能性と操作の容易さが攻撃リスクを高める構造的弱点となっている。

❽AI Search Is Expanding the Funnel, Not Replacing It

URL:https://www.adweek.com/performance-marketing/ai-search-is-expanding-the-funnel-not-replacing-it/

翻訳概要:
AI検索はファネルを置き換えない──探索から意思決定までの動線を拡張中

  • Googleは初期探索フェーズを依然として支配しているが、意思決定段階ではAIツールが積極的に介入し始めている
  • ユーザーはGoogleとAIの両方を使い分けており、検索と会話型リクエストという異なる行動が同一の購買行動内に混在している
  • AI検索広告の市場規模は5年以内に260億ドルに達する見通しで、すでに消費者行動がそれに呼応して変化している
  • 従来のファネルモデルは変化しており、認知・比較・行動の各フェーズで最適化されたメッセージとチャネル戦略が求められる
  • 今後は、AI向けに構造化されたコンテンツ設計、意図の把握と計測、複数プラットフォームを横断する柔軟な施策運用が成功の鍵となる

ポイント:
AIは検索行動を置き換えるのではなく意思決定までの動線を広げており、マーケターは新しいファネルに再構築する必要がある。

❾Exclusive: OpenAI to release web browser in challenge to Google Chrome | Reuters

URL:https://www.reuters.com/business/media-telecom/openai-release-web-browser-challenge-google-chrome-2025-07-09/

翻訳概要:
OpenAIがAI搭載ブラウザを投入へ──Chromeに対抗、検索と広告の主導権を狙う

  • OpenAIはGoogle Chromeに対抗するAI搭載のウェブブラウザを数週間以内にリリース予定で、ネイティブなチャットインターフェースとAIエージェント統合を特徴とする
  • ChatGPTの週次アクティブユーザー5億人に採用されれば、Googleの広告収益の基盤であるChromeのシェアに大きな影響を及ぼす可能性がある
  • 新ブラウザは、従来のリンククリックではなく、チャット内での対話を中心としたユーザー行動を設計しており、OpenAIによるユーザーデータ収集の新たな手段ともなる
  • この動きは、OpenAIが消費者の日常と業務にAIを深く統合していく長期戦略の一環である
  • OpenAIは2025年5月にApple元デザイン責任者によるAIデバイス企業「io」を65億ドルで買収しており、ハードウェアとブラウザの両面からGoogleへの対抗姿勢を強めている

ポイント:
OpenAIは独自ブラウザ投入でChromeの牙城に挑み、検索と広告の支配構造を根本から揺さぶろうとしている。