Perplexityは一時期、「検索に強いAI」として話題を集めました。しかし最近は、ChatGPT、Gemini、Claudeといった競合ツールの台頭により、存在感はやや薄れつつあります。
とはいえ、調査・リサーチという用途に限って言えば、リアルタイムのWeb検索、出典付きの回答、検索範囲の指定といった機能等、Perplexityならではの強みがあります。この記事では、ChatGPTとPerplexityに同じ質問を投げて比較し、検索精度・実用性・信頼性の違いを検証してみます。
目次
Perplexity AIとは?ChatGPTとの違い
Perplexityは、AIチャットボット型の検索支援ツールです。一般的な検索エンジンとは異なり、質問に対してWeb検索結果をもとにした自然言語の回答を提示し、回答には必ず出典リンクが付与されます。
※UIはおなじみのチャット形式
リアルタイムのWeb検索がベースなので、ニュースやトレンド、業界の最新情報なども比較的新しい情報が得られる点が特徴です。Webブラウザ、モバイルアプリ、Chrome拡張機能などを通じて利用できます。
Instagramのような「発見」タブもあって、クリックするとずらりとニュースが並びます。
各記事は、複数源のソースを元に解説されています。追加で質問しながら理解を深めることもでき、ただニュースを読むより納得感が高いです。
Perplexityが活躍するシーン
Perplexity が他ツールよりも力を発揮する4つのシーンを紹介します。
1.通常の「検索」では物足りないとき
リアルタイムに Web をクロールし、出典リンク付きの回答を提示してくれるため、情報の裏付け確認まで一気に完了します。Academic/YouTube/Reddit など検索範囲を簡単に絞り込めるため、「論文だけ」「動画から情報収集」といったニーズにも対応します。
2.ChatGPTではソースが曖昧なとき
ChatGPT や Gemini にも Web ブラウズ機能はありますが、出典リンクが明示されないこともあり、情報の信頼性を確認しにくいケースがあります。Perplexity なら各文の根拠となるリンクが明示されており、クライアント提案や調査レポートなど、出典の信頼性が問われる場面で有効です。
3.一次情報を押さえておきたいとき
ニュースメディア、公式機関、学術論文といった信頼性の高い一次情報ソースを優先的に抽出します。SEO向けのまとめ記事やQ&Aサイトが上位に並ぶ通常の検索とは異なり、情報の出どころを自分で確認しながら深掘りしたい調査や分析業務に適しています。
4.英語ソースも活用したいとき
グローバルの情報も参照するので、英語記事が標準的に含まれます。テクノロジー分野や海外市場の動向といった日本語情報が乏しいテーマでも情報収集が可能です。
【実験】ChatGPT vs Perplexityで同じ質問をしてみた
ChatGPT と Perplexity に同じ質問を投げたら、どのような違いが出るのか?
「SEO業界のGEO/LLMOに関する重要なニュースを教えて」という質問で比較してみました。
※GEO: Generative Engine Optimizationの略
※ LLMO: Large Language Model Optimization の造語
ChatGPT(GPT-4o+Web検索ON) の回答
- Web検索ONにしたにもかかわらず、一部ソースがない箇所も
- あっさりした説明が並ぶのみ
※リンクがあるのは3つだけ
モデル内の知識ベースで回答している印象を受けますし、ちょっと物足りないですね。
Perplexity の回答
- 定義、背景、対策、実践法、業界動向までカバー
- 網羅性と情報量で圧倒的な差
- 直近プレスリリース・I/O情報まで反映
予想以上の回答が返ってきました。追加質問があればいくらでもフォローアップしてくれますし、以前紹介したGenspark に勝るとも劣らない性能です。
※関連記事:【生成AIを種類ごとに使い分ける】Gensparkの上手な使い方まとめ
ちなみに、当社・Faber Company(ファベルカンパニー)主催のSEOカンファレンス「Japan SEO Conference 2025 」にも言及がありました。(申込みがまだならリンクからぜひ!)
両者をまとめると、こうなります。
調査に限定すれば、Perplexityの圧勝ですね。
比較項目 | Perplexity | ChatGPT(4o+WebブラウズON) |
出力の質 |
最新情報を時点付きで要約/情報粒度も明確に整理 | 表現力は優秀だが、信頼性の担保にやや工夫が必要 |
出典の有無 |
リンク付き/すぐ確認可能 |
リンクは無いことも |
検索範囲 | Academic/ニュース/YouTubeなど指定可能 | 範囲指定不可で全体から乱反射的に抽出 |
日本語精度 | 自然で明解 | 自然かつ読みやすいが情報精度に注意が必要 |
Perplexityの機能まとめ
以下、使ってみて便利だと感じた主な機能を紹介します。
出典リンクの表示
繰り返しになりますが、各情報がどのソースに基づいているのかが確認でき、エビデンスの明示が求められる業務に安心して使えます。
検索範囲の絞り込み
Academic/YouTube/Reddit/ニュースなど、用途に応じた検索範囲の切り替え機能があります。ただし、挙動にはやや癖があり、検索前には範囲を選択できません。通常は「All」モードで実行され、検索後にPerplexity側が適切と判断した場合のみ、Sources切り替えタブが表示されます。(使っていて少々戸惑いました)
Copilot機能
質問を投げると、Copilotが関連するフォローアップの質問や深掘りの提案を自動表示します。こちらが気づいていなかった視点で深みを出すのに役立ちます。
ファイル要約(PDF/画像)
PDFや画像ファイルの内容を要約できます。重要なポイントを短時間で把握でき、資料作成や文献管理が効率化できます。
Thread(スレッド)機能
複数の質問と回答を「スレッド」としてまとめて管理できます。調査プロジェクト単位で履歴を整理したいときや、テーマごとの情報を体系的にまとめたいときに便利です。後から見返す場合にも、スレッド単位で検索・参照ができます。
共有機能(URL共有)
スレッドや回答はURLで共有可能です。社内やクライアントに共有したいとき、回答の出典付きURLをそのまま送るだけでOK。相手はPerplexityのアカウントがなくても確認できます。
利用可能デバイス
Webブラウザ/iOS・Androidのモバイルアプリ/Chrome拡張機能と幅広いデバイスで利用できます。PC作業中はブラウザ版、移動中はスマホアプリ、Webサイト閲覧中はChrome拡張機能から情報を取得する、といった形で場所を選ばず活用できます。
その他の高度な機能(Pro版向け)
Pro版ではさらに、API連携による自動化や、画像+テキストなど異なる種類の情報を組み合わせたマルチモーダルな質問対応など、より高度な使い方も可能です。独自の業務ツールと組み合わせた活用や、複雑な情報整理にも対応できる柔軟性があります。
料金プランと他AIとのコスト比較
無料でもある程度の機能を使えますが、Proプラン(月額20ドル)ではより高度な機能が使えます。以下、無料プランとProプランの違いと、ChatGPT Plus(月額20ドル)を比較します。
■無料プラン
以下の機能が利用可能です。
- 基本的な検索機能(Web検索ベースの回答取得)
- 出典リンクの表示(回答内にソースURLを明示)
- Copilot機能の一部利用(簡易的なナビゲーション提案が可能)
- スレッド管理と共有機能(制限はあるが利用可能)
- PDFファイルの要約(1日あたりの利用制限あり)
日常的な簡易リサーチや出典確認を含む情報収集であれば、無料プランでも十分です。
■Proプラン(月額20ドル)で解放される機能
以下の機能が拡張・解放されます。
- より強力なAIモデル(GPT-4o、Claude 3 Opusなど)を選択可能
- Copilot機能のフル利用(より高度なナビゲーションやフォローアップ提案)
- ファイル要約機能の利用制限解除(PDF/画像/ドキュメントの大量処理が可能)
- 画像+テキストによるマルチモーダルな質問対応
- APIアクセス(外部ツールとの連携)
- 利用速度・応答優先度の向上(混雑時でも優先的に利用可能)
業務用途で本格的にリサーチや資料作成をするなら、Proプランです。無料プランだとファイル要約の上限に意外と早く達するため、日常的に活用する人はPro化した方がストレスがありません。
■ChatGPT Plus(月額20ドル)との機能・価格比較
比較項目 | Perplexity Pro(月額20ドル) | ChatGPT Plus(月額20ドル) |
使用AIモデル | Sonar/Claude Sonnet 4/GPT-4.1/Gemini 2.5 Pro など | GPT-4o/03/04-mini/GPT-4.1/GPT-4.5 など |
出典リンクの表示 | 常時表示 | Webブラウズ時のみ一部表示 |
検索範囲の絞り込み | あり(Academic/YouTube/Redditなど) | なし |
ファイル要約(PDF/画像) | 可能 | 可能 |
API利用 | 可能 | 別途OpenAI API契約が必要 |
日本語精度/表現力 | 高いが簡潔め | 高い(自然な文章生成が強み) |
マルチモーダル対応 | あり(Pro版限定) |
あり(GPT-4o標準対応) |
ChatGPTとPerplexityの併用はアリか?
ChatGPTを日常的に活用している方でも、リサーチや情報収集の場面ではPerplexityを併用するのがいいでしょう。両者は得意分野が異なるので、適材適所で使い分けるイメージです。
Perplexity=調査段階の「拾い出し」用フロントエンドAI
筆者は、情報収集の初動ではPerplexityから入ることが多いです。
- STEP1:出典付きで最新情報や専門データを横断的に拾って「ファクトの土台」を作る
- STEP2:Academic/ニュース/ブログ等の検索範囲を絞って抜け漏れや偏りを防ぐ(ただし、Perplexity側が適切と判断した場合のみ、検索後にSources切り替えタブが表示されます。表示されないことも多いです)
ChatGPT=言語生成・表現力に優れたアウトプット担当
集めた事実やデータをどう解釈し、どのような流れや構造で整理するかといった言語設計や表現力はChatGPTが優れています。
- STEP1:Perplexityで集めた情報をChatGPTに食わせる
- STEP2:「5分で読めるレポート用にまとめて」と依頼
部内会議用/経営層向け/顧客提案用など、目的に応じたトーンや粒度の調整もChatGPTなら柔軟に対応できます。ここはPerplexity単体では補いきれない領域です。
ちなみに筆者は、6個(ChatGPT、Gemini、Perplexity、Felo、Genspark、Ideogram)の生成AIをデスクトップのタブに固定して、いつでも使える状態にしています。Perplexityで調査+ChatGPTで仮説の壁打ち+Ideogramで画像生成する…といった具合に複数を同時に動かしています。
ただし、すべて課金するのはさすがにきついので、課金しているのはChatGPTのみです。
Perplexityの弱点と今後の進化
Perplexityも万能ではなく、弱点や課題もあります。
日本語の精度
かなり自然な文章を生成できるようになってきてはいるものの、英語に比べると精度やニュアンス表現で差を感じます。固有名詞の扱いや文脈解釈だと、多少不自然な訳や誤解が混ざるケースも。
特定業界の知識
ニュースや学術情報には強い一方で、ニッチな業界や特定の専門領域になると、情報のカバレッジや深さにばらつきが出ることがあります。特に日本国内のローカルな業界情報は、ソース自体がWeb上に少ない場合もあり、期待した深度の情報が出てこないケースもあります。
その場合は、ChatGPT側で専門記事やホワイトペーパーを読み込ませるなど、別の補完手段を併用するのがいいでしょう。
クリエイティブ生成力
事実ベースの要約や整理は得意ですが、独自の視点やクリエイティブな文章はChatGPTなどの生成AIに一歩劣ります。Perplexity=素材収集/ChatGPT=表現作成という役割分担が現状は有効で、この差はしばらく残ると思います。
検索+AIの“次の常識”になるか?
今後、「検索」と「生成」は融合が進み、情報の取得から価値ある知見の形成までがひと続きのプロセスとなっていくはずです。これから問われるのは、AIをどう使うかという操作レベルの話ではなく、リサーチ・分析・アウトプットといった業務プロセスそのものをAIを前提に再構築する設計力だと思います。
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