AI検索の登場で変化した『これまでのSEOの定石』Marcus Tober氏に独占インタビュー【SMX Advance Europe】

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2025年9月30日から10月1日にかけてドイツのベルリンで開催されたSMX Advanced Europe 2025に弊社の執行役員・鈴木謙一が参加してきました。

※SMX Advanced Europe 2025とは検索マーケター向けのカンファレンスで、SEOとPPCの専門家による最新の戦略について学べるイベントです。

そこでSemrush / Searchmetrics創設者のマーカス・トバー氏に、AI検索の登場で変化するSEOについてお話しを伺えたので本記事にまとめます。

※本記事は、当社のYouTube動画「AI検索の登場で変わった『これまでのSEOの定石』Marcus Tober氏に独占インタビュー【SMX Advance Europe】」の内容を基に作成されています。

動画で見たい方はこちら▼

動画の出演者

平
Marcus Tober(マーカス・トバー)氏
Semrush エンタープライズソリューション部門責任者 / Searchmetrics 創設者
鈴木謙一
鈴木 謙一
株式会社Faber Company 執行役員(Search Advocate)
Google 公式の検索セントラル ヘルプ コミュニティのダイヤモンド プロダクト エキスパート(日本第1号)

鈴木:本日はお越しいただきありがとうございます。AI検索についていくつか質問させてください。

Marcus Tober:もちろんです

変化する生成AI、どう対応すべき?

鈴木:
AI検索についていくつか質問したいんですけど、今すごく話題になっていますよね?AI検索が登場してから、SEMrushでかなりのデータを分析されたと伺っています。この半年で一番大きな変化は何だったと思われますか?

Marcus Tober:
正直、分からないですね。

一番大きな変化は、これまでのSEOの定石、例えば「良いコンテンツを作れば流入が増える」というルールが、ある意味ひっくり返されたことだと思います。つまりサイトは情報源として使われるものの、以前ほどのトラフィックは得られにくいんです。ここで発想を切り替えないといけないと思います。

最初はソースが表示されずライト(要約)だけだったので曖昧でしたが、今は少し透明性が増して、AIモードでも同じように複雑さが見えてきて、状況が大きく変わったのが分かります。

鈴木:
私たちも気づいているように、ChatGPTやAIモードの回答は時間とともに変わっていきますよね。その変化に適応するために、どんな視点を持つべきでしょうか?

Marcus Tober:
いい質問ですね。同じプロンプトを続けて入力しても、出てくる結果が少しずつ変わりますよね。順位が変わったり、ブランドが言及されたりされなかったり。私たちもそういった変動を分析しました。

たとえば、ChatGPTが一番安定していて、60〜65%くらいの頻度で同じブランドを繰り返し言及していました。つまり頻繁に名前が出るブランドは重要度が高く、出てこない場合は関連性が低いと見なされる可能性が高いんです。

ただ、LLM(大規模言語モデル)の仕組みを少しでも知っていれば分かるように、基本は「予測」に基づいて動いているので、信頼性の高いソースに多く登場するほど繰り返し言及されやすい。それでもやっぱり予測モデルなので、不確実性は大きいんですよね。

※関連記事:
LLMOとは? マーケに活かす5つの対策をわかりやすく解説
Google検索「AIモード」の機能・使い方、SEOへの影響

「ソース」と「ブランドの言及」違いと重要性は?

鈴木:
セッションの中で「ソース」と「ブランドの言及」について説明されていましたが、この2つの違いと、どちらが重要なのかを教えていただけますか?

Marcus Tober:
ブランドとして「言及」される場合は、LLMがリストの中で結果としてあなたを表示しているという意味になります。一方で「ソース」として使われる場合は、小さなラベルやページ下部のリンクに過ぎず、LLMがあなたのコンテンツを参考にしただけ、という扱いなんです。

本当に成果を出したいなら、ブランドとして言及されることを狙うべきですね。その方が可視性が高まります。ソースだけだと、結局はLLMにコンテンツを提供するだけで、ほとんど見返りはないんです。

どうすれば自分たちがLLMに言及される?

鈴木:
ではどうしたら自分たちがLLMに言及されるでしょうか?

Marcus Tober:
どんなソースが使われているかを理解すると、たとえばテック分野ではG2 ProやCapterra、Gartnerのような信頼性があって中立的なソースが多いんです。そこに掲載されていれば、LLMにも登場する可能性が高まります。ファッション分野であれば、また別のソースを見なければなりません。それはRedditやファッション系ブログ、あるいは雑誌かもしれません。つまりそうした媒体と協力して、ベンダーやブランドとして名前を載せてもらうことで、LLMにも登場する可能性が出てくるわけです。

変化するソースの種類、その傾向は?

鈴木:
言及されるソースの種類も変化していると思いますが、どんな傾向が見えてきていますか?

Marcus Tober:
私が気づいたのは、初期のChatGPTは特定のソースばかりを頻繁に使っていたことです。例えば自動車業界を例に挙げてみましょう。新車や中古車を買う場合、Kelley Blue BookやUS Newsのような有名な大手情報サイトばかりを参照していました。

ところが今はもっと多様化しています。この数か月で、LLMはより幅広い種類のソースを使うように学習してきました。おっしゃる通り、ソースは常に変わり続けています。だからこそ、現在どのソースが使われているのかを常に把握して、そこに登場できるようにしておく必要があります。要するに、ソースの多様性は確実に広がっているということです。

「SEO」と「AI SEO」の違いは?

鈴木:
では最後の質問です。AI SEOは従来のSEOの上に成り立っていますが、完全に同じではありませんよね。AI SEOについて議論する際に、特に注目すべき違いは何でしょうか?

Marcus Tober:
一番大きな違いは、従来のSEOでは自分のウェブサイトをしっかり整えることが基本だった点です。ページスピード、良質なコンテンツ、被リンクの獲得などですね。そうしてGoogleでの順位を勝ち取り、トラフィックを得るという仕組みでした。

※関連記事:外部リンクとは?被リンク・内部リンクとの違いやSEO効果・対策方法

一方でAI SEOでは、自分のサイトそのものの関連性はそれほど重視されません。これまでGoogleからの流入を収益化していた人も、LLMでは違う戦い方をしなければなりません。つまり、他のサイト上で存在感を持つ必要があるんです。

AI SEOでは、よく使われているソースと積極的に連携することが求められます。どちらかというとPRに近く、自分のサイトを強化するというより、他のサイトに露出していくイメージですね。そうすることで初めて、AI SEOで成果を上げられるようになります。

鈴木:
なるほど、ありがとうございます。

Marcus Tober:
いえ、とんでもないです。

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