2024年12月12日に、スイス・チューリッヒのGoogleオフィスで開催されたSearch Central Live Zurichに参加しました。この記事では、合計5つのセッションのハイライトをレポートします。
Google検索の現状、AIの将来
1つ目のセッションのテーマは、Google検索の重要なアップデートと将来の方向性、そしてAIの役割の増大についてです。
セッションハイライト
- Googleは、コアアップデート、スパムアップデート、ポリシーの変更など、検索に頻繁にアップデートを加えている。
- 検索リレーションズチームは、Search ConsoleチームやGoogleトレンドチームとも連携している。このコラボレーションには、Googleトレンドを使用してユーザーの検索行動や周期的なトレンドを理解することが含まれる。
- 以前はSGEと呼ばれていたAI Overviewは、より多くの国に拡大している。
- Googleは、AIシステムがコンテンツをどのように扱うかについて、サイト所有者に選択肢を与える方法を模索している。これには、Googleの拡張robots.txtディレクティブに関する議論も含まれる。
- サイト所有者は、どのコンテンツをAIのトレーニングに使用するのかを意識的に決定する必要があり、すべてをブロックすることもできる。
- Search Consoleに、過去24時間のデータを提供するパフォーマンスレポートのアップデートを公開した。
- ページエクスペリエンスとコアウェブバイタルはランキング要素として使用されているが、過度に注力しても、サイトが1位にランクされることはない。
- サイトの高速化は重要だが、主要なランキング要因ではない。
- AIは、検索においてより一般的になるだろう。
- 検索結果と生成AIを組み合わせたRetrieval Augmented Generation (RAG)は、より重要になっている。
- 検索結果は、RAGの基礎となるものであり、SEOは依然として重要。
- より頻繁で高速なコアアップデートが予想される。
- 構造化データとrobots.txtは、特にAIにおいて、ますます重要になるだろう。
構造化データの最新アップデート
2つ目のセッションのテーマは、構造化データの最新情報です。特に、商品バリエーションに焦点を当てました。
セッションハイライト
- Googleは今年、schema.orgを通じて拡張商品バリエーションのサポートを開始し、販売者が商品のすべてのバリエーションを指定できるようにした。
- これにより、検索エンジンは、異なるサイズや色のシャツなど、商品バリエーション間の関係を理解することができる。
- 商品グループは、販売者フィードに加えて、色、サイズ、年齢、性別などでバリエーションを指定するために使用できる。
- ユーザーが「Polo blue shirt(ポロ ブルーシャツ)」のような特定のバリエーションを検索すると、システムは検索結果に適切なバリエーションを一致させて表示することができる。
- schema.orgで商品バリエーションを使用する販売者は、商品のクリック数の増加を期待できる。
- AggregateOfferデータ型(合計データ)から商品グループバリエーションに切り替えることで、自然検索結果からのトラフィックが増加した事例がある。
- この機能は、ユーザーが探している特定の商品を見つけやすくすることで、可視性と売上を向上させることができる。
Search ConsoleとGoogle アナリティクス
3つ目のセッションでは、Search ConsoleとGoogle アナリティクスで入手できるデータの違いが説明されました。
セッションハイライト
- Google Search Consoleは、Google検索内で起こることを対象にする。具体的には、ウェブサイトが検索結果でどのように表示されたかをレポートする。
・Search Consoleは、ウェブサイトへのリンクが検索結果に表示される回数であるインプレッション、ユーザーがGoogle検索からウェブサイトへのリンクをクリックする回数であるクリック、検索結果におけるサイトの平均掲載順位などの指標を追跡する。 - Googleアナリティクスは、ユーザーがウェブサイトにアクセスした後に起こることを対象にする。
・Googleアナリティクスは、ユーザーがウェブサイトで費やす時間であるユーザーセッション、ユーザーがウェブサイトで行うあらゆる行動であるイベント、ユーザー数などの指標を追跡する(ただし、実際にはこれはCookieによって測定される)。 - 理論的には、Search Consoleからのクリック数とGoogleアナリティクスからのセッション数は似ているはずだが、多くの場合そうではない。
- GoogleアナリティクスとSearch Consoleのデータ間の差異は、データ収集と処理方法の違いにより一般的。
Search ConsoleとGoogle アナリティクスのデータの差異を起こす理由には次のようなものがある。
- 異なる指標: Googleアナリティクスはセッションを使用するのに対し、Search Consoleはクリックを使用する。
- Cookie/タグのブロック: GoogleアナリティクスはCookieとトラッキングタグに依存しており、ユーザーはこれらをブロックすることができる。これは、Google検索データに基づくSearch Consoleには影響しない。
- 実装の問題: Googleアナリティクスのデータの質は、ウェブサイトにどれだけ適切に実装されているかに依存するのに対し、Search ConsoleのデータはGoogleによって管理されている。
- タイムゾーンの違い: Googleアナリティクスではユーザーがタイムゾーンを選択できるが、Search Consoleはカリフォルニア時間を使用する。
- アトリビューションモデル: Googleアナリティクスは様々なアトリビューションモデルを使用するのに対し、Search Consoleはクリックを単にクリックと見なす。
- 正規URL: Search Consoleは正規URLに基づいてデータを報告するのに対し、Googleアナリティクスはタグが付いているすべてのページを報告する。
- 検索タイプの内訳: Search Consoleは、画像、動画、ニュースなどの検索タイプを分類しており、これはGoogleアナリティクスのレポート方法とは異なる。
- HTML以外のページ: Search Consoleは、Googleアナリティクスとは異なり、デフォルトでHTML以外のページも追跡する。
- ボットトラフィック: Googleアナリティクスは、デフォルトで既知のボットトラフィックを除外するが、Search Consoleは除外しない場合がある。
Q&A
Q&Aセッションでは、参加者が投稿した質問にGoogle社員が回答しました。
セッションハイライト
- APIでのクロールされたHTML: Google Search Console APIでクロールされたHTMLのデータを提供する予定はない。テンプレートベースのページの代替手段として、スポットチェックを提案する。
- URLプレフィックスプロパティ: 末尾のスラッシュのないURLプレフィックスプロパティをSearch Consoleに作成することはできない。そのようなビューが必要な場合は、パフォーマンスデータをエクスポートし、外部ツールを使用して分析することを提案する。
- AIファーストのコンテンツ作成: 特に人間による十分なレビューなしに、コンテンツ作成にAIを過度に依存することは推奨しない。コンテンツにおいて、AIが人間同士のインタラクションに取って代わるべきではない。質と関連性を確保せずにAI生成コンテンツに大きく依存するウェブサイトは、課題と潜在的な逆効果に直面すると予想する。
- コンテンツにおける人間の要素: 人間同士のインタラクションに取って代わるものはなく、コンテンツは人間のために人間によって作成されるべきである。AIは支援することができるが、唯一のクリエイターであってはならない。
- 低品質なコンテンツの影響: 低品質なAI生成コンテンツを公開すると、Googleによるサイトの全体的な認識に悪影響を及ぼし、サイト上の他のページのランキングや可視性に影響を与える可能性がある。
- Merchant Centerフィード vs. 構造化データ: Merchant Centerフィードと構造化データの両方を使用することが推奨される。Merchant Centerは商品情報の中核となり、構造化データは追加の詳細情報を補足することができる。
- AIクローラーのブロック: AIクローラーをブロックしても通常のクロールには影響しないはずだが、実装が正しくない場合(例:すべてのクローラーをブロックする)、問題が発生する可能性がある。
- クロール中のリスクの軽減: Googlebotのクロールと実際の評価の違いに関連するリスクを軽減するには、重要な情報ができるだけ早く利用できるようにし、レンダリング中に正規化などの重要なシグナルを変更する可能性のある変更を加えないようにする。
- サイトの評判: Googleのサイト評判の評価は、馴染みのない、あるいは一見無関係に見えるトピックに進出する場合でも、ファーストパーティのコンテンツにまで及ぶ。
Q&A with Danny Sullivan
最後のセッションでは、Google Search Liaisonのダニー・サリバン氏が参加者からの質問者に米国からオンラインで回答しました。
セッションハイライト
- コンテンツ品質の区別: Googleのアルゴリズムは、「SEO」と「非SEO」のコンテンツを区別しようとするのではなく、役立つ、信頼できる、満足のいくコンテンツを特定することに重点を置いている。説明的なタイトルを付けるなど、基本的なSEOが適用されたコンテンツは、役立つものであれば問題ない。
- 新しいコンテンツ領域への拡大: まったく異なるコンテンツの場合は、明確なアイデンティティと目的を確立するために、別のサイトを作成することが適切な場合がある。サイトが新しいコンテンツを試すのは自然なこと。これらの追加が大きく異なる場合は、別のサイトを作成した方がいい。
- キーワード調査: コンテンツは、キーワードの人気度だけでなく、真の関心と専門知識に基づいて作成されるべき。単に人気があるというだけで、真の関心がないものについて書くことは推奨されない。
- Googleのため vs. ユーザーのため: Googleのために行うことは、人々のために行うことと一致するべき。Googleがいなければ行わないような行動は、そもそも行うべきではない。
- サイトシグナル: Googleは、サイトの主要なコンテンツに基づいて時間の経過とともに開発されたサイトシグナルを使用して、サイト全体のコンテンツの質を評価する。
- ページごとの評価: Googleは、あるページの質をサイト上の他のすべてのページに転送するのではなく、ページごとにコンテンツを評価する。
- サードパーティコンテンツ: Googleは、評判の良いサイトのサードパーティコンテンツが、ホストサイトの評判のために上位にランク付けされ、ユーザーの混乱を招く可能性があるという問題に対処している。
- 検索のパーソナライズ: パーソナライズが検索結果に与える影響は最小限であり、主に特定の機能に影響し、検索結果ページを劇的に変更することはない。
- コアアップデート: Googleは、検索結果を継続的に改善するために、頻繁なコアアップデート、場合によっては1日に複数回のコアアップデートを目指している。
セッションハイライトは以上です。
Googleトレンドについてダニエルに直撃インタビュー
イベント終了後に、Googleトレンドをテーマにダニエル・ワイズバーグ氏にインタビューしました。ワイズバーグ氏がYouTubeに公開したGoogleトレンド チュートリアル動画シリーズの内容の発展版なので、まずそちらのチュートリアル動画をひととおり見てからの視聴をおすすめします。
おまけ
ここはおまけです。
ちょうどクリスマスシーズンだったので、チューリッヒはクリスマス一色でした。街のあちこちのほか中央駅の構内でもクリスマスマーケットが開かれていました。