Googleトレンドとは、そのキーワードが検索された回数の推移を調べることができるツールです。過去5年間から過去1時間まで、対象期間を区切って調べることができるほか、特によく検索された地域や関連トピック、直近の急上昇キーワードを調べることもできます。
そんなGoogle トレンドの強みや、季節性のあるコンテンツについて、弊社取締役の鈴木謙一が、GoogleのDaniel Waisberg(ダニエル・ワイズバーグ)氏に直接インタビューしました。
※この動画は、2024年12月に公開されたものです。
Googleトレンドの強み
鈴木:今日は、チューリッヒのGoogleオフィスにお邪魔して、ダニエルにGoogleトレンドについてインタビューします。こんにちは、ダニエル。今日は来てくれてありがとうございます。
Daniel Waisberg:こちらこそ、招待してくれてありがとうございます。
鈴木:さて、あなたが最近YouTubeで公開した、Googleトレンドの活用方法を説明した一連の動画を見たのですが、非常にわかりやすく、参考になりました。まだ見ていない方にはぜひお勧めしたいと思っています。
今日は、そのGoogleトレンドについて、いくつか質問をさせてください。
Daniel Waisberg:はい、もちろんです。
鈴木:多くのキーワード調査ツールがある中で、Googleトレンドは他のツールと比べてどのような強みがありますか?
Daniel Waisberg:そうですね、Googleトレンドには非常に面白い特徴がいくつかあります。
まず第一に、GoogleトレンドはGoogle検索のプロダクトなので、非常に多くのデータを持っています。扱っているデータの規模がとにかく大きいのです。Google検索で人々が何を検索するのかについて、大規模なサンプルを持っているので、トレンドや検索パターンがどのように変化しているかも見ることができます。
また、Googleトレンドは非常に新鮮なデータを持っています。数時間前のデータに沿って更新しているので、ほぼリアルタイムでトレンドの変化を追うことができるのです。このような点がGoogleトレンドの素晴らしい部分だと思います。
加えて人々は、Google検索で非常にプライベートな質問をすることもあります。それらを通して、人々が何を考えているかを垣間見ることができます。
Googleトレンドは他のツールにはない非常にユニークなデータを持っており、何がトレンドになっているのか、どのトピックが伸びていてどのトピックが下がっているのかを理解するのに役立ちます。そしてそれによって、関連するトピックを見つけたり、ユーザーの役に立つオリジナルコンテンツを発信したりできるという点で、優れたツールなのです。
鈴木:Googleトレンドはデータの量や新鮮さの面で優れているということですね。
Daniel Waisberg:はい。
鈴木:そして現在のトレンドを特定するのにも役に立つということですね。
Daniel Waisberg:その通りです。
Googleトレンドが特に役立つ業界は?
鈴木:次の質問ですが、Googleトレンドは特にどのような業界で役立つのでしょうか?
Daniel Waisberg:いくつかありますが、非常に興味深いのは、研究機関や政府で役に立っているという点です。
政府は、国全体のトレンドを把握するために、Googleトレンドを使うことが多いようです。例えば、特定の病気が広がっている場合、人々が症状を検索する様子を都市ごとに観察 することで、その病気が時間とともにどのように拡大しているのかを把握することができるのです。これは非常に興味深いテーマです。
大学でも、研究テーマを分析するためにGoogleトレンドが使われています。社会で何が起こっているのか、どう変化しているのかを理解するために使用されていますが、これも非常に興味深いと思います。
もう一つの分野は、ニュース企業です。例えば選挙の際に、Googleトレンドを使うことで、人々がその選挙で何を重要視しているのかを把握することができます。オリンピックの時であれば、人々が試合に対してどのように反応しているのかを知るために使われます。
もちろん、SEOの分野でもGoogleトレンドは使われていますよね。キーワード調査やGoogle検索でのトレンドの結果をもとに、多くのSEO担当者がサイトを最適化しています。
鈴木:eコマースはどうですか?eコマースではどのようにGoogleトレンドをうまく活用できるでしょうか?
Daniel Waisberg:eコマースに関しては、非常に興味深い使い方があると思います。
例えば、全国に店舗を持つ大規模なスーパーマーケットがあるとします。Googleトレンドを用いることで、都市ごとに異なるブランドのデオドラントが検索されているとわかれば、その地域で検索されている商品の在庫を、その都市の店舗に多めにストックしておくことができます。人々が何を検索しているかを把握し、需要を理解することで、在庫管理を適切に行うことができるのです。
需要を予測するという点で、eコマースサイトにとってトレンドを理解することは非常に重要だと思います。
鈴木:つまり、地理的な観点からトレンドを分析できるのも、Googleトレンドの強みだということですね。
「関連トピック」と「関連検索」の違い
鈴木:次の質問ですが、Googleトレンドはキーワードを入力すると、「関連トピック」と「関連検索」が表示されます。これらは非常に似ているように見えますが、これらの違いはなんですか?
Daniel Waisberg:「関連検索」の一例として、特定のトピックについて記事を書く場合で考えてみましょう。ユーザーは、そのトピックを検索する際に、類似したトピックや、全く違う特定のトピックを検索しています。特定のブランドを検索する人々が他のブランドも検索していることはよくありますよね。それらが、今後どこに事業展開すべきかのヒントになることがあります。関連検索は、確かにもとの検索クエリと非常に似ていることが多いですが、時々「あ、これだ!」という驚きをもたらす別のトピックが出てくるのです。
トレンドになっている理由が明確でない場合はどうしたらいい?
鈴木:多くの検索キーワードには、繰り返すトレンドや季節性のトレンドが見られますよね。たとえば、クリスマスツリーの検索は毎年11月末に急増しますが、これはクリスマスが近づいているからです。
しかし、トピックによっては、トレンドになった理由が明らかでない場合もあります。そんな時はどうすれば良いでしょうか?
Daniel Waisberg:非常に難しいですね(笑)。トレンドの理由や関係性を見つけるのは、時にとても難しくなります。
先ほど私たちが話した「関連検索」は一つの方法だと思います。例えば、特定のブランドに関連するトピックで大きな変化があった場合は、その変化が起こった時に何があったのかをオンラインで調査すると良いでしょう。
あるいは、何か特定の製品に関する検索が、毎年6月に急増していたとします。なぜ毎年そうなっているのか理由がわからない場合、6月のGoogleニュースを調べて、何が起こっているのかを見てみることをおすすめします。
結局のところ、リサーチと考察が重要だと思います。
鈴木:過去の関連検索や関連トピックを見ることはできるのですか?
Daniel Waisberg:はい、Googleトレンドの「Explore(調査)」ページで、期間を設定すれば、その特定の期間内のデータはすべて確認することができます。
鈴木:スパイクがおきた時期を限定することで、その原因を特定することができるかもしれないということですね。
Daniel Waisberg:その通りです。
季節コンテンツをどれくらい前に準備すべきでしょうか?
鈴木:次の質問はコンテンツカレンダーについてです。季節性のコンテンツを作成する際、Googleがコンテンツを発見、インデックス、評価するのに必要な時間を考慮すると、どれくらい前にコンテンツを準備すべきでしょうか?どのくらい前が理想でしょうか?
Daniel Waisberg:様々な要因があるので、明確に答えるのは難しいですね。
ご存じのように、Googleがすぐにクロールするサイトがある一方で、他の小さなサイトの場合は、Googleが新しいコンテンツを訪れる機会を持つために、より多くの時間が必要になることがあります。どれくらいはやくクロールされるかはサイトによるので、一概に答えることはできません。
しかし、一つの方法として、サーチコンソールで自社サイトの特定のページが、最後にいつGoogleにクロールされたのかを確認することはできます。
鈴木:基準として考えるということですか?
Daniel Waisberg:基準値として特定の日数を設定するのは難しいと思いますが、有用な方法の一つとしては、Google Search Consoleの統計情報レポートを見て、Googleがサイトにどれくらいの頻度で来ているかを確認する方法があります。これによって、Googleがウェブサイトをクロールしてインデックスするのにどのくらいの時間がかかるかをある程度把握・予測することができます。
YouTubeの「人気キーワードを見つける」機能について
鈴木:ダニエルが出演していたGoogleトレンドのチュートリアル動画の一つで、Googleトレンドの隠れた機能を共有していましたね。Googleトレンドは、YouTubeで人気のあるキーワードを見つけたい時にも利用できるということですが、この機能について、動画を見逃したかもしれない方々のために、改めて説明していただけますか?
Daniel Waisberg:YouTubeはとても規模の大きい検索エンジンで、多くの人が利用しています。具体的な人数は知りませんが、相当な数の人が利用していることは確かです。そして多くの人が、YouTubeでコンテンツを作成することを生業にしているので、YouTubeでコンテンツを発信していくことは非常に重要です。また、ウェブサイトのコンテンツを作成する際に動画を用意することも、とても有用だと思います。
ただ興味深いことに、特定の検索キーワードについて、Google検索とYouTubeのトレンドを比較すると、全く異なる結果が得られます。動画コンテンツを作成することは非常に難しい作業で、とても時間がかかりますが、YouTube向けにコンテンツを作成する際には、Google検索のデータがそのままYouTubeでも通用すると思い込まず、YouTubeにおけるニーズやトレンドを改めて理解することが重要です。そうすることで、YouTubeのオーディエンスやサイト訪問者にとって興味深いコンテンツを作成できます。
鈴木:ユーチューバーはGoogleトレンドを利用すべきですね。
Googleトレンドを最大限に活用するためのアドバイス
鈴木:最後の質問です。Googleトレンドを最大限に活用するための実用的なアドバイスを共有していただけますか?
Daniel Waisberg:私は個人的に、Googleトレンドを見て興味深いことをチェックするのがとても好きなのですが、ビジネスオーナーやSEO担当者として、Googleトレンドを定期的に確認し、トピックやトレンドがどう変化しているかを把握することは非常に有用だと思います。
例えば、ファッション業界にいると仮定しましょう。Googleトレンドでは、「検索用語」と「トピック」を調べることができます。「トピック」はキーワードのクラスター(集合体)ですが、これらはとても重要な指標です。
例えば、ファッションに関するトピックを常に監視したい場合、「関連検索」を見て、ファッションのトピック内でどんなクエリがトレンドになっているか、どんなクエリが変化しているのか、どんなクエリが伸びていてどんなクエリが下がっているのかを確認することで、ファッション業界で何が起こっているのかを把握することができます。
鈴木:ちなみに、YouTubeチュートリアル動画の第2シーズンを作成する予定はありますか?
Daniel Waisberg:ありますが、それについてはこれ以上は申し上げられません(笑)。ただ、Googleトレンドの使用に関する、より高度なコンテンツを作りたいと思っています。
鈴木:楽しみにしています。今日は参加していただきありがとうございました。お話しできて良かったです。
Daniel Waisberg:こちらこそありがとうございます。
#SEO #SEO対策 #海外SEO #Googleトレンド #季節コンテンツ