リライトでセッション数10倍も! BtoB企業がオウンドメディアを長期運用する価値と継続するコツとは?
SATORI株式会社 2022.08.31 2022/12/23- 既存記事をリライトし、半年でセッション数10倍
- 運用ノウハウの社内蓄積で6年以上メディアを継続運用
- オウンドメディアの記事をメルマガやホワイトペーパーにも活用
「あなたのマーケティング活動を一歩先へ」というミッションを掲げ、純国産MAツール「SATORI」を開発・運営・販売されているSATORI株式会社。
企業のマーケティング担当者向けにお役立ち情報を発信するオウンドメディア「SATORIマーケティングブログ」を2015年から運用開始され、6年以上運用を続けられています。「キーワードを取り尽くした」「運用を続けたのに問い合わせや受注に繋がらず止めてしまった」という声も多いBtoB業界のオウンドメディア。それでもオウンドメディアを更新し続ける意義とは?マーケティング部の豊川さま、小畑さまに伺いました。
更新ストップで流入激減。痛感した更新し続ける大切さ
―前回、事例取材にご協力いただいた(2015年)時は、弊社がコンテンツ制作を受託し、納品していましたが、現在は内製化されています。今の制作体制を教えてください。
小畑さま(以下敬称略):オウンドメディアを担当している社内メンバーはメイン担当の私とサポート担当の計2名です。それ以外に外部のディレクターさんとライターさん3名ほどにお手伝いいただきながら、一緒にコンテンツを制作しています。
豊川さま(以下敬称略):実はこの体制になるまでには紆余曲折がありました。2015~17年の約2年間、御社に記事制作をご支援いただき、ある程度コンテンツの数が溜まったと判断。完全内製化を目指し、満を持して自社内でオウンドメディアプロジェクトを始動しました。
ところが、当時は専任メンバーをつけなかったため、兼任する他の業務に追われ、新規記事の投稿や既存記事のリライトはつい後回しになっていきました。
「新規記事の作成は難しくても、せめて既存記事のリライトしよう」と当初目標よりやや低い目標を設定し直したものの約1年後にプロジェクトは自然解散。コンテンツは手つかずの状態となり、検索順位は下落、自然検索流入はみるみるうちに減っていきました。
このままでは新規記事の公開どころか、サイトへのアクセス数の大幅な減少になりかねないと焦りを感じ始めました。そこで御社に再度お声がけし、サポートいただきながらオウンドメディア運営を再強化。その後、縁あって2020年5月に小畑が入社し、今の体制になりました。
―小畑さんは前職でオウンドメディアの運営経験があったのですか?
小畑:はい、前職ではセキュリティ系の会社でオウンドメディアを運営していました。当時制作した記事は未だに検索順位1位や2位をキープしているものもあります。その経験から、オウンドメディア運営をミッションの1つとして入社しました。
前職ではGoogleの無料ツールなどを使ってキーワード調査やレポーティングをしていました。1つ1つのキーワードのサジェストを見たり、競合サイトの記事を調査したりしていると、記事のテーマ決めやメディアの効果測定をするレポート作成に、かなり時間と労力がかかりました。
でも、ミエルカならキーワード調査だけでなく、競合との順位状況も一目で確認することができるので、前職時の何倍も効率的に記事作成ができるようになっています。
また、レポートを一括でダウンロードできるのも便利ですね。メディアの概況をチーム全体に共有したり、記事の検索順位状況からリライトの参考にしたりしています。
―貴社は6年以上オウンドメディアを運用されているので、記事数もかなりあると思います。記事はどのように制作されていますか?
豊川:現在オウンドメディアには200くらい記事があります。今は新規記事作成と既存記事リライトを半々くらいの割合で行っています。
新規記事を制作するときは、もちろんミエルカを使って調査します。それに加えて、最近話題になっているキーワードや、自分たちがマーケティング担当者として知りたいことなども記事にできないか?といったこともヒントにし、検討するようにしています。
弊社の記事は企業のマーケティング担当者の方が想定読者です。つまり、私たちSATORIの“マーケティング担当者”も読者の1人。読者として記事を読んだときに、「面白い!」「役に立った!」と思えるような情報を発信できるよう、ツールやテクニックだけに頼り過ぎないことも大切なのかなと思います。
既存記事のリライトでセッション数が半年で10倍の記事も!
―既存記事のリライトはどんな方法で進められているのでしょうか?
小畑:まず始めにどの記事をリライトするのか決める必要があります。主に2つの方法で対象記事を決定しています。
1つ目は、ミエルカの登録キーワード順位モニタリング機能を使って検索順位が大きく下落しているもの、2つ目は、競合他社と検索順位を比較し負け続けているもの、です。
対象記事が決まれば、あとは記事の内容や構成を調査していきます。検索上位表示されている競合他社の記事やミエルカのアウトプットなどをチェックし、より分かりやすい構成に変更したり、不足している情報を付け足したりします。
―リライトしたことで、成果が出た記事はありますか?
小畑:1番印象に残っているのは「マーケティングファネル」というキーワードの記事です。元の記事は2016年ごろの公開でした。そこから、ほとんど更新しておらず2020年8月頃は順位も20位圏外。リライト直前の2020年9月は月間84セッションしかありませんでした。
その後、10月にリライト記事を公開すると、メキメキとセッション数が増え、現在(2022年11月時点)は10倍以上のセッションを生んでいます。検索順位も今では1位まで上昇しました。
豊川:オウンドメディアの運用を始めると、つい「新規記事を毎月◯本公開しなければ!」とか「常に新しいネタを発信し続けなければ・・・」となってしまいがちです。もちろん新規記事を出すことは重要なのですが、それと同じくらい“リライト=記事を最新の状態に更新し続けること”も大切だと考えます。
オウンドメディアの目的はあくまで「ユーザーの役に立つ情報を発信すること」であり、新規記事の公開本数がゴールではありません。常に最新情報をお届けできるよう記事を更新し続けること、情報の鮮度を保ち続けることが、重要ではないでしょうか。
一石三鳥!?オウンドメディア記事の活用術
―オウンドメディアのコンバージョン(CV)はどのように設定されていますか?
小畑:①メルマガ登録②資料ダウンロード③自社セミナーへの申込 の3つをCVとして設定しています。
オウンドメディアを見てくれているユーザーの中には、「今すぐ『SATORI』を使いたい」というユーザー(=ホット顧客)もいれば、「まだ情報収集しているだけで、すぐには使わない」というユーザー(=見込み顧客)もいると思います。
そこで、記事の内容に合わせて異なるCVを設置しています。また、過去に閲覧した記事やクリックしたURLに応じて、ポップアップやバナーの表示を出し分けられるのは自社MAツール「SATORI」の強みでもあります。※SATORIが解説するMAツールの基礎知識はこちらのリンクから読むことができます。
ホット顧客向け記事を多く読んでいるユーザーはMAへの関心がかなり高まっている状態と考えられます。
そこで、自社セミナーへの申し込みを訴求するバナーやポップアップを、見込み顧客向け記事を多く読んでいるユーザーには、マーケティングの基礎知識お役立ち情報の資料ダウンロードを促すものを表示させるようにしています。
こうしたMAの機能をフル活用できるのもオウンドメディアに記事が豊富にあるからこそだと思います。
豊川:また、いくつかの記事をまとめてダウンロード資料にしたり、メルマガとして配信したりしています。
オウンドメディアで読める記事なら、まとめ資料にしてもあまりダウンロードされないのでは?と思われるかもしれませんが、意外と需要があります。
紙に印刷して読みたいという方や、社内で資料として共有したいという方がダウンロードされているようです。こうしたダウンロードコンテンツは重要なリード獲得経路の1つになっています。
また、メルマガでは最新記事が公開されたときや、人気記事をまとめたメールを配信しています。記事が豊富にあることで、BtoB企業のマーケ担当者によくある悩み「メルマガを配信したいけどネタが無い」問題とはお陰様で無縁です。
オウンドメディアの記事は単に記事としてメディアに公開するだけでなく、ダウンロード資料やメルマガなど様々な施策に転用していく。一石二鳥以上に活用してこそコンテンツの費用対効果は高まっていくと思います。
―最後に今後のオウンドメディアの展望についてお聞かせいただけますか?
小畑:現状は、PV数などの明確な数値目標は決めていません。過去に一度停滞してしまった経験も踏まえて、いかに更新を止めないか?情報鮮度を保ち続けられるか?ということをまずは第一の目標にしています。読者の皆様のためのより良いコンテンツを作り続けていきたいと考えています。
―貴重なお話、ありがとうございました!
企業プロフィール
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- 社名
- SATORI株式会社
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- 事業内容
- マーケティングオートメーションツールの開発・販売
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- 担当
- マーケティング部 豊川 瑠子さま、小畑 理加湖さま