
2026年7月7日、当社・Faber Company(ファベルカンパニー)は日本発SEOカンファレンス「Japan SEO Conference 2026」を開催しました。昨年の第1回は申し込みが3,200名を超え、当日はオンラインで約1,700名、リアル会場では約200名の方にご参加いただきました。
第2回となる今年はリアル開催のみに振り切り、日本のSEOイベントとしては過去最大級となる500名規模へ拡大。
申し込みは600名を超え、当日は400〜500名の方が会場に集まりました。7つのスポンサーブースが会場に並んだほか、5月にはGEO、6月にはエージェンティックコマースをテーマにしたプレイベントも実施し、3か月にわたりAI時代のマーケティングの在り方について議論を重ねてきました。
そんな今年のテーマは「AI時代の情報探索・購買体験の進化と深化」です。本記事では、その口火を切ったOpening Keynote(オープニング キーノート)の様子を、当日のスライドを交えてご紹介します。

Opening Keynoteに登壇いただいたのは、株式会社JADEの長山一石氏と、株式会社リクルートの酒井亮平氏。
モデレーターは当社の執行役員(Search Advocate)・鈴木謙一です。支援側と事業者側という異なる立場から、この1年で検索とSEOに何が起きたのか、企業はAIとどう向き合うべきか語っていただきました。
Opening KeynoteはJADE長山氏・リクルート酒井氏が登壇

リクルート 酒井 亮平 氏、JADE 長山 一石 氏
長山氏は元Googleで、おびただしい数のスパム対策やアウトリーチを行った後にJADEを創業。支援者の立場で、独自のフレームワークとデータ分析にもとづくコンサルティングを提供しています。また、同社ではそれらの業務を支えるデータマーケティング SaaS 「Amethyst (アメジスト)」も展開しています。
酒井氏は、リクルートにて事業横断のSEOチームのリーダーを務めています。支援会社5年、事業会社13年、計18年にわたりSEOに携わっているエキスパート。大規模Webサイトの検索流入戦略など、経験に基づく知見を発信されていることで有名な方です。
LLMO、GEOの現在地とは?
1つ目のトピックは「LLMO、GEOの現在地」。まずは当社の鈴木謙一からGEO(別名:LLMO/AIO/AI検索対策)、そしてSEOの現状を解説させていただきました。一部の海外マーケターから「SEO is DEAD(SEOは死んだ)」と言われて約1年。GEO/LLMOや、SEOはどうなったのでしょうか。

※関連記事:
・GEOとは? AI検索時代のSEO、4つのGEO対策
・LLMOとは? マーケに活かす5つの対策
鈴木は2026年4月にカナダのトロント、そして6月にはオーストラリアのシドニーで開催されたGoogle主催のイベント「Search Central Live」に参加しています。そこで語られたGoogleからのメッセージを一部紹介しました。
GoogleのWebmaster Trends Analyst であるGary Illyes(ゲイリー・イリーズ)氏は、「SEO IS NOT DEAD」と述べました。そして、GEOだろうがLLMOだろうが、特別な対策は必要ないと発言しています。

また、同じくGoogleのDanny Sullivan(ダニー・サリバン)氏は、「Good SEO is good “GEO”」すなわち、優れたSEOは優れたGEOであると発表したそうです。では、優れたSEOとは何でしょうか。それは、ロボットではなく人間のために素晴らしいコンテンツをつくることです。これは兼ねてからGoogleが繰り返し明示していること。
…とはいうものの、AI検索へのニーズの高まりもあり、Googleは2026年5月にAI検索のためのベストプラクティスを発表しました。ここでも同様に、SEOがAI検索に有効であると示されています。

Google検索の生成A機能は、コアとなる検索ランキングと品質システムに根差しているため、SEOのベストプラクティスは引き続き有効です。
引用:Google Search Central
このページ内で、GoogleはチャンキングやLLMS.txtなど、巷で流布されているLLMO対策については必要がないとも明言しています。
一方で、ツールの面では変化がありました。Google Search Consoleに生成AIのパフォーマンスレポートが導入されたのです。※まだ、ごく一部のアカウントにのみ表示されています。

また、GA4のデフォルトチャネルグループには「AI Assistant」が追加され、AI検索経由の流入数を可視化しやすくなりました。
では、長山氏と酒井氏はこの変化をどのように捉えているのでしょうか。
過去1年で起こった変化

長山氏は、「SEO vs GEO/LLMO」という対立構造はひと段落し、「AI駆動マーケティングをどのように行うのか」にフェーズが変わりつつあると述べます。
この対立構造をおさらいすると、SEO側は「GEO/LLMOなどは不要で、SEOをしっかりと行うことが重要」というものでした。先ほど鈴木が紹介したGoogle社のイベント発表とも合致します。しかし長山氏は、Googleが言っていることはすべて正しいが「言われていない部分もある」と語りました。
LLMO側の主張である「SEOは終わった。これからはLLMO」は下記スライドのようなデータを根拠とされています。AI Overviews(Google検索結果上部のAIによる概要)によって自然検索のクリックが減少し、AI検索の利用者は驚くべきスピードで増加しているというデータです。

長山氏は「(数字は正しいが)SEOが終わったというのはズレている」と強調しました。
この数値については、リクルートの酒井氏も肌感覚は同じだと言います。検索流入が減少した記事系コンテンツも、Bingのウェブマスターツールではインプレッションが増加しているなど、コンテンツの価値が失われたわけではない、と。
ただ、変化は確実に起きています。大きくはAI Overviewsの露出の増加と、その参照元としてのYouTubeの躍進。参照元のYouTubeコンテンツが、必ずしも検索結果の上位ではないことも変化を感じるデータです。

AI Overviewsは変化しています。表示内容に引用されるURLのうち、検索結果10位以内のページが占める割合は、2025年7月の76%➡︎2026年2月には38%へと大きく減少しました。これは、AI Overviewsが検索結果の上位ページだけでなく、より幅広いコンテンツを参照するようになったことを示しており、クエリファンアウト(Query Fan-out=情報源、検索範囲)も広がっていると考えられます。

要するに、単一クエリを追っていればよい、あるいは検索結果からのクリックだけ追っていればよいという状況ではなくなったという現状を言い当てています。
ただ、「それでもSEOは終わっていない」と長山氏は繰り返しました。それは、SEOが変わり続けてきた歴史があるからです。被リンク偏重からコンテンツ、そしてユーザー体験、エンティティ。検索者の期待に応えるため、Googleそのものが変化し続け、それに呼応するようにSEOも変わり続けてきました。
※関連記事:2026年最新のSEO対策・基本とは?

では、SEOは“今”どう変わってきているのか──。
長山氏は「カスタマージャーニー重視」と「AI駆動マーケテイング」という2つのキーワードを提示しました。

単一キーワードを追うのではなく、カスタマージャーニーのなかで見込み顧客はどのように情報収集を行うのか。そしてそのなかでAI検索はどのような役割を果たすのか。JADE社ではこれらを探求するために、検索ジャーニーを整理して各フェーズごとのプロンプトを定義。それにもとづいた診断と打ち手の提案を行っているとのことです。
計測可能性とAI
長山氏はSEOとGEO/LLMOの大きな違いとして、「計測可能性」についても触れました。

SEOはインプレッションや順位、クリックなどをツールで計測できます。しかし、AIがプラットフォーム上でどのような検索を行ったのかについては、マーケティング担当者には見えてきません。そのため、「AIに向けたブランディング」と「AIが行う検索への対応」という新たな論点が生まれてきています。
では、これらの変化を事業会社側ではどのように捉えているのでしょうか。リクルートの酒井氏から、同社の取り組み内容について発表いただきました。
リクルートとしてGEO/LLMOへ、どう取り組んでいるか

リクルートではGEO/LLMOのモニタリング環境構築と、パイロット検証を進めていると発表されました。
AI経由の流入を可視化し、従来のSEO観点での検索流入に対して、AI流入がどれくらいを占めているかという割合を計測しているほか、対象プロンプトでの表示状況も継続的にモニタリングしているとのことです。
また、定量データの分析にとどまらず、ユーザーインタビューを通じて定性的な視点からもユーザー行動を把握するなど、多角的な検証を行っている点が印象的でした。

さらにリクルートは「施策の効果」の検証にも取り組み始めています。以下は、その検証例です。
- SEO施策の底上げ
- 対策キーワードでの上位表示を狙う
- 画面構造の見直し
- AIが画面の上部と下部を重視するという仮説にもとづき、情報の記載箇所などレイアウトを工夫する
- サブクエリ対策
- クエリファンアウトを分析し、サブクエリでの上位表示を狙う
この取り組みはまだ始めたばかりですが、数か月後ぐらいにはなんらかの結果が出るだろうとのことでした。
(※ぜひまた次回、これらの検証結果をFaber Companyのイベントでご共有いただきたいです☺️)。
このような取り組みを推進している同社ですが、GEO/LLMOは明確な事業貢献価値を換算できないという大きな課題にぶつかっていると、酒井氏は語ります。

いくら投資すればどれくらい成果がでるのかが算出できないため、検証フェーズから投資フェーズに移行しにくいと指摘しました。これは、先ほどの長山氏の計測可能性の問題と共通します。
こうした課題は多くの企業が直面していますが、酒井氏は今後、「AI検索経由でブランドに接触したユーザー」が施策によってどのように変化するのかなど、さまざまな指標から効果を検証していきたいと語りました。
続けて、GEO/LLMOは現時点では検証を継続すべき段階、今リソースを注ぐべきは「SEO×AI活用」であると述べました。
では長山氏、酒井氏、両名はどのようにAIを活用しているのでしょうか。

ここからはAIを活用してどうアウトプットを改善していくか、生産性を向上させるかという話題になりました。
AIを活用したマーケティングのアップデートについて、JADEの長山氏は「ハーネスエンジニアリング」という取り組みを提案しました。
ハーネスとは部品や装備といった意味を持ちますが、AI活用の文脈においてはAIモデルに学習させるデータやルールなどの周辺環境を指します。
長山氏は、ハーネスエンジニアリングを「AIを新入社員として扱うこと」と定義。新入社員に研修やオンボーディングを行うように、AIに対しても、参照すべき情報やデータへのアクセス、必要なスキルや知識を吸収できる環境整備を行うということです。
リクルートの酒井氏は、この長山氏のハーネスの構築論に賛同しつつも、「社内ルールは常にアップデートされる。それをどうAIに反映するのか?」という疑問を投げかけました。

これに対し、長山氏の率いるJADEでは、社内で起こるあらゆることを情報共有アプリ「Notion(ノーション)」に蓄積する習慣がもともとあったと回答しました。各自がオーナーシップを持って、Notionを常に最新の状態に更新しているそうです。JADEでは、AIのために整備するハーネスは4種類あると解説されました。
- データ:GA4やSearchConsole、BigQueryなど
- ツール:社内ツールやサードパーティーツール、MCPなど
- スキル:ワークフローごとに手順をスキルとして定義
- マインドセット:考え方のフレームワーク
長山氏はハーネスエンジニアリングのメリットとして、資産性をあげています。プラットフォームがどんなに変化しても、ハーネスは陳腐化しにくく、別のプラットフォームでも転用が可能ということです。
酒井氏も、長山氏と同様にマーケティング領域でのAI活用を推進しています。

リクルートではマーケティングの自動化が急速に加速していると、酒井氏。
頼もしい一方で、「仕事がなくなるのでは」という懸念も生じてきていると言います。酒井氏は、「70点レベルの仕事であれば、AIによって安価かつ高速に実現できる」と指摘しました。そのため、「そこそこのSEO会社に依頼するくらいなら、自社でAIを活用すればよいではないか」と経営層から問われる場面は、今後ますます増えていくと考えられます。
こうした状況を踏まえ、酒井氏は、現在のAI活用の議論は「業務効率化」に偏りすぎていると問題提起しました。

業務効率化は生存戦略に非ず──。70点レベルのSEOはAIで自動化できる。しかし、それが繰り返されると仕事の品質がシュリンクしていくだけだと酒井氏は警鐘を鳴らします。SEOはそれほど単純なものではありません。酒井氏が提案し挑戦しているのは「付加価値向上型のSEO×AI活用」です。

AIが70点の仕事を高速に行うのならば、人間がさらに50点を足して120点の仕事に昇華する、これが酒井氏の目指すAI活用です。たとえば、今までは作れなかったレベルの関連性を生み出す、さらにそれを今まで手が回らなかったページにも適用するといったことが考えられます。
AIを使って時間を短縮するのではなく、AIを活用して今までのアウトプットをさらに良くする、今まではROIを理由にできなかった施策にも思い切って踏み込む──。そういった気概でAI活用を推進していきたい、酒井氏はそう熱く語りました。
この考え方は、冒頭にあった「仕事がなくなるのではないか」という不安の解消にも繋がります。付加価値によって企業の競争力が上がれば、採用やマーケティング予算を増やす道筋が開け、人手不足の解消や労働環境の改善にもつながるでしょう。「付加価値が未来を拡げる」と、酒井氏は締めくくりました。
そしてOpening Keynote最後は、3名がそれぞれセッションを振り返りました。

鈴木:
「SEOをしっかり行いつつも、AI検索での露出状況などの現状把握が重要である。しかしながら、AI検索は未知数な部分も多い。実験や検証を繰り返しながら取り組みの方針を模索していく。AI活用では、ハーネスエンジニアリングやAIを活用した付加価値向上といった、興味深い観点を共有してもらえた」
長山氏:
「今までできなかったことがAIでできるようになってきた。効果が出れば人間がしっかりと行うといったトライ&エラーも高速でできるようになった。ベストプラクティスが定まっていない状態で、皆が模索しながら取り組むというのは面白い時代だと言える」
酒井氏:
「ハーネスエンジニアリングという言葉が、SEOのイベントで出てきたことがすばらしいと感じた。国内のマーケティング領域では語られることがまだ少ないと感じている。リクルートとしても、この取り組みを推進したい。また成果を共有する機会があればぜひ報告したい」
検索体験は変化し続ける。AIとの共創によるマーケティングのアップデート
「SEO vs GEO/LLMO」という対立軸で語られた昨年から、議論は一段進みました。支援会社側の長山氏は、論点はすでに「AI駆動マーケティングをどう行うか」に移っており、単一クエリやクリック数だけを追う時代ではないと指摘します。
一方で事業会社側の酒井氏も同じ手応えを持ちつつ、計測やROIの不透明さという現実的な壁に向き合いながら、モニタリングと検証を積み重ねています。立場は違っても、SEOを土台に据えたうえでAI活用に踏み出すという方向は共通していました。
そのAI活用とは、業務効率化だけを指すものではありません。長山氏のハーネスエンジニアリング(AIが参照するデータやツール、手順を整備すること)も、酒井氏の付加価値向上型のSEO×AI活用も、AIに任せられる範囲を広げたうえで、人が上乗せする価値を高めるという発想です。
検索体験はこれからも変わり続けます。その変化を待つのではなく、AIと共創しながら自社のマーケティングを更新していく。このセッションが示したのは、そうした“気概”の重要性でした。
引き続き、本イベント「Japan SEO Conference2026」のレポート記事は、ジャンル別(テクニカルSEO・UIUXアクセス解析・コンテンツ・若手SEO er)や、Closing Keynoteなど順次公開いたします。お楽しみに!