Google検索の[ショッピング]タブでの商品リスティングが2020年10月から日本でも無料化されています。ECサイト運営者にとって、無料で掲載できるのは魅力的ですね。Faber Company取締役でGoogleウェブマスターヘルプフォーラムのトップレベルユーザーでもある鈴木謙一が、Googleショッピングの仕組みと無料の出店方法であるGoogleマーチャントセンターを解説します。
☑【2020年10月中に開始】Googleショッピングの掲載がついに日本でも無料化に
※動画の内容は2020年10月、記事の内容は2023年3月時点での情報です。
目次
Googleショッピングへの無料掲載が可能になったワケ
Googleの検索結果画面への商品掲載はもともと無料でしたが、2012年10月にアメリカで、2013年2月には日本を含むその他の国でも有料化されました。 これが再び2020年4月にアメリカで無料化され、続いて2020年10月には日本を含む世界中で無料化されました。理由はコロナでECの需要が増え、実店舗での売上が落ちているビジネスを助けようとGoogleがサポートに乗り出した面もあると見られています。
無料広告はどこに掲載されるの?
無料登録した商品は検索結果画面のどこに掲載されるでしょう。以前は日本ではショッピングタブだけで無料枠が開放されていました。冒頭の動画の中でもそのように紹介していますが、2022年3月現在、そのほかにも無料掲載枠が広がっています。
ショッピングタブ
Googleの検索結果画面「ショッピング」のタブを見てみましょう。最上部のカルーセル(スワイプや矢印のクリックで左右に移動する枠)の商品は有料広告です。「広告」というラベルが付いているので見分けが付きますね。今回ご紹介するのはその下、無料枠での掲載です。
商品によっては、ショッピングナレッジパネル(特定の商品に関する情報を整理して表示する検索ボックス)に商品の詳細や小売店の特典情報、商品レビューなどとともに表示されることもあります。
リッチリザルト
ユーザーが Google検索で特定の商品、販売店、ブランドに関する情報を検索したときに、検索結果の横に表示されます。
Google画像検索
Google 画像検索で商品やブランドを検索すると、「商品」というラベルが付いた画像が表示されることがあります。これは、画像の商品を購入できることを示します。ユーザーが操作すると、画像の下に商品のリッチスニペット(価格、在庫状況、評価、ブランドなど)が表示されます。
Googleレンズ
目の前のものを画像として読み込んで、情報を検索するGoogleのアプリです。「商品」ラベルが購入できる商品であることを示しており、在庫状況などをリッチスニペットにも含めることができます。
なおYouTubeで動画視聴中に、動画の下に直接購入できる商品のリストが表示されることがあります。無料広告の商品への開放はまだ「一部の国でのみ」とのことですが、今後日本でもYouTubeへの無料掲載が可能になるかもしれません。下記の手順で丁寧に商品情報を記載しておくことが鍵になりそうです。
▶参照:Googleマーチャントセンター公式ヘルプ Google で無料商品リスティングが表示される場所
実店舗やGoogleをプラットフォームにして販売もできる!
ユーザーが無料の広告枠から購入できる場所は、自社のECサイトへの誘導だけではありません。Google Mapsで表示されるGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録すれば、実店舗への誘導も可能です。実店舗への誘導をしたい場合は以下を参照してください。
☑︎【初心者向け】Googleマイビジネスの登録方法と活用するメリット
またこのほかにも、Google上でそのままユーザーが商品購入もできます(参考:登録ガイド「Googleで購入」の設定)。まさにGoogleに無料で「出店」しているのと同じ状況ですね。
▶参照:Google Merchant Center(マーチャントセンター)公式ヘルプ
Google Merchant Center に登録する
どんな手順・仕組みで掲載されるの?
どのような手順でGoogleに登録すれば、あなたの商品無料で検索結果に表示できるのでしょう。
1.Googleマーチャントセンターにアカウント登録
Googleマーチャントセンターとは、Googleショッピングに掲載したい商品やECサイトの情報を登録できるサービスです。自分のECサイト、あるいは実店舗やGoogleのどこでユーザーが購入手続きを行えるか選べます。
2.各商品のフィードを作成・アップロード
その商品に関する様々な情報を登録したデータを「フィード」といいます。これを作成し、マーチャントセンター経由でアップロードします。
▶参照:フィードについて|Google Merchant Center(マーチャントセンター)公式ヘルプ
フィードに登録する商品データの属性はたくさんの種類がありますが、ここでは最低限必要なものを中心に紹介します。
- [id]:商品ごとに振り分けられる通し番号
- [title]:商品詳細ページなどリンク先とも一致する商品名
- [link]:商品詳細を記載してあるページ
- [price]:商品価格
- [image_link]:商品詳細ページ上の商品画像へのリンクURL
- [availability]:在庫状況
- [brand]:商品のブランド
メインフィードのほかに補助フィードも設定すると、セール情報も表示させることができます。
▶参照: フィードを作成する仕組み|Google マーチャントセンター公式ヘルプ
3.フィードを連携し、設定画面で無料掲載を有効にする
作成したフィードをマーチャントセンターと連携します。有料広告ならここで「広告キャンペーンを開始」するところですが、ショッピング枠での広告の無料掲載枠は一旦、これで完了です。
無料広告枠でも上位に掲載してもらうには?
Google検索結果のショッピングタブ画面では有料広告枠が上に来ます。商品を登録したからといって必ず掲載されるわけではありません。また広告の種類や掲載期間も出品者が指定できません。コントロールしたければ有料広告を利用する必要があります。 それでも無料でできるだけ検索上位に表示してもらいたいですよね。どうすればいいのでしょうか?
一つ言えるのは「フィードにできるだけ細かく商品データ仕様を記載して登録しておくこと」が重要だということです。登録必須の属性だけでなく、「省略可」となっている属性も数多く用意されています。できるだけ丁寧に細かく記載するとそれだけGoogleがその商品情報を深く知ることができ、表示されやすくなります。
必ずやっておくといいのは、国際取引商品番号(GTIN)があれば[gtin]で登録すること。GTINについて、Googleも「情報が豊富な広告や無料リスティングを表示できるため、ユーザーに商品を見つけてもらいやすくなる」と推奨しています。
▶参照:Google マーチャントセンター公式ヘルプ GTINを調べる
日本の場合、GTINにあたるのはバーコードの下にあるJANコードです。この固有の識別番号があれば、商品の名前が他店と違う表記になっていたとしても、Googleは(たとえば)「この商品はiPhone12miniだ」など、簡単に特定できます。 特に上記の「無料広告はどこに掲載されるの?」で紹介した「ショッピングナレッジパネル」に商品を表示させたい場合、GTINやMPN(商品の製造番号)、ブランドなどを組み合わせて指定する必要があります。
無料広告枠に掲載されたかどうかはわかる?
Googleマーチャントセンターの「概要」ページのパフォーマンスレポートで見ることができます。無料リスティングと無料ローカルリスティングのデータは「パフォーマンス(無料リスティング)」 カードで確認できます。
無料広告で掲載するデメリットは?
有料で広告を出していた人にとっては「無料枠が広がりライバルが増えた」状態ですが、多くの人にとってはうれしいニュースと言えるでしょう。
無料広告を出すときの注意点は?
Googleマーチャントセンターに登録した情報と実際の情報を必ず同期させておきましょう。
- 実際には在庫がないのにGoogleショッピングではあるかのように表示されてしまった
- 送料など追加費用を登録し忘れていて、決済画面で値段がまったく変わってしまった
といった状態では虚偽情報や誤認のもとみなされます。買おうとしたユーザーにとても悪い体験を与えてしまうため、リンク先の自社ECサイトと情報に差異がある場合、その商品はGoogleショッピングには表示自体がされなくなります(ペナルティはありませんが、Googleから修正指示を受ける場合があります)。
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2021年12月21日にリリースした「MIERUCA(ミエルカ)」の新機能「広告競合分析」機能では、ECサイト運営者にとって気になる他のECやモールサイトが広告出稿している商品や価格を確認することが可能です。ぜひ、ご覧ください。
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動画出演者PROFILE
株式会社 Faber Company 取締役 Search Advocate(サーチ・アドボケイト)。「海外SEO情報ブログ」の運営者。正しいSEOをウェブ担当者に習得してもらうことをミッションに掲げている。検索関連のカンファレンス/イベントの取材やセミナーでの講師が Faber Company での主な役割。最近では、海外カンファレンスでの登壇も経験している。海外SEO情報ブログは、日本では、最も有名な SEO をテーマにしたブログの1つ。Google 公式ヘルプコミュニティのプロダクトエキスパートとして認定を受けており、Google 社員とのつながりも深い。