9月15日~17日の3日間に渡り開催された、ミエルカユーザー会『ミエルカweek』。ミエルカweekでは「オーディエンスビルディング」をテーマに、ミエルカユーザーの方々と豪華ゲストの皆様に講演いただきました。今回は2日目の様子をお届けします。
※「オーディエンスビルディング」をさらに詳しく知りたい方は「Content Marketing Institute」のファウンダーであるJoe Pulizzi氏の解説動画もあわせてご覧ください。 ▶1日目のレポートはこちら
▶3日目のレポートはこちら
【目次】
・メディアを成長させるために必要なこと
・ユーザーに頼られるコンテンツを目指して
・心にストンと落ちるコンテンツ 必要なのは高い情報品質
・Instagramのコンテンツのつくり方から売上、コンバージョンへのつなげ方
メディアを成長させるために必要なこと
2日目のトップバッターは株式会社講談社の碓氷早矢手氏と永野優太氏。碓氷氏は「FRaU」「ミモレ」など大人の女性向けのメディア運営を、永野氏は「with online」をご担当されています。 そんなお二人に「メディアを成長させるために必要なこと」と題して、「バズ」を生むだけでなく、「バズった」後にすべきフォローについてお話しいただきました。
ただ、バズるだけじゃない、愛され信頼されるコンテンツを
「100万人に1回喜ばれるよりも、10万人に10回喜ばれたい」。
単純にバズるだけではなく、愛され信頼されるコンテンツであることも重要視しているそうです。 バズを生むコンテンツの制作は、まず今バズっているものは何か?を観察。そこから方程式を見つけ出し、継続してそのコンテンツを制作していくとのこと。そして、バズったら愛されるためのフォローを欠かさないことが大切だといいます。 今回、愛されるための方法としてご紹介いただいたのは3つ。
①文体に個性を出しながら(全ての)リプに反応
②最低限「いいね」する
③コンテンツに対して愛を添えて
①文体に個性を出しながら(全ての)リプに反応
中の人を感じてもらえるような、個性のある文体で全てのリプに返信しているそうです。中の人だからこそ、知っている情報を返信することで「コメントが面白いからコンテンツを見てみよう」→「私もコメントしよ!」という流れが生まれ、コメントが増加。すると、人気コンテンツと認識され、さらに大きなバズに繋がることもあるそうです。 例えば、こちらの動画のコメント欄。
②最低限「いいね」する
リプの他に、「いいね」も欠かさないとのこと。どちらも、地道な作業ですが、読者の方の感想を直接見ることができるので、ファンの方々の深層心理が見え、次回のコンテンツの参考になるそうです。
③コンテンツに対して愛を添えて
大事なことは、「コンテンツをユーザーに手渡しする感覚」だといいます。製作者がコンテンツとユーザーの間に入り、コンテンツに対する愛や想いをユーザーに伝えることで、より愛が伝わるコンテンツになるそう。
愛されるコンテンツ・メディアになるためには、継続してファンの方とコミュニケーションをとり、関係性を構築していくことが最も重要なこととセッションをまとめていただきました。
ユーザーに頼られるコンテンツを目指して
続いてのセッションは、株式会社ベネッセコーポレーションの大沢恭子氏。「ユーザーに頼られるコンテンツを目指して」というタイトルで、2017年から本格展開を開始したペットメディア「いぬのきもちWEBMAGAZINE」「ねこのきもちWEBMAGAZINE」での施策をお話しいただきました。 SEO施策開始から2年半ほどで、検索流入20倍以上を達成されるなど素晴らしい実績を出されているベネッセコーポレーションさま。
しかし、上位表示や競合サイト、Googleのアルゴリズムなどを意識しすぎるあまり、サイトの存在価値を見失いがちになっていたと言います。 そこで、「飼い主さんに日本一頼られるWebサイトでありたい」という目標に立ち返り、信頼されるコンテンツを発信するために実施されている施策を5つご紹介いただきました。
信頼されるコンテンツ発信のための5つの施策
①「検索意図」のさらなる深堀り
②他で得られない情報の洗い出し
③ユーザーの囲い込み
④ユーザーとの継続した関係作り
⑤信頼される情報発信体制
①「検索意図」のさらなる深堀り
月50前後の記事を投稿されているベネッセコーポレーションさまは、すでにサイト内に相当数のコンテンツがあります。しかし、上位表示ができていないものもあり、そうした記事をピックアップし検索意図をさらに深堀り。
既存記事の検索意図をさらに細分化し、リライトと新規記事制作することで、ユーザーの疑問にピンポイントで回答する記事を更新されているそうです。
②他で得られない情報の洗い出し
コンテンツの網羅性に加えて独自性が今後さらに重要になってくると考えておられる大沢氏。そこで、競合サイトでは得られない情報は何か?自社にしか提供できない情報は何か?を徹底的に洗い出し、独自性をより高めているとのことでした。
③ユーザーの囲い込み
「いぬねこのきもちアプリ」というアプリ内で実際の飼い主を対象にアンケートを実施。その結果を元に記事を作成し公開しているそうです。専門用語を使わず、リアルな飼い主さんの言葉が記事になることで、ユーザーと一緒にメディアを作り上げ、共感と信頼を得られるとのことでした。
④ユーザーとの継続した関係作り
ペットを飼おうと検討中の段階から老後までの情報を時系列順に見ることができるコンテンツを現在開発中だそう。辞典のようにいつも手元にあるガイドのような存在を目指し、ユーザーとの継続的な関係構築を目標とされています。
⑤信頼される情報発信体制
飼い主の方が安心して見ることができるサイトを作るべく、監修者ページの充実も図られているとのこと。監修いただいた記事を一覧で表示できるようにするなど、工夫されているそうです。
こうした情報発信を続けられていることで、「犬 介護」というキーワードを狙って制作した記事に、介護が必要な犬の飼い主様からこんなコメントが。
どこか画面の向こうにいる、犬や猫の飼い主さんの暮らしに繋がっていると実感し、素敵な仕事だなと改めて感じられたとセッションを締めくくられました。
心にストンと落ちるコンテンツ必要なのは高い情報品質
3番目にご登壇いただいたのは、クレジットカードに関する情報メディア「ナビナビクレジットカード」責任者の株式会社エイチームフィナジー高殿莉菜氏。
「心にストンと落ちるコンテンツ必要なのは高い情報品質」というタイトルで、高い情報品質を保つためには何が必要なのか?をお話しいただきました。
ナビナビクレジットカードは、クレジットカードに関する情報を扱うメディアのため、情報の正確さや品質がより重要です。
「人は何をもって人の意見を参考にするのか」を考えていたところ、ご自身のネットショッピングの経験から、情報の品質が高いとは「納得できる判断材料が過不足なく揃っている」ことではないかという高殿氏。
そのためには、客観性と信憑性が重要だといいます。客観性と信憑性を高めるための3つの方法をご説明いただきました。
客観性と信憑性を高める3つの方法
①選定基準・評価基準が明示されているか
②実際のところどうなの?が明確化されているか
③信頼できる発信元かどうか
①選定基準・評価基準が明示されているか
おすすめ◯選や人気順、ランキングなどで特に重要なのが選定基準・評価基準。どういう基準で選んでいるのか?何を根拠に評価しているのか?を明示することが大切だそうです。基準や根拠を決める際には共起語やサジェストワードなどからユーザーニーズを深堀りしているとのことです。
②実際のところどうなの?が明確化されているか
実践した結果や実際に使っている人の声を拾って、掲載することも大切だそうです。紹介する商品やサービスにもよりますが、可能な限り実際に使ってみた感想をコンテンツに入れることを心がけているとのことでした。
③信頼できる発信元かどうか
信頼できる発信元であるかを判断してもらうために、2つのポイントがあるそうです。
(1)コンテンツの内容に合った発信元を選び明記する
(2)監修者・執筆者の情報を開示する
発信元は必ずしも有資格者が良いとは限らず、マイルに関する記事ではマイルをたくさん貯めている方、女性目線が重要なコンテンツでは女性の方などコンテンツによって変えているとのことです。
また、監修者・執筆者の方の実績や想いを明示することで、人となりが伝わりユーザーにも安心感を与えることができるそうです。 ナビナビクレジットカードでも客観性と信憑性をより高めていけるよう、引き続き施策を進めていくそうです。
Instagramのコンテンツのつくり方から売上、コンバージョンへのつなげ方
2日目最後のセッションはkeynoteセッション。「インスタグラマー社長」こと株式会社grams艸谷真由氏にご登壇いただきました。 「Instagramのコンテンツのつくり方から売上、コンバージョンへのつなげ方」と題しまして、企業のInstagram活用術についてお話しいただきました。
Instagramを始める前の5つのチェックリスト
①代表的なSNS、Twitter・Facebook・Instagramのそれぞれの特徴を理解していますか?
②Instagramを始める目的はなんですか?
③最低1年はInstagramに注げる時間はありますか?
④Instagramを頑張らなかった場合はどうなりますか?
⑤Instagramで仮に1万フォロワーになったときの理想の状態が想像できますか?
①代表的なSNS、Twitter・Facebook・Instagramのそれぞれの特徴を理解していますか?
InstagramとTwitterの決定的な違いは発信内容の重要性とのこと。特性を理解し、自社に合ったSNSを選択することが大切ですね。
②Instagramを始める目的はなんですか?
これまで行ってきた施策やリソース等を鑑み、数字以外のInstagramを始める目的をしっかりと考える必要があるそうです。
③最低1年はInstagramに注げる時間はありますか?
お客様と繋がるには最初の1年の集中が特に重要とのこと。
④Instagramを頑張らなかった場合はどうなりますか?
Instagramをやらなくても他の方法で補い合える場合、Instagramを始める意味はないかもしれないと艸谷氏。Instagramをやっていないことで、どんな課題があるのかを明確化しましょう。
⑤Instagramで仮に1万フォロワーになったときの理想の状態が想像できますか?
せっかく多くのフォロワーを獲得しても、購買に繋がらなかったり、イベントの集客が出来なかったり・・・。Instagramを始める目的・理想をInstagram運用開始前にしっかりと設計しておく必要があるそうです。
5つのチェックリストをクリアしたら、ようやく運用スタート! Instagramは写真を撮って、投稿するだけと思っている人も多いと思いますが、実はそうではありません。
Instagramは、以下3つを通して考えることが基本だそう。
(1)撮影or画像作成(2)投稿 (3)拡散
投稿で終わらずに、「どう拡散していくか」までを考えるのがInstagram運用の基本だそうです。
選ばれるアカウントになるための3カ条
では、選ばれるアカウントになるためにはどうしたらよいのでしょうか? そのための3カ条がこちら。
①テーマを決める
②コンテンツを作り込む
③世界観の統一(差別化)
それぞれ詳しく解説していただきました。
①テーマを決める
テーマを決めるときのポイントは2つ。
1つ目は相手にgiveし続けられる情報は何か? 2つ目は情報として役立つ、楽しみを与えられるか?
艸谷氏によると「Instagramはワクワクが詰まったSNS」。隙間時間の憩いとしてInstagramを見ている人も多いので、一方通行の情報発信だけでなくワクワクをお届けできるのは何か?を考える必要があるとのことでした。
また、実際にInstagramを見てどんな内容が人気があるのか?や自社でも真似できそうなコンテンツはどういうものか?を探してみるのもおすすめだそうです。
②コンテンツを作り込む
ここでのパターンは2つ。
1つ目は自社の強みから考える。例えば艸谷氏ご自身のアカウントは、「ご自身の強み=ファッション×役立つ情報=お洒落なカフェ」というように、強み×情報で成長させていったとのことでした。
2つ目はターゲットが求めることから考える。自社の商品を購入するお客様が、調べていそうな情報や興味のありそうな話題を発信していくことで、フォロワーの獲得に繋がるそうです。
③世界観の統一(差別化)
艸谷氏が定義する世界観は「見た目×情報の融合」。年代や情報感度に合わせた色味や文字の選択、発信する情報の切り取り方や見せ方をどうするのか?という“見た目と中身”で競合との差別化を図っていくとのことです。
フォロワーにファンになってもらうためにはストーリーズの活用を!
最後に、コンテンツを投稿後、フォロワーをどうファン化させていくのか?についてお話しいただきました。
艸谷氏のおすすめはストーリーズの活用。ストーリーズで会話することで、深く濃く繋がることができ、お客様に情報が届きやすくなるそうです。 Instagramには、Yes/Noスタンプや4択形式などアクション機能がたくさんあるので、そういった機能を使ってフォロワーとコミュニケーションをとることが大切。ストーリーズから届くDMには積極的に返信することも忘れずに、とのことでした。
さらに濃くフォロワーと繋がる方法として紹介されたのが、インスタLive。企画が重要なので、開催前にGiveできる情報は何か?を設計した上で、写真だけでは伝わらない生の情報を伝えてみても良いのでは?と仰っていました。
成功するInstagramとは、撮影→投稿→拡散→フォロワーのファン化のサイクルを続け、価値を与え続けること!
単発の投稿や企画で成果を期待するのではなく、しっかりとした設計や作り込んだ投稿から長く濃くフォロワーと繋がっていくことが、成功するInstagramの鍵とのことで、セッションを締めくくられました。
2日目は「情熱」「継続」「信頼」がキーワードになりそうですね。 2日目にご登壇いただいた皆様、ありがとうございました!
おわり
著者PROFILE
大学卒業後、2019年に新卒第5期として入社。ウェビナー・展示会運営やメルマガ、ミエルカ事例取材・執筆などオンライン/オフラインを問わず幅広い施策を担当。学生時代、毎週30人以上の小学生の作文を添削していた経験から、読みやすい文章とは?について日々模索中。趣味はスポーツ観戦、読書、コロナ自粛をきっかけに韓国ドラマにハマり中。
>Twitterのアカウントは@ta_yumeko