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so.la、Faber Companyグループイン1年― 2025年のSEOを振り返る

更新日: 2025.12.3   公開日:2025.12.02

2024年1月、株式会社so.laがFaber Companyへのグループインを発表してから一年が経過しようとしている。グループ企業としての連携の様子や、激変となった検索エンジン・SEOの状況について、Faber Company代表の古澤暢央がso.la代表・Faber Company上席SEOコンサルタントの辻正浩と、so.laの伊藤壮良にこの一年の動きと2025年のSEOを振り返った。

2025年のAIと検索エンジンの変化

古澤:
so.laのグループインが決定してからほぼ一年経ちました。今日はso.laの事務所を訪ねて、辻さん、伊藤さんと、この一年の動きについて話したいと思います。まずはこの一年の検索エンジンとSEOの変化について、辻さんはどう感じていますか?

辻:
一年前というと、日本の検索結果にはほぼ生成AIがありませんでしたね。それが今では検索結果に生成AIを見ない日はないほどになりました。検索が大きく変化した激動の一年だったと思います。

ただ企業サイトの実際の成果への影響は限定的なままです。ごく一部の用語集のような生成AIと相性が良いコンテンツなど大きな影響を受けたところもありますが、多くのサイトは現段階の数字を見る限り影響はわずかです。

古澤:
そうですね。当社の調査でもトラフィックへの影響は1%未満というサイトが大半です。ただ、業界によっては影響が拡大していますし、今後を考えると重要なものではないでしょうか。

辻:
はい、とても重要です。間違いなく何年後かには生成AIは検索に無くてはならないものになります。生成AIでどのように扱われるかを意識した情報発信が必要になります。でもそれはどのような形になっているのかは私には見当がつきません。当然ですよね。AIの専門家やエンジニアでも1年後のAIがどうなっているのか予想が困難と言われています。

SEOの専門家の私にも数年後のAI検索の姿には自信が持てません。Googleと他AIサービスの方向性が大きく違う中、数年後にGoogleが圧倒的なシェアを維持しているかもわかりませんから大枠すら予想しづらいですよね。そのGoogleは、5年後にはGoogleからウェブサイトにトラフィックを今以上に多く送るようになるとコミットしていますが、今の検索結果を見るとそれがどういう状態なのか皆目検討が付きませんね。

そのような状況でAI検索の未来予想をしていくのは楽しいことです。これから何時間でも話せそうです(笑)ただ、それと企業にサイト改善のアドバイスをすることは話が別です。今の状態を元にAI検索への投資をお客さまにして頂いても、すぐ無意味になってしまうかもしれません。

私はいまは様子見の時だと考えています。もしくは直近の集客に有効な事で、AI検索とも相性が良いことを進めることでしょうか。共通して言えることは、AI検索にしか効かない大きな投資をお客さまに検討いただくタイミングではないということです。

古澤:
そうですね。当社サービスとしても様々な形でAI検索への対応を進めていますが、主に正しく状況を把握するためのツールです。AI検索は現状の把握も難しいですので、そこをサポートして正しく様子見をして、動くべきときに動く判断ができるようにしなくてはなりません。

辻:
この一年、ミエルカSEOも様々なAI検索対応をされていますが、主に様子見を正しく行うに最適な機能と思っています。大きな追加投資なしにそれが出来るのは本当に素晴らしいと思っています。

そして、多くの企業は自社データしか見られません。それでは様子見も難しいとも思います。そこは私達が自社データに留まらない幅広いデータとAI検索の変化を十分に研究した上でお客さまへ伝えていく必要があると思います。

2025年の従来型SEOの変化

古澤:
では、次に生成AI以外のSEOの変化についてはどうでしょう。

辻:
まず一つお話ししたいのは、今年一年SEOに取り組む上でアクセス解析に費やす時間が増えていないようであれば、SEOの方針を間違えていると私は思います。そう言えるくらいSEOにユーザー行動の影響が大きくなりました。

伊藤:
ここは私からお話します。

ユーザー行動の影響は、年に数回行われるGoogleのコアアルゴリズムアップデートでもよく見られます。so.laではいつもコアアルゴリズムアップデート分析をしていますが、今年はこれまでと違う動きがありました。いつもであれば、主に信頼性などを元にサイト単位の評価を計算して、サイト単位で評価を上げたり下げたりする動きが大きいものでした。もちろんその度に微妙に変わりますが、大きな流れとしてその動きがここ数年続いてきました。

それが2025年のコアアップデートでは明らかに違う傾向が見られます。たとえば、大手サイトや公的機関などの信頼されるサイトは多くのコアアップデートでいつも上昇傾向でした。信頼性が高いサイトですから当然の動きですね。

しかし、2025年の3月と6月のコアアップデートでは、そのようなサイトが大きく落ちているのです。この表は3月のコアアップデートの変化ですが、このような規模の公的サイトの下落はいままでほぼ見られませんでした。

このような動きは、他のキーワード群でも多く確認しています。ただ、公的機関・大手サイトだから全て落ちたわけではありません。読者のことを考えて読みやすさなどをしっかり配慮したサイトやページは変わらず高評価のままです。

辻:
Googleは2025年3月のコアアップデートで、今年一年はクリエイターからのコンテンツがより評価されるように取り組むと予告していました。「今回のアップデートでは」と予告することはよく有りましたが「一年」と予告するのは珍しい事です。その予告通りの動きが出ているわけですね。

クリエイターからのコンテンツの重視という言及がされたときは、これまでサイトの価値や信頼性と関係無く、多くのユーザーが評価するURLを評価するための調整、ユーザー行動重視の調整になることが多いです。そして実際、今年一年はそういう動きが顕著に見えています。

ユーザー行動データ自体は約10年前からGoogleは使っていたはずです。ただ今まではそこまで実際の人間の動きは考えなくても大丈夫でした。しかしいよいよ、ユーザーに受け入れられないページは検索結果からも排除されるようになったと実感しています。そしてその考えで行った施策は、大抵上手くいっています。

古澤:
辻さんからは、今年一年様々な機会でこのような見解の詳細とデータを当社コンサル陣に共有してもらい、助かることが多かったです。ミエルカヒートマップはこのSEOを意識したユーザー行動の改善を行う最適なツールですが、その導入数や成功事例もこれまで以上に大きく増えています。

辻:
やはりそうなりますよね。私としてもその場で皆さんのデータや経験を伺って、更に考察を深める事ができて感謝しています。

今年一年、AI検索関連以外の動きは例年に比べて少なかったです。コアアルゴリズムアップデートも1年に3回で終わりそうで、数年ぶりの少なさです。GoogleもAI検索対応に多くのリソースを取られた一年だったのでしょう。

細かい変化は多くありました。アメリカでのUGC優遇の動きが日本に影響をしだしたこととか、YouTubeや各社のショート動画の露出拡大、Google Discoverの変化などが挙げられるでしょうか。

サイトによってはこの細かい変化が大きな影響になっているかもしれません。ただやはり企業サイトの担当者として改めて強く意識するべきことはユーザー行動シグナル影響の拡大です。2026年も、AI関係を中心に色々と変わっていくでしょうね。そのことは最後にまたお話しましょう。

so.laの2025年

古澤:
では、そのような一年間、so.laとしてはどうでしたか。

辻:
AI関係、ユーザ行動関連と検索が大きく変わった一年でしたので、SEOコンサルティングをする側としても変化が続いた一年でした。調査をする対象も増えましたし、新しいお客さまも増えました。今年の頭にはお客さまの合計の検索流入は月間5億前後でしたが、今では6-7億まで増えています。

色々と大変でしたが、今年の頭からso.laに加入してくれたこの伊藤壮良さんが大きな力を発揮してくれたお陰で助かりました。簡単に自己紹介をしてもらえますか。

伊藤:
so.laの伊藤壮良(いとうそら)といいます。いつも名前で驚かれますが偶然の一致です(笑)新卒から数年、大手Web制作会社で制作やSEOに取り組んでいましたが、今年の頭からso.laにジョインして、主にデータ分析や施策提案を担当しています。

辻:
伊藤さんは初めて会ったときからSEOが好きということが強く感じられましたし、基礎知識は十分なほどお持ちでした。ただ実務経験が数年と浅いので即戦力としては考えていませんでした。1~2年と経験を積んでから戦力化出来ればと思っていましたが、あっという間に実力をつけて、いまでは二人三脚で仕事を回せています。

古澤:
この若さでその状態は本当に驚くことです。育成の方針とかはどういう考えだったんですか?

辻:
私が引退した後に長く業界を背負える人を探さねばと思っていましたので、その方法はずっと考えていました。多くのSEO専門家を育ててきた方にも相談しまして、良いSEO専門家になる条件は「SEOが好きでやる気と好奇心がある人なら、あとは良い経験の機会があるかどうか」という結論になりました。

so.laでは主にどこのSEO会社でも対応が難しいような複雑な巨大サイトのサポートをすることが多いので、特に高度な仕事が求められます。そのようなWebサイトのSEOは事例などが直接使えない事が多いんです。そのサイトだけの特殊な要件が多くありますので。成功事例が直接役立たないと言えますが、そのような場合に助けになるのはやはり「経験」しかありません。多種多様な経験を元にじっくり考えた結果、未経験の事にも対応出来るようになるものです。

経験を一番効率的に得られる場所は、お客さまへの提案の場です。すべてのお客さまへの提案に同席して、その提案意図やどう伝えるか、お客さまの反応などをすべて理解してもらう。そこでわからないことは即日で解決してもらう。そういう場を毎週数回繰り返すことで考え方が身につくはず、と思っていました。それを初めて実践してみて、やはり正解だったと思っています。伊藤さんは多くのサイトのSEOの方針などを一人で考えられるようになっていますから。

伊藤:
私も数年とはいえSEOの経験がありましたが、最初は面食らう事ばかりでした。

関わったことがない巨大なWebサイトに、見たこともない膨大なデータ、そして辻さんのSEO提案も今まで考えていたSEOとは全く違うものばかりでカルチャーショックの日々でした。今日は大手ニュースサイト、明日はスタートアップのB2Bサイト、来週は巨大多言語サイト、などSEOの目的や切り口が全く違う仕事ばかりで、最初の数カ月は本当に疲れました(笑)ただそれを毎日経験していると、SEOの考え方がわかってきたように思います。

辻:
新しいサイトやコーナーの提案をするとき、私がざっと見た後で「一時間半でこのサイトの問題点を洗い出して提案ポイントを考えて」とか、無茶な課題をいつも出していましたが、最近では私も気づかなかった問題点や提案の切り口が出てくることも増えて助かっています。

先日、Web担当者Forumで2本の記事寄稿と、同メディア主催イベントで数百人を前に一緒に登壇をしました。内容はほぼ伊藤さんに任せたものでしたが、非常に好評でした。おかげさまで数十の講演の中で、聴講者評価は1位と高評価を得ることができました。

11/6-7で開催されたWeb担当者Forumミーティング2025秋にて so.la 辻と伊藤が登壇

辻:
このような現場同席で濃厚な経験を積んでいくやり方は大きな会社では難しいと思います。私もしっかり教えられるメンバーはあと1~2名しかいないと思っています。来年早々にその採用をして、3~4人体制で日本最高の少数精鋭チームを作っていきたいと思っています。ぜひ日本のSEOを背負っていきたいというSEOが好きでやる気のある人とお会いする機会を作りたいですね。

ぜひ少しでも興味があれば採用募集フォームからエントリーをいただけると嬉しいです。カジュアルにお話するところからはじめましょう。

2025年のFaber Company × so.la

古澤:
さて、では2社の連携の話に移りましょう。辻さんからグループインの意向を固めた連絡をもらったのが2024年11月末ですから一年になります。この一年、Faber Companyとしては想定以上の効果を得ています。辻さんのアドバイスやデータを参考に方針を検討して行う提案で競争力も上がりましたし、メンバーのSEOの知見や意識を大きく伸ばすきっかけにもなっています。

辻さんとしてはどうでしたか?

辻:
一年前、本当によい決断をしたと思っています。

初めての経験でしたので不安が大きかったです。会社のグループインという話はよくありますが、色々と不幸な話もよく聞きます。想定外の問題が多く起きてくるはずと覚悟をしていましたが、すべて杞憂でした。

バックオフィス面などで支援してもらいつつ、so.laは独立したSEO会社として活動を継続する。そしてFaber CompanyのSEO事業のサポートをする形のグループインですが、想定していなかったのはso.laのSEO事業に様々な利益があったことです。

SEOの知見としては誰にも負けない自負がありましたが、私が全く関わらないようなWebサイトのケーススタディや多くの事例、様々な研究結果や海外カンファレンス情報など、これまでは得られなかった知見を多く得ることができました。それはso.laの既存のお客さまにも還元できており、私も非常に誇らしく思っています。

恥ずかしながら、やはり数人で十数社を相手に取り組むSEOでは到達できない所があることを実感しましたし、さすがと思わせられることも多かったです。本当にありがとうございます。

古澤:
それは何よりです。一線を引きつつも仲間としてやっていく上で、良い関係を続ける事を最優先で進めていました。

ここ一年、定例ミーティングでミエルカシリーズの機能開発や、新規提案の方向性、既存顧客のSEO提案のアドバイスを頂いていますが非常に有益な場になっています。どんな業界のどんなサイトの相談をしても経験談やデータが出てくるのには驚きました。

Faber Companyと so.la による定例MTGの様子

また、コンサル陣やミエルカSEOユーザーのサポートをするチーム向けに勉強会を定期開催しています。知識だけではなくSEOの楽しさがわかったと、こちらも大変好評です。私自身も辻さんとは十数年来の付き合いで何十回とSEOの話をしてきましたが、その知見の1割も知れていなかったのだとわかりました(笑)

辻:
顧客情報は出せませんが、グループ企業相手でしか話せない知見は多くあります。Faber Companyの多くの方々にSEOの考え方をお伝えするのは、私が目指す日本の良い形のSEOレベルの向上という面でもプラスになることと考えています。来年以降はもう少しこの機会を増やしたいですね。

古澤:
ぜひお願いします。今後、更に自信を持ってSEOの仕事に取り組めるように、辻さんの力も借りてSEOの考え方から実務まで教育体制を強化していきます。既に日本一のSEOのメンバーが揃っているので、日本一の教育体制を作りたいですね。

Faber Companyでも様々なポジションで仲間を募集しています。当社にご興味もってもらえたら採用サイトからご応募をいただければ嬉しいです。

辻:
また、業界や日本のインターネットへの貢献として、今年10月に20代向けSEO勉強会を行えたことは私にとっては大きな事でした。SEOに取り組む若者向けにしっかりと考え方をお伝えしたいと考えていましたが、これまでのso.laでは難しい事でした。Faber Companyの皆様のご協力で10年来の思いが叶えられたのは本当にありがたいことでした。

参加された方からの感想を見る限り、有意義だったと思います。これも今後、より良い形で定期的に開催できればと考えています。

2025年10月に開催されたU30 SEO勉強会。50名弱の若手SEOerが熱心に聴講

古澤:
今回のグループインは、両社にだけではなく日本のSEOにも有意義なことだったのではないでしょうか。今後その価値を更に高めていきたいですね。

2026年に向けて

古澤:
さて、最後に今後について話しましょう。辻さんは、2026年の検索エンジン、SEOがどのようになっていくと予想していますか?

辻:
今年は大きな変化を迎えた一年でしたが、来年も色々と変化はあると思います。

ざっと挙げると、

  • AI検索が進化を続けつつ徐々に利用者を増やしていく
  • 検索への法規制の動きが日本で本格化する
  • 生成AIによって作られたコンテンツが更に一般化してそれへの対策が増える
  • AI翻訳の精度向上で海外企業が日本の検索結果に攻めてくる例
  • その逆に日本企業が海外の検索結果に攻めていく例も増える

などでしょうか。

ただ、ユーザー行動のスコアの重視は変わらない傾向のはずです。生成AIの普及で簡単に高品質コンテンツを作れるようになってきて、コンテンツの内容だけで評価することは難しくなったはずです。そのコンテンツに人間がどう反応したかでそのコンテンツの価値を測定する動きは今後更に強くなるはずと考えています。

ただ、やはりそれ以外にも複雑な事も増えていきます。企業の効果的でスムーズな情報発信を支えるSEOの役割は更に重要になっていきますので、頑張っていきたいと思います。

古澤:
そうですね。顧客のためにも、SEO業界のためにも両社で出来ることはまだまだあります。今後も両社で力を尽くして進んでいきましょう。

so.la社 新オフィスにて、Faber Company古澤と so.la 辻、伊藤

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