
右・XINOBIX株式会社 代表取締役 長屋智揮
2026年3月12日、株式会社Faber Company(以下、Faber Company)のグループに、長屋智揮氏が代表を務めるXINOBIX株式会社(「シノビクス」と称し、以下「XINOBIX」という)が参画した。
長屋氏は2016年にXINOBIXを創業し、2021年からはオウンドメディアを起点としたコンテンツマーケティングの支援事業に注力。以来、徹底的に成果にコミットするスタイルで、累計100社以上のオウンドメディア支援を手がけてきた。全国70名規模のフルリモート体制を構築し、近年では、独自の「生成AIと共創するコンテンツ制作」の仕組みを追求している。
コンテンツマーケティングのプロである長屋氏が、なぜ「Faber Companyへのグループ入り」という選択をしたのか。そこには、生成AIの普及という地殻変動の中で、日本のコンテンツマーケティングの新たなスタンダードを創り上げたいという野望があった。Faber Company代表の古澤とともに、本件の裏側と今後の連続的M&A戦略について語り合った。
原点は「日本企業の良い商品を世界に広げたい」という思い
古澤:
長屋さんが新卒2年目にXINOBIX株式会社を創業されてから約10年になりますね。この業界に入ったのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
初めは現在とは全く違う事業をされていたそうですね。
長屋:
大学時代にインドで1年ほどインターンをしており、現地でフリーペーパーの創刊に携わりました。その後、新卒で人材系の会社に入社し、1年ほどアフィリエイト広告の運用をしていました。そして社会人2年目に独立し、大学時代の経験を通じて抱いた「日本企業の良い商品をもっと世界に広げたい」という思いのもと、インド人の友人とともに日本企業のインド進出コンサルティング事業として当社を創業したのが始まりです。
社名の「XINOBIX(シノビクス)」も忍者に由来し、グローバルで日本ブランドを伝えるための旗印でした。しかし、当初のコンサル事業は難航してしまい…。そんな時、新卒時代に書いたはてなブログの記事がバズった経験を思い出し、「自分の強みはコンテンツ制作にある」と確信して、2017年からアフィリエイトサイトの運営をスタートしました。
古澤:
ロゴマークには、そんなグローバルな想いと背景があったのですね。私もアフィリエイト出身なので、その「成果への執着心」には直感的に通じるものを感じていました。2021年に現在の業態へ舵を切ったきっかけは何ですか?
長屋:
アフィリエイトサイトを運営していた時代から、「いかに成果にコミットするか」という一点のみを追求する日々を過ごしてきました。当時は起きてから寝るまで、ずっと検索順位と管理画面を見ていましたね(笑)
その後、アフィリエイトサイト事業を譲渡し、成果にコミットするコンテンツマーケティングのコンサルティング・制作支援事業をスタートさせました。それが現在のXINOBIXの原点となっています。

1000枚の付箋で見えた会社のボトルネック
古澤:
Faber Companyとは、2021年に長屋さんが独立された初期から長い間お付き合いさせていただいていましたね。外部パートナーとして数多くのプロジェクトをともにしてきましたが、事業が軌道に乗ってきた2025年の2月頃、当社の副島から「一緒にやりませんか」とグループ入りの打診があった時は、正直どう思われましたか?
長屋:
過去に事業譲渡をした経験もあったので、M&Aを見据えて日頃から財務や組織を整え、安心して評価いただける状態を保つことは意識していました。
ただ、当時は「このまま自社単独でずっとやっていくだろう」という思いが強かったのが本音です。おかげさまで徐々に売上も伸びて、従業員や業務委託パートナーの待遇なども、少しずつではありますが改善できていました。まだまだ自分たちで挑戦したいことがあったので、「正直なところ、どうやって断ろうかな」と考えていました(笑)
古澤:
自分で立ち上げた会社をどこまで大きくできるかというのは、起業家としての勝負ですからね。そこから少し時間を空けて、「本格的に検討しませんか?」と改めてお声がけしたわけですが、心境の変化はありましたか?

長屋:
その後も、さらなる協業の可能性について定期的にご相談をいただき、密にコミュニケーションを取らせてもらいました。そして2025年12月に古澤さんと面談をして、Faber Companyの今後のビジョンを伺い、グループ入りに向けて本格的に検討をスタートしました。その際に古澤さんから「年末年始にぜひ考えてみてください」と宿題を出されたんですよね。年末年始は落ち着いて考える時間が取れる一方で、さまざまな思いが巡る時期です。あれはタイミング的に、ずるい宿題でしたね(笑)
古澤:
日々の業務から離れて考える時間のできる年末年始こそ、経営者が一番深く自社の現在地や真の課題と向き合いますからね(笑)
長屋:
年末年始、ポストイットを1000枚近く使い、自社のボトルネックを徹底的に洗い出したんです。そこで見えたのは、「より総合的な支援を求めるお客さまの獲得」と「そのためのサービス開発」という、次の成長フェーズに向けた課題でした。
足元の業績は成長しており、進行期も順調に進んでいました。一方で、今後さらに成長していくためには、総合的な支援を求めるお客さまに対して、継続的かつ再現性をもって受注できる状態をつくる必要があると感じていました。
年明けの面談でその課題をお伝えした時、古澤さんに「それはFaber Companyが20年かけて培ってきたブランドと営業力で解決できる」と言っていただいて。そこで初めて、ご一緒するリアリティを感じました。その日の日記に「グループ入りするのはありかもしれない」と初めて書いたのを今でも覚えています。自社単独で歩んでいく未来と、グループの一員として新たな挑戦をしていく未来。その2つを思い描いたとき、後者のほうがより大きな可能性とワクワク感があったことが、大きな決め手でした。
決め手は起業家としての「自由」と「再投資」を両立するスキーム
古澤:
長屋さんの探求心の深さも私たちの組織に合っていると感じましたが、何よりXINOBIX社内の業務オペレーションや仕組みを見せてもらった時は、その運用能力の高さに衝撃を受けました。私たちが作り切れていない部分であり、「このチームは日本トップクラスになる」と確信しましたね。
長屋さんが次の成長フェーズを見据えて顧客基盤の拡大で苦労されているのであれば、それは私たちが20年で通ってきた同じ道です。私たちの培ってきたブランド力や営業力と組めば、もっと多くのお客さまに貢献できると強く思いました。
長屋:
ありがとうございます。事業がさらに成長できるかどうかは、グループに入った後のあり方に左右されると過去の事業譲渡の経験から強く感じていたので、その先の姿についてはかなり考えました。
私としては、お客さまにこれまで以上に価値貢献できること、従業員や業務委託パートナーがやりがいを持って、どんな環境にあってもサステナブルに働ける環境を維持できること、そしてFaber Companyにとっても価値あるM&Aになることを重視していました。
何より、Faber Companyが強力な直販力を持ち、お客さまと直接向き合える事業基盤を築いている点は非常に魅力的でした。私たちが最もやりがいを感じるのは、お客さまの成果に本気でコミットし、期待を超える結果で喜んでいただける瞬間にあるので。
組織のフェーズ上、代表である私自身のモチベーションが業績に影響するため、グループ入り後も前向きに楽しく働き続けられるかも重視していました。対話を重ねる中で、私たちの考え方や仕組みに最大限の敬意を払っていただき、それらを尊重した経営を続けられる方向性が見えたことは、大きな安心材料でした。
また、今回のスキームとして、株式を一定程度保有したまま、グループの一員として一緒に成長を目指せる形をご提案いただけたのも、とてもありがたかったです。

私は、短期で事業を育てて売却できるタイプではなく、自分の専門性をもとに会社を少しずつ成長させてきたタイプの人間です。グループに入った後も、そういった姿勢で事業活動をしていくことが見えていたので、今回のグループ入りは「転職」に近い感覚でしたね。
SEO業界で著名な辻正浩さんのso.la社が、Faber Companyにグループ入り後も変わらずご活躍されていると聞いていたことや、ある業界大御所の起業家の方に相談したときにも「Faber Companyなら間違いないだろう」と背中を押していただいたことも大きかったですね。
古澤:
そう言っていただけて嬉しいです。通常、M&Aでは売り手・買い手の間にFA※が入り、条件整理や進行支援を担うことが一般的です。今回は両社による直接交渉でしたが、その役割を補う形で、Faber CompanyのM&A統括責任者である三田が実質的にFAの立場を担いました。長屋さんとしては、こうした進め方を実際どのように感じられましたか。
※FA:Financial Advisor(ファイナンシャル・アドバイザー)の略。M&Aにおける助言や進行サポートを行う。
長屋:
最初にこの体制を聞いた時は正直驚きましたが、ある意味Faber Companyさんらしい誠実な姿勢だなとも感じました。三田さんに「Faber Companyの社員じゃないと思って何でも相談してほしい」と言っていただけたので、率直にご相談することができたと思います。 いつでも即レスをいただき、さまざまな条件面だけでなく、細かい点まで一つひとつ誠実に向き合っていただき、終始リスペクトを持って接してくださりました。
ツール×人が描くAI検索時代のマーケティングとは
古澤:
さて、ここからはAI検索時代における、コンテンツ制作のあり方について伺いたいです。生成AIの普及でコンテンツの価値が問われる中、長屋さんが掲げる「生成AIと共創するコンテンツ制作」の勝ち筋とは何でしょうか。
長屋:
コンテンツ制作の現場においても、生成AIの活用はすでに当たり前のものになっています。これからは生成AIを前提に、いかに本質的な価値を生み出せるかが問われる時代。私たちのコンテンツ制作は「生成AIに代替されるのではなく、むしろAI時代にこそ価値が増す」ものだと確信しています。
100社以上の支援を通して見えたのは、どの企業もダイヤの原石のように、市場に十分届いていない情報資産を持っているということです。生成AIはその情報を広く届けるうえで強力な手段ですが、企業独自の一次情報そのものをつくることはできません。私たちは、その企業固有の一次情報を抽出し、生成AI駆動によって圧倒的な質と量でコンテンツとして発信し、社会とマッチングさせて成果につなげます。そうすることで、企業が本当に伝えたい価値と、それを必要としている人とが、より自然で幸せな形で出会える未来をつくりたいと考えています。これが他社には真似できない、私たち最大の強みです。
今後もAI検索により商品購買は増えていきますし、「生成AIから選ばれる」ための本質は、その領域における「存在感」を高めることだと考えています。そのためにも、生成AI活用により質と量を両立した、コンテンツマーケティングを追求したいと考えています。
古澤:
素晴らしいですね。Faber Companyとしても、今後「AI検索への対応」は最重要課題の一つであり、現在まさに開発に注力している領域です。私たちが長くお付き合いしている既存のお客さまの中にも、Webサイトのトラフィック減少に悩まされ、AI時代に適応したコンテンツを作る仕組みが十分に整っていないケースがあります。そこに長屋さんのチームと一緒にご支援することで、お届けできる価値が飛躍的に増えると期待しています。
長屋:
私たちとしても、Faber Companyが「ミエルカ」という日本を代表するマーケティングツールを提供されている点が非常に面白いと感じています。私どものお客さまでも、とあるマーケティングツールを導入したが、実際の分析やコンテンツ制作まで十分に活かしきれず、結果として解約に至ってしまうケースを見てきました。私たちのコンテンツデリバリー力をプロダクトの中に内蔵していくようなことができれば、お客さまが成果を生むまでの最後の一歩を埋め、より大きな価値貢献ができるはずです。
古澤:
両社のクリエイターやコンサルタントが混ざり合うことで、スキルの標準化や仕組み化も進めていきたいですね。生成AI時代は標準化がしやすくなった一方で、属人的な部分の価値が相対的に上がります。型化しすぎてプレーンになってはいけないので、新しい施策や余白を残しながら挑戦していくことを大事にしていきたいですね。
「事業成長の加速」としての連続的M&A戦略の幕開け
古澤:
それでは最後に今後のビジョンについてお話ししていきたいのですが、長屋さんがFaber Companyのリソースを使って、これから一番に仕掛けたいことは何ですか?
長屋:
私たちが追求してきた「人間×生成AI」のオペレーションを、業界のスタンダードにしていきたいですね。さらに、AI検索に選ばれるためのソリューションをどう事業に転換していくかにも注力したいと考えます。「生成AI時代のコンテンツマーケティングといえばXINOBIX」と言われるような領域を一緒に作っていきたいですね。また、「ミエルカ」というブランド力や上場企業の安心感が加わることで、私たちの採用力も向上すると期待しています。国内最大級のツールと人材の基盤があるからこそ、私たちのビジョンである「企業の情報発信の要になる」が、いよいよ現実味を帯びてきたと感じています。
古澤:
実は今回のグループ入りは、Faber Companyが今後展開していく「連続的なM&A戦略」の重要な第一歩でもあります。今後もWeb制作や広告運用、SNS分野など、当社だけでは満たせなかったお客さまのニーズに迅速にお応えできるよう、強力なチームを次々と迎え入れたいと考えています。
長屋:
これから数年はM&Aがさらに活発になっていくでしょう。その中で、M&Aをゴールではなく事業成長を数倍に加速させる手段と捉える考え方が、もっとポジティブに広まってよいと感じています。自社単独では絶対に成し得ないことを、リーディングカンパニーのリソースを活用することで実現していく。さらに、自分も株主として残った状態で、一緒に成長を目指していく。
グループ入りすることで関係者全員が豊かになるビジョンが見えるのであれば、自社単独にこだわる必要はないのかもしれません。市場環境や起業家自身の人生のフェーズによって、会社に求められる役割は大きく変わっていくものだと思います。それをM&Aによって実現できるのであれば、選択肢として検討してみてもよいのではないでしょうか。
古澤:
最後に、今この瞬間も孤独に戦っている起業家の方々へ。資金調達して自らの力で成長させるのも一つですが、既に基盤がある場所で「時間を買う」という選択は、スピードの速いこの時代において最大の戦略になります。当社のリソースを存分に活用して、日本のマーケティングのスタンダードを自分たちが塗り替えてやる。そんな、野心にあふれるパートナーを探しています。
長屋さん、ここから一緒に日本のSEO業界、さらにこれから求められるGEO/LLMO(AI検索対応)の新しいスタンダードを創っていきましょう!

編集後記:
Faber Companyグループでは、独自の強みを持ち、共にマーケティングの未来を創るパートナー(起業家・企業)を募集しています。事業成長の加速を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。
本件に関するお問い合わせ
株式会社Faber Company M&A担当
E-mail : m_and_a@fabercompany.co.jp






