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検索機能「ChatGPT Search」がアップデートされて、業務でどれだけ使えるか調べてみた

公開日:2025.04.01

リサーチや情報収集にChatGPTを活用するのが当たり前になっていますが、そんな中、検索機能「ChatGPT Search」が大幅にアップデートされました。

「検索速度の向上、地図サービスとの連携、音声検索の追加、無料ユーザーへの提供開始」によって、ChatGPTは業務での使い勝手がどれほど向上したのでしょうか? この記事では、アップデート内容を整理し、どんな業務に役立つのか、そして活用する際のポイントについて解説します。

※ChatGPTのDALL·E3 で生成

ChatGPT Searchとは?

OpenAIが提供する検索機能で、通常のChatGPTと異なり、インターネット上の最新情報をリアルタイムで取得できるのが特徴です。Google検索のようにWebをクロールして情報を集めつつ、AIの要約機能を活用して整理された回答を提供してくれます。

従来のChatGPTは、事前に学習したデータをもとに回答を生成していたため、最新ニュースやリアルタイムの情報検索には不向きでしたが、ChatGPT Searchのおかげで最新情報の取得や専門的なリサーチが可能になり、業務での活用幅が広がりました。

ChatGPT Search のアップデート内容

アップデートでは、検索速度の向上、地図との連携、音声検索の追加、無料ユーザーへの提供開始など、より実用的な改良が加えられました。

機能内容提供開始時期利用可能プラン
検索速度と表示の改善検索結果の表示速度が向上し、情報のレイアウトや読みやすさが改善された2024年10月全ユーザー
地図サービスとの連携強化検索結果に地図情報が統合され、位置情報を活用した検索が可能になった2024年10月全ユーザー
音声検索機能の追加音声入力による検索が可能になり、ハンズフリーでの操作が実現した2024年10月全ユーザー
無料ユーザーへの提供開始有料ユーザー限定だった機能が、無料ユーザーにも開放された2024年12月全ユーザー
「Deep Research機能」の導入AIがWeb上の情報を自動収集・分析し、詳細な調査レポートを作成する2025年2月・Plusプラン(月額20ドル)ユーザーは月10回まで
・Proプラン(月額200ドル)ユーザーは月120回まで
※2025年2月時点

昨年の暮れから徐々に充実してきたChatGPT Search ですが、2025年2月25日、ついに真打ちが登場しました。Proユーザー以外も「Deep Research機能」が使えるようになったのです。これは朗報!

※「詳細なリサーチ」を選択すればDeep Research が使えます(PC、スマホ両方OK)
※無料版は対象外

Deep Research は、Web 上のデータを使用して自律的に多段階リサーチを実行し、包括的なレポートを作成するAI エージェント機能です。o3 推論モデルをベースに、オンラインソースから情報を収集・分析・統合する「リサーチアナリスト」のようなもので、高度で詳細な調査レポートを作成できるようになりました。

5〜10分の調査時間で、2万文字程度のレポートを出してくれます。市場調査など、「手作業でやったら1週間はかかるだろう」という内容で、「頭の回転の早いジュニアコンサルタントが作ったくらい」のクオリティで衝撃を受けるレベルです。引用元、参照文献を明示してあるので、裏取りもカンタンです。 ※Deep Research は調査に数分を要します。

業務でChatGPT Search を活用できるシーン

ChatGPT Search を活用できる業務シーンを想像するだけで、ワクワクしてきますね。具体的に挙げてみましょう。

① 市場調査・競合分析に

  • 競合他社の新製品やマーケ戦略を比較
  • 業界最新トレンドや消費者の関心を調査
  • プレスリリースやニュース記事をまとめて把握
  • SNS上でのブランド評価や消費者のリアルな声を分析
  • 海外市場の動向をチェックし、新規参入の可能性を検討

② B2B営業のリードリサーチに

  • 見込み客の企業情報を素早く収集
  • 買収、提携、新規事業立ち上げなど、重要な経営判断をチェック
  • 公式サイトやSNS投稿を調べ、アプローチ方法を検討
  • ターゲット企業の業界課題や経営方針を把握し、商談の切り口を探る
  • 経営陣の取材記事や登壇イベントの発言を分析し、関心のあるテーマを特定

③ SEO分析に

  • 最新トレンドを把握し、コンテンツ戦略を立案
  • 検索意図の変化を追い、コンテンツの最適化を実施
  • 競合のコンテンツが上位表示されている理由を解析し、改善策を考案
  • Googleのアルゴリズム変更に関する最新情報を追い、SEO戦略に適応
  • 競合サイトの被リンクを分析し、良質なリンク獲得戦略を立案

④ コンテンツマーケティングに

  • 業界トレンドを分析し、記事のネタを発掘
  • 競合のコンテンツを調査し、独自の切り口を検討
  • SNSで話題になっているキーワードを分析し、投稿内容を最適化
  • YouTubeやPodcastで話題のテーマを検索し、新たなコンテンツのヒントを得る
  • 海外の業界ブログやホワイトペーパーをチェックし、国内向けに翻訳・リメイク

⑤ レポート・プレゼン作成に

  • 事業計画やレポート用のデータ収集
  • 業界ニュースを整理し、定例会議で活用
  • 過去のプレゼン資料を分析し、最新情報を反映したアップデート版を作成
  • 社内外のデータを組み合わせ、オリジナルの市場分析レポートを作成
  • 長文の専門資料から重要なポイントを要約し、意思決定に利用

⑥ 営業活動のサポートに

  • クライアント企業の最新ニュースや財務状況を事前にチェック
  • 見込み客の関心に合ったトピックを事前にリサーチ
  • 取引先企業の過去のニュースやプレスリリースをまとめ、商談前の準備を強化
  • 業界ごとの営業成功事例を集め、最適なアプローチ方法を選定
  • 競合企業の営業戦略や導入事例を調査し、差別化ポイントを明確にする

⑦ カスタマーサポートの業務改善に

  • よくある問い合わせを分析し、FAQを作成
  • ユーザーの口コミやフィードバックを検索し、改善点を検討
  • 商品やサービスのマニュアルを自動生成
  • 競合他社のFAQやサポート体制を分析し、自社の対応を改善
  • クレームや低評価の口コミを分析し、改善策をレポート化

⑧ 移動中・ハンズフリー業務に

  • 音声モードで検索し、移動中に会話しつつ情報を取得
  • 出張先で現地の情報を調べ、スムーズに行動
  • 運転中でもハンズフリーで調査し、音声でメモを残す
  • その場で得た情報をメモとして自動保存し、後で整理しやすくする
  • 移動中に業界ニュースや最新トレンドを音声でチェックし、効率的にインプット

⑨ 採用活動に

  • 候補者のSNSや経歴情報を収集し、面接準備をする
  • 業界内での人材動向を調査し、採用戦略を考える
  • 企業の口コミサイトで評判を調べ、採用マーケティングに活かす
  • 競合企業の採用ページや求人情報を調査し、自社の採用施策の参考にする
  • 業界イベントやカンファレンスの登壇者情報を調べ、優秀な人材の発掘につなげる

⑩ 法律・規制調査

  • 業界関連の法改正情報を迅速にチェック
  • 海外の規制動向を検索し、国際ビジネスのリスクを把握
  • 自社の契約書や規約の参考となる情報を収集
  • データ保護規制(GDPRやCCPAなど)の影響を調べ、自社の対応方針を検討
  • 他社の法務関連ニュースや訴訟事例をチェックし、リスク回避の戦略を立てる

上記以外の用途がほしければ、ご自身の業界や職種、課題感に限定して、ChatGPTに用途を提案させるのも一つの方法です。「その発想はなかった!」という活用法が見つかるはずです。

職種によってはもっとマニアックな用途もある

以下のように、特定の領域に絞ってみるアプローチもオススメです。絞れば絞るほど、ChatGPTは具体的な解答をしてくれます。

職種用途
プログラマー☑︎コードのデバッグと最適化
エラーメッセージの詳細や解決方法をリアルタイムで検索し、コードのバグ修正や最適化を行う

☑︎最新の技術情報の収集
新しいフレームワークやライブラリのリリース情報、技術ブログ、フォーラムのディスカッションなどを迅速に取得する
マーケター☑︎キャンペーンアイデアの創出
最新のマーケティングトレンドや成功事例を調査し、自社製品やサービスに適したキャンペーンアイデアを生成する

☑︎ターゲット市場の分析
特定の市場や顧客層に関する最新データや消費者動向を収集し、戦略立案に役立てる
データアナリスト☑︎市場データ・統計の収集と分析
最新の業界データやオープンデータを取得し、レポート作成や意思決定の支援に活用

☑︎アルゴリズムの調査
機械学習モデルの新しいアルゴリズムやデータ解析手法をリサーチし、分析の精度を向上
編集者☑︎トレンドトピックのリサーチ
今話題のトピックやキーワードを調査し、読者の関心を引くテーマを作る

☑︎事実確認と情報の裏付け
引用する情報やデータの正確性を確認するために、最新の統計や公式発表をリアルタイムで調べる
ECサイト運営者☑︎競合商品の価格やレビューのモニタリング
他社のECサイトの価格変動や口コミをチェックし、価格戦略や商品説明の改善に活用

☑︎売上データの分析とキャンペーン最適化
販売データを分析し、トレンドに合わせたプロモーションをリアルタイムで調整
映像・動画クリエイター☑︎最新の映像編集技術や機材の情報収集
トレンドの撮影・編集技法、最新機材の情報をキャッチアップ

☑︎競合の動画コンテンツを分析し、企画に活かす
YouTubeやTikTokの人気動画を分析し、視聴者が求めるコンテンツを企画
人事担当者☑︎求人票の作成
競合他社の求人情報や業界標準の職務記述を調査し、自社の求人票作成に反映させる

☑︎面接質問の準備
応募ポジションに関連する最新の業界トピックやスキル要件を調べ、適切な面接質問を作成する
ジャーナリスト☑︎速報ニュースの追跡
世界中のニュースやSNSから最新の情報を収集し、速報性の高い記事作成に活かす

☑︎インタビュー対象者の背景調査
インタビュー前に、対象者の過去の発言や活動履歴を調べ、深掘りした質問を準備する
教師☑︎教材の作成
最新の教育資料やリソースを収集し、授業内容に合わせた教材を作成する

☑︎学生からの質問への対応
学生からの多岐にわたる質問に対し、迅速かつ正確な回答を提供する

余談ですが、コンテンツ企画と作成を生業にする筆者は、『購買や申込みなどの態度変容につなげるために、既存のコピーやコンテンツ(LP/商品ページ/事例記事/メルマガ/等)の課題を抽出し、それを改善するための具体的なリライト文章を生成するプロンプト』を作って試しているところなのですが、みるみるコンテンツが改善されるのでじつに楽しいです。

オマケ:ChatGPT Searchの検索結果に最適化した改善事例

最後に、海外事例(Go Fish DigitalというアメリカのデジタルPR代理店)を紹介します。
※参考:Go Fish

対策キーワードはGoogle検索で上位表示されていたのですが、近年は「ChatGPT経由での問い合わせ」も増加していたそうです。そこで、自社がChatGPT Searchでどのように表示されるかを調べたところ、自社よりもはるかに競合他社が多いことに気づきました。

競合の情報には、「Notable Clients(著名なクライアント)」 という項目があり、大手企業や有名ブランド(例:XYZ PR Agency – Notable Clients: Google, Nike, Amazon)の名前がリストアップされていることを発見します。一方、Go Fish Digital社には「Notable Clients」が表示されておらず、Go Fish Digital社がどんな企業と取引しているのかがユーザーに分かりにくく、信頼性や権威性が弱く見えてしまう状態でした。

「ChatGPT Searchの結果は、ユーザーが企業の信頼性を判断する重要な要素 になりつつあるのでは?」という仮説のもと、Go Fish Digital社は、ChatGPT Searchが頻繁に引用していた自社のサイト内の記事に「Notable Clients」のリストを追加しました。

やったこと
  • 情報を見つけやすくするために、リスト形式で記載
  • 検索エンジンやAIがデータを認識しやすいように整理
結果
  • 1週間後にはChatGPT Searchに「Notable Clients」が表示されるようになった

ChatGPT Searchに表示される情報は、AIがどこからデータを引っ張ってくるのかを理解し、それに最適化したコンテンツを作成すればコントロールできる可能性があるということを示した事例です。

SEOが長年コンテンツマーケティングの中心でしたが、AI最適化(AIO:AI Optimization)が不可欠になりつつあります。生成AIが検索体験を変える中、GEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)という新たな視点も生まれてきました。

これからは、検索エンジン向けの施策に加え、AIが情報をどう解釈し、提示するかを意識した最適化が求められます。SEOの枠を超えた新たな戦略が必要になるでしょう。

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本記事の著者
中山 順司
中山 順司
コンテンツクリエイター
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