今すぐカスタマージャーニーマップの作り方をマスターしたい方に、ペルソナ設定からの作成手順を丁寧にわかりやすく解説します。例題とテンプレートも用意しました。初めての方が今日・明日、いきなり作ることになっているとしても、これさえ読めば大丈夫。マーケティング施策やCX(カスタマーエクスペリエンス)向上に必要なカスタマージャーニーマッピングができるようになります。マーケティングチームや社内の研修資料としてもぜひお使いください。
【無料テンプレートダウンロードはこちら】※本記事で解説するペルソナ/カスタマージャーニー作成手順でも使用しています。
目次
カスタマージャーニー・マッピングとは?
カスタマージャーニーを描いた図を「カスタマージャーニー・マップ」、描いて見える化するアプローチを「カスタマージャーニー・マッピング」と言います。カスタマージャーニーの基本と概要を学びたい方は、下記を一度お読みになってから、本記事にお戻りいただき、作成を開始しましょう。
☑︎基本編:カスタマージャーニーって何?概念と基本を5分で理解する
さて。作り始める前に、下記の手順を把握してください。
【作り方の手順】
- Step1)ペルソナ設定
- Step2)フェーズ定義
- Step3)ペルソナの行動・心理の書き込み
- Step4)対応施策(接触コンテンツやメディアなど)の書き込み
実践!カスタマージャーニーマップを作ろう
ここからは実際にカスタマージャーニーマップを作る作業を始めていきます。大枠の構成ひな型は下図のようになっていて、手順をナンバーで振りました。
ここからは、理解しやすいBtoCビジネスを想定した架空の事例を元に、作成手順を解説していきます。弊社「Faber Company(ファベルカンパニー)」が生活に関するオウンドメディアと生活用品の商品開発・ネットショップ運営を行っていると仮定してお読みください。
Step1)ペルソナの設定
まずは、ペルソナ設定を行います。最初にゴール(いわゆるコンバージョンや成果)を決めて、ゴールする人がどのような人なのかをイメージしてペルソナシートに書き込んでいきましょう。ペルソナの名前や経歴などのプロフィールや、背景などが思いつかない場合は以下のようなリサーチ方法がおすすめです。
- 実際の購買データを閲覧
- 営業担当、カスタマーセンター担当へのヒアリング
- お問い合わせデータの閲覧
事業によっては、ペルソナを複数(3~5人程度)設定することをおすすめします。
例えば、参考例の「Faber生活」は性別年齢問わず閲覧できるコンテンツや商品を用意しています。複数設定することで、興味関心の異なる消費者プロセスを描くことが可能です。
ペルソナシートに書き込んでいきましょう。項目については、思考や行動、商品への関心が測れるものをアレンジして設定ください。「これを入れなければいけない」などと決まったルールはありません。
Step2)フェーズ定義
次に、カスタマージャーニーマップの横軸となるフェーズ(消費者プロセス)を設定していきます。
事業内容やBtoC/BtoBなどジャンルによって大きく違ってくると思います。
例えば、全く競合がいないビジネスモデルの場合「比較検討」というフェーズは存在しません。フェーズは自社のビジネスに合うものを設定しましょう。初めてで全くイメージが沸かない場合は、以下のフレームワークで相性のよさそうなものを活用し、一部アレンジすることがおすすめです。
フレーム名 | プロセス/フェーズ | 意味 |
---|---|---|
AIDA(アイダ) | Attention(注意) | 製品・サービスの認知段階、まだ詳しく理解していないフェーズ |
Interest(興味) | 製品・サービスの良さを認識させ、興味を持ってもらうフェーズ | |
Desire(欲求) | 製品・サービスを欲しいと思ってもらうフェーズ | |
Action(購買行動) | 製品・サービスを購入・契約してもらうフェーズ | |
AIDMA(アイドマ) | Attention(注意) | 品・サービスの認知段階、まだ詳しく理解していないフェーズ |
Interest(興味) | 製品・サービスの良さを認識させ、興味を持ってもらうフェーズ | |
Desire(欲求) | 製品・サービスを欲しいと思ってもらうフェーズ | |
Memory(記憶) | 製品・サービスの存在や魅力を記憶してもらうフェーズ | |
Action(購買行動) | 製品・サービスを購入・契約してもらうフェーズ | |
AISAS(アイサス) | Attention(注意) | 品・サービスの認知段階、まだ詳しく理解していないフェーズ |
Interest(興味) | 製品・サービスの良さを認識させ、興味を持ってもらうフェーズ | |
Search(検索) | 検索して製品・サービスの評判や他社との違いを調べるフェーズ | |
Action(購買行動) | 製品・サービスに期待を抱いて購入を決断するフェーズ | |
Share(共有) | 製品・サービスを愛用し、使用感を知人にシェアするフェーズ |
コンテンツマーケティングや広告戦略をベースにカスタマージャーニーを設計する場合は「Attention=認知」よりもっと前から設計したいはずです。筆者がよく使うフェーズ「興味関心(その分野に関心がある)」「課題・ニーズ(製品・サービスで解決できる悩みがある)」は認知より前段階を設計したいときに活用できるので参考にしてください。
Step3)行動・心理の書き込み
フェーズ(消費者プロセス)を書き込んだら、フェーズごとの消費者行動や心理を書き込んでいきましょう。
行動・心理を把握するには
顧客を深く理解していないと、行動や心理を表現することが難しいと思います。直接顧客と関わりのない部門で働く人は、以下のようなことを試してください。
- 営業担当など実際に顧客と対峙する人からのヒアリング
- 顧客インタビュー
- カスタマーサポートのデータ閲覧
- ネット掲示板調査
- 検索キーワード分析
コンテンツマーケティングツール「MIERUCA(ミエルカ)」もニーズ調査に役立ちます。新規トピック分析という機能では、インターネット上のコンテンツで言及されている内容、掲示板で相談されているトピックを確認することができます。
Step4)対応施策の書き込み
消費者の行動や心理に合わせて、対応している施策を書き込みます。
今までどのフェーズの見込み顧客に対する施策なのか意識できていなかったことに気づき、フェーズ視点での整理ができるようになります。また、施策を当てることで、消費者の態度変容や期待するべき効果も見える化でき、KPI(施策個別の小さい目標)も立てやすくなります。
カスタマージャーニーマップが出来上がったら
カスタマージャーニーマップは「作って終わり」ではありません。施策の抜け漏れを発見し、不足しているコンテンツを作成したり、不足している施策を企画・実行しましょう。
まずは、TODOリストを作成することから始めます。新しいコンテンツを設置したり、施策を実施したら、カスタマージャーニーマップを更新し、常に最新版を維持するようにしてください。
今後のマーケティング施策は、このカスタマージャーニーマップをベースに、何度も見直しを行っていくことになります。関わるすべての部門・メンバーと共有して、共通意識を持っておくと、施策を進めやすくなります。
まずは実行中のマーケティング施策を配置するところから始めてみる
初めてのカスタマージャーニー・マッピングはうまくできましたでしょうか?作ってみたものの「しっくりこない」と感じるかも知れません。何度か作り直していくと、少しずつイメージに近いものが出来上がるようになると思います。
まずは、現在行っているマーケティング施策をマップ上に配置してみる、それくらいの意識で始めると良いでしょう。追加と修正を繰り返し、役立つカスタマージャーニーマップになるまで、調整していきましょう。