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ファーストパーティーデータの収集方法やサードパーティーデータとの違い

更新日:2024.10.21 公開日:2024.10.16
ファーストパーティーデータの収集方法やサードパーティーデータとの違い

新規顧客を獲得する広告コストが上昇し続ける中で、すでに自社で獲得しているファーストパーティーデータをどのように活かしていくかが、マーケティングの費用対効果を上げる上で重要な戦略の一つとなってきています。

ファーストパーティーデータとは、企業が自社サイトやアプリなどを通じて直接収集して、保有しているデータのことです。また、サードパーティーCookie規制の流れもあり、サードパーティーデータと比較して、低コストで集めやすいため、ファーストパーティーデータの価値はますます高まっています。

この記事では、ファーストパーティーデータとは何か、セカンドパーティーデータやサードパーティーデータとの違い、そしてデータの収集方法と活用方法について、初心者にもわかりやすく解説します。

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ファーストパーティーデータ(1st Party Data)とは?

ファーストパーティーデータ(1st Party Data)とは、自社が収集および保有しているデータのことです。例えば、BtoCビジネスでは、顧客の氏名、メールアドレス、電話番号、購入履歴などが挙げられます。BtoBビジネスであれば、自社のWebサイトや展示会などで収集した顧客情報や、セミナーアンケート結果、CRMツールに蓄積された顧客の接触履歴などが該当します。

ゼロパーティーデータはファーストパーティーデータの一種

ゼロパーティーデータ(Zero Party Data)とは、顧客が積極的に意図して企業に提供・共有したデータを意味します。ファーストパーティーデータの一種であり、特に顧客から同意を得た上で収集したものが該当します。

たとえば、「アンケート回答データ」や「商品に関するフィードバックコメント」などがゼロパーティーデータです。反対に、Webサイトやアプリを介して自動的に収集したデータ(Webサイトの滞在時間や流入元など)は、顧客が主体的に提供しているデータではないため、ファーストパーティーデータに該当します。

ユーザーが主体的に提供するものであるため、ゼロパーティーデータには顧客の趣味趣向が反映されやすい上に、信頼性・正確性も高い傾向があります。

ファーストパーティーデータとセカンドパーティーデータやサードパーティーデータとの違い

ファーストパーティ、セカンド、サードとありますが、その違いはなんでしょうか。下図のように整理してみました。ファーストパーティデータが自社と顧客の間でのみデータのやりとりがあるのに対して、セカンドパーティデータやサードパーティデータはパートナー企業やその他の会社とデータがやりとりされていることわかります。それぞれどのようなデータの特性があるか説明します。

ファーストパーティーデータとセカンドパーティーデータやサードパーティーデータとの違い

セカンドパーティーデータとは

セカンドパーティーデータ(2nd Party Data)とは、自社と何らかの関係(提携関係や契約先など)がある特定の企業や組織が収集したデータを意味します。具体的には、「他社サイトのアクセス履歴」や「他社サービスを利用する顧客情報」などが挙げられます。

外部の企業や組織がデータを収集・分析するため、ファーストパーティーデータと比べてデータの質や新鮮さで劣る場合があります。ただし、自社では取得困難なデータを取得できるため、マーケティング戦略や施策の幅が広がることもあります。

サードパーティーデータとは

サードパーティーデータ(3rd Party Data)とは、自社とは関係性がない第三者が提供するデータです。「国や地方自治体が公開している統計データ」や「リサーチ会社が販売している消費者データ」などが該当します。

セカンドパーティーデータと同様に、外部企業によるデータ収集・分析の質に左右されやすい点に注意が必要です。それに加えて、特にサードパーティーデータに関しては、多種多様な第三者(競合企業や新規参入者など)が同じデータを利用する可能性がある点にも留意しなくてはいけません。

参考記事:【2022年2月更新】サードパーティCookieの規制とは?サポート廃止の理由と問題点

なぜファーストパーティーデータが重要だと言われるのか

ファーストパーティーデータは、主に2つの理由から重要であると言われています。

自社で情報を得ているため、低コストでリアルタイムにユーザー情報を取得できるから

セカンドパーティーデータやサードパーティーデータを取得するには、外部の企業や組織に費用を支払う必要があります。

また、収集から時間が経過していることが一般的であるため、業界や市場等に関する最新の情報を把握するには不向きです。可能な限り新しいデータを取得することは可能ですが、継続的に繰り返し取得する必要があり、そのたびにコストが発生します。

一方でファーストパーティーデータの場合、最初に仕組みを構築しておけば自動的にデータを収集し続けるため、リアルタイムで最新情報を把握できます。また、他社に費用を支払わないため、データ収集に要するコストも抑えられる傾向があります。

プライバシー保護を目的としたCookieの規制に影響されない

セカンドパーティーデータやサードパーティーデータと比べて、Cookieの規制に比較的影響されにくい点も、ファーストパーティーデータの重要性を高めている理由の1つです。

Cookieとは?世界各地でCookie規制が進んでいるのはなぜ?

Cookieとは、Webサイトにアクセスした訪問者のデータをブラウザに保存させる仕組みです。たとえば、ログイン情報(パスワードなど)やカートに入れた商品情報などが、Cookieを介して利用者のブラウザに保存されます。この仕組みにより、再訪問した際にログインやカートに再度商品を入れる手間が省かれるなど、ユーザーの利便性が向上します。

企業側の視点で見ると、Cookieの活用により、Webサイトを利用したユーザーの情報を収集し、広告配信やアクセス解析などに役立てることが可能です。しかし、利用者にとっては、行動履歴や興味関心などのプライバシーが侵害されるリスクがあります。

こうした背景から、アメリカやヨーロッパ、日本などの国では、個人情報保護に関する法律により、Cookieの取得や活用に関する一定の規制が設けられています。こうした動きは、国単位だけでなく企業でも進んでいます。

たとえば、AppleのブラウザであるSafariでは、度重なるアップデートにより、サードパーティークッキーを完全にブロックする機能が搭載されました[1]。サードパーティークッキーとは、訪問サイト以外の第三者が発行するCookieです。ブロック機能の搭載により、ユーザーの意図しない場所でプライバシーが侵害され、個人情報が活用されるリスクが排除されます。

また、Googleでもサードパーティークッキーの廃止が検討されてきました。しかし2024年7月、Googleはサードパーティークッキーの廃止方針を撤回しました[2]。サードパーティークッキーの廃止は、利用者のプライバシー保護につながる一方で、事業者にとっては広告のターゲティングや分析精度の低下により、収益減少につながるおそれがあるものでした。

廃止方針の撤回により、一旦は事業者に深刻な影響が及ぶ事態は免れた状況です。しかし、世間的にプライバシーを保護する重要性や、規制を進める動きは変わっていません。

こうした理由から、現時点でサードパーティークッキーと比較して比較的取得しやすい規制が緩いファーストパーティークッキーによって獲得することができるファーストパーティデータの重要性が高まってきているのです。個人情報保護の規制は現在も議論が続いており、方針が各国によって異なります。プラットフォーマーの方針も変わることがあるため、これらの最新情報を確認し、自社がどのようなデータ戦略をとっていくか見定めることも重要です。

[1] Full Third-Party Cookie Blocking and More(WebKit)

[2] グーグル、サードパーティCookie廃止方針を撤回(Impress Watch)

ファーストパーティーデータの具体的な収集方法

ファーストパーティーデータは、オンラインとオフライン双方で収集できます。本章では、それぞれの方法を具体的に紹介します。

ファーストパーティーデータの活用方法

オンラインでの収集

オンラインでは、主に以下の方法によってファーストパーティーデータを収集できます。

  • Webトラッキング(Webサイトやアプリ等による、PV数や流入元、検索KWなどの把握)
  • 資料請求やお問い合わせ等のフォーム入力
  • SNSやメール等でのやり取り

オフラインでの収集

オフラインで得られる顧客情報も、ファーストパーティデータとして扱われることがあります。例えば、以下の方法で収集した顧客情報は、ファーストパーティデータと言うことができます。

  • 展示会・イベントでの名刺交換やアンケート
  • 店舗内での会員登録・カード発行等

ファーストパーティーデータの活用方法(用途)

この章では、ファーストパーティーデータの活用方法を4つ解説します。

顧客ニーズの理解

ファーストパーティーデータから分かるのは、性別や年齢、住所などをはじめとした顧客の基本情報だけではありません。Webサイトのクッキーや問い合わせデータなどをもとに、「どのような商品・サービスやプロモーションに興味を持つ傾向があるのか」もわかります。

顧客ニーズの理解は、マーケティングの戦略策定や施策、商品開発などにも役立ってきます。

施策の立案、最適化

ファーストパーティーデータの分析により、顧客ニーズに基づいた施策の立案や最適化が行えます。

たとえば、行動履歴やアンケート結果などをもとに、複数ある候補の中から最もコンバージョンが発生しやすいと考えられるプロモーション施策を選択できます。また、既存の広告やWebサイトについて、より顧客の購買意欲を促進できるように訴求やデザイン等を改善することも可能です。

顧客ごとに興味関心が異なる場合には、広告やメルマガ等をパーソナライズ配信することで、ROIやROASなど(費用対効果)の向上も期待できます。

商品やサービスの開発・改良

顧客ニーズがわかると、どのような商品・サービスが売れやすいのかを見極めやすくなります。そのため、売れ筋となり得る商品・サービスの開発や改良にも、ファーストパーティーデータが役に立ちます。

既存顧客との関係性維持

CRM(Customer Relationship Management)やCDP(Customer Data Platform)のツールを用いると、既存顧客の属性や購買データ、やり取りを通じて得られた情報などを効率的に蓄積・管理できます。

蓄積したファーストパーティーデータを分析することで、「必要な時に、必要なモノを、適切なアプローチによって」既存顧客に提案できるようになります。その結果、既存顧客の満足度向上やLTVの向上を実現し、中長期的な企業価値の向上にもつながりやすくなります。

まとめ

ファーストパーティーデータはCPAの高騰や個人情報保護関連の規制強化に伴い、マーケティングにおける重要性が増しています。また、マーケティング活動のROIの算出にもファーストパーディーデータは重要な意味合いを持ちます。

サードパーティーデータでは、他社サイトを見た後に自社サイトに訪れてどのようなユーザー行動を行ったかや、最終的に購買行動につながったかなどを連続的に追いかけることに限界があるためです。

ファーストパーティーデータであれば、自社サイトに訪れて購買を行うまでの一連のユーザー行動が比較的取得しやすくなります。流入地点から購買まで一連の流れをデータとして可視化することができればROIが算出しやすくなります。

今後より一層マーケティングの費用対効果をROIまで算出したいというニーズは強まることが予測されます。

そうなった際にも、経営陣や会社にマーケティング活動をROIで議論できるよう、ファーストパーディーデータを有効に活用していきましょう。

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#ファーストパーティーデータ #サードパーティーデータ #Cookie #サードパーティクッキー #ファーストパーティクッキー

本記事の著者
清重 愛一郎
清重 愛一郎
シン・マーケ株式会社 代表マーケター
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