世界のトップSEOコンサルタントであるLily Ray氏に、弊社執行役員の鈴木謙一がインタビュー!AI検索・LLMO時代のSEOについて、わかりやすく解説していただきました!
※この動画は、2025年5月に公開されたものです。
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鈴木:皆さんこんにちは。今日はBrightonSEOで、世界のトップSEOコンサルタントのLilyさんにお越しいただきました。
Lily Ray:お招きいただきありがとうございます。
鈴木:お越しいただけて本当にうれしいです。
AI検索の台頭で私たちがやるべきことは?
鈴木:それでは、いくつか質問させてください。まず最初に、AI検索についてです。
LilyさんはGoogleのAI検索機能、たとえばAI OverviewやAI Modeなどを追っていらっしゃいますが、個人的には、今の時点でそれらだけに特化して最適化するのは意味がないと感じています。というのも、そういったAI検索機能は、現時点ではまだ実験段階で、日々変化しているからです。
これについて、Lilyさんはどうお考えですか?今の時点で、GoogleのAI検索について私たちができること、またはやるべきことはありますか?
Lily Ray:良いご質問ですね。
基本的には、通常のSEOで行っていることと大きく変わらないと思います。今取り組んでいる戦略をそこまで大きく変える必要はないでしょう。
ただし、機能が日々変化しているのは事実です。GoogleはAI Overviewの見た目や挙動、リンク先や引用するWebサイトの選び方を常に変えています。ですので、最低限、ご自身のWebサイトをさまざまなトラッキングツールに設定して、AI Overview内での順位を把握することをお勧めします。Zip Tie、Ahrefs、SEMrushといったツールでは、AI Overview内での順位や競合状況、自サイトが引用されているかどうかを確認できます。
とはいえ、Kenichiがおっしゃったように状況は常に変化しているので、SEO戦略そのものを大きく変える必要はないと思います。
一つ気づいた点としては、AI Overviewは必ずしも上位にランクインしているサイトばかりをリンクするわけではないということです。時には、50位や70位あたりのサイトにもリンクされることがあります。つまり、さまざまなWebサイトに、AI Overviewに掲載されるチャンスが広がっているということです。
もう一つ気づいた点として、ユーザーの国のサイトではない、海外サイトが高く評価されてランクインすることがあるという点もあります。なので、同じコンテンツを複数の国や地域のサイトで展開していれば、複数回掲載される可能性もあります。そのため、他国や異なる地域への展開も検討すると良いかもしれません。
鈴木:たとえ他国のコンテンツが表示されるとしても、ということですね。それでも、言語の壁はありますよね?
Lily Ray:たしかに、私は英語で検索するので、イギリスやオーストラリアのURLを含む英語のコンテンツがアメリカでランクインしているのをよく見かけます。ですから、海外のサイトが表示されるチャンスが広がっているのは確かです。
SEOとLLMOの違いや共通点
鈴木:次の質問です。最近、AI OverviewやAI Modeのような機能以外にも、ChatGPT、Copilot、Perplexity AIなど、Google以外のAI検索ツールも出てきています。これらのツール向けにWebサイトを最適化することを、LLMO(大規模言語モデル最適化)やGEO(生成エンジン最適化)と呼ぶようです。
従来のSEOとLMMOの間に、共通点や違いはありますか?
Lily Ray:これは今、SEO業界で最も注目されているテーマの一つだと思います。
多くの方がさまざまな意見を持っていますが、言語の使い方によって、大規模言語モデルに取り上げられやすくする工夫は可能だと思います。一部の方は、検索者の問いに対する「完全一致」の答えを用意したり、その表現を用いて複数のサイトで引用されるようにするなどの実験を行っています。そうすることで、特定の表現が一般的に使われているとAIが認識し、回答として採用されやすくなるという考えです。
しかし、そういった手法の一部は、少しスパムっぽく感じてしまいます。私は、本当に正しい方法でSEOを行っていて、信頼されているブランドで良質なコンテンツを提供していれば、自然と回答の一部として掲載されると思っています。ですので、SEOの基本をしっかり行うという点は変わらないと思います。
ただし、さまざまなプラットフォームで自社が言及されていることを確認するのは、とても重要だと思います。なぜなら、たとえばChatGPTは、GartnerやForbes、Wikipediaなどを頻繁に参照している可能性があるからです。そうした頻繁に引用されるサイトで、自社が言及されていることを確認することが重要です。これは、すでに私たちがSEOで行ってきたことと似ていますね。でも、まだ新しい分野なので、今後もっと深掘りしていく中でさらにわかってくる部分があると思います。
鈴木:つまり、LLMOにとっては「言及」や「引用」が非常に重要になってきそうだということですね。
Lily Ray:はい、間違いなくそうだと思います。
E-E-A-Tはどのように進化している?
鈴木:次の質問はE-E-A-Tについてです。
AI検索の他にも、最近のGoogleのデータベースに関連して、LilyさんはE-E-A-Tについて深くご存知ですよね。
Lilyさんの中で、E-E-A-Tの理解と活用方法はどのように進化していますか?特に「経験(Experience)」の観点から教えてください。
Lily Ray:ここ数年で、E-E-A-Tはかなり変化したと思います。
まず、GoogleがE-A-Tに新たに「Experience(経験)」のEを加えたことで、E-E-A-Tになりました。その結果として、Googleは実際の経験に基づいたコンテンツをより重視するようになりました。たとえば、実際に商品を使用してレビューしているようなコンテンツです。
あるいは、実際にその場所へ訪れた上で書かれた旅行記事などですね。
でも、実際に最も大きく変わった点は、Googleがフォーラム系のコンテンツを多く表示するようになったことだと思います。RedditやQuoraなど、実際の体験談が共有されているような場所ですね。
以前は、より権威のあるWebサイトが上位に表示されていましたが、現在は、フォーラムやSNSのようなサイトがよく表示されるようになっています。
なぜなら、Googleは実際のユーザーの声を求めている人が多いと考えているからです。それこそが「実体験」だからですね。そのため、検索結果にユーザー生成コンテンツが大きく反映されるようになっています。
鈴木:日本では、そのようなフォーラムはあまり多くないんですよね。でもアメリカでは、日本とは違ってフォーラムの影響力が非常に強くなっていますよね?
Lily Ray:はい、ここ2年間でGoogleにおける最大の変化は、フォーラムがあらゆるところで頻繁にランクインするようになったことです。
鈴木:そうしたアメリカのフォーラムと、どうやって競争すれば良いのでしょうか?
Lily Ray:まず、自社にとって意味のあるフォーラムがあるかどうかを検討するのが良いと思います。
場合によっては、ソーシャルメディアの担当チームが専門的な見解やコンテンツを投稿することで貢献できるかもしれません。
ただし、多くのフォーラムはリンクや宣伝を嫌う傾向があるため、そこは注意が必要です。
なので、誠実な形で、少なくともそのフォーラム内の会話をしっかり読んだ上で、そこに出てくる質問に自社のWebサイトで回答する、といった方法も考えられます。
鈴木:つまり、フォーラム上での活動を拡大することが主要な対策になるのですね?
Lily Ray:はい、まさにそうだと思います。
次にGoogleが注力するアルゴリズムの分野は?
鈴木:次の質問です。Googleの動向を踏まえた上で、ヘルプフルネス(有用性)やE-E-A-Tの次に、Googleが注力する品質アルゴリズムの分野として、どのようなものが来ると予想されていますか?
Lily Ray:現在、GoogleはAIに非常に注目しています。そのため、提供している回答の正確性に注目するようになると思います。
生成AIやAI Mode、AI Overviewが良質な体験を提供できるようにするには、まだ多くの課題があると思います。ですので、しばらくはランキングアルゴリズムよりも、そちらに重点を置くと思います。
また、パブリッシャーや広告主に対してトラフィックをどう流せるかという点も重視するでしょう。生成AIによる回答が登場したことで検索結果が変化している中で、Googleがその影響に強く注目するようになると思います。広告がクリックされる必要がある以上、それをどう収益につなげるかを考えるはずです。
同時に、AIによる回答が本当に良質なものであることをどう保証するかも検討するでしょう。
なので、現在のGoogleの最大の関心はAIにあると断言できます。
ブランディングはAI検索に役立つ?
鈴木:では、次の質問です。
最近ではブランディングの重要性が増しているように感じます。
実際、「Search Central Live NYC」という場でDanny Sullivan氏が、たとえ自分たちの前に「明確なブランド」が存在しないとしても、小規模サイトの運営者に対してブランド認知の構築に注力すべきだと話していました[1]。そこで、Lilyさんのブランディングに対するお考えを教えていただきたいです。また、ブランディングが大規模言語モデルでの可視性向上に役立つのかどうかも気になります。
Lily Ray:私のプレゼン資料にも、Kevin Indig氏の研究スライドを使わせていただきましたが、その中で、ブランドの検索数と大規模言語モデルに登場する頻度との間に強い相関があるという調査結果が紹介されていました。[2]
つまり、このブランドはこの商品やサービスにおいて優れていると多くの人に認識されていればいるほど、大規模言語モデルや検索エンジンがそのブランドのコンテンツを表示する可能性が高くなるということです。
個人レベル、つまりパーソナルブランディングとしてできることはたくさんありますし、会社としても、SNSでの存在感を高めたり、優れた活動を行っていると認識されることも大切です。それが注目や被リンク、認知を集め、最終的にコンテンツのランキングに直接的または間接的に影響を与えるのです。
Googleはアルゴリズムが更新されたとしても、ユーザーが求めているブランドを提示する必要があることを理解しています。なので、ブランディングに注力することは非常に有効な戦略だと考えています。
[1]Insights from Google Search Central Live NYC 2025: AI, Policies and Search | Mr Jonathan Jones
[2]What content works well in LLMs? – by Kevin Indig
その他参考文献:ブランド認知度がLLMの言及に与える影響 | 海外SEO情報ブログ
Lily Ray氏のブランドはどのように築き上げた?
鈴木:Lilyさんは非常に強力なブランドを築き上げてきたと思いますが、それをどのように実現されたのでしょうか?
Lily Ray:まず私は、毎日SEOの仕事に従事し、何年もかけて経験を積みました。さまざまなクライアントを持つ代理店で働き、自分の仕事に強く情熱を注ぎ、多くのカンファレンスに参加して人々と交流してきました。私はとても好奇心が強いんです。
そしてキャリアの後半では、情報を共有したり、動画を作ったり、カンファレンスで登壇したりするようになりました。発信をすればするほど、講演やインタビュー、Podcastに呼んでいただける機会が増え、それに応じてきました。外に出て、自分の考えや視点を共有し、他の人と意見交換をすることで成長してきました。
人によっては勇気が必要ですが、私はできるだけ人前に出て、情報を積極的に共有するようにしてきました。
そうすることで、さらに多くの人たちが「あなたにアイデアを発信してほしい」と声をかけてくれるようになるのです。
鈴木:まさに、私たちがこれからお願いしたいことですね。あなたのご経験は、私たちにとって非常に参考になります。
本日はご参加いただき、ありがとうございました。
Lily Ray:どういたしまして。お話しできて嬉しかったです。
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