担当者1名でもツールを活用しながらBtoBオウンドメディア立ち上げ!Web広告の3分の1の費用で1.4倍のリード数を獲得した手法
インフォコム株式会社 2024.03.29 2024/7/11- SEO・オウンドメディア経由のリード獲得数が16倍に
- 担当者1人でも立上げから支援を受けたことで早期に成果
- コンテンツはSEOだけでなくナーチャリングにも活用
医療機関、一般企業、大手企業向けのITソリューションの提供、電子コミックの展開、新規事業創出など、多方面で活躍するインフォコム株式会社。同社は介護領域にて、介護事業者向けクラウド型シフト・勤怠管理サービス「CWS for Care」をはじめとした複数サービスを展開している。
同社では新規事業の集客を目的としたオウンドメディアを2019年に立ち上げた。立上げと同時に、SEO・コンテンツマーケティングの体制化を目的としてSEOツール「ミエルカSEO」も導入。施策は順調に進みわずか数ヶ月で、検索1位の記事制作に成功しているほか、数年経ったいまでは本格運用開始前と比較して、約16倍のコンバージョンをSEO・オウンドメディア経由で獲得している。オウンドメディアを立ち上げた背景とこれまでの取り組みを、ヘルスケアイノベーション事業本部 新規事業推進本部 マーケティングチームの松瀬啓祐氏と栁原良子氏に伺った。
メディア立ち上げ段階からツールを導入する重要性
様々なマーケティングツール導入にはある程度の経験や実績がないと、予算の確保が難しいケースが多い。「まずは費用をかけずに自分たちでやってみる」ということを選択したマーケターも少なくないのではないだろうか。
しかし、インフォコムではオウンドメディア立ち上げと同時にSEOツール「ミエルカSEO」を導入し成果を上げている。まずは立ち上げと同時にツールを活用すると決断した背景について聞いた。
「ヘルスケア部門の新規事業立ち上げと事業の成長を目指す上で、コンテンツマーケティング、その集客チャネルとしてSEOが重要だと考えていました」(松瀬氏)
クライアントとなりうる介護事業者や医療機関は全国に点在しており、訪問営業のみで開拓することが難しい。よって自らサービスや解決策を探してWebサイトに訪れるインバウンド施策で見込み顧客を獲得することが、事業の成長には必要だった。そのため、SEOやコンテンツマーケティングを円滑に回す仕組み化がマーケティングチーム立ち上げ初期の大きな命題となっていた。
また松瀬氏は、Webマーケティングに強い企業での経験もあり、早期にチームを立ち上げるためには、マーケティングツールのサポートが不可欠であると考えていた。そこにチーム立上げと並行して進んでいた採用活動を通じて、2019年9月に栁原氏がジョイン。
メインでツールを使用することになる栁原氏が中心となってマーケティングツールの選定を進め、「ミエルカSEO」を採択した。栁原氏は、前職での利用経験もあり、ツールの使い勝手の良さと、SEOに対する豊富な知見をもつ企業姿勢が採択の決め手になったと語る。
「ミエルカSEOは、カスタマーサクセスによる伴走体制やユーザー向けの利活用講座『ミエルカ大学』による支援など、SEO対策を内製化できるようなサポートが充実しています。また、Faber CompanyにはSEOの知識が豊富な人が多く、こちらの相談に対して会社全体でサポートしてくださる姿勢も大きな魅力でした」(栁原氏)。
コンテンツの公開わずか2ヶ月で検索上位を獲得できたことをはじめ、短期間でオウンドメディアを軌道にのせられたのはツールとカスタマーサクセスの質の高さがあったからだという。
「社内の別のチームでは、オウンドメディアを立ち上げたけれど、コンテンツやSEOの知見が浅いまま運用をスタートし、思うように流入数やコンバージョン数が増えずに苦戦しているというケースもありました。そう考えると、立ち上げ初期からミエルカSEOを導入して伴走してもらって本当によかったと思います」(栁原氏)。
松瀬氏も、Webマーケティングを立ち上げて早期に成果を出したいのであれば、ツールの整備などマーケターを支援できる環境を用意することは、人材採用にも関わるほど重要だと話す。
「マーケティングチームの立上げで担当者1名のアサインだと孤独になりやすいですよね。自分も事業全体をみなければいけないので、フォローがおろそかになってしまう。そのような施策に関する細かなフォローをミエルカCS担当の方に任せられたので、栁原も安心して取り組めたと思います」(松瀬氏)
業界への理解を深めながら検索1位の記事を量産
栁原氏が同社にジョイン後、ミエルカSEOの導入とともに、ライターなど外部パートナー探しやオウンドメディア構築準備も平行して進めていった。その際、ツールの使い方以外にも、オウンドメディアに使用するCMS「WordPress」のテーマ設定などについては、CS担当者を通じて有識者のアドバイスももらえたという。
その後は「ミエルカ大学」で覚えたコンテンツ作りのノウハウに則り、キーワード選定と構成案の作成をひたむきに続けた。そして栁原氏が作成した構成案を松瀬氏がチェックし、外部のライターに発注するという一連の仕組みの構築を進めていったという。
開始当初は介護業界特化型転職支援サイト「ケアスタイル」(現在はサービス終了)のコンテンツを作成していた。その間に手がけたコンテンツのなかに、「ヒヤリハット※」というキーワードに関する記事がある。
※ヒヤリハット:重大な災害や事故に直結する一歩手前の出来事
このキーワードは月間検索ボリュームが4万程度であり、SEO難易度は高い。しかも介護業界に限定されないキーワードでもあったが、これをミエルカSEOのサジェストインテンション機能などを活用して検索ニーズを分析し、コンテンツ化した。2020年初頭に記事を公開後、同年4月には検索1ページ目に表示されるようになり、同年6月には検索順位1位を獲得した。
その後も「介護記録 書き方」「スピーチロック」「介護接遇」といった関連キーワードでも検索順位1位を達成。栁原氏がジョインして約半年で、チーム内の目標を達成することができた。
「入社時、私には介護業界の知見がまだありませんでした。競合調査からピックアップしたキーワードに対し、ミエルカSEOを使いながら、各キーワードにどのような検索意図やニーズがあるのかを調べていきました。
業界知識が浅い状態でもコンテンツ制作を効率化できたのは、重要トピックやクエリタイプ分析などの機能があったからだと思います。結果として、コンテンツ制作を通じて業界への理解も深まりました。今ではキーワードを見るとおおよその構成がイメージできるくらいです」(栁原氏)
スピードと質を両立しながらコンテンツ制作を仕組み化
同社では、コンバージョンに関連するコンテンツを大きく4種類に分類して制作している。
「コンテンツマーケティングでは、まずはコンバージョンに近いキーワードでしっかり検索上位を獲得する必要があると考えていました。これまでの成果を見ていると、当初考えていたイメージ通りの結果が出ていると感じています」(松瀬氏)。
オウンドメディアを立ち上げてしばらくすると、構成案作成などは外部のパートナーに任せるようになった。最初は思うような構成案が上がってこないため、根気よくフィードバックを行ったり、勉強会などを開催したりしながら、徐々にコンテンツ制作の仕組み化が進んだという。
2024年2月時点にて、600本以上の記事がオウンドメディアに掲載されている。多いときは月20本もの記事を、外部パートナーの力を借りながら栁原氏が一人で制作してきた。コンテンツの量産は時間との戦いでもある。「オウンドメディア運用以外の業務もこなしながら、スピードとコンテンツの質向上を両立できたのはミエルカSEOがあったから」と栁原氏は語る。
広告の3分の1の費用で1.4倍のホットリードを獲得
2022年5月31日、インフォコムは「ケアスタイル」の提供を終了。これまでのコンテンツは、BtoB向けサービスの「CWS for Care」にあるオウンドメディア「介護の人事労務ナビ 」へ移管された。現在はBtoB向けのコンテンツを中心に制作をしている。
月間セッション数は順調に伸びており、移管当時の月間セッション数と比較すると、現在はおよそ1.8倍ほどになっている。
肝心のコンバージョンへの寄与度だが、オウンドメディア経由のホワイトペーパーダウンロードなどのリード獲得数は、ある程度運用が安定していた2022年10月と比較して2024年1月の月間獲得数は10倍以上を叩き出している。中間KPIとして設けているコンテンツからサービスサイトへの送客率も4倍以上になっており、成果は右肩あがりだ。
しかも獲得したリードのうち、10%以上はホットリード(営業にパスできる状態のリード)になっており、オウンドメディアが重要なリード獲得チャネルになっている。最もホットリードを獲得しやすいのはWeb広告ではあるが、同社ではオウンドメディアを含むSEO経由の獲得数が広告の約1.4倍、獲得単価は広告の3分の1という獲得効率だという。
残りのリードはナーチャリング層となり、定期的なメールマーケティングの対象になる。ナーチャリング施策も同社にとっては重要で、「CWS for Care」の営業対象となる介護事業者などは急に数が増えることはない。だからこそ、繋がりが持てた見込み顧客との中長期的なコミュニケーションを大切にし、いざ困ったときに第一想起されるようなサービスや会社になることが欠かせない施策の一つになっている。
ここでも制作したコンテンツは活きる。メールマーケティング施策における文面でも活用することができ、対象の興味関心も把握することが可能になる。良質なコンテンツをもとにしたメルマガは高い開封率を維持できるだけでなく、解約率も低く抑えられているという。
「メールマガジンの配信数に比例して、問い合わせ件数が増えていきます。セールスチームと相談しつつ、配信数を調整しています」(栁原氏)
リードの質を高めるため、営業との連係を強めていく
チームのリソースを加味すると、現時点で十分なリード数を獲得できていると松瀬氏は話す。今後はより多くのサービス決裁層のリード獲得を強化していくなど「見込み顧客の質」を意識していきたいという。こうした見込み顧客層に訴求できるホワイトペーパーなどを模索している最中だ。
コンテンツ制作の方法も、マーケティングチームを立ち上げたときから徐々に変化しているという。従来は見込み顧客もトラフィックもゼロの状態から、他社のコンテンツや関連キーワードを分析して記事を制作していた。徐々に顧客が増えていくのに合わせて、フィールドセールスが商談などで得た情報から逆算して、コンバージョンポイントの設計、キーワードの選定、最適な流入ルートの探究などを行い始めているそうだ。
「こうした活動を進めることによって、検索ボリュームは低いもののコンバージョン率が非常に高いキーワードを把握できるようになりました」(松瀬氏)。
栁原氏も、現在は新たなコンテンツを制作するときは、既存記事の管理表をもとに誘導先の記事を決め、サイト内の回遊性を高めるよう管理しているという。各記事の関連性の高さに応じて、コンバージョンに近いキラーコンテンツへ誘導することも欠かさない。キラーコンテンツに対しても、ヒートマップによる分析や、CTAのキャッチコピーの変更など、常にコンバージョンページへの送客率の改善を図っている。
今後の展望として、松瀬氏と栁原氏は先述した「見込み顧客の質の向上」にチャレンジしたいという。現在は、商談やアポイントからニーズを深堀りするために、SFA(営業支援システム)の履歴からニーズを吸い上げている。
「コンテンツマーケティングにおいて、最終的に求められる成果はコンバージョンです。BtoCからBtoBのコンテンツ制作に移行して、コンバージョン設計の重要性をより強く感じるようになりました。
そして、最終的に求められるのは売上への貢献です。リードを獲得して終わりではなく、どのように売上へ繋げていくかを常に考えています。今後もFaber Companyの皆さんやミエルカSEOの力を借りて、顧客にとっても自社にとっても価値のあるコンテンツを提供できるよう、改善を続けていきたいです」(栁原氏)。
企業プロフィール
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- 社名
- インフォコム株式会社
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- 事業内容
- 【ITサービス】 企業、医薬・医療機関、介護事業者や公共、教育研究機関等に対する情報システムの企画・開発・運用・管理等のITサービスの提供 【ネットビジネス】 スマートフォン向けの電子コミック配信サービス等の提供
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- 導入時期
- 2019年10月
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- 担当
- 松瀬様、栁原様