品質を落とさずに記事制作数が2.5倍に。AIで変わる「書き手」の未来
株式会社ラクーンコマース 2025.07.16
- 月4本→10本以上の記事制作が可能に。制作フローとクオリティが大きく進化
- かんたんAI記事生成は、他の生成AIと違い、記事生成ツールとしてのバランスと使いやすさが絶妙
- AI Chat機能との併用で、さらなる品質アップへ
- ニュースを見てすぐに書いた記事で検索1位 & 強調スニペット掲載。時事トピックを扱う企業にこそ有効
「人手が足りないからこそ、生成AIを活用してSEO施策を効率化したい」──そう考えても、実際にはAIをうまく使いこなせず、思うように施策や成果につながらないことも多い。
そんな中、ラクーンコマース株式会社では、SEO支援ツール「ミエルカSEO」の「かんたんAI記事生成」機能および「AI チャット」機能を活用しながら、オウンドメディア「スーパーデリバリーメディア」で記事制作の効率化にトライ。記事執筆を担当するのはほぼ1人という体制の中、How-toコンテンツや時事コンテンツ、企業紹介など、幅広いテーマでのコンテンツ発信を継続している。中には、検索結果で1位を獲得したり、強調スニペットに掲載されたコンテンツもあるという。
今回、「スーパーデリバリーメディア」を担当する同社の後藤氏に、かんたんAI記事生成機能の魅力や、SEO施策における生成AIの活用のコツなどについて、Faber Companyのコンサルタント・東とともにお話を伺った。
AIには興味があったが、記事の形で出力させることに難しさ
アパレル・雑貨を中心とするメーカーや小売業・サービス業など、多様な事業者が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」。後藤氏は「スーパーデリバリー」に出展している事業者のPRを担当する立場にあり、オウンドメディアやSNSで事業者が出品している商品を紹介するほか、情報発信に関わる社内の若手社員の育成なども行っている。
業務が多岐に渡り、さらにオウンドメディアで記事を書くメンバーが他にほとんどいない中、後藤氏はかなり早い時期から、工数削減を目的として積極的に生成AIを使っていた。しかし、記事としてアウトプットさせるところまでは至らなかったと語る。
「AIで簡単な調整を行うことはできても、それを記事という形でアウトプットさせるためには特殊なプロンプトを組む必要がありそうで、難しそうだなと感じてしまっていたんですよね。」
そんな中、ミエルカSEOで「かんたんAI記事生成」機能がリリース。SEOの知見が豊富なFaber CompanyがリリースしたAI機能ということで、「ぜひ使ってみたい」と思ったという。
「生成AIは、一般の人たちに使われ始めた当初から、仕事の効率化に活用できると言われていました。しかし、どうやって使うのか、どうしたら良いアウトプットが出るのか、いろいろな人が試行錯誤している状態だったと思うんですよね。だからこそ、リリース時の案内を見て、『どういったアウトプットを出してくれるのだろう』と興味をもちました。」
印象的だった“ペルソナ生成”。設計力が上がり、記事の精度も向上
後藤氏が特に印象的だったと話すのが、ペルソナの自動生成機能だ。
「かんたんAI記事生成では、キーワードを入れると、まず最初にペルソナを生成してくれますよね。使いはじめた当初はその細かさに驚きましたが、ペルソナがしっかりしているほどその後の工程でのAIの出力精度が上がるとわかってからは、ペルソナを特に注意して調整するようにしています。」
「それに、AIに生成してもらったペルソナを修正する中で、自分が本当に想定していた読者像を再確認できるんですよね。結果として、記事の軸がよりクリアになりました。」
ペルソナを設定するプロセスが、若手育成にも役立っていると言う。
「AIに不慣れな方や記事執筆に慣れていない若手の方であれば、ペルソナを細かく設計することに対してハードルを感じる方も多いかもしれません。しかし見方を変えれば、『記事作成はこういうフローで考えるんだよ』『このくらい言わないとAIには伝わらないよ』と教えるプロセスとしても使えるので、とても良いツールだなと感じています。」
月4本→10本以上の記事制作が可能に。制作フローとクオリティが大きく進化
かんたんAI記事生成の導入によって、制作本数が大幅に増加。以前は月4本が限界だったが、今では月10本以上を公開できるようになった。
「人数がいない上に、オウンドメディア以外の仕事も持っているので、リサーチにかける時間や執筆にかける時間はどうしても短縮しなければいけなくなってきます。このニーズにミエルカのかんたんAI記事生成機能がうまくフィットしてくれたんです。」
スーパーデリバリーは、顧客の業界・業種が多岐にわたるため、ターゲットもさまざまだ。そのため、同じテーマであっても、業界や業種ごとに複数の記事を作成することが多い。1記事にかける時間を短くしながらも記事の質を担保する必要があるが、「かんたんAI記事生成」機能は、一定のクオリティを保った状態で迅速に記事を生成できるという点で非常に助かっているという。
「先日、『ウェザーマーケティング(天気予報をマーケティングに活かす手法)』というテーマで、小売業とヘアサロン向けの記事を書いたんです。その時は、最初に小売業向けの記事を「かんたんAI記事生成」機能で作って、あとはペルソナだけをヘアサロン向けに書き換えて再度生成するという方法で執筆しました。」
「以前は、調査から執筆まで3~4週間くらいかかっていたのが、『ウェザーマーケティング』の時は1週間くらいで終わったので、だいぶ効率が上がりました。」
さらに後藤氏は、記事をAIに書かせることで、逆にクオリティが高まったと語る。
「執筆にかかる時間を短縮できれば、その分の時間をコンテンツ内容の精査に充てることが可能になります。特にHow-to記事は、事前調査や執筆後の内容チェックに時間がかかるので、執筆にかけられる時間が短くなるだけでかなり助かっています。」
「また、AIが書いた記事だからこそ、自分が“レビューする側”として客観視できるのも大きいですね。自分で書いた記事を客観的に見るのは結構難しいと思うのですが、AIに書かせたものであれば、ライターさんに依頼していた記事をチェックするのと同じ感覚で冷静に確認できるので、完成時のクオリティは上がったと思います。」
かんたんAI記事生成は、他の生成AIと違い、記事生成ツールとしてのバランスと使いやすさが絶妙
後藤氏は、ChatGPTやGeminiといった生成AIツールと比べると、かんたんAI記事生成で出てくる記事はSEOを考慮している印象があると話す。
「AIと言っても、出力させた記事から得られるあるAIでは、文体がカジュアルで、出典元も『本当にそこから引っ張ってきたの?』と疑ってしまうようなものもあります。その一方で、文章における引用の割合が多すぎて、創作物らしさがなく、記事としてつまらなくなってしまうAIもあります。『かんたんAI記事生成』機能は、記事に適した文体で生成してくれるし、引用元も明示してくれます。それに、創作物らしさもきちんとある。記事を生成させるAI機能として、非常にバランスがいいと感じています。」
「かんたんAI記事生成」機能では、記事の構成案を生成した際に、情報の引用元のリンクを出している。もちろん、情報が正確かどうかを確認するために、後藤氏も自身の目で必ず引用元のサイトを確認するようにしているが、それでも調べる手間がかなり減ったという。
「かんたんAI記事生成機能で出してくれた引用元のサイトを見に行った時に、『この記事よりもこの記事を参考にした方が良さそうだな』と思った時は、それを元にもう一度構成案を生成させています。こうしたブラッシュアップができるようになったことで、記事の権威性や信頼性も高められていると感じています。」
さらに後藤氏は、初心者や記事を書き慣れていないメンバーにこそ本機能を勧めたいと話す。
「いわゆる一般的な生成AIは、なんでもできてしまう分、何をやればいいのかわからなかったり、どこからやればいいのか迷ったりすることがありますよね。ミエルカの場合は「記事を書く」という目的が明確にあり、記事執筆に特化した形で提供されているのがとてもいいと思います。初心者や記事を書き慣れていないメンバーにも利用を勧めやすいです。」
AI チャット機能との併用で、さらなる品質アップへ
かんたんAI記事生成機能のほかにも、ミエルカには複数のAI機能が搭載されている。その一つが、AI チャットである。
このAI チャット機能は、GPT-o3をはじめとする生成AI言語モデルを活用し、ユーザーがチャット形式で対話しながら利用できるというものである。Faber Companyが長年にわたり蓄積してきたSEOの専門知識をもとに設計された、「記事タイトル生成」「構成案作成」「リライト」などのプロンプトテンプレートが用意されており、キーワードや業界などの情報を入力するだけで、専門家の知見を簡単に活用できるという特徴がある。
ミエルカSEOに搭載されているAI チャット機能
後藤氏によると、かんたんAI記事生成とAI チャット機能を併用することで、記事のクオリティをさらに上げることができるという。
「AIは完璧ではないので、『かんたんAI記事生成』機能を使って生成させた記事であっても、『タイトルがいまいちだな』『もっといい言い回しがないかな』と感じる時もあります。そういう時は、AI チャット機能のタイトル生成テンプレートやリライトテンプレートを使って、タイトルだけブラッシュアップしたり、部分的に補正をかけたりしています。」
AI チャット機能で「記事タイトル自動生成」テンプレートを選択し、検索キーワードと読者の属性を入力すると、AIがタイトル案を生成してくれる
ニュースを見てすぐに書いた記事で検索1位 & 強調スニペット掲載。時事トピックを扱う企業にこそ有効
効率的にAIで記事が作成できても成果に繋がらなければ意味がない。後藤氏は、かんたんAI記事作成機能を活用して作成した記事で、検索上位記事も多数獲得しているという。例えば、「熱中症対策義務化 小売店」のキーワードを狙った記事では、Google検索1位・強調スニペット表示*という成果が出ている。
* 2025年5月22日時点、弊社調べ
後藤氏は、時事トピックを扱う時にもかんたんAI記事生成機能が便利だと話す。
「『熱中症対策義務化 小売店』を狙った記事は、ある日上司から『義務化始まるらしいよ』と飛んできたのがきっかけです(笑)。そこから色々調べてみたら、『うちのお客様向けに書いたら面白そうだよね』ということになって、すぐに書き始めました。公開したら、ちょうど話題として盛り上がっていた時期だったのもあるのか、すぐに検索順位がつきましたね。」
スーパーデリバリーでは、扱っている商品が幅広いので、時事トピックの記事を書くことも多い。 そんな時、記事の叩き台をすぐに作ってくれるかんたんAI記事生成機能は、記事執筆にとっかかりやすくなるという点でとても助かっている、と後藤氏は話す。早いときには、情報を得てから約2時間程度で記事を公開できることもあるため、トピックの話題性が失われないうちに発信でき、検索順位も上がりやすい傾向があるという。
かんたんAI記事生成機能で、誰もがいつでも情報発信できる体制へ
かんたんAI記事生成・AI チャット機能を使いながら、継続的に成果につながる記事を執筆している後藤氏。最後に、これからの抱負を聞いた。
「当社サービスは、コンテンツで初めて接点を持ってから実際の購入や利用に至るまで、リードタイムが長いんです。その中で継続的に接点を持ち、信頼を勝ち取っていく必要があります。だからこそ、『AIを使えばこんなにかんたんにできるんだよ』と若手や周りのメンバーに伝えることで、誰もがいつでも情報発信できるようにしようと思っています。情報発信を継続していけば、長期的にはそれが会社の資産価値にもなるので。」
AIによる検索が広がっている現代において、オウンドメディアは、信頼される情報源としての質を維持しながら、コンテンツを継続的に発信し、ユーザーが必要とするタイミングで的確な情報を提供することが必要になる。Faber CompanyとミエルカSEOはこれからも、スーパーデリバリーのその取り組みを支援していく。
企業プロフィール
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- 社名
- 株式会社ラクーンコマース
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- 事業内容
- 衣料・雑貨の企業間電子商取引を行う「スーパーデリバリー」
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- 導入時期
- 2020年7月
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- 担当
- 後藤 由希 様
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- 体制
- 1人
担当CSよりひと言

早い時期から生成AIに着目され、試行錯誤を重ねていたという後藤さま。事例で紹介した「熱中症対策」など、生成AIをうまくコンテンツ制作に取り込めた実例は、随時社内にも発信していらっしゃるそうです。ハルシネーションなど生成AI特有のリスクも正しく理解して、後藤さまのように「まずは使ってみる」ということが、これからのマーケターには求められる姿勢なのかもしれません。(担当:東 真澄)