限界CPAとは?CPA・目標CPAとの違いや計算方法をわかりやすく解説 高田 愛 2025.02.27 CRO 限界CPAとは 限界CPAの計算方法 CPA・目標CPAとの違い 限界CPAを活用する際の3つのポイント CPAを下げる方法4選 ヒートマップ導入後、2カ月でCPA50%減!株式会社キャンバス様の事例 まとめ:CPAの改善ならミエルカヒートマップ 限界CPAとは、「1件のコンバージョンを得るためにかけられる費用の上限」のことです。自社の限界CPAを把握することで、事業が赤字になることを防ぐことができます。 この記事では限界CPAについて、計算方法やCPA・目標CPAとの違い、CPAの改善方法などをわかりやすく解説します。 ミエルカヒートマップを無料で試してみる 限界CPAとは 限界CPAとは、「1件のコンバージョンを得るためにかけられる費用の上限」のことです。 CPAとは、1件のコンバージョンにかかった費用のこと。つまり限界CPAは、その費用が収益や利益を圧迫しない「損益分岐点」であると言うことができます。 例えば、利益1万円の商材を売るのに1万円のコストがかかってしまった場合、利益が全てコストの支払いに当てられてしまうため、手元に残る利益は0になってしまいます。この場合、広告にかけられる最大額、つまり限界CPAは1万円だと言えます。 ただし、実際はここまで単純ではなく、コンバージョン獲得後の受注率なども考慮して計算・算出することがほとんどです。また、定義上は「1件のコンバージョンを得るためにかけられる費用の上限」ですが、多くの場合、「1件のコンバージョンを得るためにかけられる広告費用の上限」を指します。 この記事においても、限界CPAは「1件のコンバージョンを得るためにかけられる広告費用の上限」として解説していきます。 限界CPAを把握する理由と目的 限界CPAを把握することは、主に以下2つの理由で重要だと言われています。 ①広告と収益のバランスを適切に保つことができる 限界CPAを把握することで、広告と収益のバランスを適切に保つことができます。 もし限界CPAを把握せずに広告を運用した場合、利益を担保した上でどれくらい広告予算をかけて良いのかわからず、コンバージョンを獲得するためにCPAをどんどん高く設定してしまったり、必要以上に広告予算をかけてしまったりといった運用ミスが起こりやすくなります。その結果、せっかくコンバージョンが発生してもコストが大きすぎて赤字になり、利益を出すことができなくなってしまいます。 限界CPAを把握することで、赤字になることを防ぐことができるのです。 ②広告施策を見直す指標になる 限界CPAを設定することで、広告施策がうまくいっているのかどうか、どれくらいうまくいっていないのかの判断がしやすくなります。 例えば、あるWeb広告のCPAが、長期間運用しているのに限界CPAに近ければ、配信先や内容、広告予算などを見直すきっかけになります。 限界CPAの計算方法 限界CPAの計算方法には、いくつかの方法があります。ここでは、最も代表的な2通りを紹介します。 簡単に限界CPAを算出したい場合 一般的な企業の広告運用においては、以下の計算式で限界CPAを算出することがほとんどです。 限界CPA = 顧客単価 × 粗利率(利益率) 例えば、顧客単価が10万円、粗利率が25%の場合、 限界CPA = 顧客単価 × 粗利率 = 100,000円 × 25% = 25,000円 となり、限界CPAは25,000円と言うことができます。 ただしこの計算では、赤字にならない基準を厳密に確認することができません。なぜなら粗利(売上総利益)には、あとからコストとして引かれるはずの人件費や広告宣伝費などの経費も含んでしまっているからです。 そこで、厳密に赤字にならない損益分岐点としての限界CPAを算出する方法として、次の計算方法が挙げられます。 厳密に赤字にならない損益分岐点としての限界CPAを算出したい場合 厳密に赤字にならない損益分岐点としての限界CPAを算出したい場合は、以下の計算式で算出することができます。 限界CPA = 顧客単価 ー(原価+経費) ここで言う経費には、人件費や広告費ももちろん含まれています。ただし、経費をひとつひとつ把握したり、1件あたりの金額まで算出するのは非常に手間がかかるため、この算出方法は、経費などが把握しやすい個人事業主の場合に向いていると言えます。 CPAとCPOを区別する場合 CPOとは、Cost Per Order(コスト・パー・オーダー)の略で、注文・購入・契約など、実際に利益が発生するコンバージョン1件に対して発生した費用を指します。 CPA CPO 意味 広告においてコンバージョンとして設定している、無料トライアル、資料請求、商品購入などにかかったコスト 実際に利益が発生する、注文や購入・契約などにかかったコスト もちろん、広告におけるコンバージョンが購入や注文などであれば、CPAとCPOは同じになります。 限界CPAを広告運用で使いたい場合は、以下の2通りの計算式で求めることができます。 ①’ 限界CPA = 顧客単価 × 粗利率 × 成約率 例えば、顧客単価が30万円、粗利率が15%、成約率が25%の場合、 限界CPA=顧客単価 × 粗利率 × 成約率= 30万円×15%×25%= 11,250円 となります。 ②’ 限界CPA =(顧客単価 - 原価 - 経費)× 成約率(受注率) 例えば、顧客単価が10万円、原価が4万円、経費が3万円、成約率が30%の場合、 限界CPA=(顧客単価 - 原価 - 経費)× 成約率 =(10万円-4万円-3万円)×30% = 9,000円 となります。 限界CPAは、企業規模や単価、事業のフェーズなどによって変わってきます。営業部門などと協力しながら、できる限り適切な限界CPAを設定できるよう、慎重に議論しましょう。 また、設定した限界CPAは、定期的に見直し、最適化していく必要があります。 市場動向や競合の状況、季節要因などを考慮し、柔軟に調整していくことが重要です。 参考:CPOとは?CPAとの違いや計算方法、改善施策をわかりやすく解説 CPA・目標CPAとの違い 限界CPAは、顧客獲得単価(CPA)や目標CPAと密接に関係しています。 この章では、CPA、限界CPA、目標CPAの違いについて解説します。 CPA 限界CPA 目標CPA 意味 1件のコンバージョンを獲得するために実際にかかった広告費用 1件のコンバージョンを得るためにかけられる費用の上限 収益などのビジネス目標を達成することができる、理想的なCPAの値 計算式 広告費用 ÷ 獲得コンバージョン数 顧客単価 × 粗利率(利益率) 他の計算方法についてはこちらを参照 限界CPA-確保したい利益 CPAと限界CPAの違い CPA(Cost Per Acquisition)は、顧客獲得単価とも言い、1件のコンバージョンを獲得するために実際にかかった広告費用を指します。 例えば、広告費用が10,000円で10件のコンバージョンを獲得できた場合、CPAは1,000円となります。 CPA = 広告費用 ÷ 獲得コンバージョン数=10,000円 ÷ 10人 = 1,000円 限界CPAが、単価を元に利益や収益を考慮してあらかじめ算出しておくものであるのに対して、CPAは実際にかかった費用であることが特徴です。 目標CPAと限界CPAの違い 目標CPAは、収益などのビジネス目標を達成することができる、理想的なCPAの値のことを指します。設定する際には、限界CPAや最低限確保したい利益などを考慮して算出していきます。 例えば、単価10,000円の商品において、原価が7,000円、限界CPAが3,000円、確保したい利益が2,000円の場合、 目標CPA=限界CPA – 確保したい利益=3,000円 – 2,000円=1,000円 と算出することができます。 限界CPAが、利益を出すことができる損益分岐点であるのに対し、目標CPAはビジネス目標を達成できる理想値である点が特徴です。 参考:CPAとは?下げる方法や業界ごとの平均、CPCとの違いをわかりやすく解説目標CPAとは?計算方法や設定のポイントを徹底解説 限界CPAを活用する際の3つのポイント 限界CPAを設定する際には、以下の3つの点に注意が必要です。 ①低すぎる限界CPAを設定しない 利益を守ろうとして限界CPAを低く設定してしまうと、広告経由で獲得できる顧客数が減少し、機会損失につながる可能性があります。CPAの平均値を参考に、適切な限界CPAを設定しましょう。 また、最初は少し低めのCPAを設定しておいて、実際に運用しながら少しずつ上げていくという方法もあります。赤字にならないように気を付けながら、「このくらいだったらいけるな」というラインを見つけていきましょう。 ②高すぎる限界CPAを設定しない 低すぎる限界CPAもよくありませんが、高すぎる限界CPAもデメリットがあります。高すぎる限界CPAを設定すると、コンバージョンを獲得しようとどんどん高いCPAを設定してしまい、利益が減少してしまうからです。特に、広告費用を広告出稿プラットフォームが自動で調整するタイプの場合、知らぬ間にCPAが上がってしまっていた、ということもよくあります。 前述した計算式を参照しながら、利益を守って広告を運用できるラインを、前もって検討しておきましょう。 ③SEOなど、広告以外の流入がある場合は、それを忘れずに考慮する SEOなど、広告費用をかけなくてもコンバージョンが獲得できている場合は、それらを抜いて考えることが必要です。SEO施策によって獲得したコンバージョンが含まれたままCPAを計算すると、1件のコンバージョンを獲得するために実際にかかっている広告費用よりも安く算出されてしまうからです。 コンバージョンごとに流入経路がわかる場合は、広告経由でのコンバージョン件数を明らかにし、その件数と広告費用を用いて限界CPAを算出しましょう。もしコンバージョンごとの流入経路がわからない場合は、広告LPのPVとCVRから割り出して、大体のコンバージョン数を出すことをおすすめします。 CPAを下げる方法4選 限界CPAを設定していざ広告を運用しても、「なかなかCPAが下がらない」「CPAが限界CPAに近く困っている」という方も多いのではないでしょうか。そこでこの章では、CPAを改善する施策をご紹介します。 CPAを改善するには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。 CPA改善のための3つのポイント 具体的な施策 【1】広告のクリック回数を増やす ①広告文やクリエイティブの最適化 【2】ウェブサイトのCVRを高める ②LPの最適化 ③フォームの最適化 【3】無駄な広告費を削減する ④アドフラウド対策ツールの導入 それではここから、それぞれの施策について、順に解説していきます。 ①広告文やクリエイティブの最適化 CPAを低くするには、広告をクリック、つまり顧客獲得のチャンスを増やす必要があります。広告文やクリエイティブを魅力的なものにすることで、広告をクリックしてもらいやすくなり、顧客獲得のチャンスが増え、結果としてCPAを下げることができます。 例えばリスティング広告の場合、検索されるKWと出稿KWの検索意図があっているかどうかを確認し、検索意図にあうように広告文やクリエイティブのコピーを改善したり、そもそも検索意図に合わないものを削除したりといった施策が考えられます。 ②LPの最適化(LPO) LP(ランディングページ)とは、ユーザーが広告をクリックした後に遷移するページのことです。ユーザーが広告に期待した内容を、LPでしっかり訴求できれば、コンバージョン率を高めることができます。 具体的には、 ・その商品を購入することでどんなメリットがあるのかを明確にする ・その商品が信頼できるものである証拠を記載する(公的なグランプリでの受賞歴など) ・競合商品に対する強みをしっかり伝える ・購入ボタンなどの導線を目立たせる などの施策が考えられます。 こうしたLPの最適化を行う際には、ヒートマップを導入することをおすすめします。 ヒートマップは、ユーザーがLPのどこに注目し、どこをクリックし、どこで離脱したかがわかるものです。ヒートマップを用いることで、ユーザーが求めている情報は何か、ユーザーがなぜ離脱したのかがわかるようになります。 無料で使えるツールもあるので、この機会にぜひ確認してみてください。 ヒートマップを無料で試してみる ③フォームの最適化 入力フォームまで到達したユーザーのほとんどが、最終的な申込みまで至っていないと言われています。 業界や商品の単価、何をコンバージョンとしているかなどによっても異なりますが、入力フォームまで到達したユーザーが、フォームを送信(入力を完了)しないままページを離れてしまう割合(離脱率)は、平均でも40~50%、場合によっては70%程度まで上がると言われています。 フォームを最適化することで、コンバージョン率が上がり、結果としてコンバージョン単価を下げることに繋がります。 具体的には、 ・フォームタイトルに入力のメリットや簡単さを明記する ・入力項目の数を必要最小限にする ・CTAで入力後のアクションを明示する などの施策があります。 ④アドフラウド対策ツールの導入 アドフラウドとは、不正な広告表示やクリックによって広告費用を騙し取る行為のことです。 例えばディスプレイ広告の場合、広告が表示・閲覧されるごとに、その広告を掲載していたサイトに報酬が渡されます。ところが、適正な流入がない不正サイトで広告を表示させていた場合、その報酬はその不正サイトの運営者に渡ってしまいます。 こうしたアドフラウドを対策するツールを導入することで、無駄な広告費を削減することができ、費用対効果を高めることができます。 ヒートマップ導入後、2カ月でCPA50%減!株式会社キャンバス様の事例 ここからは、実際にヒートマップを用いてCPAを改善した事例をご紹介します。 行った施策は4つあるので、それぞれについて解説していきます。自社でも取り組めそうな施策があれば、ぜひ取り組んでみてください。 ①料金プランの内容を充実させる ユーザーの熟読行動を可視化するアテンションヒートマップを見ると、料金プランがよく読まれていることが判明。 そこで、ユーザーが料金やプランの内容を知りたがっているのでは?と仮説立てを行い、内容を充実させ、見やすいレイアウトに変更しました。 ②CTAを目立たせる 元々潜在層に向けて、ページ下部にホワイトペーパーダウンロードの導線を用意していましたが、クリックヒートマップで確認したところ、思ったよりクリックされていないことが判明。ユーザーに気づかれていないのでは?と仮説を立て、ボタンを赤色に変更し、誰もがクリックできると認識できるデザインに変更したところ、このバナーのCTRが4%上昇しました。 ③FVでサービスメリットを訴える FVのコピーテキストを、メリットや合理性、信頼性など、サービスを利用することによって得られる価値に焦点を当てて訴求を変更。これにより、FV内のCTRが4%上昇しました。 ④準顕在層向けのCTAを増設する 「すぐにお問合せしたいわけではないが、ホワイトペーパーに書かれていること以外も興味がある」という顧客に向けて、セミナー導線を設置。これにより、コンバージョンの幅が広がり、より多様なフェーズの顧客のリードを獲得できるようになりました。 この4つの施策を行った結果、2ヶ月でCPAを50%減らすことに成功。費用対効果が上がり、売上に大きく貢献することができました。 まとめ:CPAの改善ならミエルカヒートマップ 限界CPAは、Web広告の費用対効果を測る上で非常に重要な指標です。限界CPAを設定・認識することで、利益とのバランスをとりながら、効果的に広告を運用することができます。 ミエルカヒートマップは、CPAを下げるために必要なLP改善を支援するツールです。ページの中のユーザー行動を可視化することで、コンバージョンを増やすためのヒントを得ることができます。 CPAが下げられずに困っている方、CVRが上がらずに悩んでいる方は、ぜひ一度試してみてください。 ミエルカヒートマップを無料で試してみる 編集者情報 高田 愛 株式会社Faber Companyに新卒入社した後、自社ソフトウェアの開発ディレクション業務に携わる。現在は、ミエルカヒートマップのUI・UX向上や、ABテスト機能の開発、リリースした機能のプロモーション業務を中心に担っている。 この記事をシェアする