
Google検索『AI Overviews』とは、AIが生成する要約付き検索結果です。
旧SGE(Search Generative Experiences)との違いや新機能、使い方をわかりやすく解説します。
SEOやコンテンツマーケティングへの影響や検索結果の変化について詳しく知りたい方は必見です。
注:よく「AI Overview」と表現されますが、正しくは「AI Overviews」です。複数形のsがつくため、当社ではAI Overviewsと記載しています。
※参考:Google Search
※関連記事:LLMOとは? マーケに活かす5つの対策をわかりやすく解説
AI Overviewsとは?
AI Overviews(日本語名:AIによる概要)とは、ユーザーの検索クエリに対してAIが回答を自動生成し、Googleの検索結果のトップに表示する機能です。各段落の参照リンクから情報源となった参照元サイトに移動できます。

AI Overviewsは、当初はSGE(Search Generative Experiences)という名称で試験提供されていましたが、一般公開に伴い改名されました。
日本ではいつから始まったの?
AI Overviewsは、2024年5月に米国で一般公開され、2024年8月に日本でも一般公開されました。2025年1月時点では、AI Overviewsはまだ試験運用中です。
旧SGEとの違い
SGEは「Search Labs」から登録したユーザーだけが利用できる機能でした。しかし、AI Overviewsは登録していないユーザーでも、Googleアカウントにログインしていれば自動で利用できます。
また、AI Overviewsからの検索トラフィックはGoogle Search Consoleのレポート対象ただし、通常のウェブ検索とまとめてレポートされるため、区別はできない)。
※参考:AI Overview の Search Console での記録について | Google 検索セントラル
AI Overviewsに移行した後も、関連リンクの追加など改善、改良をGoogleは継続しています。
AI Overviews機能と使い方
ここでは、AI Overviewsの使い方や、今後有効になる予定の機能について説明します。
検索結果のAI要約表示・出典元の確認
個人用のGoogleアカウントにログインしていると検索クエリによってはAI Overviewsが表示されます(日本では、今のところWorkspaceアカウントではAI Overviewsは利用できない)。

また、各情報の参照リンクをクリックすることで、その箇所についての情報の参照元を確認できます。

さらに、参照元をクリックすることで、実際に参照元のサイトにアクセスできます。
「いらない」場合は非表示にできるの?
基本的にAI Overviewsを非表示にはできません。例外として、個人用のGoogleアカウントからログアウトする、または法人用のGoogleアカウントにログインしている際には、AI Overviewsは表示されなくなります。
今後有効になる機能
今後は以下の機能が使えるようになる見込みです。
- 3つのモードの切り替え
- 複雑な質問への回答
- 計画の立案
- 情報の整理
- Googleレンズの動画を用いた検索
- 広告の掲載
それぞれ簡単に説明していきます。
1.3つのモードの切り替え

「Original」「Simpler」「Break it down」の3つのモードを切り替えることができるようになります。初期状態が「Original」です。「Simpler」を選択すると概要を簡略化でき、「Break it down」を選択することでより詳細な概要が表示されます。
2.複雑な質問への回答
SGEに比べてより複雑な質問に回答できるようになります。
たとえば、「港区でおすすめのホットヨガスタジオを探して、入会特典と神谷町駅からの徒歩での移動時間を教えてください」といった複数の条件を含んだ質問に回答してくれるようになります。
3.計画の立案
AI Overviewが食事や旅行などの計画を作成してくれます。
たとえば「大人数向けに簡単に作れる3日間の食事プラン」などで検索すると、3日分のレシピを紹介してくれます。加えて「3日目の夕食を野菜料理に変更」するなど、プラン内容を簡単にカスタマイズできます。さらには、プランをドキュメントやGmailに簡単にエクスポートできるようになります。
4.情報の整理
アイデアやインスピレーションがほしいときに、AI Overviewsブレインストーミングを行うことができます。
5.Googleレンズの動画を用いた検索
撮影した動画に対して質問することで、AI Overviewsがトラブルシューティングの手順とリソースが記載された概要を表示してくれます。
たとえば、中古のレコードプレーヤーを購入したのに、電源を入れても作動せず、針がついた金属部分が動いてしまうことがあります。そういった文字では説明が難しい問題を、実際にGoogleレンズで動画撮影して質問をすることで、AI Overviewsが適切な情報を返してくれます。
6.広告の掲載
購買関係のクエリ(Buyクエリ)のAI Overviews内にショッピング広告が掲載されます。

2024年の10月に米国のモバイル検索で正式公開されましたが、筆者が実際に調べたところ広告は確認できず、表示されるクエリはごく一部に限られるとみられます(2025年1月時点)。
直近で実装された機能
2024年に実装された Circle to Search(かこって検索)機能で、新たにAI Overviewsが表示されるようになりました。丸で囲んだりタップすることでCircle to Searchで検索でき、その概要をAI Overviews が生成します。
※Circle to Searchは、Google Pixel 8 や Google Pixel 8 Pro など、一部の Android スマートフォンにのみ実装されています(参考:Google Japan Blog)
AI OverviewsがSEO、コンテンツマーケティングに与える影響
AI Overviewsはユーザーにとっては便利な機能ですが、一方でサイト運営者としては自社サイトへの影響はどうなるかが気になります。ここではAI OverviewsがSEOやコンテンツマーケティングに与える影響について考察します。
ゼロクリック検索とトラフィックへの影響
AI Overviews上でユーザー行動が完結する、いわゆる「ゼロクリック検索」が増加し、ウェブサイトのトラフィック減少が予想されます。
また現状では、Google Search ConsoleではAI Overviewsのクリックと表示回数、掲載順位は Search Console にレポートされる一方で、どのデータがAI Overviewsによるものか特定できません。加えて、法人用のGoogleアカウントにログインしているとAI Overviewsが表示されないため、自社サイトがAI Overviewsに表示されていることに気づけない可能性があります。
コンテンツマーケティングの目的の変化
ゼロクリックによるトラフィックの減少が加速していくにつれて、言葉の意味を知りたい、疑問や悩みを解決したいといった、いわゆる情報収集型のクエリ(Knowクエリ)で検索してきたユーザーニーズにしか対応できないコンテンツマーケティング施策はトラフィックを減らしていくことになるでしょう。
一方で、言葉の意味などに加えて、関連するサービス・プロダクトや、企業の取り組み事例を知りたいというユーザーニーズも一定数存在します。実際に、記事コンテンツに流入して、記事内で紹介している取り組み事例やサービスページ、自社の強み、会社概要などを経由することで、その後お問い合わせなどのコンバージョンにつながるケースは多く存在します。そういったユーザーが知りたい情報を用意し、自社の魅力を伝えていくことがより一層重要となっていきます。
また、Knowクエリでの流入が減少するに伴い、Do・Go・Buyクエリを対策する重要性は今以上に高まるでしょう。
※関連記事:Do・Know・Go・Buyクエリの解説についてはこちらから
加えて近年では、Do・Go・Buyクエリで訪れたユーザーにいかにコンバージョンしてもらうか(= CRO コンバージョン率改善 )が以前よりも注目されています。実際に、弊社でもUI/UXへの取り組みを重視しており、ABテストも可能なミエルカヒートマップやCV改善(CRO)コンサルティングへのお問い合わせは年々増えてきています。
※関連サービス:CV改善(CRO)コンサルティング
Do・Go・Buyクエリのようなコンバージョンに近いクエリの重要性がより高まっていくにつれて、如何にユーザーが行動しやすいように、コンバージョンしやすいようにWebサイトを改善していく重要性もさらに高まっていくでしょう。
自社サイトがどういったキーワードを対策するべきかをあらためて見直し、どうすればユーザーニーズを満たす情報を発信できるか、ユーザーに寄り添ったUI/UXにできるか、さらにはユーザーの興味関心にあったプロダクトやサービスを展開できるかが重要になっていきます。
AI Overviewsの今後と注目すべき点
ここまで紹介してきたAI Overviewsですが、2025年1月時点ではまだ試験運用中であり、前述した通り機能の一部は実装されていません。

また、AI Overviewsが表示されるクエリについても、現在では意味や方法を知りたい意図のクエリ(Knowクエリ)が中心であり、次のアクションを促すクエリ(Do・Go・Buyクエリ)ではほぼ表示されません。今後の本実装時にこれらの仕様が適用された際に、自社のサイトにどういった影響があるか、どのように対策していくかに注視していく必要があります。とくにDo・Go・BuyクエリでもAI Overviewsが表示されるようになった場合、いかに自社サイトをAI Overviewsに表示させるかが重要になってくるでしょう。
さらに上で紹介した機能以外にも、米国GoogleではAI Overviewsの様々なテストが行われています。
今後これらの機能が日本のAI Overviewsにも反映されていくか注目したいところです。
加えて現在では、Google Search Console上で通常のOrganic検索による流入とAI Overviewsによる流入を分けて計測することができません。現時点では未定ですが、今後Google Search Consoleの仕様が変わり、AI Overviewsの流入状況を分けて計測できるようになれば、現状の把握やどうすればAI Overviewsに表示されるようになるかの分析が進むと予想されます。
※ただしAI Overviewは長く複雑なクエリが多い傾向があり、個人を特定できてしまう可能性があることから、いわゆる「匿名化されたクエリ」として具体的なクエリ内容までは出してくれないことが推測されます。
※参考:匿名化されたクエリについて
AI Overviewsの実装にみるこれからのマーケティング施策
今後のAI Overviewsの浸透状況によっては、SEO以外の集客経路についても注力していくべきです。XやInstagram、YouTubeといった各種SNSマーケティング、メールマーケティング、ウェビナー・オンライン展示会や、リアルの展示会出展といったオフライン施策など、自社マーケティング施策の見直しを検討してください。
ただし気を付けておくべきは、現在のAI Overviewsの問題点としてAIが事実とは異なる情報を生成する「ハルシネーション」があります。実際に実害が出かねない事例も国内で確認されており、今後の品質について注目していきたいところです。
さらに概要を生成するAI Overviewsのほかにも、検索結果に会話型検索を提供するAIモードをGoogleが開発中である旨を海外の The Information が報じています。こちらについては弊社執行役員の鈴木謙一が運営する海外SEO情報ブログで詳しくまとめているのでぜひご確認ください。
※参考:Google、会話型検索を提供するAIモードを開発中か
このようにAI Overviewsはいまだ展開途中ですが、自社のウェブサイトの集客に影響をもたらす可能性がある機能です。アクセスの減少につながる可能性がある一方で、今後Do・Go・Buyクエリで表示されることでアクセスや売り上げの増加につながることも期待できます。
いかに自社の売り上げにつなげられるか、SEO以外のマーケティング施策も含めて見直すことを推奨します。
弊社の海外SEO情報ブログではAI Overviewsの最新情報を逐一紹介していきますので、そちらも今後の動向を知るために参考にしてください。早速ではありますが、2025年3月に米国では「AI Mode」という新しい検索が試験導入されています。今後の変動にも目が離せませんね。
※関連記事:LLMOとは? マーケに活かす5つの対策をわかりやすく解説
※関連サービス:Faber CompanyのGEO(通称AI SEO、LLMO)コンサルティング