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BtoBオウンドメディア最新10事例と成功ポイントを専門家が解説

公開日:2025.06.19

BtoB企業がコンテンツマーケティングで成果を上げるためには、自社でコントロールしやすいオウンドメディアの活用が不可欠です。筆者の知る限り、マーケティングに注力しているBtoB企業のほとんどがオウンドメディア運営に取り組んでおり、集客からリード獲得、ナーチャリング、CRM(顧客関係管理の仕組み)などに活用しています。しかし「コンセプトや記事内容がありきたり」「リード獲得だけが目的となり、ブランディングができていない」などの課題があるオウンドメディアをよく見かけます。

本記事では、BtoBビジネスにおける魅力的なオウンドメディアの最新事例とそれぞれの成功のポイントをまとめています。あなたのオウンドメディアのアイデア発掘にぜひご活用ください。

BtoBオウンドメディア成功のポイントとは?

しっかり成果を出すためには、明確な目的を決めてから運営することが大切です。

集客やリード獲得が目的の場合
ターゲット企業の購買プロセスと顧客接点に合わせたコンテンツ作成が重要です。カスタマージャーニーを描いて、フェーズごとにコンテンツを用意しましょう。
ブランディングや認知度、知名度UPが目的の場合
リード獲得が目的のケースと同様に、顧客の課題フェーズを整理した上で、解決策や利便性など感動を与えるコンテンツを企画していきます。

BtoBオウンドメディアで成功している企業の共通ポイントをまとめました。

  • 運営の目的が明確(リード獲得・採用・ブランディング)
  • 潜在顧客・見込み顧客に合ったテーマで高品質なコンテンツを配信している
  • 適切なCTAとコンバージョンが用意されている
  • 検索ニーズがある場合はSEOが施されている
  • SNSやメール、コミュニティを使って上手に配信している
  • 独自の方法でブランド力を表現している

これらを意識して、コンセプト設計から運営を行いましょう。

未経験でオウンドメディアを立ち上げる場合は、伴走してくれるコンサルティングを使うのもひとつの手です。コンサルタントに、運営の目的を伝えて相談してみてください。コンセプト設計からアイデアを出し合って進めていけます。

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2025年最新のBtoBオウンドメディア成功事例10選

ここからは、筆者が執筆現在(2025年6月)おすすめしたいBtoBオウンドメディアの事例を解説していきます。どれも魅力的なサイトなので、自社のオウンドメディア立ち上げ・運営のアイデア出しに役立つはずです。ブックマークして、時々見直してくださいね。

1)才流「メソッド」

※参考:https://sairu.co.jp/method/

BtoBの新規事業開発やマーケティング支援会社として定評のある、才流(サイル)が運営するオウンドメディアです。実務に役立つノウハウが体系的にまとめられており、幅広い層に支持されています。筆者のクライアントでもBtoBビジネスに携わる方々の多くがメルマガ登録をしており、「読むと参考になる」と愛読されています。記事をシェアされることも多く、筆者自身もよく読ませていただいています。

同社が運営するセミナーやホワイトペーパーも品質が高く、コラムコーナーだけでなく、サイト全体がオウンドメディアとして優れているところもポイントが高いです。実務で活用できるテンプレートや、汎用性の高いメソッド記事を同社のコンサルタントが執筆し、読みやすいように仕上げてから公開していることで、多くのファンを増やしていることが推察できますね。

才流の成功ポイント

①難しいテーマの記事でも、オリジナルの図版を使って分かりやすく制作しているので、シェアされやすい

※参考:超入門・ABMの基本知識から実践方法をまとめて解説【アカウントプランのテンプレート付き】

②大きなテーマは、「ガイド」という体系的にまとまった記事集や資料にしているため、テーマ内のメソッドを小分けに探すことができる

※参考:BtoBサイト改善ガイド

③多くの記事がホワイトペーパー(テンプレート)と連動しているので、読んで終わりにならず「使える」コンテンツになっている

※参考:新規事業計画書の作り方とプレゼン時の留意点【パワーポイントテンプレート付】

2)アナグラム「アナグラムブログ」「Marketeer」

運用型広告に強みを持つマーケティング支援会社・アナグラムは、2つのオウンドメディアを運営しています。アナグラムブログは広告運用の最新トレンドやノウハウ、業界ニュースまで幅広く網羅しており、現場目線の深い情報が特徴です。

筆者の知人でも広告運用に携わる方々の多くがメルマガ登録しており、筆者自身も広告の調べものをしているときはアナグラムのコンテンツを頼りにしています。
一方でMarketeerはさまざまな視点からマーケティング担当を取材・インタビューしてまとめた記事を掲載しています。切り口の面白さが注目の的となって、シェアされているシーンをSNSでよく見かけます。実務にも役立つという点でも評判が高く、2023年度のコンテンツマーケティング・グランプリでは「優秀賞」を受賞しています。

※参考:https://anagrams.jp/blog/https://marketeer.jp/

アナグラムの成功のポイント

①ペルソナごとにオウンドメディアを分けて運営(広告運用者/マーケティング担当・経営者)しているので、専門性の高いサイトになっている

②記事は社内スタッフが取材と執筆を担当し、PROFILEを記載したスタッフ紹介ページと連動することで信頼性を上げている

※参考:縦型動画広告で成果が出ないときに確認したい5つのこと

③SEO施策を意識した記事は、ブログTOPから固定リンクを設置して内部対策している

※参考:アナグラムブログTOP

3)NTTデータ「DATA INSIGHT」

※参考:https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/

こちらは大手IT企業のNTTデータが運営するオウンドメディアです。社会やビジネストレンドの変化に関する洞察、デジタル活用のノウハウと展望を発信しています。経営層・企画職向けの知的好奇心を刺激する構成が特徴的で、テクノロジーの社会実装を考えるヒントが得られるでしょう。2023年度のコンテンツマーケティング・グランプリにて「優秀賞」を受賞しています。

NTTデータの成功ポイント

①社員一人ひとりの実績や想いを綴ったページを丁寧に作成しているため、優秀社員が所属している優良企業のイメージが醸成できている

※参考:デジタル変革時代に求められる経営と事業をつなぐ組織と人材
日本企業のDX課題克服と競争力強化への実践的アプローチ

②各記事の読了エリアに自社トピック・実績を掲載することで、サービスページなどへ自然に送客している(よりクリックしてほしいCTAはボタンデザインで目立たせているのもポイント)

※参考:新市場を切り拓く「匂い」のデジタル化の未来とは?

4)LIG「LIGブログ」

※参考:https://liginc.co.jp/blog

Web制作やコンテンツマーケティング支援を手がけるLIGが運営するブログ。同社の成長とともに築かれてきた、長い実績を誇るメディアです。9,500本以上もの記事が蓄積され、月100件以上の問い合わせを獲得するなど、新規リードの9割以上をブログ経由で生み出しています

筆者自身も、時々公開される「おもしろ記事」に惹かれて業務とは関係なく読みふけってしまうことも。気づけば制作実績やサービスページまで自然に回遊している、導線設計の巧みさにも注目しています。同社はYouTubeにて「LIG CH(リグチャンネル)」も運営しています。

※参考:Wantedly:海外アワード複数受賞|ゼロから高いクオリティを生み出すWebデザイナー

LIGの成功ポイント

①自社広告であっても【AD】表示をしているため、誠実な企業イメージが醸成されている

※参考:「なんとなく」の価格設定が、デザインの価値を下げている。
これから独り立ちするみなさんへ

②CTAを記事ごとに個別に設けているため、読み手の課題に合っている

③PR記事も、ノウハウと遊び心を織り交ぜた切り口にしているためユニーク

※参考:プロフォトグラファー直伝・赤ちゃんを可愛く撮るコツ!小さなおじさんミフネ&ヨシダが月齢フォトに挑戦

5)i-plug「人事ZINE」

※参考:https://offerbox.jp/company/jinji-zine/

こちらは、新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を提供するi-plugが運営するオウンドメディア。新卒採用に悩む人事担当者…と、明確にペルソナを絞り込んでいるため、取り扱うテーマも深いものとなっています。

新卒採用戦略や学生の動向、ダイレクトリクルーティングの実践知など、役立つ記事が盛りだくさん。実務に即した内容と、図解やデータを用いた丁寧な解説、HR領域における学びと気づきを与えるコンテンツが揃っています。

さらにアンケート調査などを含めた一次情報をホワイトペーパーにすることで、上手にリードを獲得しています。

i-plugの成功のポイント

①季節や年度ごとに切り口を変えた独自調査を実施し、ホワイトペーパーにまとめてプレスリリースを打つことでリードと認知を効果的に獲得している

※参考:26卒 新卒採用 市場動向レポート(2024年冬版)

②ホワイトペーパーを豊富に制作しているため、各記事のテーマと連動して設置できている

※参考:面接で聞いてはいけない9つの質問例と注意すべき原則・対処法

③開催済みのセミナーもテキスト化・コンテンツ化して再利用することで、メディアとしての厚みを出している

※参考:5分で変わる 学生が“つい”話したくなる採用対話術|ベテラン人事に学ぶ現場ノウハウと実践

6)電通「電通報」

※参考:https://dentsu-ho.com/

広告業界大手の電通が運営するオウンドメディア「電通報」。広告・マーケティング領域の最新動向や電通の知見を発信しています。業界をリードする立場からの深い分析や、クリエイティブ・テクノロジー・社会課題にまたがる多角的な視点が特徴です。

電通の成功ポイント

①2013年の解説から圧倒的なコンテンツ量・更新頻度で継続している
(ちなみに2025年の5月は18本もの記事を公開。月100本更新していた時期もありました※)

※参考:ウェブ電通報・編集長 小川達也氏に訊く 質と量を保ち続けるオウンドメディア運営の秘訣とは?

②専門性と多様性を兼ね備えた執筆陣で、ますます信頼度を高めている

※参考:企業の枠を超え、行動を変える。 “従業員起点”の脱炭素アクションとは?

③課題解決型のオウンドメディアではないため、記事レコメンドではなく、著者レコメンドで回遊率を高め、ファンも増やしている

7)三菱重工「Spectra」

※参考:https://spectra.mhi.com/

総合重工業メーカーの三菱重工が運営するオウンドメディア「Spectra」。社会課題に対する技術の可能性や、未来への提言を発信しています。再生可能エネルギー、宇宙開発、モビリティなど幅広いテーマを取り上げ、大企業ならではのスケール感と社会貢献性が感じられるコンテンツが揃っています。技術と思想の両面から企業のブランド価値を伝えているのが特徴的です。

三菱重工の成功ポイント

①専門性の高い記事とホワイトペーパーで、先進性を提示している

※参考:グローバルでの認知向上を目的とした、三菱重工業「SPECTRA」の戦略的なオウンドメディアのアプローチとは?

②企業のビジョンを動画でエモーショナルに表現、文脈に合わせたホワイトペーパーを設置することでDLを自然に促している

例:缶のCO2排出動画→CO2の価値を捉えるホワイトペーパー

8)SHIFT「SHIFT Group 技術ブログ」

※参考:https://note.shiftinc.jp/

こちらは、ソフトウェアの品質保証を中心としたテスト・QA事業を展開するSHIFTが運営する技術ブログ。エンジニアによる実務視点のノウハウや事例が豊富に掲載され、採用広報やブランディングにも活用されています。記事内容の信頼性や設計力が高く評価され、2024年度のコンテンツマーケティング・グランプリで「グランプリ」を受賞。このブログがnoteを使って運営されているところも興味深いところです。

SHIFTの成功ポイント

①連結従業員数14,000人のうち約20人に1人が記事を執筆。分業体制と制作フローの確立によりコンテンツを内製化できているため、自社のアピールにつながる深いテーマで情報発信できている

※参考:三方良し!技術ブログが会社の文化になった運営の舞台裏

2024年には、約1500名のオウンドメディア担当者・編集者・ライターからなるコミュニティ「オウンドメディア勉強会」などが主催するコンテンツマーケティング・グランプリの技術ブログ部門でグランプリを受賞しています。

<審査員からの評価コメント>
技術ブログ部門でグランプリを受賞された「SHIFT Group技術ブログ」は、社員の約20人に1人が記事を執筆している(2024年12月末時点)という点が大きく評価されました。

②noteを活用することで、CMS構築コストを削減している

③オウンドメディアのカテゴリーに「求人」を設け、自社の採用に役立てている

9)KOO-KI「ケイシャのしゃべり場」

※参考:https://open.spotify.com/show/3bn3r0k8J9O5yT88uKRB5o

こちらは、映像制作会社KOO-KI(空気株式会社)が運営。今回紹介するなかで唯一の音声特化型オウンドメディアです。

声を活用するからこその親近感と臨場感を活かしたブランディングが特徴的。クリエイター同士のざっくばらんな対話を通じて、発想の裏側や制作現場のリアルを届けています。

従来の読み物型メディアとは異なる接点を築く試み。2024年度のコンテンツマーケティング・グランプリで「優秀賞」を受賞しています。

KOO-KIの成功ポイント

①社外ゲストを招いた多様なコンテンツ展開

※事業に無関係のテーマも多数配信されていますが、社員とのつながりからゲストを招いているところが好感ポイントです

②高品質な編集と巧みな会話進行で、聴きやすさのクオリティを維持している

優秀賞に選ばれた『ケイシャのしゃべり場』は、雑談スタイルの音声コンテンツでありながら、巧みな会話進行や編集力の高さで、数多くあるリクルート・広報コンテンツの中でも群を抜いているとの評価を得ました。

※参考:コンテンツマーケティング・グランプリ 2024

③質問・お便りをGoogleフォームで受け付けて番組で読み上げ、双方向コミュニケーションを実現している

10)FaberCompany「ミエルカマーケティングジャーナル」「ミエルカチャンネル」

https://mieru-ca.com/blog/
https://www.youtube.com/channel/UCH5BvLPax_uthxOIjf3uNtg

今お読みいただいているこの記事が掲載されている「ミエルカマーケティングジャーナル」も成功事例のひとつとしてご紹介させてください。

マーケティング支援ツール「ミエルカシリーズ」を提供するFaber Companyが運営するオウンドメディアです。YouTubeチャンネル「ミエルカチャンネル」も合わせて運営しています。実践的なSEOノウハウやトレンド、海外カンファレンスの内容を継続的に発信しており、理論と現場感のバランスが絶妙。筆者のまわりでもSEO実務者の多くが「ミエルカチャンネル」を視聴しており、業務の参考にしている声をよく聞きます。オウンドと動画を組み合わせた好事例です。

Faber Companyの成功ポイント

①テキストと動画による多層的な情報提供
※同じ内容を動画とテキスト両方で配信しています

※参考:Googleが本当に見ているSEO指標は?AI検索・LLMO時代の本質に迫る|リリー・レイ氏インタビュー

②実務者目線のコンテンツとテーマに合わせたCTA

③業界の第一人者とのインタビュー企画で「権威性(E-E-A-T)」の強化

事例を参考にオウンドメディアを成功させよう

今回ご紹介した10の事例の中に、気になる施策や取り組みは見つかりましたか?

成功しているメディアには、それぞれ明確な目的や継続の工夫、目標設定があり、それらに基づいて施策を行っています。「成功のポイント」を参考にしながら、自社のフェーズや課題に合った施策を取り入れて、オウンドメディアをより効果的に運営していきましょう。事例からヒントを得て、自社ならではの成功パターンを築いていただけると嬉しいです。

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本記事の著者
白砂 ゆき子
白砂 ゆき子
Webマーケティング シニアコンサルタント
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