2020年11月から一部のサイトを対象に、HTTP/2 でのクロールをGooglebotがサポートすることになりました。ざっくりいうと「効率的で高速の読み込み」が可能になります。ここでは従来のHTTP/1.1とHTTP/2では何が違うのか、どんなサイトが恩恵を受けるのか、わかりやすく解説します。
HTTP/2の導入でどんなサイトの何が変わる?
【2020年11月から】GooglebotがHTTP/2をサポート開始(HTTP/1.1との違い)
HTTP/2とは?
HTTP/2とは、私たちが普段使っているブラウザ(ChromeやSafariなど)と、ウェブページが公開されているウェブサーバーとの間で通信する仕組み(プロトコル)の新しいバージョンのことです。現在は1999年に公開されたHTTP/1.1というバージョンが一般的によく使われています。
これに代わって、一部のサイトを対象にHTTP/2 でのクロールもGooglebotがサポートすることになったとウェブマスター向け公式ブログで公表されました。
HTTP/2でブラウザとウェブサーバー間の処理速度が効率化
HTTP/1.1と、HTTP/2は何が違うのか。ブラウザとウェブサーバー間の通信速度が効率的になることです。
ブラウザを自分の家、ウェブサーバーを倉庫、ウェブページのリソースを荷物にたとえてみましょう。 私たちがブラウザにアクセスし、「このウェブページを見たい」とクリックした時、HTTP/1.1では自宅から一本の道路でトラックを運転し、倉庫に行き、荷物(画像やJavaScriptなど)を一つ一つ積んで自宅に持ち帰るような「単線」のイメージです。
一方、RFC(標準化されたインターネット技術の情報を網羅している文書)で、2015年に「RFC7540」として公開されたHTTP/2では、道もトラックも複数あるので、複数のリクエストを同時に処理でき、荷物が次から次に自宅に届きます。つまり、リソースの読み込みが高速になるのです。対象になったサイトを GooglebotがHTTP/2でクロールできれば、読み込みが効率的になり、Googlebot自体の負荷も下がります。これがHTTP/2のメリットです。
たとえばHTTP/2上で動作するgRPC(他端末のプログラムをリモートで実行するGoogleが開発した技術)を使えば、双方向ストリーミングや、1つのTCP接続に対する多重リクエストも実現できます。
HTTP/2の恩恵を受けるのは大規模サイトのみ
すでにApache、Nginx、IISなど世界的なシェアを占めるウェブサーバーではHTTP/2に対応しています。メリットを受けるのは主に、ECサイトや、不動産や旅行サイトのように、多くのページがあり、それぞれに画像をたくさん掲載しているような配信リソース量の多いサイトです。裏側でJavaScriptをたくさん動かしている場合などもインデックススピードが上がることが期待できます。
一方、画像を数枚貼り付けただけのようなページが多い、小規模サイトや個人のブログなどでは、HTTP/2でほとんど影響を受けません。
HTTP/2の恩恵を受けるのはSSL対応サイトのみ
上記に加え、HTTP/2のクロールは、暗号化(SSL)が行われたHTTPSの通信上でしか作動しません。サイト自体のSSL対応をまだしていないサイトは最近ではほとんど見なくなりましたが、万が一まだの場合はHTTPSにしておくようにしましょう。
GooglebotのクロールがHTTP/2対応になるとランキングに影響する?
直接ランキングに影響することはありません。コアウェブバイタルはChromeユーザーのレポートのみをもとに生成されているので、GooglebotのクロールがHTTP/2で行われるようになったからといってランキング要因に使うスコアは良くなるわけではありません。
サイト自体がHTTP/2対応になるとコアウェブバイタルにも影響がある?
HTTP/2で配信速度が速くなることは、ページの表示速度も速くなります。Googleが検索ランキングを決める際、近年特に重要視しているページ品質評価指標の新しい指標「core web vitals(コアウェブバイタル)」のうち、メインコンテンツの表示速度を測る指標・LCP(Largest Contentful Paint)、流入したページでユーザーが初めてアクションするまでの反応速度を図る指標・FID(First Input Delay)でも良い影響が期待できます。
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Googlebotが自分のサイトをHTTP/2でクロールしているか知る方法は?
あらゆるサイトがHTTP/2 クロールで恩恵を受けるわけではなく、利点があるとGoogle が判断した一部のサイトを対象に HTTP/2 で Googlebot がクロールし始めます。
確認方法は2つあります。
1.Googleからの通知で確認する
Googlebot がHTTP/2 でクロールし始める際には、Search Console(サーチコンソール)経由で通知するとGoogleが公表しています。
2.サーバーログで確認する
ページの更新、ブラウザから通信してきたクライアントなど、ウェブサーバー上での活動によって自動的に生成されるログファイルに、このように表示されます。
まとめ/小中規模のサイトにはほぼ影響なし
GppglebotがHTTP/2対応でクロールするようになっても、小中規模のサイトにはほぼ影響がありません。というわけで今回は、大規模サイト向けのちょっとうれしいニュースでした。
参考記事☑︎GooglebotがHTTP/2を2020年11月からサポート開始、より効率的なクロールを可能に
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動画出演者PROFILE
株式会社 Faber Company 取締役 Search Advocate(サーチ・アドボケイト)。「海外SEO情報ブログ」の運営者。正しいSEOをウェブ担当者に習得してもらうことをミッションに掲げている。検索関連のカンファレンス/イベントの取材やセミナーでの講師が Faber Company での主な役割。最近では、海外カンファレンスでの登壇も経験している。海外SEO情報ブログは、日本では、最も有名な SEO をテーマにしたブログの1つ。Google 公式ヘルプコミュニティのプロダクトエキスパートとして認定を受けており、Google 社員とのつながりも深い。