この記事では、SEO 初級者からよく聞かれる質問についてアドバイスします。今回取り上げる質問はこちらです。
URLを変更したときは、検索エンジンの評価を古い URL から新しい URL に引き継ぐために 301リダイレクトで転送します。
※筆者注: URLの転送に関しては、Google検索においては推奨は 301リダイレクトだが、302や308などのリダイレクトも利用可能。 300番台のHTTPステータスコードを返せば最終的には301と同じように扱われる。詳細は検索セントラルサイトの技術ドキュメントを参照。
こうしたテクニカル SEO に関する次の 2 つが質問のテーマです。
- 301 リダイレクトで評価の引き継ぎが完了するまでにはどのくらいの時間がかかるのか?
- 301 リダイレクトはいつまでかけ続ければいいのか?
まず、それぞれの回答を簡潔に述べると次のようになります。
評価の引き継ぎが完了するまでにはどのくらいの時間がかかるのか
⇒ 回答: サイトとページの状況によって異なる。数日から、数週間、1年ほどかかる場合もありうる。
301 リダイレクトはいつまでかけ続ければいいのか?
⇒ 回答: 理想は可能な限り長く。Google検索においては、最低1年。
それぞれを詳しく説明します。
301 リダイレクトで評価の引き継ぎが完了するまでにはどのくらいの時間がかかるのか?
301 リダイレクト(や、そのほかの方法)でURLを転送したときに、転送元のURLの評価が転送先のURLに引き継がれるまでにかかる時間は一定ではありません。サイトの規模(URL数)や、ページの状況によって異なります。
リダイレクトはURL単位で処理されます。URLを変更するページが1ページなら、Google側の処理は数日で完了することもあります。一方で、何十万、何百万ページもある大規模サイトの全ページのURLを変更したなら、サイト全体の移転処理が完了するまでには1〜2か月かかることは珍しくありません。
一般的に、URLが変わったことを(リダイレクトによって) Googleが認識し、移転処理を実行するには 数回の再クロールが必要です。サイトのトップページのように頻繁に Googlebotが訪問するようなページは、2〜3日で数回クロールされるでしょう。つまり、クロール頻度が高いページほどリダイレクト処理の完了は早くなります。
対して、アーカイブカテゴリに入っているような古いページのクロール頻度は数か月に1回程度かもしれません。数回のクロールには1年近くかかりそうです。つまり、クロール頻度が低いページの移転処理にはより長い時間がかかるのです。
移転処理を早めるために
移転処理を早めるためにできることがあります。
アドレス変更ツールの利用
サイト移転に際しては、Search Console のアドレス変更ツールを利用できます。アドレス変更ツールを使うと、サイトのドメイン名を変更したことを Google に通知し処理を促進できます。
ただし、アドレス変更ツールはドメイン名の変更にのみ利用できます。ドメイン名の変更を伴わない移転や単一の URL の変更、http からhttpsへのアドレス変更などには利用できません。
アドレス変更ツールの詳細についてはヘルプ記事を参照してください。
サイトマップの送信
通常、インデックス対象のURLをサイトマップに記述します。転送元のURLは、転送によってインデックスされなくなる(=検索結果に出なくなる)ので、サイトマップに記載すべきではありません。しかしながら、クロール対象のURLをGoogleに伝えるという点で裏技的に利用できます。
サイトマップに記載したからといって、すぐに、必ずクロールされる保証はありませんが、再クロールのリクエストに役立つことがあります。
URLの移転処理が完了したことを確認できたら、転送元URLはサイトマップから削除します。
301リダイレクトはいつまでかけ続ければいいのか?
301リダイレクトの継続期間は 2つの側面で回答が別れます。
Google検索だけを考えた場合
Google検索のことだけを考えるのであれば、最低でも1年間継続すればリダイレクトを解除できます。
この「1年」という数字には、リダイレクト完了までにかかる期間のところで触れた、移転処理に必要な再クロールの回数が関わってきます。どんなにクロール頻度が低いURLであっても、1年もあれば3〜4回程度はクロールされるはずです。なので、最も時間がかかる場合に合わせて、1年という数字を Googleは提示しているようです。クロール頻度が高いページであれば、ひょっとしたら1年ではなく、1週間でリダイレクトを解除しても問題ないかもしれません。とはいえ、確実性を考慮に入れると1年が安全なのです。
少し余談ですが、Googleはリダイレクトを1回検出しただけでは移行処理を実行しないようです。その訪問のときだけリダイレクトしていたのかもしれず、次に訪問したときには別のURLに転送せずに通常どおりにページを表示する可能性もあります。リダイレクトしていることを確信するために数回のクロールをGoogleは必要とするのだと推測できます。
リダイレクトの設定期間が1年を過ぎたら、リダイレクトを解除できます。リダイレクトがなくなっても、転送元 URLの評価は転送先URLに引き継がれたままです。
ドメイン移転した場合で、もし、元のドメイン名で新しいサイトを公開したとしたら、Google検索では完全に新しいサイトとしてのスタートになります。同じドメイン名であっても、以前にそのドメイン名で公開されていたサイトの評価が影響することはありません。同様に、転送先のサイトに影響を与えることもありません。
ユーザーのことも考えた場合
Google 検索だけのことを考えた場合はリダイレクト継続期間は 1 年でいいのですが、ユーザーのことも考えた場合は、なるべく長く、理想は半永久的にリダイレクトを継続したいものです。
リダイレクトを継続したい理由は、古いURLにアクセスしたユーザーを新しいURLに自動的に転送するためです。たとえ検索エンジンの評価が完全に移ったとしても、転送を解除してしまったらユーザーは転送先のURLにはたどり着けません。404エラーページが返されるかあるいはまったくアクセスできないでしょう。もっと悪いケースとしては、放棄したドメインをほかの人が取得すれば、完全に別のサイトのページが表示されてしまいます(ときどき発生する、有名サイトの中古ドメイン問題)。
元のURLにアクセスするユーザーがもう絶対にいないと断言できるのであればリダイレクトを解除して構いません。しかし、元のURLにアクセスするユーザーがいそうな状態では、1年を過ぎてもリダイレクトを継続することを推奨します。もちろん、ドメイン名の登録料が定期的にかかるので、コストとの兼ね合いにはなります。
- Gary 鯨理/경리 Illyes (@methode) on Twitter
- How long to keep 301 redirects? #AskGooglebot
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著者PROFILE
株式会社 Faber Company 取締役 Search Advocate(サーチ・アドボケイト)。「海外SEO情報ブログ」の運営者。正しいSEOをウェブ担当者に習得してもらうことをミッションに掲げている。検索関連のカンファレンス/イベントの取材やセミナーでの講師が Faber Company での主な役割。最近では、海外カンファレンスでの登壇も経験している。海外SEO情報ブログは、日本では、最も有名な SEO をテーマにしたブログの1つ。Google 公式ヘルプコミュニティのプロダクトエキスパートとして認定を受けており、Google 社員とのつながりも深い。