こんにちは。普段はテレビ局でマーケティング業務や、個人で企業のマーケティングの支援などを行っている明坂です。前回、企業でYouTubeを始めとした動画コンテンツを作るなら、戦略を考える上で抑えておきたい観点という記事を書きました。
▶SEOとはどう違う?企業が動画オウンドメディアを作るときに押さえるべき観点
ざっくり言うとYouTubeなどで動画コンテンツを始めるなら、企業のサービスやプロダクトとしてどのようなことをユーザーに期待しコンテンツを作るかを決め、コンテンツの企画や成果の検証をしましょうという話でした。今回はサービスのプロモーションとしてYouTubeチャンネルを活用する場合、どのようにして再生数や登録者数を伸ばすのかというケースでのYou Tubeマーケティング戦術、始め方について解説します。
目次
You Tubeチャンネルを0から立ち上げるときのポイント
誰もがチャンネルを立ち上げたときは登録者0人。当然、その状態で動画をアップロードしたところで、視聴者がひとりでにチャンネルページに訪れてくれるわけではありません。仮に、視聴した人が100%高評価を押したくなるような超絶面白い動画だったとしても、見てもらわなければそれも伝わりません。
そんな状態でアプローチする手段として3つのことが考えられます。
1.既存の顧客にお知らせする
既にサービス(製品)に顧客がいて、例えばメールマガジン、Twitterの公式アカウントなどこちらからお知らせすることが可能であるなら、その資産を使うことが最も確実に行える手段です。
新規顧客向けのコンテンツを既存顧客にオススメしてしまう状況にもなりえますが、もしそのサービス(製品)に愛着のある顧客であれば、別の新規顧客にオススメしてくれる可能性もあります。
2.SEOを意識した、検索ニーズのあるコンテンツを作る
YouTubeで動画を見るとき、皆さんはどのように動画を見るでしょうか。トップページや登録チャンネルのタイムラインを見て、普段良く見ているチャンネルの新着動画や、世の中で話題になっている動画を選択することもあると思いますが、上部の検索ボックスにキーワードを打ち込んで動画を検索することも多いのでは無いでしょうか。Googleをはじめとした検索エンジンだけでなく、Twitter、Instagram、TikTokと言ったSNSでも多くの方がキーワードを打ち込んで検索をします。YouTubeにおいても同様です。
私は先月からペットとしてツノガエルを飼育しはじめたのですが、最初どのように餌を与えたら良いのかわからず、Googleで検索するもいまいちテキストだと理解できない部分がありました。そこでYouTubeで検索すると、多くのカエルを飼育している人の動画が見られ、大変参考になりました。
10年前と違い、検索と言えばGoogleやYahooというわけではなく、様々なプラットフォームに分散してはいますが、人々はそれでも様々なプラットフォームで検索を駆使しています。YouTube上で検索されているキーワードを把握し、そのキーワード(クエリ)に相応しいコンテンツを企画することで、検索ニーズが存在し続ける限り継続的に新たな視聴者に露出する機会が得られます。
※どのようにキーワードを把握するのか、キーワードを把握できたとして検索結果に上位表示されるためにはどうすればよいかについては後述します。
3.レコメンド、関連動画で露出しやすくする
YouTubeを利用している方は実感されていることと思いますが、普段よく見ているコンテンツに親しいテーマのチャンネル及び動画がトップページなどでレコメンドされます。
レコメンドや関連動画に表示される動画は、高いエンゲージメント(平均再生時間が長い、高評価やコメントが多い)を持っている傾向が強いので、ある程度視聴された動画であることが前提になりますが、タイトル、概要、タグといった情報を元に同じようなテーマであることをアルゴリズムが判定し表示されています。
自身のコンテンツが適切なテーマ、内容としてアルゴリズムに理解されるよう、タイトルや概要にキーワードをセットします。タグは、スペルミスや言い換えを把握するのに役立つことがあるとヘルプでも記載があります。
参考:https://support.google.com/youtube/answer/146402?hl=ja
4.ショート動画を活用する
タイトルやタグにて動画のテーマを適切に設定することで、レコメンドや関連動画に表示されやすくなりますが、前述の通り既に高いエンゲージメントを獲得している動画のほうが表示機会は多くなります。
これはYouTubeというメディア側の視点に立つと、限られた動画の表示スペースに表示する動画は、より高い評価を得ている実績のある動画を表示したいであろうことは当然です。しかし、そうなると既にファンや高い評価を持っているチャンネルは表示されやすく、評価のない新規チャンネルは表示されづらくなってしまいます。
そんなときに活用しがいがあるのがショート動画です。
YouTubeアプリのショートタブなどから視聴でき、1分以内の動画をTikTokのように上下にスワイプしながら次々と見ることができます。その手軽に多くの動画を視聴できるインターフェース故に、レコメンドのアルゴリズムも高いエンゲージメント実績のある動画だけでなく、新規の動画にも一定表示機会が与えられる傾向があります。1分という制約があり、すぐに次の動画にスワイプで送ることもできるため、それ用に動画の内容や構成をアレンジする必要はありますが、新規チャンネルでも一定のリーチが得られることや短尺故に制作コストも圧縮できることもあり、新規の視聴者獲得手段として有効にです。
ツールを活用して、効率よくニーズを把握する
検索ニーズを把握するために効果的なのはサジェストをよく観察することです。
サジェストとは検索ボックスにキーワードを打ち込んだときに出てくる複合キーワードのことで、視聴者がどのようなことを知りたいのかを検索キーワードから把握することができます。
FaberCompabyで開発しているYouTube向けマーケティングツールのドウガミエルカを使うと、サジェスト確認をはじめ、動画の企画に役立つ様々な機能がありますので、以下にて紹介させていただきます。
- 起点となるキーワード(ここの例ではワイヤレスイヤホン)とセットで出てくる単語をアルファベット、50音まですべて網羅的に調査することができる。
- 取得したサジェストキーワードの検索されている回数の多さが(Google検索を元に)把握できる
- 言葉ごとにグルーピングして、大きくどのようなテーマの広がりがあるかわかる
- キーワードで検索した際に結果に表示される動画の、平均再生回数、動画公開からの日数がわかる
例えば、「ワイヤレスイヤホン」というキーワードのサジェストネットワーク図を見ると大きく以下のように分類され枝分かれしていることがわかります
- オススメ → 使用者のオススメが知りたい
- 女性用(利用者別)
- iPhone用(端末別)
- インナーイヤー型(タイプ別)
- ノイズキャンセリング → ノイズキャンセリングの性能について知りたい
- コスパ → コスパを重視したオススメが知りたい
- ランキング → 人気の製品を知りたい
- ゼンハイザー、Bose、ソニー、ダイソー → メーカーごとの特徴を知りたい
- イヤーピース → オプションパーツについて知りたい
- 充電方法 → 使い方を知りたい
上記の内容を元に、オススメを紹介する動画を企画してもいいでしょうし、メーカーごとの機種の特徴を解説する、音質やノイズキャンセリングの性能を比較する。といったテーマの動画を作ることで検索経由でヒットする確率が高くなると言えます。
再生回数や投稿からの日数は、競合となる動画がどの程度検索されているか、どの程度新しいかを知ることができるため、例えば投稿から多くの日数が経っている動画しかない場合、最新の情報までカバーできていない可能性があり、更新した情報を盛り込むことでそれらの動画より上位表示を狙える余地があります。
当然、最終的にはコンテンツの価値、動画の面白さというところでの勝負にはなりますが、サジェストデータを把握することによって、より網羅的に漏れのない構成や企画を考えたり、今あるコンテンツよりもう一歩価値の高い企画を考える一助になるのではないでしょうか。
既存の動画の内容を把握する
また、動画ネタ分析機能では、指定したキーワードの検索でヒットする動画のタイトルや概要欄のデータを収集し、存在する単語から、どのようなテーマの動画が多いかを可視化することができます。他の動画の内容をカバーした上でもう一段ブラッシュアップすることや、他の動画に無いテーマを加えることで、視聴者が求めている期待に答えやすくなると思います。
右肩にあるQAサイトのトピック一覧は、YouTube上でヒットしている動画に出てくる単語と、Yahoo知恵袋などのQ&Aサイトでの質問に出てくる単語を比べ、Q&Aサイトのみに出てくる単語をハイライトしてくれます。Q&Aサイトではよく質問されているにも関わらず、解決するためのコンテンツがYouTube上に存在してないのであれば、もしかすると狙い目なテーマになりえます。
データを活用してクリエイティブする
前回の記事でも書きましたが、動画と言うのはテキストだけではなく、視覚や音、出演者がいるならそのキャラクターと言ったクリエイティブな要素も加えて面白さが決まります。
データを元に企画をするというだけではまだ道半ばで、そこに構成や演出、さらなるアイデアといったクリエイティビティを乗せることによって、より面白い動画になりえます。
攻めと守りのように例えるとデータ(守り)だけではダメですが、データがあることによって、心置きなくクリエイティビティ(攻め)に意識を向けられるようになると私は考えていますので、うまくツールを活用しながら企画を練ってみてはいかがでしょうか。
Faber CompanyではWebサイト改善の無料相談も受け付けています。ユーザービリティ向上についても承っていますので、お気軽にご相談ください。