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『タウンワークマガジン』 新村里佳編集長と対談。コンテンツ戦国時代にバイト世代の心をつかむメディア運営術│ミエルカ勉強会レポート

公開日:2018.06.21

当社取締役Founder・古澤暢央がゲストを招いてお送りする「ミエルカ勉強会」。今回はバイト世代に人気の『タウンワークマガジン』の新村里佳編集長をお迎えしました。インフルエンサーや漫画も活用しつつ若年層の心をつかむコンテンツで人気の同マガジン。その企画の出し方、PDCAの回し方など、メディア運営者にとって貴重なノウハウをお伺いしました。

新村里佳編集長プロフィール

株式会社リクルートジョブズ商品本部デジタルマーケティング室マーケティング部ブランドコミュニケーショングループ所属。コンテンツ・SNSチームのリーダーを担当しており、『タウンワークマガジン』、「フロム・エーしよ!!」などのメディアの運営をはじめ、動画マーケティング、SNS等によるリードジェネレーションを目的とした集客を担当。

タウンワークへの集客を目的としたオウンドメディア『タウンワークマガジン』

バイト探しにおなじみのタウンワーク。「Web版に馴染みは無いけれど、冊子のタウンワークは使っていた」という方もいるのではないでしょうか。『タウンワークマガジン』はアルバイト情報サイト(情報誌)・タウンワークの利用者を増やすことを目的に運営されています。
古澤「まずは、所属されている株式会社リクルートジョブズにおける、新村様の業務内容を教えてください」
新村氏「所属しているブランドコミュニケーショングループは、タウンワークなどリクルートジョブズが運営する求人媒体への集客を行うのが役割です。私はリーダーとして12名程度のメンバーを率いており、主に『タウンワークマガジン』の編集長としてオウンドメディアのコンテンツ制作の統括、動画やSNSを用いての集客施策などを担当しています」
古澤「『タウンワークマガジン』の目的を教えていただけますか?」
新村氏「一番の目的はタウンワークの利用者を増やすことです。WEBコンテンツをきっかけにタウンワークを利用してくれるカスタマーを集客することを目的にしているため、バイト世代と言われる15~24歳くらいの若年層をメインターゲットとしています。」

ストック型とフロー型のコンテンツをバランス良く配置。心理段階に合わせた広告を打つ

『タウンワークマガジン』の大きな特徴は、今すぐ役立つバイトのハウツー記事と、読み物として楽しめるエンタメ記事や企画の両方が揃っていること。その狙いや本数の配分について伺いました。
古澤「『タウンワークマガジン』を拝見したのですが、『バイトの探し方』や『バイト先への電話の仕方』『履歴書の書き方』といったコンテンツが充実していますよね。検索エンジンで『バイト 面接』や『バイト 服装』などのキーワードを入力しても、『タウンワークマガジン』の記事が上位に表示されています」

新村氏「はい、ありがとうございます」
古澤「一方で、気になったのが、エンタメ系や『胸キュン妄想ツイート漫画』などのコンテンツです。もちろん、読み物としては面白いのですが、『タウンワークや働くことに関係あるの!?』と思う方もいるでしょう。こうしたコンテンツを用意している狙いを教えてください」
新村氏「いずれアルバイトを探すタイミングが訪れる潜在層との関係構築が狙いです。というのも、私たちのターゲットである若年層は、一年中アルバイトのことを考えているわけではありません。長期休みに入るときやお金が必要なとき、今のアルバイトを辞めるときに『何かいいバイトが無いか探そう』と思うのです。そのタイミングでタウンワークを使っていただくためには、普段から彼らと接点を持っておくことが重要です」

古澤「だから、ハウツー記事のようなストック(時期を問わず価値が劣化しない)型だけでなく、こういったフロー(旬のニュースなど短期集中)型のコンテンツも用意されているのですね」
新村氏「はい。コンテンツの割合は、ストック型とフロー型がだいたい半々です。幅広いテーマのコンテンツを置くことで、カスタマーのアルバイトに対する検討具合も測ることができています。どのコンテンツを見ているかで、検討状態が予測できるので」
古澤「そのデータは何かに活用しているのですか?」
新村氏「パフォーマンス広告などの施策に活かしています」
古澤「なるほど。オウンドメディアを運営していると、ついつい目先のCVに繋がりやすいストック型コンテンツの量産に目を向けがちです。ここをきちんと両輪で回されているのは素晴らしい」
新村氏「近年、若年層はスマートフォンでの情報収集が主流になって、能動的に検索してではなくSNSにより受動的に情報を得て行動する方も増えています。だからこそ、SNSで拡散されるようなコンテンツも制作して、『今すぐ必要としてはいないけれど、いずれタウンワークを使うタイミングの来るカスタマー』に接触し続けなければいけない、と意志を持って運営しています」

〝インフルエンサー〟の見つけ方、交渉方法、企画の進め方

『タウンワークマガジン』では、〝インフルエンサー〟と呼ばれる、若年層から支持を集める方とのコラボ企画も多く実施されています。インフルエンサーの見つけ方、コラボレーションの交渉術についても伺いました。
古澤「ネット上で影響力のある〝インフルエンサー〟はどのように見つけますか?」
新村氏「私たちのターゲットは若年層なので、まずはSNSで『若年層から支持を集めているのはどういった方だろう?』と考えて地道に探していきます。みんなで協力して“アタックリスト”を作り、フォロワー数とSNSでの拡散力の相関などを見ながら、『ぜひ一緒に取り組みたい!』と思う方には1人ずつアプローチしています」
古澤「実際に見つけて連絡したとして、なかなかお返事はいただけないんじゃないですか?」
新村氏「半数くらいの方からはお返事をいただけます。そこから、競合他社のメディアで連載されていないかを確認したり、金銭的な条件をすり合わせたりして、お願いする方が決まっていきました」
古澤「そうなんですね。初めてアプローチするときはギャラ設定も難しいと思います。どのようにされていますか?」
新村氏「依頼前に、ある程度世の中の基準・相場を調べました。そして、『4コマのマンガでいくら』『ライティングなら3,000文字でいくら』『遠方取材だったら追加でこの費用』という風に、目安となる価格表を作ったのです。概ねこちらが提示した金額で快諾いただいています」
古澤「契約期間はどのように決めますか?」
新村氏「1コンテンツだけ・1カ月だけでは評価ができないと思っているので、まずは『1クールご一緒していただけないか』と打診します。そして、3カ月に1回、費用に見合う成果が出ているのかを見て、継続させていただくか否かの判断をしています」

古澤「『胸キュン妄想ツイート漫画』という企画はどのように生まれたのですか?」
新村氏「まず、Twitterでのフォロワーが10万人以上いる、若年層に人気のさえりさんという方を見つけました。彼女はTwitterの140字という制限の中で、胸キュンする妄想を考えて発表されている方です。Twitterで成り立っているコンテンツを、どのようにオリジナルコンテンツにすべきかを考えた結果、『アルバイトでの胸キュンシーン』に限定した漫画を描いていただこうと決めました」
古澤「文章ではなく漫画化して届けているという点も面白いですよね!」

新村氏「そうですね。最近はコンテンツ戦国時代のような感じで、面白い企画も山のようにあり、埋もれやすくなっています。もちろん、さえりさんのような人気のある方だといろんな媒体で文章を書かれているわけで。アルバイトというテーマ以外にオリジナリティを出すためにも、同じく若年層に人気の漫画家さんとコラボレーションすることで唯一無二のコンテンツとなり、集客力もさらに高まりました」

2時間で15~20本の企画を決めていく毎月の『企画会議』

『誰と』以上に必要なのが『何を』作るかの企画力です。『タウンワークマガジン』は、企画を内製化。短時間で大量の企画を決めてPDCAを回すため、どんどん社内にノウハウが溜まるのだそうです。
古澤「魅力的なインフルエンサーを見つけて、『この人と何かできないだろうか』と思うことはできても、オリジナリティのあるコンテンツを制作するのは簡単ではないと思います。企画はどのように決めていらっしゃいますか?」
新村氏「インフルエンサーの企画であれば、こちらからは『誰に何を伝えたくてこういったテーマは盛り込んでほしい』ということだけを伝えて、そのフレームに則った形で自由にコンテンツを発想してもらいます。一方で、ハウツー記事や季節に応じた特集などストック型の記事は、こちら側ですべて企画しますね」
古澤「企画会議などはあるのでしょうか」
新村氏「はい。毎週定期的に議論する機会を設け、毎月企画会議を行います。そこで、チーム一丸となって企画を考えます。弊社のオウンドメディアの強みの1つは、企画を内製化しているところ。自分たちでじっくり『若年層に受け入れられる企画』を考える時間を取ることで、メンバーに力が付き、社内にノウハウも溜まっていきます。インターンをしている大学生の意見もよく取り入れますよ」
古澤「それはいいですね」
新村氏「毎月の企画会議では、2時間ぶっ通しで、翌々月の企画15~20本とその骨子を全部決めています」
古澤「なんと!すごい。かなりのスピードで決めていかないと2時間で15?20本の企画を詰められないのでは?」
新村氏「その場でアイデアを話していると時間切れになってしまので、あらかじめ持ってきてもらった案を元に決めていく流れにしています。企画会議は、『誰に』『何を』『どのように』伝えるのか、『どのような読後感の記事にするのか』を調整していく場という感じです」
古澤「企画脳が鍛えられそうですね!」
新村氏「はい。もちろん、いい企画を元にして良質なコンテンツができても、読まれなければ意味が無いので、どのようにSNSで拡散するのかなども併せて考えます」
古澤「会議はどのような雰囲気ですか?」
新村氏「ピリピリした空気だと議論も活性化しないので、『否定をしない』雰囲気は大事にしていますね」

企画とともに大事にしている各コンテンツの振り返り・改善

『タウンワークマガジン』は、ただ面白いコンテンツをたくさん作るだけでなく、掲載した後の振り返りもとても大事にしているそうです。振り返りを言語化、数字化することで成功・失敗の理由がわかり、よりよいコンテンツづくりに活かすことができると新村氏は語ります。
古澤「『タウンワークマガジン』は、企画力はもちろんのこと、『探索と発見のサイクル』が機能している気がします。各記事で発見した気づきをきちんと次に活かしているというか…」
新村氏「企画をいくつも作っていると、SNSでどういったコンテンツが“バズる”のか、だんだんとわかってくるんです。集客力のある人気ブロガーさんや漫画家の方とコラボレーションしたものなどが一例です。他には、コミュニケーションにおける悩み解決に役立つ記事もPVが伸びます。そうした傾向がわかると、次に声を掛けたい方や今後制作すべきコンテンツのテーマが自ずと見えてきますね」

※クリックしてタウンワークマガジンへ

古澤「PDCAサイクルをきちんと回しているからできることですよね。言葉では理解できていても、実際に掲載したコンテンツの成果をしっかり追うことって、どうしても難しい。できない場合も多いので…」
新村氏「どういった仮説を持ってどんな施策を行い、その結果どのような結果になったのかを数値データで振返ること。数値化できないものはきちんと言語化すること。このPDCAを回すサイクルは、チーム内で徹底をしています」
古澤「仮説を持った上で振り返ることが大事ですよね」
新村氏「ええ。たとえ毎週モニタリングをしていても、仮説が無いと『今週はこういった結果でした』だけの報告で終わってしまい、意味がないと思うんです。仮説があるからこそ、『この数字の変化は一体何を意味しているんだろう』とか『もっと良くするにはどうしたらいいんだろう』ということを考えて、さらにPDCAサイクルを回していけるのかなと」
古澤「私のように、SEOに主眼を置いてきた人間は、SNSでバズる記事に対して、『暇つぶしで見られているだけではないか』とか『コンバージョンに繋がらないのではないか』と思ってしまいがちなんです。けれど、『タウンワークマガジン』では、それぞれのコンテンツを効果検証しているからこそ、即コンバージョンを意識してはいないけれど、ターゲットの心を捉えられる面白いコンテンツづくりに挑戦できるのだと思います」
新村氏「効果検証をして、フロー記事もきちんとその後の応募に繋がっていることが立証できています。だからこそ、カスタマーの方と1年中接点が持てるようにどんなコンテンツを作ればいいのかを全力で考えることができるのだと思います」
古澤「では最後に、『タウンワークマガジン』の今後の展望を教えていただけますか?」
新村氏「『タウンワークマガジン』の強みは、タウンワークの集客にどの程度貢献しているのかをきちんと可視化できているところだと思います。コンテンツマーケティングが事業に貢献できるのだという例を示すためにも、今後はよりコンテンツを見に来てくれる方を増やしてカスタマーのデータを蓄積し、新しい施策につなげていきたいですね」
古澤「たくさん勉強させていただき、とてもためになりました。『タウンワークマガジン』の今後も楽しみにしています」

編集後記:メディアPDCAの重要性

今回の勉強会を聞いて、『タウンワークマガジン』が面白い企画に次々と挑戦できるのは、1つ1つのコンテンツに対してしっかりとPDCAサイクルを回しているからこそと感じました。記事を更新し続けるだけではなく、それぞれの記事がなぜ読まれたのか、読まれなかったのかを仮説を立てて検証していく。その繰り返しによってノウハウが溜まり、次の企画を思い付くことができるのです。企画脳というと、斬新なアイデアを思い付けることといったイメージがありましたが、そうではなく、データを元に設計していく側面もあるのだと気付きました。
また、一見アルバイトと関連の無さそうなフロー型コンテンツの効果測定もしっかりと行って、長期的に見ると「タウンワークの利用」というCVに繋がっているとわかっているからこそ、自信を持ってコンテンツマーケティングに費用や時間を投下できるのだと感じました。
コンテンツマーケティングというと、「誰に向けてどのようなコンテンツを作るのか」に目が向けられがちですが、それと同じくらいに「振り返って次の施策に活かす」「しっかりと実績を追う」というPDCAのC(検証)とA(改善)が改めて大事だと教えていただきました。
おわり

著者PROFILE

井田 奈穂(いだ なほ)

記者、ライターとして活動後、大手英会話教材のWeb担当を経て、株式会社Faber Companyへ。広報としてミエルカ導入企業様の事例取材など発信業務を担当する。趣味は都内の銭湯めぐり。

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