2019年6月14日、Faber Companyセミナールームにてミエルカ分科会『記事ディレクション編』を開催。今回は『ライター100名と協働するマーケターが語る外部リソースを活用する新しいインハウスSEOの要諦』をテーマにフリーSEOエバンジェリストの石川優貴氏にご登壇いただきました。
「メディアは立ち上げたけど、どう運営していったらいいの?」「どうしたらライターさんが良い記事書きやすいの?」といった課題の解決策をお話しいただきました。
メディア運営は一部インハウス一部アウトソーシングがおすすめ!
まず、メディアの運営スタイルには大きく分けると
①完全インハウス
②一部インハウス、一部アウトソーシング
③完全アウトソーシング
の3つのパターンがあります。この中で石川さんがおすすめするのは②一部インハウス、一部アウトソーシングとのこと。
特にメディア立ち上げ時は外部リソースの活用がおすすめとのことでした。その理由は、専門家をアサインしながら自社ノウハウも貯められることにあるそう。日々更新されるGoogleの最新情報を専門家にキャッチアップしてもらいつつ、自社に経験や知識を貯めていけることが最大のメリットだそうです。また、コミュニケーションが取りづらいといったデメリットもチャットツールを活用することで解決できるのではないかとおっしゃっていました。
メディアコンセプト・ペルソナ設定を明確にする
メディアの運営スタイルが決まれば、次はメディアコンセプトの設計です。メディアコンセプトはメディアの軸となるものですので、非常に重要です。しかし、石川さんはそれと同じくらいペルソナ設定も重要だとお話されていました。そもそもSEOはユーザーが課題に思っていることを解決しようという話なので、“誰がどんな課題を持っているのか?”を把握するためにペルソナ設定は大事になってくるとのことでした。
現在、石川さんが参画していらっしゃる朝日新聞の動画メディア『Moovoo(ムーブー)』ではペルソナを「都会のビジネスパーソン30代中盤、電車通勤、車はカーシェアリング、共働きの妻と保育園に通う子と3人暮らし」と設定されているそうです。かなり明確に決めていらっしゃいますね。
成長戦略にはコンセプトと数字の2軸を保つ
次に、メディアの成長戦略についてです。成長戦略を練る上で、コンセプトと数字が大事になるそうです。石川さんご自身がクライアントさんと接していても、コンセプトか数字のどちらかに偏っている方が多い印象とのことでした。コンセプトと数字の2軸を保った上で成長戦略を練ることが大切だとおっしゃっていました。
KPIは自社のメディアのフェーズに合ったものを設定
そして、ビジョンを設計して最終的なゴールを決めたら具体的なKPIの設定です。メディア事業として数値化した明確なゴールを設定する時に、流入数やPVをおくところが多いかと思います。しかし、メディア立ち上げ後すぐはなかなかPVが伸びないもの。石川さん曰く「キーワード順位やSNSバズ指数、コンテンツ数等をKPIとして設定するのもいいのではないか」とのことでした。
各レイヤー毎にも数値化したKPIの設定
逆に立ち上げからしばらく経ったメディアの場合、PVをKPIに設定していると「PV増えてるけど、どれだけ会社に貢献してるの?」という課題にぶつかります。そこで石川さんがおすすめするのは「最初からCV数や売上に対する寄与率をKPIに設定しておく方法」。こうしておくことで、社内に対しても結果を示しやすくなるとのことでした。また、最終的なゴールの数字だけでなく、各レイヤーに数値化したKPIを設定することをおすすめされていました。外注で仕事を受ける編集者やライターさんは具体的な数値目標を与えられないまま、案件だけ依頼されることが多くあります。しかし、石川さんとやり取りしている100人近いライターさんのほとんどが「目標設定してほしい」そうです。数字を設定してあげることで、ライターさんもメリハリをもって楽しく仕事ができるのではないかとおっしゃっていました。
カテゴリー別にURLをグループ化して計測することでKPIを追いやすく
KPIを設定した後はKPIの追い方です。「基本的にGoogleアナリティクスとGoogle Search Console、SNSであれば公式の分析ツールでかなり数値がとれるので、ここのツールにお金をかける必要はあまりない」と石川さん。取ったデータをレポートにする際はリアルタイムで見るのか、毎週なのか、毎月なのか、といったどのくらいのスパンで見るかに合わせて作成すると便利とのことでした。フォーマットは担当者の方以外が見ても分かりやすいものにしておくのがコツだそうです。また、ライターさんにもデータを共有することで目標が明確化しモチベーションアップにも繋がるとのことでした。
ここで、サチコミエルカのおすすめの使い方もご紹介いただきました。ジャンルやカテゴリー別にURLをグループ化しておくことで、ジャンルやカテゴリー毎の変化が把握しやすくなるそうです。また、アルゴリズム変更の際にもどのジャンルにどんな影響が出ているのか見つけやすくなるとおっしゃっていました。
ライターさんの採用には口コミとスカウトに注力
続いて、ライターさんの見つけ方やライターマネジメントについてお話いただきました。
まずはライターさんの見つけ方。クラウドサービスのオープンプラットフォームではとにかくたくさん人が集まります。その中から良い人をどう見つけるか?そこで、石川さんは口コミとスカウトに力を入れていらっしゃるそうです。具体的には採用したライターさんに次のライターさんを紹介してもらうという方法です。この方法により、オープンプラットフォームからの採用では10%程度の定着率を90%程度に維持できているそうです。
採用のコツは、とにかく数を打つこと!時間がかかると思いますが、自動化するのもなかなか難しい・・・。石川さんご自身も時間をかけてライターさんとの信頼関係を築いているそうです。その際、石川さんは必ずテストをされているとのことなのですが、そのテストの1つがこちら。「桃太郎を50文字でまとめてみましょう!」。簡単そうに見えますが、実は意外と難しく、どこをまとめるか?結末をちゃんと調べているか?コピペじゃないか?等々チェックできるそうです。
信頼関係構築には、まめな連絡とFace to Faceの関係
次にライターマネジメント概論。まず大切にしているのは、こまめに連絡をとることだそう。石川さんはチャットでのやりとりにプラスして、遠方でも「◯◯に遊びに行くので会いません?」とできるだけ直接会いに行き、難しい場合はskypeなど、とにかく顔を合わせて話すことを大切にしていらっしゃるそうです。
また、案件ごとに全体連絡用のチャット部屋をつくったり、飲み会やテレワークで一緒に仕事をするなどリアルで集合したりして、ライターさん同士にチーム意識をもってもらい情報共有してもらっているとのことでした。進捗管理のやりとりも全体のチャットですることで、ライターさん同士が周囲の状況を把握でき、自分のペースも確認することができるので、ライターさんの不安を取り除く効果もあるそうです。
メディアビジョンや専門用語の“共通言語化”
その上で、数字や品質をどのように管理されているのでしょうか。
数字面ではライター別に記事の効果検証をされているそうです。具体的にはキーワードのジャンルや検索回数でカテゴリー化し、PVをチェック。効果の高い記事は全体に共有し、表現の仕方や書き方を他のライターさんに参考にしてもらっているとのことでした。品質面では、まず、そのメディアで何をしたいのかというビジョンを共有する。そして、大事にしているのは”共通言語化”。例えば、「クエリ」や「検索上位」といった言葉も共通認識として明確に定義付けし、言語化しているそうです。また、定量目標と定性目標を明示し、何が正解なのか発注の段階からはっきり分かるようにしているとのことでした。
社内にノウハウを貯めつつ、外部のリソースを活用する。メディア運営やライター管理について非常に参考になるセミナーとなりました。ご登壇いただいた石川さん、ご参加くださった皆様ありがとうございました!
おわり
著者PROFILE
大学卒業後、2019年に新卒第5期として入社。ウェビナー・展示会運営やメルマガ、ミエルカ事例取材・執筆などオンライン/オフラインを問わず幅広い施策を担当。学生時代、毎週30人以上の小学生の作文を添削していた経験から、読みやすい文章とは?について日々模索中。趣味はスポーツ観戦、読書、コロナ自粛をきっかけに韓国ドラマにハマり中。
>Twitterのアカウントは@ta_yumeko