社内のWebマーケティング関連の人材の育成や採用に苦戦している場合、副業人材を活用するのは一案です。専門性の高い人材を比較的安価に活用でき、なおかつ社内人材にとってはWebマーケティングのスキルアップのきっかけにもなります。
本記事では、副業人材にWebマーケティングを任せるメリットと注意点を完全ガイド。1つ1つ解説します。
目次
企業が「副業人材」に期待するスキルや働き方とは?
パーソルキャリアの調べでは、企業の担当者、もしくは決裁者が感じる「副業人材活用のメリット」は「期待する成果を得ることができる」(66.3%)、次いで「スキル・専門性を得ることができる」(64.0%)、「人手不足を解消できる」(62.5%)。
多くの企業の担当者は、副業人材活用に当たって「成果」「高いスキルや専門性」「人手不足の解消」を期待していることが分かります。
Webマーケティング職と「副業人材」の相性は良好
「高いスキルや専門性」「人手不足の解消」といった課題が生じやすいポジションの1つが「Webマーケティング」です。
GoogleやFacebook、Instagramなど主要プラットフォームのアルゴリズムへの正確な理解が求められ、競合サイトや競合アカウントの正確な調査スキル、「どれだけの投稿を作ればどれだけのPV数やフォロワー増加が期待されるのか」などのシミュレーション策定のスキルも求められます。
そうしたスキルを持つ人材は多くはなく、採用コストも高くなりやすいため、専門性が高い人材を「副業人材」として登用する余地が大きいです。
副業人材活用の第一歩の採用としても「Webマーケター」は優れた選択肢
2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、「モデル就業規則」から副業禁止規定を外したことから、副業解禁は国内でも進むようになりました。
とはいえ2018年に行われたのは、あくまで「モデル就業規則の改定」。現実的には副業人材の受け入れなどが十分に進んでいない企業も多いのでは。
そうした企業が副業人材を活用する第一歩として、採用するのに「Webマーケター」は優れています。Webマーケターの働き方はテレワークとの相性が良好であり、なおかつマーケターが立案するプランや各種データ分析の手法などに触れることは社内人材のスキルアップの機会にもなるためです。
副業人材のポジションに「Webマーケティング」が適している理由
副業人材の活用にあたっては「どのポジションで副業人材を採用するか」の要件定義は非常に大切です。たとえば「常駐が必要な業務」を副業人材に切り出すのは、あまり得策ではないでしょう。副業人材は本業が別にあるため、物理的に常駐が難しいためです。
前述の通り、副業人材を活用しやすいポジションには「Webマーケティング職」が挙げられます。専門性の高い人材を比較的安価に活用できるのが最大の理由です。
1つ1つ、より詳しく見ていきましょう。
テレワークとの相性が良い
まず副業人材は、基本的に「テレワーク」での稼働に適しています。
Webマーケティングの業務の多くは、各種分析ツールやSaaSを活用して行われます。オンライン上での業務の比重が大きく、オフラインでの業務は必ずしも多くはありません。またLP制作やコピーライティングといったクリエイティブな業務は、却ってテレワークの方が集中して良いアウトプットを形にしやすい側面もあります。
よってWebマーケティングはテレワークとの相性が良く、テレワークでの稼働がほぼ前提となる副業人材との相性も良好です。
社外人材だからこそ数値に基づいた「客観的な意見」を得やすい
Webマーケティングの業務の中心は、数値に基づいた各種調査や分析、シミュレーション策定とアクションプランの明示。そのアクションプランに「LP作成」や「記事の更新」といったクリエイティブ関係が含まれる場合は、それらも随時実施するといった形です。
とはいえ数値の分析には、しばしばバイアスがかかるものです。また必要な数値の計測体制が整っていない場合、「正しい分析ができない」という面もあります。社外の副業人材を使うことで数値に基づいた客観的な意見を得やすく、社内の意思決定もブレにくくなります。
正社員採用の難易度が高いポジションの1つでもある
Webマーケティングに求められる業務の幅は広く、必要なスキルセットも多岐にわたります。十分なスキルや専門性を確立しており、なおかつコミュニケーション力も高い人材は「貴重」でもあります。
業務の幅が広く、専門性も高く、コミュニケーション能力も求められる職種のため、中途採用の難易度は比較的高いです。
加えてマーケティング業界において優秀な人材は、本業で得たスキルを「副業で活かそうとする人」や、独立して「フリーランスになる人」が多く、かつ転職活動はリファラル採用で進むケースがほとんどです。よって優秀な人材が、そもそも中途市場にあらわれにくい一面があります。
よって中途採用に時間とコストをかけるのであれば「副業人材に業務を切り出す」のは1つの案です。
人材育成の難易度も高め:社内人材のスキルアップのきっかけになる
前述の理由で、Webマーケティングの経験が浅い社員を対象とした「育成」難易度も高めです。副業人材が作成した資料や、各種分析の根拠、また実際の運用フローなどに触れることは社内人材のスキルアップのきっかけにもなるでしょう。
「週3稼働」などの契約によってコストを抑制しやすい
副業人材の稼働日数は、土日などを中心に「週2日~3日」前後。月40時間~60時間前後が一般的です。週5日のフルコミットよりもコストを抑制しやすく、正社員であれば月60万円~70万円級の人材を、月20万円などの費用感で活用しやすいです。
人件費を変動費に計上できる
副業人材の人件費は、固定費ではなく「変動費」に計上されます。副業人材の積極的な登用によって、人件費を変動費に計上すると「損益分岐点売上高」が引き下がり、経営状態が改善する可能性があります。
より詳しくはこちらの記事で、解説しています。併せて参考にしてください。
副業人材に依頼すべき具体的なWebマーケティング職の例
副業人材に依頼すべき具体的なWebマーケティング職の例を、3通りほどご紹介します。
SEOコンサルタント
SEOコンサルタントの役割は、その企業のコーポレートサイトやオウンドメディアに対する検索経由の流入やコンバージョン数を最大化するための各種分析と施策実行です。あくまで一例ですが、SEOコンサルタントの動き方の例は以下の通りです。
SEOコンサルタントの業務は競合サイトの分析やキーワード調査、各種コンテンツ制作、効果測定など「オンライン上での業務」や「調査」「レポーティング」などの比重が高いです。よってテレワークとの相性も良く、副業人材の登用もしやすいです。
より細かな業務内容や単価目安などは、こちらの記事で詳しく解説しています。
リスティング広告運用
リスティング広告運用の役割は、その企業のサービスサイトやLP(ランディングページ)への検索連動型広告経由の流入やコンバージョン数の最大化です。
ただし近年はリスティング広告のクリック単価は高騰している傾向にあります。月々の広告予算が数百万円~一千万円以上という企業も珍しくはありません。
だからこそ、広告の出稿内容にミスがあったり、LPから期待していたほどのコンバージョンが得られていなかったりした場合は早期に修正を行うことが大切です。
副業人材にリスティング広告の運用を依頼する際は、キーワード選定やLP制作、LPの改善案の立案などを一任しつつ、緊急的な対応は社内で巻き取るといった役割分担を事前に明確化しておきましょう。
SNS運用代行
自社のTwitter、InstagramやTikTokなどのSNSアカウントの運用を、副業人材に一任するのもおすすめです。企業のSNSアカウントの運用は広報担当者が行っていたり、兼任など片手間で運用したりするケースが多いですが、マーケターに一任することで競合アカウントの分析から「伸びる投稿の作成」まで任せることができます。
「社内の写真」などが必要な場合は広報担当者が引き続き内製しつつ、副業人材に各種調査・分析やレポーティング、一部の投稿作成などは一任するのも良いでしょう。
副業人材のWebマーケターに案件を依頼する際の「単価目安」
先にご紹介した3つの職種の単価目安も、一例としてご紹介します。なお実際の働き方や単価感は、工数やコミット数によっても大きく変わりますので、あくまでも目安とお考えください。
SEOコンサルティング:月30万円~
弊社「ミエルカコネクト」のマーケターの場合、SEOコンサルティングの月額はおよそ30万円~。30万円前後の見積もりの場合、最初の数か月で依頼されたサイトの現状分析と競合調査、キーワード調査などを完了。並行してサイトのレポーティングを毎月のタスクとして設定し、以後は毎月レポーティングを行う形が多いです。
加えて定例MTGを設定して、質疑応答などにも応じつつ、コンテンツ投下が必要な場合はコンサルティングの一環として記事構成のアドバイスなども行うといったケースもあります。
リスティング広告運用:月30万円~
リスティング広告運用代行の月額の目安もおよそ30万円~。30万円前後の見積もりの場合、月々の広告予算に応じたキーワード選定を行った上で広告文作成と配信設定を実施。以後は配信実績やコンバージョン数を毎月レポーティングしていく形が多いです。
SNS運用代行:月20万円~
SNS運用代行は直接的な成果が見えづらいため、運用代行の予算自体があまり確保できないケースが多いですが、予算目安としては月20万円~は見ておきましょう。20万円前後の見積もりの場合、1日1投稿~数投稿の投稿作成に加えて、月々のインプレッション数やエンゲージメント数のレポーティングの実施といった形が多いです。コンセプト設計から、SNS経由での集客・売上に繋げるなどより高度なレベルを求める場合には月30万円以上になってくるでしょう。
副業人材のWebマーケターを採用するには?具体的な探し方
副業人材のWebマーケターを具体的に採用する場合、主要な手法は3通りです。
ダイレクトリクルーティング
まずは「ダイレクトリクルーティング」。求人サイトや人材紹介会社を介さず、たとえば知人の紹介やSNSを通じて直接的に人材にアプローチし、採用する形です。
一方で「マーケターを探す段階からスタート」の場合、ダイレクトリクルーティングにこだわると、却って採用コストが上がってしまうリスクも。
スカウトの対象と「全く繋がりが無い」場合、ゼロから声をかけても採用には繋がりづらく、なおかつDMを送る候補者のリストアップそのものに非常に時間とコストがかかってきてしまいます。
クラウドソーシング
クラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングサイトにて案件を作成し、幅広いクラウドワーカーに対して募集をかけるという方法もあります。
低コストで大量の応募を獲得できるため、「高品質人材」を獲得できた場合は最も費用対効果が高い手法の1つです。
一方でクラウドソーシングサイトに登録している人材は「素性が分からない」という側面があり、採用できる人材の品質が安定しないという弱点はあります。
また近年、クラウドソーシングサイトは「主婦の副業探しサービス」としての一面が強まっています。一線級のWebマーケターを探すプラットフォームとしては、心もとないのも事実です。
フリーランスエージェントの活用
一線級のWebマーケターを「副業人材」として採用するには、フリーランスエージェントを使うのもおすすめです。
フリーランスエージェント経由での副業人材採用では、エージェントが事前に面接を行い「紹介が可能」と判定した人材のみが紹介されます。よって紹介される人材の品質が安定しており、なおかつ複数名との事前面談も可能。スキルシートなどの確認ももちろん可能です。
加えてマーケティングに関する知見が無いと難しい、採用の要件定義をエージェントが行ってくれます。
よって「確実に優秀な人材とマッチングしたい」場合は、エージェントの活用がおすすめです。
ミエルカコネクトの導入事例はこちらからご覧いただけます。
副業人材のWebマーケターの活用についてよくある質問
最後に副業人材のWebマーケターの活用について、よくある質問をまとめました。
契約形態は「請負契約」「準委任契約」のどちら?
請負契約の案件もあれば、準委任契約の案件もあります。弊社「ミエルカコネクト」の場合は「記事コンテンツ」など具体的な納品物が伴う業務の場合は請負契約が中心。分析やアドバイスなどを中心とした「コンサルティング契約」は準委任となることが多いです。
社内システムなどへのアクセス権限はどのように管理すべき?
機密保持契約を結んだうえで、副業人材に対しても通常通り、アクセス権限を付与するケースが多いです。一方でセキュリティ対策をより重視している企業の場合は、VPN回線の付与やリモートデスクトップ接続の提供などを通じて安全性をより担保するケースもあります。
副業人材を最終的に正社員採用することは可能?
基本的には可能です。ただし弊社「ミエルカコネクト」の場合は、副業人材の正社員採用については事前にご相談を頂く形としています。副業人材本人と正社員採用について直接やり取りすることはお控えください。
副業人材活用・優秀なマーケターをお探しならミエルカコネクト
まとめ
各社で進む副業解禁。中でも「Webマーケター」は副業との相性が非常に良く、副業人材の活用が進んでいない企業でも「まず採用を検討してみる」価値が十分にあるポジションの1つです。
優れた企業と優れたWebマーケターの出会いは、比較的早期に「セッション数」や「問い合わせ数」、またマーケティングチームのワークフロー改善といった成果に表れやすいです。副業人材の活用に関心がある担当者の方は、ぜひミエルカコネクトにお気軽にお問い合わせください。
なお導入事例も公開しているので、併せてお読みください。
著者PROFILE
音楽ライターを経て、プログラミングスクールのオウンドメディアのSEOを担当。月間20万PVのサイトを月間100万PVにグロースさせた後、月間300万PVの女性向けキュレーションサイトのマネージャーを担当。独立後はフリーランスとして多くのクライアントのコンテンツマーケティングを行う。SEOはコンテンツマーケティング・DB型SEOの経験が豊富。他、広告運用、MA、サイト売買の知見や、趣味のプログラミングでSEOツールをPythonを使い自作するなど、エンジニア系集客や技術的知見が必要なものも執筆可能。