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LTV(顧客生涯価値)とは?計算方法から目標CPAの算出まで解説

更新日: 2026.2.6   公開日:2024.08.29

LTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)という言葉は知っていても、その正確な意味や、事業成長にどう結びつけるべきか、具体的な計算方法がわからないというマーケターは少なくありません。LTVは日本語に訳すと顧客生涯価値。顧客1人(または1社)あたりが特定の企業やブランドと取引を開始してから終了するまでの期間において、どれだけの利益をもたらすかを計算する指標です。

新規顧客獲得コストが高騰し、市場が成熟している現代において、既存顧客のLTVをどのようにマネジメントするかが、持続的な事業成長の鍵となります。

本記事は、LTVを基礎から学びたい、またはLTVを事業戦略の重要指標にしたい方に向けて、以下の内容を解説します。

  • LTVの定義と、ビジネスモデル別の計算方法
  • LTVからビジネスの健全性を判断するためのユニットエコノミクス(※)

LTVを正しく理解し、あなたのマーケティング施策のレベルを高めましょう。

ユニットエコノミクスとは
CACとLTVを用いて事業の健全性を判断する方法(LTV ÷ CAC=ユニットエコノミクス)。なおCAC(Customer Acquisition Cost/顧客獲得単価)とは、1人(1社)の有料顧客を獲得するためにかかった、広告費・人件費・ツール費用などを含めた、すべてのコストのこと。

LTV(顧客生涯価値/Life Time Value)とは

LTVとは、1人の顧客(または1社)と契約期間がどれくらい長く続き、最終的にどれくらいの利益が得られるかを示す指標です。

LTVの考え方は、サブスクリプションビジネスの流行とともに知られるようになりました。

最初にまとまった額の収益を得られるパッケージ販売(売り切り型)の事業と異なり、サブスクリプションビジネスでは、継続的な利用・契約がなければ利益を生み出せません。

こうした背景から、1顧客あたりの長期的な収益性を評価するLTVが重要な指標となるのです。

現在では、サブスクリプション以外のビジネスでも、新規顧客獲得コストの高騰や既存顧客のロイヤルティ重視の観点から、「顧客と長期的な関係を築く」というLTVの考え方が重視されるようになっています。

LTVの計算式

続いて、LTVの計算式です。

LTVの計算式は、一般的な計算式SaaSやサブスクリプションモデルの計算式と大きく2つに分かれます。

1.一般的なLTVの計算式

この計算式は、顧客が継続的に購入・利用するビジネスで活用できます。たとえば、定期通販やEC、金融・保険業などです。

LTV = 平均顧客単価 × 粗利率 × 平均購入頻度 × 平均継続期間

粗利率とは、売上高に対する粗利益の割合です。
粗利益は、売上高から売上原価を引くと算出できます。

粗利率の計算例
    売上高:10,000円
    売上原価:6,000円
    粗利:売上高−売上原価(10,000円−6,000円)=4,000円
    粗利率:粗利÷売上高=4,000円÷10,000円=40%
LTVの計算例:通販コスメ
    平均顧客単価:10,000円
    平均購入頻度:3回/年
    平均継続期間:4年
    粗利率:40%

    LTV=10,000円×40%×3回×4年=48,000円

2.SaaS・サブスクリプションモデルのLTV計算式

続いては、SaaS・サブスクリプションモデルの計算式です。
SaaSやサブスクリプションモデルでは、月次ARPU(アープ)とチャーンレートを用いて算出します。

SaaS・サブスクリプションモデルのLTV = (月次ARPU×粗利率) ÷ チャーンレート

月次ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で、1ユーザーが1ヶ月間にもたらす平均収益をいいます。サブスクリプションモデルでは、ユーザーごとに契約期間や契約プランが異なるため、月間総収益 ÷ アクティブユーザー数で月あたりの平均収益を算出します。

チャーンレートとは、解約率のこと。一定期間に、解約・離脱した顧客の割合を示す指標です。

※チャーンレート(%)=(月間の解約ユーザー数÷月初のユーザー数)×100

チャーンレートの計算例
    初月のユーザー数:1,000名
    月末のユーザー数:970名
    解約ユーザー:30名

    チャーンレート=(30÷1,000)×100=3%
LTVの計算例:BtoBのSaaS
    月次ARPU:50,000円
    チャーンレート:3%
    粗利率:80%

    LTV=(50,000円×80%)÷3%=約133万円

このLTVの値は、「1顧客が退会する(解約する)までに、平均して企業にもたらす売上の総額が約133万円であると見込まれる」ことを意味しています。

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LTVを重視すべきビジネスとは?

LTVが持つ「顧客と継続的な関係を築き、長期的な収益を最大化する」という考え方は、すべてのビジネスにとって重要です。

一方で、LTVを具体的な評価指標として活用する場合、ビジネスの性質によっては適さないケースもあります。たとえば不動産や自動車のように、頻繁に購入されない高額商材では、LTVを算出しても経営判断に活かしにくい面があります。

また、スーパーマーケットのような小売業では、店舗での匿名購入が中心で顧客データを追跡しにくいことや、店舗単位の売上管理の方が重視されることから、LTVよりも平均客単価や来店頻度といった指標が適しているでしょう。

LTVを重視すべきビジネスの特徴

LTVのマネジメントがとくに重要となるのは、以下のような特徴を持つビジネスです。

1. 顧客獲得コストが高いビジネス

リードタイムが長くなるエンタープライズ向けサービスや、高単価でニッチなSaaSなど、初回取引だけでは獲得コストを回収できない構造的な課題を持つビジネスでは、継続的な利用による収益回収が前提となります。したがって、LTVのマネジメントが事業の採算性を担保するために欠かせません。

2. 顧客ごとの取引が追跡可能

LTVの正確な算出には、顧客IDやアカウントによる個別の購買や利用履歴の把握が前提です。

3. 継続的な利用・契約が収益モデルの核

単発取引ではなく、顧客との長期的な関係を通じて収益を上げるビジネスモデルでは、LTVが事業の健全性を測る最重要指標となります。

LTVを重視するビジネスの具体例

【BtoB SaaS】

  • 月額や年額の定額課金モデル
  • 顧客獲得コストが高く、継続利用による回収が前提

【定期購入EC・通販】

  • 初回購入のハードルを下げて獲得し、リピートで収益化

※関連記事:【EC・通販 5選】オウンドメディア成功事例をまとめてみた

【高価格帯BtoBサービス】

  • 顧客あたりの獲得コストが高額
  • 長期契約や、追加サービス提供(アップセルクロスセル)によるLTV拡大が前提
  • 例:コンサルティング、業務システム、人材サービスなど
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「LTVが高い?低い?」は意味がない

LTVを算出した際、「このLTVは高いのか? 低いのか?」と悩むことがあります。しかし、LTV単体の数値で良し悪しを判断することに、あまり意味はありません。

なぜなら、LTVは収益の期待値だからです。「LTVを高める」という目標は間違ってはいませんが、同時にコストも増えていれば赤字となり、事業の健全性は低くなります。

また、LTVを他社と比べることもナンセンスです。たとえ同業他社であっても、商品の粗利率、顧客セグメント、提供する価値、解約率などは異なります。仮に、業界平均のLTVが5万円だとしても、それが自社にとって良いのか悪いのかは、自社のコスト構造次第なのです。

LTVは、以下の2つの目的で活用することが重要です。


  • ユニットエコノミクスによる事業の健全性評価
  • マーケティングにおける適切な目標CPAの算出

ユニットエコノミクスとは?

ユニットエコノミクスとは、事業の収益性を判断するための重要な指標です。

ユニットエコノミクスは、LTV÷CACで算出します。

ユニットエコノミクス=LTV ÷ CAC

CAC(Customer Acquisition Cost:シーエーシー)とは、1人(1社)の有料顧客を獲得するためにかかった、広告費・人件費・ツール費用など含めた、すべてのコストのことです。

CAC = マーケティング・営業コストの合計 ÷ 新規顧客数

とくに、BtoB SaaSのビジネスでは、ユニットエコノミクスが3以上(LTVがCACの3倍以上)あると、健全にビジネスが成長していると見なされます。

ユニットエコノミクスの見方(BtoB SaaSの場合)

ユニットエコノミクス
1以下 1〜3 3以上
ビジネスの状態 ビジネスとして
成長していない
要改善 健全

目標CPA(許容獲得単価)の算出方法

CPA(Cost Per Acquisition:シーピーエー)とは、特定のマーケティング施策を通じて、1件の成果(コンバージョン)を獲得するためにかかった費用を指します。

「CPAは低ければ低いほどよい」と思われがちです。また、「広告費をいくらまでかけてよいのか」という悩みもよく聞きます。重要なのは、広告費の許容範囲について論理的な基準を持つことです。

そこで活用するのが、LTVから逆算した目標CPA(許容獲得単価)です。LTVをもとに顧客獲得費用の許容範囲を算出することで、マーケティング予算の適正な配分が可能になります。

■目標CPAの計算例

LTV:36,000円
目標とするユニットエコノミクスの比率:3(LTV/CAC≧3)
広告費と広告費以外(人件費、ツール費など)の割合 6:4

まず、LTVを目標とするユニットエコノミクスの比率3で割り、事業の健全性を保つために許容できる総獲得コスト(CAC)の上限を算出します。

CACの上限=36,000円÷3=12,000円

この12,000円が、広告費、人件費、ツール費など、顧客獲得に関わるすべてのコストの合計上限です。

CAC12,000円のうち、広告費と広告費以外の割合が6:4であるため、広告費は60%となります。

広告費の上限 = 12,000円 × 60% = 7,200円

したがって、目標CPAは7,200円となります。

「CPAは安いのにLTVが伸びない」のはなぜか

事業会社でマーケティングや広告運用を担当していると、「新規顧客は増えているのに、利益が改善しない」「CPAは抑えられているのにLTVが伸びない」という問題に直面することがあります。

これは、「CPAは安ければ安いほど望ましい」という思い込みによるものです。CPAはわかりやすい数値目標ですが、安くすることに注力してしまうと、本来の目的である「収益性の高い顧客の獲得」を見失ってしまいます。

CPAを抑えることに過度に注力すると、次のような問題が起こります。


  • 継続率の低い顧客ばかり獲得してしまう
  • 無料トライアルから有料転換しない
  • 早期解約が多く、LTVが想定を下回る
  • 購入頻度や単価が低い顧客層に偏る

結果として、目先の新規顧客獲得数の目標は達成しても、事業の真の成長には貢献しないのです。

CPAは、わかりやすく管理しやすい指標です。しかし、あくまで「顧客をいくらで獲得できたか」を示す中間指標に過ぎません。CPAだけでは、その顧客が最終的にいくらの利益をもたらすか、つまりビジネスの成功に貢献しているかどうかまでは判断できないのです。

だからこそ、CPAは、自社の収益構造やLTVを参考に「許容できる上限」として設定しましょう。

まとめ

LTVの計算方法と、ユニットエコノミクスや目標CPAへの活用法について解説しました。

「LTV」という言葉は、「顧客と長期的な関係を築く」考え方として広く使われています。本記事では、その考え方を踏まえつつ、事業の成長性や健全性を測る指標としてのLTVを中心に解説しました。

LTVは単体で見るのではなく、CACとのバランスを評価するユニットエコノミクスや、広告予算の配分を判断する目標CPA算出に活用することで、真の価値を発揮します。ぜひ自社のビジネスに合わせて、LTVを計算・活用してみてください。

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#LTV #マーケティング #Webマーケティング #デジタルマーケティング

本記事の著者
清重 愛一郎
清重 愛一郎
シン・マーケ株式会社 代表マーケター
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監修者
月岡 克博
月岡 克博
Faber Company 執行役員(エグゼクティブマーケティングディレクター)
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