BtoB事業において、新規開拓するには、見込み客が持つ興味や関心、行動に対して「最適な情報」を「最適なタイミング」「最適な方法」で提供する必要があります。また、反復的に行っている業務がある場合は、効率性を求めていかなければなりません。そのためのツールとして存在するのが、マーケティングオートメーション、マーケティングオートメーションツール(Marketing Automation/以降、MA)です。この動画では、BtoBマーケティング担当者に向けて、MAの定義や機能、活用方法について株式会社LEAPTの戸栗頌平さんとともに解説します。
ミエルカチャンネル
株式会社LEAPT(レプト)代表取締役。豪州ビジネス大学院国際ビジネス修士課程卒業。複数企業と起業を経てBtoB専業マーケティング代理店へ。その後、外資SaaSのユニコーン企業の日本法人立上げを行い、法人営業開始後マーケティング責任者として創業期を牽引。 元HubSpotの日本法人立ち上げ1号社員&元マーケティング責任者。
マーケティングオートメーションとは?ざっくり解説!
マーケティングオートメーションツールとは、「マーケティング担当者が日々行なっている業務を効率的に自動化するツール」と言えるでしょう。
- セミナー集客
- 顧客情報管理
- ウェブサイト更新
- メール配信 など
つまりマーケティング担当者が日々行っている業務のうち、Webページのコンテンツや、コピー、メール文章を作成するといった「文章を書く」以外の業務を自動化できるツールのことです。
なぜMAが必要なの?→マーケティング活動がデジタル中心になったから
MAは見込み顧客を顧客へと育成する“追客・育成”ツールとしてニーズが高まっています。
最大の理由は「マーケティング活動がデジタル中心になったから」。歴史を紐解くと、日本でMAが注目され始めたのはここ7〜8年ほどですが、アメリカではもっと前、2005年ぐらいから多くの企業が取り入れ始めました。アメリカでは購入したメールアドレス(リード)の中から、より自社商品・サービス購入の可能性の高そうな見込み顧客を絞り込んでからメール配信したり、電話をかける「リードクオリフィケーション(lead qualification)」という営業手法が広がったためです。
MAはこの大量のデータから「ふるいにかける」作業を自動化するニーズに応えて、発達していったといわれています。
MAツールの機能や導入のメリットとは?
MAツールの一番大事な機能が顧客情報、つまり「リード情報の管理」です。
ある特定のテーマについてのセミナーに参加した方々や、展示会に来た方々の名刺情報を管理する機能は、だいたいのMAツールにもついています。では、これまでにもあったメール配信ツールとの違い、MAツールならではのメリットとは何でしょう?
1.見込み顧客の「行動情報」に基づいてリード管理ができる
従来のメール配信ツールでは、上場/非上場か、会社の役職はなにか、従業員数は何人かなど、「静的」な情報(=属性情報、デモグラフィックデータ)をもとに顧客を管理することができました。
一方、MAツールでは、属性情報だけではなく顧客の「行動」情報を収集・管理できることが一番の違いです。
- Webページの●●の部分をクリックした
- ホワイトペーパーを閲覧、ダウンロードした
- ●●についての資料請求をした
などのユーザー行動から、何を気にして、どんなモチベーションなのかが推測できます。MAツールではこれのユーザー行動を把握して様々な打ち手(施策)を打つことができます。
従来のメール配信機能よりも、こちらのプロモーションに対するユーザー側のエンゲージメント(関係性)に合わせてシナリオを描くことができると、成約率はより高まるでしょう。
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2.見込み顧客を段階的に育成(ナーチャリング)、ファン化できる
何らかのアクションを通じて関心を持った見込み客を、購買に至るまでナーチャリング(育成)ができることもMAツールのメリットです。
MAツールでは、たとえば見込み顧客の商談状況やコンテンツの閲覧状況に合わせ、「閲覧後●日後にこのメールを届ける」といった設定ができます。ユーザーの心に刺さる効果的なステップメール(あらかじめ設定した条件に応じて自動的に複数回配信されるメール)を送ると、自然と購買に至るプロセスを進んでくれることがあります。
うまくユーザーの興味関心度合いに合わせたシナリオが描ければ、将来的にファン層やリピーター層に育成することも不可能ではありません。
3.見込み顧客の興味関心の度合いをランク付けできる
「このユーザーは、特定のコンテンツを見たからマーケティング活動の中での●●のステージを超えた」と判定して、次のコンテンツを送っていいだろうとGOサインを出す「リードスコアリング」もMAツールに特徴的な機能です。「このユーザーは興味の度合いでいうと●点で高スコア」といった判定、スコア付けをユーザー行動から自動化できるイメージです。
スコアは足していくと無限に増やしていくことができますが、増やしすぎると「メールやプッシュ通知が頻繁でうるさい」といった逆効果をもたらすこともあり、デメリットにもなりえます。足し算だけでなく、時には引き算をする視点も大切です。
SFA(セールスフォースオートメーション)とどう連携する?
SFAとは、企業の営業活動における情報全般をデータ化して分析するソフトウェアを指します。SFAからMAツールへは特につなぎ目がないよう連携する事も重要です。ここが分断されると効果的なマーケティング活動が成立しにくくなります。
CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)的な要素をもって運用していくMAツールの場合は、SFAとシームレスで連携できたほうが事業活動への貢献がしやすくなります。
初心者にはCMS付随のMAツールもおすすめ
Webサイトを初心者でも簡単に構築・管理できるCMS(Contents Management System)の中には、 MAツールが標準機能として付随しているものもあります。導入のメリットは「Webサイト訪問者の変化や行動データに対してMAツールに即反映できるので、シームレスにアクションを取ることができる」点です。
たとえばCMS/MAツール/Webサイト分析ツールがそれぞれ別だと、それぞれにログインをしてタグをつけるなど連携をさせる設定が必要。それぞれに違うレポーティングの指標をもとに分析しなければならない場合もあります。「こちらのツールを見て分析した結果を、また別のツールにログインしてシナリオとして反映させる」のは手間ですよね?これらが一気通貫でできるのがCMS付随のMAツールです。以下のCMSに関するおすすめ記事なども参考にしてください。
MAツール導入の副次的メリット「顧客情報の整理整頓が楽になる」
MAツールだからこそのメリットとして、メール配信/スコアリング/コンテンツ作成・改善ツールなどとの連携が可能になる等を説明しました。しかし多くの方があまり意識していないメリットは「MAツールを使うと顧客情報の整理整頓が楽になる」点がポイントだと、戸栗さんはおっしゃいます。
メール配信のポイントは「先にシナリオを作ってから」
とにかく先にメール配信をしたい!情報を届けたい!と、送るハウスリストの精査をせずに、“ごった煮”の状態のリストでメールを送り始める企業が少なくありません。送り先を絞らず「万人をカバーできるようにしよう」という意識が働くと、一つのメールに
- ブログのアップデート情報
- 新製品案内
- ニュース
- セミナー案内
- PR情報
など要素を詰め込んで「ドーン」と送ってしまいがちです。するとどうなるか。受信側にコンテキスト(前後の脈絡)が合っていないと一瞬で判断されて、開封すらされない事が多いのです。
メール配信を始める時はまず、見込み顧客データの整頓をする必要があります。MAツールはこの整理整頓がexcelなどで管理するよりずっと簡単にできるので、より効果的なアプローチができるといえるでしょう。
マーケティングオートメーションツールにはどんなものがあるのか
MAツールも多種多様に揃ってきているので、自社のフェーズや運用体制などに合わせたツールを選定すべきです。メジャーどころをいくつか紹介します。
SATORI(サトリ)
SATORI(サトリ)は、SATORI株式会社が提供する国産のMAツールです。ポップアップなどのWeb接客機能も充実しており、リードの動向に合わせてコンテンツを配信できますし、簡単なLPを作成することもできます。
▶︎ SATORI
HubSpot(ハブスポット)
ハブスポットはHubSpot社が提供するMAツールで、CMSとしての機能やテンプレートが充実しています。コーディングの知識がなくても簡単にLPやフォームを作成し、コンテンツの配信ができます。
▶︎ ハブスポット
Account Engagement (旧 Pardot(パードット))
Account Engagement(今でもパードットという人が多い気がします)は株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するMAツールです。同社のSFAと連携し、リードの状況に合わせたきめ細かいコンテンツ配信が可能です。
▶︎ パードット
MAツールについての関連動画
- マーケティング担当者が顧客理解不足
- 課題、目的やKPIが定まっていない
- 人的リソースや役割分担や担当者の能力がツールと不釣り合い
このようなMAツール導入のよくある失敗を回避して、ビジネスを成功に近づける方法を解説します。
動画出演者PROFILE
SFA導入コンサルからCRMベンダーのセールスに転身し、営業マネージャーに。その後Faber Company営業部長を経て、マーケティングを担うIMC部を設立。現在は執行役員として、営業・マーケティング部の統括やセミナー登壇などの活動をメインに行っている。
■ 講演実績:マーケティングアジェンダ/日経クロストレンドForum 他■Twitter:@tsuuky09