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リードナーチャリング(顧客育成)とは?施策や分析方法、シナリオ例を解説

公開日:2023.03.03

リードナーチャリングとは

リードナーチャリングは、顧客育成とも呼ばれます。リードとは「見込み顧客」のことです。メールやウェビナー、ホワイトペーパーなどのコンテンツを通じて、見込み顧客との関係性を温めていきます。「育成」という言葉がつきますが、重要なのは継続的に接点をもつことと、態度変容の瞬間(マイクロモーメント)を逃さないことです。リードナーチャリングの概念から、具体的なシナリオや分析手法までくわしく解説します。

ファストマーケティング峯林晃治

著者:ファストマーケティング(峯林晃治)

Webディレクター、SEOコンサルタントを経て、2013年に事業会社に入社。主にBtoB領域のデジタルマーケティングに携わる。特に、リード獲得を目的とした自主調査においては7年間で累計400件以上を企画、獲得したリード数(企業の名刺情報)は述べ6万件を超える。2020年に独立。
シニアコンテンツディレクターとして、株式会社Faber Companyでも鋭意活動中。▶︎Twitter

1.リードナーチャリング(顧客育成)とは

リードナーチャリングは顧客育成とも呼ばれます。リードとは「sales lead」のことで見込み顧客のことです。ナーチャリング(nurturing)は「育成」という意味を持ちます。そのため「見込み顧客を育成し成約に結び付けるための活動」をリードナーチャリングと呼ぶことが多いです。主に、以下の観点で活動を行います。

リードナーチャリングの概念図

  • リードと継続的な接点を持つ
  • リードを態度変容させる
  • リードを購買可能性ごとに選別する

しかしながら、この「育成」という概念、筆者は少し引っかかります。皆さんも思い返してもらいたいのですが、企業からのメール配信によって「育成された」という実感はあるでしょうか?

ごくまれに「ものすごい気付きを得た!」というコンテンツに触れることもありますが、ほんとうに「まれ」です。したがってリードナーチャリングの実態としては上で述べた観点のうち①と③が主だった目的となります。

①BtoBマーケティングのプロセス

BtoBマーケティングの全体像もご紹介します。以下の図のように3つのフェーズに分かれ、この全体プロセスを「デマンドジェネレーション」と呼びます。デマンドジェネレーションとは平たくいうと「顧客創出」です。

  • リードジェネレーション:リードを獲得する
  • リードナーチャリング:リードと継続的な接点を持つ
  • リードクオリフィケーション:購買可能性が高いリードをセールスへ渡す

デマンドジェネレーション

リードナーチャリングはデマンドジェネレーションにおける、ちょうど真ん中のプロセスにあたります。

☑︎リード獲得戦略ってどう作る?15の施策と獲得単価、コツを事例で解説

②BtoCでもリードナーチャリングは行われる

BtoBのイメージが強いリードナーチャリングですが、BtoC領域でも頻繁に行われています。たとえば住宅や自動車など、商談から成約までの検討期間が長い商材です。もう1つはパーソナルトレーニングや美容室など、リピート売上が重要となる(=顧客との接点を持ち続ける必要がある)商材など。BtoCではLINEもコミュニケーション・チャネルとしてよく使われています

③新規顧客、既存顧客、優良顧客の3つの観点

ナーチャリング(顧客育成)は、見込み顧客から新規顧客への転換だけではありません。既存顧客の継続、既存顧客から優良顧客への転換にも活用されています。たとえばSaaS企業などは既存顧客向けのユーザー会を開催したり、サポートを手厚くしたりするなどして、顧客のサービス活用を支援します。これらもナーチャリング活動の一環です。

となると、なおさら「育成」という言葉に違和感がありますね。「関係性構築」というほうがしっくりきます。

2.リードナーチャリングを行う必要性とその目的

リードナーチャリングはなぜ行う必要があるのでしょうか? 「必要性」という観点から解説していきます。また、ここからは主に「BtoB領域のリードナーチャリング」について話を進めていきます。

①そもそも獲得したリードは「今すぐ客」ばかりではない

展示会などで獲得したリードの大半は、すぐに商品を購入したいという「今すぐ客」ではありません。仮にリードの商談化率を10%、そこからの成約率が30%だったとしても、9割以上は「ロスト」している計算です。

実際、2022年6月から7月にかけて株式会社マイナビの「TECH+マーケティング担当」が調べたところによると、「リード獲得直後にホットリードと判断されたリードの割合」は16%だったそうです。

重要なのは「今すぐ客」ではなくとも、将来的に商品を購入する可能性のある顧客、であることです。

参考:ホットリードとは?意味や定義から効果的な5つの獲得方法まで解説!

②リード獲得から受注までの期間が長い

BtoBの場合は、リード獲得から受注に至るまでの検討期間が長くなります。これは組織として合理的な判断が必要とされ、稟議申請や決裁など段階的な手続きも必要になるからです。一般的に3か月~1年以上かかることが多いです。そのため、継続的にフォローをする必要があります。

③休眠リードを放置すると機会損失につながる

米国のシリウスディシジョンという企業の調査によると、営業担当が「見込みがない」と放置したリードのうち8割が、2年以内に「競合他社から製品を購入している」そうです。

この調査はあくまで1つの結果でしかありませんが、BtoBであっても商品やサービスを購入する際には「タイミングが重要である」という示唆が得られます。

参考:第34回 放置した見込み顧客の8割が2年以内に競合に流れる?

④見込み顧客の「マイクロモーメント」を逃さない

BtoB領域でもタイミングが大きな影響を与えます。見込み顧客(の組織内)でその商品がほしい、となった瞬間を逃さないことが重要です。Googleはそうした瞬間のことを「マイクロモーメント」と定義しています。急に会社の方針が変わってRPAを導入することになった、などといったことはよくあります。そしてわざわざ、そのことを自社の営業担当に伝えてくれるとは限りません。

⑤見込み顧客は問い合わせをする前に「選定」を終えている

もう1つ、Googleが提唱している、ZMOT(ズィーモット:Zero Moment of Truth)理論というものがあります。これは、見込み顧客はすでに問合せ(来店)前に、何を買うか決めている、という理論です。BtoBでも同様で、見込み顧客が自ら能動的にインターネット等で検索を行い、あらかじめ「アタリ」をつけて問い合わせをしているケースは少なくありません。

選択の際に「想起」されるためにも、継続的なコミュニケーションが欠かせないのです。

3.リードナーチャリングの手法・コンテンツの重要性

リードナーチャリングを行う必要性について、解説してきました。ここからはその方法についてくわしく解説していきます。

リードナーチャリングにおいて重要となる考え方に「コンテンツマーケティング」があります。見込み顧客の情報ニーズを理解し、状況に合わせて適切なコンテンツを配信し、関係を構築していくという考え方です。

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツとは

コンテンツマーケティングでは「コンテンツ」が欠かせません。オウンドメディアの記事やウェビナー、メール、ホワイトペーパーなど、あらゆる接点がコンテンツとなります。コンテンツマーケティングの詳細は以下でも解説していますので、ご参考ください。

☑︎成功するコンテンツマーケティングとは? 手順、事例をわかりやすく、簡単に解説

リードナーチャリングにおいて、コンテンツを見込み顧客へ配信する手段として、以下のような方法があります。

これらは「リードジェネレーション」でも使われる手法ですが、主に以下が異なります。

  • 対象:新規リードか既存リードか
  • 成果地点:リード獲得か商談化や受注か

では、ひとつずつ見ていきましょう。

①メール

すでに獲得した既存リードに対して、メールでコンテンツを配信します。ここで注意が必要なのは「売り込みメールばかりを送らない」ことです。見込み顧客は必ずしもすぐに自社の商品を導入したいとは思っていません。頻繁に売り込みメールが届くと、配信停止される可能性が高まります。

ではどのようなコンテンツを届ければいいかというと、見込み顧客のお悩みを解決できるようなコンテンツです。たとえば経理担当の方に向けて、「インボイス制度に関するよくある質問」を配信するようなイメージです。ただし、商品との関連性についても意識しましょう。あまり商品と関係のないお役立ち情報ばかりを配信しても、商談に結び付かないからです。

②オウンドメディア

オウンドメディアと聞くと、新規獲得のイメージが強いかもしれませんが、リードナーチャリングにも活用されます。見込み顧客が知りたい情報を、オウンドメディアで発信することで、自然検索で再度接点が生まれると同時に、作成した記事をメールで配信し、プッシュ型でコンテンツを見てもらうことも可能です。

リードナーチャリングにおけるオウンドメディア活用

サービスの活用促進やアップセル、クロスセルにつなげることも可能です。たとえばクラウド会計ソフトを提供するfreeeでは、年末調整や源泉納税はもちろん、会社設立や人事労務などに関する情報も発信しています。このような情報発信をすることで、既存顧客に同社が提供する他のサービスの存在を気づいてもらいやすくしています。

③インサイドセールス

インサイドセールスとは、社内にいながら電話やメールなどを通して見込み顧客とコミュニケーションを取り、有効商談を創出するチームのことです。たとえば、ホワイトペーパーをダウンロードした見込み客に対し、インサイドセールが架電し課題や商品の検討状況などをヒアリングします。ヒアリングした結果、有効商談につながるならば、アポを取りフィールドセールスへと連携します。

☑︎インサイドセールスのKPI設定法・PDCAを回すコツ 【IS責任者が回答】

④セミナー・展示会

セミナー(ウェビナー)や展示会もリードナーチャリングに活用可能です。その際、ウェビナーはアーカイブ動画として配信可能にしておくことをおススメします。後述するMAツールと連携して使ってもいいですし、過去に人気のあったウェビナーをアーカイブ動画として配信するのも有効です。

展示会は「出展する展示会の情報を見込み顧客に案内する」という方法と、「プライベート展示会に見込み顧客を招待する」という2つの方法があります。既存顧客をユーザー会や交流会に招待するケースもあります。

一般的に、オンラインで開催されるイベントよりも、オフラインで開催されるイベントの方が商談化率や受注率は高くなります。「わざわざ足を運ぶ」ということは、それだけ興味関心が高いことを意味しています。

⑤リターゲティング広告

リターゲティング広告は一度、Webサイトへ訪問したユーザーに再度広告を表示する手法です。再びWebサイトへの訪問を促すケースもあれば、資料ダウンロードやウェビナーへの案内を行うこともあります。また条件はありますが「カスタマーマッチ」という仕組みで、すでに獲得した見込み顧客リストに対して広告を配信することも可能です。

☑︎Web広告とは? 種類や媒体、費用などを一覧でDL! オススメ手法やコツも紹介

⑥SNS

SNSはSNSアカウント(通常の投稿)と、SNS広告の2種類があります。見込み顧客へSNSアカウントへのフォローを促すことで、SNSへの投稿を通じたコミュニケーションが可能です。またSNS広告では、自社の顧客リストに対して広告を配信できる仕組みもあります。

☑︎SNSマーケティングとは?やり方や戦略の立て方を事例を交えてわかりやすく解説

⑦YouTube

最近はBtoB領域でも、YouTubeで情報発信するケースが見られるようになりました。YouTubeもSNS同様、チャンネル登録を通じたコミュニケーションと、広告配信という大きく2つの方法があります。YouTube広告はさまざまな配信方法があり、その1つに自社の顧客リストに対して配信する機能があります。

☑︎SEO的思考から始めるYouTubeマーケティングの始め方

4.リードナーチャリングにおけるスコアリングについて

リードナーチャリングの施策や運用を検討する際に、「MAツール」や「スコアリング」という言葉をよく耳にします。ここではリードナーチャリングにおけるスコアリングの考え方について、わかりやすくご紹介します。

①MAツールとは

MAとは「マーケティングオートメーション」の略です。具体的な機能は以下の通りです。

  • 見込み顧客の情報を取得する(フォームなど)
  • 見込み顧客の状況を可視化・把握する(行動ログ)
  • 見込み顧客の状況に合わせたコンテンツ配信を行う(メール配信やポップアップ)

MAツールとは

見込み顧客の行動ログ(アクティビティログともいいます)などを元に、配信するコンテンツを自動的に配信する仕組みがマーケティングオートメーションです。

②MAツールによるスコアリング

MAツールにおけるコンテンツ配信では、一般的に「スコアリング」というものが使われます。たとえば特定のスコアになったら、営業チームに通知する、といった具合です。

MAツールにおけるスコアリング

つまり、スコアリングを設定する目的は、見込み顧客の状態を可視化し対応の優先順位をつけることといえます。オーソドックスな設計方法として、属性スコアと行動スコアをマトリクスにする方法があります。

属性スコアと行動スコアのマトリクス

属性スコアとしては「職種」や「役職」、行動スコアとしては「資料ダウンロード」や「料金ページ閲覧」などです。スコアを定義して「どうなったらホットリードといえるのか、ホットリードになったらどのように対応するのか」などを営業チームと一緒に協議して決めていきます。

スコアリングは、リードナーチャリングが正しく機能しているかの指標にも用いられます。ただしく機能していれば、スコアは上昇し、スコア上昇に伴い商談も増加します。そうなっていない場合は、関係性が構築できていないか、あるいはスコアリングの精度に問題があるはずです。

③スコアリング以外の運用手法

MAツールのスコアリングはしっかりと運用できれば、リードナーチャリングを強力に支援してくれます。ただし設定や運用に手間がかかるという難点も。よりシンプルな方法として、「コンテンツ閲覧」のみによる、見込み顧客の優先順位付けがあります。たとえば、導入事例やサービス資料のDLユーザーを「HOTリード」と定義し、対応の優先度を高める、といった具合です。

コンテンツ閲覧による優先順位付け

この場合も、実際にコンテンツを配信してみたうえで、商談化率や案件化率などの実データをもとに何が「キラーコンテンツなのか」を見極めていきます。

5.リードナーチャリングの指標・KPI

リードナーチャリングがうまくいっているかどうかを判断するための指標を、3つの観点からご紹介します。

①コンテンツのパフォーマンス指標

コンテンツのパフォーマンス指標とは、配信したコンテンツがいかにユーザーに受け入れられたか、という指標です。以下のようなものが挙げられます。

  • 配信したメールの開封率やクリック率、CVR
  • オウンドメディア記事のPV、CVR

②セールスプロセスにおけるパフォーマンス指標

商談や受注など、営業活動における指標です。リードナーチャリングの取り組みを通じた、商談数、案件化数、受注数などが代表的です。

③マーケティングプロセスにおけるパフォーマンス指標

いわば、きちんと「ナーチャリング」できているかの指標です。具体的にはステージの変化になります。リードナーチャリングによって見込み顧客との関係構築ができており、その変化の兆しをキャッチできている場合、基本的にそのステージは変化します。(タイミングの要素も大きいですが)

リードからMQLへの変化、MQLからSQLへの変化の量や率などが挙げられます。たとえばAdobe Marketo Engage(マルケト)では「成功パス分析」という機能があり、あらかじめ設定したステージごとの遷移状況を可視化できます。

6.リードナーチャリング施策の分析方法

上述した指標を参考に、リードナーチャリング施策を分析する方法について、解説します。

①商談や受注につながっているか

リードナーチャリングの取り組みが、商談や受注につながっていない、あるいはその率が極端に低い場合は、セールスチームへパスする基準を見直す必要があります。十分にニーズが顕在化していない状況で、引き渡してしまっている可能性があるからです。

たとえば、「ウェビナーに参加した」といっても、それが「サービスに興味のある人がくるウェビナー」でなければ当然ながら受注からは遠くなります。筆者が以前在籍していた企業では、「ハンズオンセミナー(実際に商品を触るセミナー)」を定期的に開催しており、そこからの案件化率は、比較的高くなっていました。

またそもそも営業がコールできていない場合もあります。その場合は、コールができていない要因や理由について話し合い対策を検討するなど、営業チームとの連携や協働が必須です。

②態度変容につながっているか

見込み顧客のステージ遷移が生じていない、その率や数が低い場合、そもそもコンテンツ配信やコールなどのアクションができているのかを見直す必要があります。冒頭に述べた通り、リードナーチャリングは「継続的な接触により、見込み顧客の変化を見逃さない」ための取り組みだからです。

アクションができているのに、態度変容が起こらない場合はリード獲得手法や、チャネルそのものに問題はないのかなどもチェックした方がよいでしょう。恥ずかしながら筆者は、マーケティング担当向けの商材のリードナーチャリング施策を、情シス部門にしていた経験があります。

③配信結果から見込み顧客の情報ニーズを発掘する

コンテンツの配信結果も、情報の宝庫です。見込み顧客がどのような情報なら反応するのか、そのジャンル、配信形式は何かまた受注につながりやすいコンテンツは何かなど、多くのことを分析できます。

商談化や案件化につながりやすいコンテンツが見つかれば、そのテーマを掘り下げる、あるいは関連テーマのコンテンツを制作するなどの取り組みにつなげられます。

また、メールのクリック率が高いコンテンツ(=反応がよいコンテンツ)は、リードナーチャリングだけでなく、新規リード獲得にも活用できるかもしれません。実際に、反応がよかった「漫画コンテンツ」を広告のLPやCTAに活用し、獲得効率の改善に寄与した事例もあります。

7.リードナーチャリングの具体的な施策やシナリオ例

参考として、リードナーチャリングのためのシナリオ例をいくつかご紹介します。

①特定のコンテンツを閲覧したリードに関連するウェビナーを案内する

自社の商品が「クラウド型Webデータベース」だったとします。たとえば、「脱Excel」というコンテンツを閲覧した方に「脱Excelに成功! ○○(商品名)の導入で業務効率を○%改善した事例」というアーカイブ配信のウェビナーコンテンツを案内する、といった具合です。

特定のコンテンツを閲覧したリードに関連するウェビナーを案内

②商談済みのリードに営業担当名義でお役立ち情報を定期配信する

会ったことのない人からのメールよりも、面識のある人からのメールは、当然ながら開封率が高くなる傾向にあります。そこで商談した内容に基づき、見込み顧客が興味のありそうな内容を、商談を行った営業担当の名前で送ります。(必ずしも本人が手作業で送る必要はありません)

商談済みのリードに営業担当名義でお役立ち情報を定期配信

たとえばクラウド請求書サービスの場合は、「○○さまへ、インボイス制度対応に向けたチェックリストを作成しましたのでぜひご覧ください」などのメッセージが考えられます。

③ウェビナーやイベントに参加できなかったリードにイベントレポートやアーカイブ動画を送る

ウェビナーやイベントに参加できなかった見込み顧客に対し、イベントレポートやアーカイブ動画を送るのも有効です。MAツールによってはアーカイブ動画の視聴状況を細かく取得できるツールがあるので、○分まで視聴したユーザーにコールする、すぐに離脱したユーザーには別のウェビナーを案内する、といった対応も可能です

ウェビナーやイベントに参加できなかったリードにイベントレポートやアーカイブ動画を送る

④導入事例やサービス資料をDLしたリードにインサイドセールスが即日コールする

導入事例やサービス資料のDLユーザーを、「HOTリード」扱いにする企業も多いです。商材に興味を持っている可能性が高いため、なるべく早くフォローする必要があります。MAツールで担当営業に通知がいくように設定しておくと、見込み顧客の「マイクロモーメント」を逃さずに済みます。

導入事例やサービス資料をDLしたリードにインサイドセールスが即日コールする

⑤リードの「お困りごとを解決する記事」をオウンドメディアに掲載する

見込み顧客の業務の課題、あるいは商品の選定や商品の利用プロセスにおいて、見込み顧客が困りそうなテーマで記事を作成するのも有効です。メールなどでアプローチするだけでなく、自然検索でもヒットするようにしておくことで、接触頻度が高まると同時に、(MAツールがあれば)見込み顧客の検討度合いや悩みも推し量れます。

たとえば、タレントマネジメントシステムを提供するカオナビでは、人事担当の課題に関するオウンドメディア「カオナビ用語集」を展開しています。見込み顧客が人材育成や人材開発に困った場合に、同社のオウンドメディアにたどり着き、商品を再認知するという流れが出来上がっているのです。

☑︎オウンドメディア活用で、リード獲得コストは半減・受注額は3倍!月間200万PVまで成長したBtoBオウンドメディアの3つの戦略とは?

8.リードナーチャリングの失敗あるある

リードナーチャリングでありがちな、失敗と対策について解説します。

①そもそもリード件数が少ない

リード件数(=ハウスリストの数)が少ないと、リードナーチャリングによる成果は得られません。目安として、数千件ぐらいはあった方がよいです。リードナーチャリングは重要な取り組みですが、基本的に「新規獲得」が最優先だと筆者は考えています。件数が少ない場合は、まず新規リード獲得に全力投球しましょう。

BtoBであればホワイトペーパーなどのダウンロードコンテンツを用意することも一案です。ホワイトペーパーの作り方などはこちらのコンテンツをご覧ください。

☑︎ホワイトペーパーとは?作り方・活用法・マーケティング戦略

②コンテンツが足りない

リードが十分にあるけれど、コンテンツが足りないという場合は、「今すぐ客向け」のコンテンツ制作からはじめるとよいです。具体的には「導入事例」が挙げられます。案件創出などの成果が出やすいうえに、制作過程において、顧客へ直接話が聞けるため、マーケティングに関わる発見も多いです。

③どのようなコンテンツを作ったらよいかわからない

コンテンツの「ネタ」に困ることも少なくありません。その場合は、営業担当やカスタマーサポートなど、顧客接点のある人にアイデアを聞く方法が有効です。特定のセグメントで受注率が高いのであれば、そこに焦点をあてたコンテンツ開発をしてもよいでしょう。もし、顧客に直接ヒアリングできる機会があるのであれば、業務上で困っていることや欲しい情報などを尋ねてみましょう。

検索ユーザー向けにコンテンツを用意し、SEO流入を獲得することもできます。検索ニーズを分析するためにSEOツールなどを活用するのもいいでしょう。SEOツールまとめはこちらをご覧ください。

☑︎【最新比較表付】無料・有料のSEOツール30選。メリットやおすすめ、選び方を解説

④HOTリードの定義ができていない、または合意できていない

受注実績を分析し、勝率の高い顧客セグメントと商談または案件化率の高いコンテンツを可視化します。これらのデータをもとに、営業チームとディスカッションしながらHOTリードの定義を作っていくとよいです。実績データがない場合は、仮説で定義してみてデータが取れた段階でアップデートするとよいでしょう。

9.まとめ:オーディエンスビルディングという考え方

リードナーチャリングは「顧客育成」という意味を指すことが一般的です。しかし実態としてはそうではなく、顧客との関係性を構築し、タイミングを逃さないことがリードナーチャリングといえます。そうした取り組みを「オーディエンスビルディング」とも呼びます。

そのためには、顧客視点に立ったコミュニケーションが欠かせません。MAツールはもちろん、ミエルカもその一助になります。顧客が何を求めているのか、その情報ニーズを見極めながら、継続的にコンテンツを配信していきましょう。

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著者PROFILE

ファストマーケティング峯林晃治
ファストマーケティング(峯林晃治)

Webディレクター、SEOコンサルタントを経て、2013年に事業会社に入社。主にBtoB領域のデジタルマーケティングに携わる。特に、リード獲得を目的とした自主調査においては7年間で累計400件以上を企画、獲得したリード数(企業の名刺情報)は述べ6万件を超える。2020年に独立。
シニアコンテンツディレクターとして、株式会社Faber Companyでも鋭意活動中。▶︎Twitter

監修者PROFILE

月岡 克博
月岡 克博(つきおか かつひろ)

SFA導入コンサルからCRMベンダーのセールスに転身し、営業マネージャーに。その後Faber Company営業部長を経て、マーケティングを担うIMC部を設立。現在は執行役員として、営業・マーケティング部の統括やセミナー登壇などの活動をメインに行っている。
■ 講演実績:マーケティングアジェンダ/日経クロストレンドForum 他■Twitter:@tsuuky09

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