企業YouTubeチャンネルをYouTubeアナリティクスで分析する際に、どのデータをどう解釈して、どう対策を打てば良いのでしょうか?また、短期間で利益に直結しにくいYouTubeを、他の企業はどのように成果計測しているのでしょうか?YouTubeチャンネル登録者数を月700〜800人ペースで増やしているという『ぷらすチャンネル』を運用する株式会社SYNERGY JAPANの山下将文氏に伺いました。
株式会社SYNERGY JAPANメディアプロデューサー。個人事業主を経て、2019年SYNERGY JAPANに参画。コンテンツ制作、YouTube「ぷらすチャンネル」などコンテンツマーケ全般の戦術立案から動画撮影、ブログ執筆など実務面まで担当。
YouTubeチャンネル分析でまず見る指標は「サムネイルのクリック率」
全国に「ぷらす鍼灸院」を運営する株式会社SYNERGYJAPANがYouTubeチャンネル「ぷらすチャンネル」を開始したのは2019年7月。2年8カ月後の2022年3月現在、登録者数は1.13万人にのぼります。ご自宅や職場でできるストレッチ、セルフケアなどの情報を発信しています。 このYouTubeチャンネル運営責任者の山下さんが、YouTubeアナリティクスでの効果測定で注目しているのは、「サムネイルのクリック率」とのこと。
サムネイルによってCTR(クリック率)に3〜10%の差が出る
動画のパフォーマンスは、サムネイルのCTRにあるそうです。当社はサムネイルのデザインなども外部の制作担当者に「お任せ」だったものの、サムネイルによって3〜10%ほどクリック率に差が出るとわかってからは、かなり細かく指示をしているそうです。
クリックされるサムネイルとは?「一覧で埋もれない文字の大きさ」が重要
では、どのようなサムネイルであるとCTRがよくなるのでしょうか。 山下さんによれば、文字をごちゃごちゃ書くよりも、メインの話題がひと目で分かるサムネイルのほうがCTRが高いとのこと。特にYouTube内のブラウジングや関連動画のレコメンド画面ではサムネイルが小さめに表示されることが多いので、埋もれないよう大きな文字で目にとまりやすく訴求することが大切だそうです。
特にhow to系コンテンツなど「●●を知りたい」というニーズに答える動画には、調べていることの答えがわかるような文字情報をサムネイルに載せるべきとのことでした。
YouTube運用で大事なのは「ビジネスゴール」
YouTube運用では、「予約や会員登録へ直結するかどうかは、そこまで重視していない」と山下さん。 同社では、「既存顧客がよりファンになってもらう」「整骨院は気軽に行けて相談し、安心できる場所であるというイメージ作り」のために運用を始めたそうです。つまり、自社の売上貢献というより業界全体のイメージアップのために取り組んでいるとのお話でした。 そのために「来店数●%アップ」ではなく、「チャンネル登録者数」や「再生回数」をYouTubeチャンネル運用の目標にしているそうです。
目先の利益は追わず「既存顧客のファン化」を目指すワケ
現在、チャンネル登録者数が月700〜800人ペースで増えているYouTube『ぷらすチャンネル』。動画は既存顧客からはどんな評価を受けているのか?を聞くと、「まだ受けたことのないメニューに興味を持った」「家でできるストレッチがわかりやすい」という声が届いているそうです。動画は蓄積されていくので、動画を1本見てくれた人は関連動画も連続視聴しやすく、過去動画のストックが貯まるにつれてリーチも広がっていきます。
また、動画施策を続けるためには、他部署との連携など社内からの理解も欠かせません。山下さんは「立ち上げ当初は物珍しかったと思うけれど、我々にとって施術は通常業務。それを動画にしているだけなので、1年も投稿を続けているとどうしても“飽き”が出てきます。社内研修に使えるような動画も作るなど、動画の幅を広げる工夫はしています」と語ります。
動画が増えてきたらコラム・SNSとの連携を強化
同社では、YouTubeだけでなく公式Webサイトの「お悩み解決」コラムやSNSも運用しています。 実際にSNS上でユーザーからの引用・言及が増えたことで、Webサイトの認知度も向上し、月間ユーザー数が約36倍になった実績を、コンテンツマーケティング事例としても紹介しています。
ぜひ下記も合わせてご覧ください。
☑︎事例:SNSで『参考になった』の声が急増。整骨院がコンテンツによるブランディングに成功し、月間ユーザー数は約36倍に
動画は他のコンテンツマーケティング施策にも流用しやすいため、今後は上記のように成果があった他の施策との連携をもっと強化していきたい」と山下さんは言います。
☑︎関連記事:成功するコンテンツマーケティングとは? メリットと実践手順、事例を解説
「動画は企業ではなく出演者にファンがつく」と心得る
YouTubeチャンネルを企業として運営していても、出演者にファンがつくことで登録者数が増える事が多いと言われています。 「視聴者が出演者に向けてくれているベクトルを、少しでも企業・グループへの愛着に向けていただく仕組みづくり」が重要であると語る山下さん。たとえば「姿勢のお悩み」カテゴリにはほぼ同じ出演者が解説を行っていますが、動画の最後にはチャンネル登録だけでなく、LINE登録も呼びかけています。
既存顧客にはマーケティングオートメーション(MA)ツールでもYou Tubeチャンネル動画をプロモーション
新しい動画が出ると山下さんはMAツールを使って既存顧客にお知らせをしています。同時にYouTubeチャンネル登録も促しているそうです。 新しい動画がアップされるタイミングは絶好のメール配信タイミングです。ユーザーの悩みにマッチしていれば、メールにおけるクリック率も向上し、有益な情報配信となるでしょう。動画コンテンツが増えれば増えるほど、メールコミュニケーションがよりリッチになる相乗効果もありそうです。
☑︎関連記事:【BtoBマーケター必見】マーケティングオートメーション(MA)とは?
YouTubeアナリティクスの詳しい分析方法
企業のYouTube活用術についてもっと知りたい方は、弊社ファベルカンパニーのコンテンツ・エバンジェリストの中山順司がWeb担当者Forumで6回連載をした漫画もぜひご覧ください。
☑︎YouTube アナリティクスで見るべき指標は? 動画SEOで注意すべき点と改善方法も解説
特に第5回「YouTube アナリティクスで見るべき指標は? 動画SEOで注意すべき点と改善方法も解説」では、分析ツールである「YouTubeアナリティクス」の見方を解説しています。特に動画ごとの見るべき指標は、初心者YouTube担当者には必見でしょう。
- インプレッション(YouTube上でどれだけ表示されたか)
- CTR(どれだけ視聴者の目に留まり、クリックされたか)
- 視聴者維持率(動画を最後まで見てくれたか? 途中で離脱したか?離脱ポイントはどこか?)
FaberCompanyでは、YouTubeアナリティクスだけではわからない、YouTube上での検索ニーズを把握するツールとして「DOUGA MIERUCA(ドウガミエルカ)」も提供しています。
YouTubeチャンネル運用における動画撮影&編集ノウハウ
今回と同じく株式会社SYNERGY JAPANの山下将文氏をゲストに迎え、企業のYouTube制作のポイントを伺った関連動画もぜひご覧ください。 「編集は社内で内製化した方が良いのか、アウトソースした方が良いのか」「アウトソースする場合、編集者はどう見つければ良いのか」「編集者とのコミュニケーションのミスマッチはないか」など、単刀直入に聞いております。