アトリビューション分析と聞くと「難しそう」だと、とっつきにくく感じられていないでしょうか?
Webコンサルタントである私自身もそうでしたが、分析をし始めて色んな企業様へ提案したところメリットをたくさん実感しました。「直接コンバージョン(CV)しか見ていなかったが、間接コンバージョンしている施策が把握でき、PDCAの精度が上がった」という声もいただいています。
ビジネスモデルがBtoB、BtoCどちらであっても「アトリビューション分析」は必要だと私は実感しています。本稿で分かりやすく解説しましょう。
目次
アトリビューション分析とは?
アトリビューション分析とは、マーケティング施策の効果測定として用いられる分析方法の1つ。
コンバージョンに直接つながった施策だけでなく、コンバージョンに至るまでの複数の経路も含めて成果への貢献度を測る取り組みのことです。
…と、ここまでは、数多くの書籍やWebサイトにも書かれていますが少し難しい印象ですよね。
私は、サッカーに例えて説明しています⚽ 。
ゴールを決めた人を称賛するのは正しいけれど、ゴールは発生するまでにチームメンバーによるパスなどもあって、初めて創出されるものです。
その経路を明らかにし、頑張った人(施策)を可視化することがアトリビューション分析になります。
アトリビューション分析のメリット
分析をするためには事前準備や細かな分析が必要となり、やや面倒なことは確かです。
ただ、私はアトリビューション分析のメリットを次のように感じています。
どんな経路が勝ちパターンなのか判別できる
勝ちパターンが判別できることによって、注力媒体と非注力媒体などの塩梅が把握できます。
運用の指示出しやチェック、予算分配もスムーズに行えるようになります。
アトリビューション分析が重要な理由
従来のWeb集客施策では、最後にクリックされたバナーや広告が優秀とされてきました(※ラストクリック偏重型と呼ばれる傾向)。
しかし、実際にはユーザーがコンバージョンに至るまでには数多くのコンテンツに接触しています。各施策の貢献度を測ることで、誤った修正指示や予算削減を回避できるのです。
アトリビューション分析 5つのモデル
それでは、基本的な型となる5つのモデルを順に紹介していきましょう。
Last Interaction model(終点モデル)
コンバージョンが発生した、最後のタッチポイントだけ評価するモデルです。
一般的な成果分析にはよく使われますが、これはアトリビューション分析をしない場合と結果は同じになってしまうので私はほぼ使いません。
First Interaction model(起点モデル)
初回接触をしたタッチポイントのみを評価するモデルです。
最終的にコンバージョンしたユーザーが、最初はどのコンテンツや広告で接点を持ったのか、起点だけを分析します。
新しいユーザーと多く接触できたポイントを評価するため、認知拡大やブランディング目的として活用されることはあります。
しかし1つの起点しか評価しないため、こちらも私はあまり利用しません。
Linear model(線形モデル)初心者にオススメ
初回接触から、コンバージョンが発生した最後のタッチポイントまで、全て均等に評価するモデルです。
これは、アトリビューション分析を初めて行う方へオススメ。どのモデルが自社に適しているか判断が難しい場合も、コンバージョンに貢献している経路がざっくり理解できるからです。
Position Based model(接点ベースモデル)
初回と、コンバージョン発生前の最後のタッチポイントのみを評価するモデルです。
このモデルは、どちらかと言うとBtoBマーケティングで活用することが多いです。ユーザーが法人である場合、まず社員がリサーチ(初回接触)して、社内稟議をあげて決裁が通るとき(コンバージョン前)に再び熱量が高くなるということが、この分析を元にして分かった経験もあります。
Time decay model(減衰モデル)
初回から徐々に評価を高くし、コンバージョンが発生したポイントを最も評価するモデルです。
こちらは、BtoCマーケティングに向いていると私は考えています。
アパレルのWebサイトを連想していただくと、イメージしやすいです。事前にSNSなどで下調べして、気持ちが徐々に高ぶりブログなどでさらに目にすることがあり、実際にECサイトや店頭で購入することはないでしょうか。
そのような心の動きを捉えられるモデルとなります。
このようにアトリビューション分析モデルは大きく5つありますが、主に使われるのは以下3つなので覚えておきましょう。
- Linear model(線形モデル):初心者にオススメ
- Position Based model(接点ベースモデル):BtoB企業で使うことが多い
- Time decay model(減衰モデル)の3つ:BtoC企業で使うことが多い
Googleアナリティクスでの手順と注意点
アトリビューション分析は、Googleアナリティクスにも備わっている機能です。ざっくり手順を解説しましょう。
1.モデル比較ツールを選択する
Googleアナリティクスのレポート画面で、コンバージョン > マルチチャネル > モデル比較ツールを選択してください。
2.条件を設定する
まず、設定しているコンバージョンを選びます。ここでは「すべて」を選択しました。
次に「ルックバックウィンドウ」で何日前まで遡って計測するか設定します。BtoB企業など、リードタイムが長いビジネスモデルの場合は「90日」くらいにしても良いと思います。
3.分析モデルを選択する
そして、「モデルを選択」してください。Googleアナリティクスの場合、7つのデフォルトモデルがあり、複数選択することもできます。
4.各モデルで算出されたCV数を設定する
今回は、従来の分析とほぼ同じ結果になる終点モデル、そして接点ベースモデル、さらに減衰モデルで計測してみました。それぞれのコンバージョン数を見てみましょう。
例えば終点モデルを見るとノーリファラー(≒ダイレクトなど直接の流入)のコンバージョンが圧倒的に多いですが、接点ベースモデルで見るとオーガニック検索(≒SEOなどの自然検索流入)と僅差になります。
顧客と最初の接点をもつという観点で、「オーガニック検索」はコンバージョンに大きく貢献していると分かります。
以上がGoogleアナリティクスでのざっくりとした手順ですが、十分に活用できているマーケターさんはとても少ない印象です。
直接コンバージョンしか見ていなかったり、自社に適している分析モデルの判断や、評価の比重(%)調整が難しいからだと思います。さらに、Web業界全体でみても、アトリビューション分析の事例が十分に公開されていないのも原因でしょう。
そのため、最初に実施するときだけでもプロのWebコンサルタントへ相談した方が正しい分析が行えるはずです。
(まず無料相談の範囲で良いと思います)
そして実際に依頼する段階になったら、次の3つを擦り合わせておきましょう。Webコンサルタント側と企業側で、意識の相違が出る事態を防ぐことができます。
■依頼時にWebコンサルタントと擦り合わせておくこと
① どのモデルで分析をするのか、目線を確認しておく
② コンバージョン前の最終タッチポイントを含み、何回前まで遡るのか擦り合わせておく
③ 分析をする目的を明確にして、短期的な分析では終わらせないこと
私自身、『ミエルカコネクト』という業務委託マッチングサービスに登録していますので、アトリビューション分析の相談に乗ることができます。気軽に問い合わせてくださいね。
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まとめ
一見大変そうなアトリビューション分析ですが、コンバージョンへ貢献したタッチポイントはどこなのか、正しく知ることができます。
重要な施策を誤って軽んじてしまい、注力ポイントを見失わないためにも、多くのマーケティング関係者が取り組んでくれることを切に願います。