コロナ禍以降、本格的に〝Webマーケティング〟を意識し始めた方も多いのではないでしょうか? リアル店舗や展示会といったオフラインチャネルの集客力が下がり、「なにかWeb施策を始めなければいけない」と感じている企業様からの相談は、コンテンツマーケティング・SEOの支援会社である弊社・Faber Comany (ファベルカンパニー)にも多く寄せられています。Webマーケティングには様々な施策があります。本稿では基礎知識とともに、施策一覧や成果を上げるためのポイントについても解説するので、自社に合うWebマーケティング施策立案の参考にしてみてください
目次
Webマーケティングとは
Webマーケティングとは、Webを中心に行われるマーケティング活動です。商品やサービスの認知を広め、販売促進を目的に行うプロモーション施策のうち、Web上で行う施策のすべてがWebマーケティングにあたります。
デジタルマーケティングとの違い
Webマーケティングと似た文脈で、〝デジタルマーケティング〟という言葉もよく使われますが意味は少々異なります。デジタルマーケティングはWebに限らないデジタルツール全般を用いたマーケティング活動です。例えばデジタルサイネージやVR、アプリなども含む、オンラインのあらゆるタッチポイントを活用した施策のことを指します。
Webマーケティングが注目される理由
近年ではインターネットやスマートフォンの普及により、Web上のマーケティング活動が重視される傾向にあります。 電通が毎年発表している「2020年 日本のインターネット広告費詳細(図表1)」と、サイバーコミュニケーションズの「2021年 日本の広告費(図表2)」をもとに近年の傾向を紐解いていきましょう。
まず(図表1)を見ると、新型コロナウイルスの影響もあり2020年は広告費全体での成長率が前年割れしています。しかし、(図表2)も確認するとインターネット広告のみ継続的に前年を超える成長を遂げているのが分かります。
■図表1 日本の総広告費の推移


「2021年 日本の広告費」より
■図表2 インターネット広告媒体費総額の推移


「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」より
また、電通の「2021年の広告費(図表3)」の内訳を見ると、インターネット広告費がマスコミ四媒体広告費を初めて上回りました。
■図表3 媒体別広告費<2019年~2021年>


「2021年 日本の広告費」より
インターネット広告はWebマーケティングの手段のひとつです。そのため、この調査結果からも、Webマーケティングが日本市場で重視されていることがわかります。
Webマーケティングの基本的な考え方
Webマーケティングを効果的に実践するためには、マーケティング自体の基礎を理解する必要があります。 マーケティングは「誰に」「どのような価値を」「どのように提供するか」の三軸が基本的な考え方です。詳しく見ていきましょう。
誰に(セグメンテーション/ターゲティング)
マーケティングを実施するためには、まずどのような顧客へアプローチするかを決める必要があります。この行為をターゲティングと言いますが、ターゲットを定めるためにはまずセグメンテーションを行います。
セグメンテーションとは、市場に存在する顧客をさまざまな角度で分類し、市場の構造を把握する「分類」のことです。セグメントする際の分類軸は業種や業態、顧客の年齢や居住地、購入履歴などが考えられます。訴求したいサービスや商品によって分析軸は異なりますので、自社にあった分析を行うことが重要です。
セグメンテーションで顧客を細分化してから、その中のどの層にアプローチするべきか狙いを定めて「選定」することをターゲティングといいます。ターゲティングでは、顧客層の課題を自社のサービスや商品で解決できるか、自社の強みを活かせるかなどの視点で決めることが大切です。
どのような価値を(ベネフィット/差別化)
「誰に」の部分を決めたら、次に考えるのは提供する価値(ベネフィット)です。ベネフィットとは、人が特定のサービスや商品を購入して得られる利益や未来を指します。
有名な例として「ドリル」があります。ドリルを購入する顧客が求めているものは、ドリルという商品ではなく「穴を開けること」。これがベネフィットです。このように商品を購入する顧客が本当に求めていることが何かを見極め、自社のサービスや商品でそのニーズを満たせるかを考えることがマーケティングでは大切です。
さらに、似たサービスや商品を提供している競合他社と比べて、どの部分が自社サービスは優れているかを定義することも大切です。これが「差別化」です。競合他社との差別化・優位性が明確であれば、広告〜商談時まで一貫性のある訴求ができるようになります。
どのように提供するか(4P)
「どのように提供するか」は、4Pと言われる4つの要素を参考に構成します。4Pとは、Product 、Price、Promotion、Placementの頭文字を取ったマーケティング用語です。それぞれの項目について簡単に解説します。
- Product(プロダクト・製品)
- 顧客が求めるベネフィットをどのようなサービスや商品で提供するかを定めます。
- Price(プライス・価格)
- 販売する商品の値付けをどうするかを定めます。
- Promotion(プロモーション・販促)
- 顧客にどのような方法で商品の存在や魅力を伝えるかを定めます。Webマーケティングは、1つのプロモーション手法ですのでここに分類されます。
- Placement(プレイスメント・流通)
- サービスや商品をどこで得るか(買えるか)を定めるものです。顧客が購入した際に、どのような経路でサービスを提供するかを定める意味もあります。Webマーケティングの場合は、EC販売やクラウドサービスで提供するなども考えられます。
4Pは1960年代に提唱されました。時代に合わせて4Cという概念も1990年代に生まれています。4CはCustomer Value(顧客価値)、Cost(コスト)、Convinience(利便性)、Communication(顧客コミュニケーション)の頭文字を取ったものです。 4P、4Cいずれもマーケティングの基本であり、ターゲティングやベネフィットを考えた上でそれを再現できる手法を選ぶという意味では同じです。これらを整理して、自社の価値をどのように顧客へ提供していくか、決めるわけです。
Webマーケティング 代表的な10の施策
ここからは4PのPromotionに該当するWebマーケティング施策について考えていきます。Webマーケティングに欠かせない施策をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
①自社Webサイト・ECサイト・LP改善
まずは、サービスを知ってもらい商品を販売するなどの自社WebサイトやECサイト、LP(ランディングページ)などを設ける必要があります。
自社サイトはサービスの詳細はもちろん、企業理念や取り組む事業全体を理解してもらい、顧客からの信頼を得る目的でも大切です。顧客からよく質問されることは、FAQなどにして自社サイト内に設置しておきましょう。問い合わせフォームの最適化もコンバージョンを得るためには欠かせない施策の1つです。
☑︎関連記事:入力フォームはデザインが重要!離脱させずリード獲得につなげる10のポイント
ECの役割も持つサイトの場合、売上にも直結します。サイト内で商品を探しやすい導線かどうか、ユーザーインタビューなども実施できると改善につなげやすいでしょう。
また、LPは特定のサービスをユーザーに認知してもらいコンバージョン(購入や申し込み)に誘導する役割を持ちます。Web広告からの流入先としてサービスごとに作っても良いでしょう。
☑︎関連記事:LPとは?3つのメリットと広告効果を上げる技
②SEO(Search Engine Optimaization)
SEOというと、「とにかくたくさんの記事を書く」「キーワードを詰め込む」と誤解されることも多いですが、昨今はそういったものでは成果が出せません。検索ユーザーの知りたいことに応え、「検索ユーザーの課題を解決すること」がSEOだと覚えてください。
例えば、自社サービスや商品に関連するテーマを扱った記事コンテンツを作り、検索結果の上位に表示できれば、潜在顧客にあたるユーザーに自社を認知してもらえます。課題解決の1つの手段として自社サービスをアピールできれば、コンバージョンにも繋がります。
SEOツール「ミエルカ」を提供するFaber Company(ファベルカンパニー)では、〝オウンドメディア〟というキーワードで長らく検索1位に表示されているコンテンツがあります。(2022年4月末現在)「オウンドメディアを始めよう」と思ってその記事にたどり着き、その記事をキッカケとして「ミエルカ」を知り、問い合わせてくださったユーザーも大勢います。SEO施策として記事制作に取り組むときは、ぜひ下記を参考にしてください。
☑︎関連記事:正しいSEO対策とは?SEOの基本と効かなくなった施策
☑︎関連記事:SEO初心者に伝えたい、基本のSEOと施策ポイント【チェックリスト付き】
③ローカルSEO
ローカルSEOとは、ユーザーが特定ジャンルのキーワードを検索したときに、居住地や現在地などによって変わる「特定の地域にフォーカスした検索結果」の中で上位表示をねらうことです。
例えば、「赤坂 ラーメン」など特定の地域を含むキーワードで検索すると、その地域に特化した検索結果が表示されます。「赤坂」など地域名が入っていない場合でも、キーワードによっては検索した場所に応じた検索結果が出ることもあります。店舗やオフィスなど、物理的にその場所へ行くことを目的とするようなキーワードでは、検索エンジンが自動的に地域に特化した結果を返すことも多いです。


こういった地域に関連するキーワードの場合、通常のSEO施策とはまた別の対策をとる必要があります。Google Map上に表示される店舗情報は「Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)」と呼ばれるツールで管理されています。店舗があるビジネスを展開されている方は、まずこのGoogleビジネスプロフィールのオーナー権を取得してください。自社Webサイトより多くの閲覧があるかもしれません。これはMEOやローカルSEOでも非常に大切です。
Faber Comapanyでは、「ローカルミエルカ」というサービスにて、Googleビジネスプロフィール一括管理やローカルSEO支援も行なっています。より詳しく知りたい方はこちらのページもご覧ください。
④Web広告(PPC広告、リスティング、ディスプレイ)
Web広告は掲載先となる媒体社やプラットフォームに広告費を支払い、そのプラットフォームがもつユーザーに広告を表示させるマーケティング手法です。
認知拡大やコンバージョンの獲得を目的に実施されます。Web広告にはさまざまな種類があり、現在主流とされているのは掲載費用やクリエイティブを自由に変更できる運用型広告です。Web広告の種類はリスティング広告、ディスプレイ広告などがあります。以下の記事で解説しているのでご覧ください。
☑︎関連記事:Web広告とは? 種類や媒体、費用などを一覧でDL! オススメ手法やコツも紹介
⑤SNS運用
FacebookやTwitter、InstagramなどのSNS上に特定のサービスや企業のアカウントを作成し、顧客に向けて発信していく施策です。SNSは拡散性があり、BtoC向けのサービスなどとの相性が良い点が特徴です。また、Web広告と組み合わせることで相乗効果を狙いやすく、期間限定のキャンペーンを認知させたい場合などには積極的に活用すると良いでしょう。
「ミエルカマーケティングジャーナル」では、Twitterを中心にSNS解説の記事も発信しているので、ぜひご覧ください。
☑︎ミエルカ マーケティングジャーナル|SNSの記事一覧
☑︎SNSマーケティングに強いマーケティング人材なら「ミエルカコネクト」で紹介できます
⑥ YouTubeチャンネル
動画を用いたマーケティング施策も近年では注目が高まっています。動画コンテンツを作成してYouTubeなどのプラットフォーム上で公開することで、ユーザーへ自社のサービスや商品の情報を伝えていく施策です。Faber Comapny(ファベルカンパニー)でもSEOやWebマーケティングについて発信する「ミエルカチャンネル」というYouTubeチャンネルを運営しています。
テキストコンテンツよりも親しみがわきやすく、社員が出演すれば商談や顧客ミーティングの良いアイスブレイクにもなっています。自社サービスに関連するノウハウを伝えれば、潜在顧客からの信頼も得られるでしょう。


また、近年は、TikTokも拡散性の高さから注目されています。動画はテキストコンテンツに比べて短時間でより多くの情報を伝えられるため、BtoB商材や教育コンテンツにも適しています。また、ストック型のため1本の動画で長期的な認知・集客効果を狙える点も魅力です。
YouTubeチャンネルの伸ばし方については、下記の記事でくわしく解説しています。
☑︎YouTubeのSEO施策を完全網羅で解説 ~アルゴリズムの傾向、キーワード選定法、ユーザーに好まれる動画の作り方
⑦メディア掲載(タイアップ広告)
タイアップ広告とは、メディアの記事コンテンツと同様の体裁で掲載される記事型広告です。掲載するメディアを普段から読んでいる読者には受け入れられやすく、メディアが持つブランド力も活用できる点が魅力のひとつです。 メディアを選定する際は、そのメディアのジャンルや読者層が自社のターゲット層とマッチしているかをきちんと見極めることが大切です。
⑧アクセス解析・CVアップ
WebマーケティングはテレビCMやオフライン広告と違い、施策ごとの効果検証を細かく行える点がメリットです。効果検証は解析ツールを使いますが最初は無料のもので十分です。Google AnalyticsやGoogle Search Console(サーチコンソール )に登録してください。
サイトへのアクセス数やコンバージョン数を計測できる
サイトに流入してきたキーワードなどを分析できる
これらを用いて、各施策のコンバージョンやアクセスがKPI(目標)に対してどのような結果かを検証することが大切です。施策の結果をもとに改善点を見つけてPDCAを回すことで、コンバージョン数の向上が見込めます。
☑︎関連記事:Googleアナリティクス4(GA4)への移行どうする?
☑︎関連記事:Google Search Console(サーチコンソール )の登録方法
⑨メールマーケティング
自社で保有している顧客リストに対して、メール配信するマーケティング施策です。自社イベントの告知や業界ニュース、記事や動画コンテンツ公開のお知らせなどをメールで配信します。
メールはプッシュでユーザーに伝えられるコミュニケーション手段であるという特徴があります。多くのECサイトでは、今でも重要なチャネルになっているでしょう。コンバージョンの獲得だけではなく、既存顧客との関係性構築を目的としても活用されています。
特にBtoB領域においては、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用する企業も増えてきています。メールの開封やクリック、Webアクセス履歴などを活用して、興味度合いに応じた顧客フォローを自動化することも可能です。
MAやメルマガ施策については、以下の記事で解説しています。
☑︎関連記事:MAとは?機能や活用方法を解説
☑︎関連記事:メール配信の主な指標・開封率・CV率
⑩ウェビナー・オンライン展示会
展示会やセミナーをオンラインで実施する「ウェビナー」も新規顧客との出逢いが期待できます。基本的にはメールマーケティングと同様、リードジェネレーションとしての役割ですが、ウェビナー参加者限定のアンケート特典などを設ければ商談へも繋げやすくなります。
ウェビナーは自社開催、他社との共同開催(共催)、外部イベントへの参加など様々な開催形式があります。外部イベントに参加する場合は協賛費用がかかるので、顧客リストをある程度持っている企業であれば、まずは自社開催や他社との共同開催から始めてみることをオススメします。
Faber Cmapny(ファベルカンパニー)でも定期的にウェビナーを開催していますので、ぜひ参考がてら視聴してみてください。
Webマーケティングで効果を上げるためにはKPI・KGIを明確に
Webマーケティングはオフラインのマーケティングよりも効果検証しやすい点が特徴です。細かな運用も可能であることから、成果を上げるためにはWebマーケティングの特徴を理解した上で適切な対応を取ることが大切です。実施するマーケティング施策内容に応じたKGIとKPIは必ず明確にしておきましょう。
- KGI:Key Goal Indicatorの略
- Webマーケティングで最終的に得たい成果指標です。
コンバージョン数や売上(貢献金額)になることが多いでしょう。 - KPI:Key Performance Indicatorの略
- 最終的な成果(KGI)に至るまで、マネジメントするべき中間指標です。
例えば、KGIがWebサイト経由のコンバージョン数であれば、流入数、新規コンテンツの公開数、広告のクリック数など様々な指標がKPIとして設定されます。
この2つの指標を施策実施前にきちんと定義しておくことで、実施後の効果測定方法や目標達成度合いを正確に測ることができます。Webマーケティングは施策の結果を数値で把握できる点が強みです。各施策の数値をもとにPDCAを回していきましょう。
☑︎関連記事:Web集客のコツとは? 13種類の詳細と費用、ツールや事例まとめ
WebマーケティングはWeb上に限定したマーケティング施策を指しますが、基本的な考え方は従来のマーケティングと変わりません。誰に、どのような価値を、どのように提供するかをきちんと定めつつ、Webマーケティングの強みである数値検証やスピーディな運用を活用し効果の高い施策を実施しましょう。
Faber Company(ファベルカンパニー)では、Webマーケティングの戦略を定め施策を進めるヒントとなるオンラインセミナーを多数実施しています。全て無料なので、ぜひお気軽に参加ください。


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著者PROFILE


ダイレクトマーケティング会社を経て、株式会社CARTA COMMUNICATIONS入社。メディア広告支援や新規事業立ち上げを経験後、TikTok For Business広告事業の日本展開およびマネジメント業務に従事し、TikTok For Business Awardにて2年連続プラチナ賞を獲得。2021年より独立し、デジタルマーケター・ライターとして活動中。