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【海外SEO】ユーザー行動のデータで記事のランキングも決まる?ファブリス・カナル氏に独占インタビュー

更新日: 2024.12.16   公開日:2024.12.12

Bing検索のプリンシパルプロダクトマネージャーFabrice Canel(ファブリス・カナル)氏に、弊社のツールであるミエルカSEO/ミエルカヒートマップのプロダクトマネージャー市川が独占インタビュー!

Bing検索の進化やジェネレーティブ検索についてのあれこれなど、Bingの開発に関わっているからこそ聞ける裏話をたくさん話してくれました。SEOはもちろん、CROやサイト改善を行う上で非常に役立つ情報もあるので、ぜひ最後までお読みください!

※この動画は、2024年11月に公開されたものです。

▼動画で確認したい場合はこちら▼

Fabrice Canel(ファブリス・カナル)
Bing検索プロダクトマネージャー Fabrice Canel(ファブリス・カナル)Microsoftのプリンシパルプロダクトマネージャーとして、26年以上にわたり、ウェブ全体の発見、選別、クロール、処理を指揮。Bing検索インデックスの鮮度と包括性を追求し、世界中の数百万ユーザーに最適な検索体験を提供することを使命としている。 大規模なプラットフォームや最先端の機械学習スタック、Bing Webmaster Toolsを通じたウェブマスターからのフィードバックを活用し、ウェブの膨大なスケールと複雑性に対応。ウェブクロールやインデックス作成の分野で複数の特許と革新を手がけ、日々数十億の新規および更新ページを処理可能な体制を実現している。
鈴木 謙一
株式会社Faber Company 取締役(Search Advocate)鈴木 謙一Google 公式の検索セントラル ヘルプ コミュニティのダイヤモンド プロダクト エキスパート(アジア太平洋で初)。
新潟県上越市出身。新潟大学教育学部英語科卒業後、就職のため上京。ITトレーナーや情報システム管理者、ヒューマンスキル系社内講師などの会社員を経て独立。2007年に開設した「海外SEO情報ブログ」は、SEOに特化したブログとしては国内で最も多い記事数とアクセス数を誇る。2008年、当社入社。最新SEOの情報収集・情報発信、セミナー講師・イベントスピーカーが主たる職務。講演・寄稿実績多数。

海外SEO情報ブログ – SuzukiKenichi.COM: 海外SEO
▶︎https://www.suzukikenichi.com/blog/
Web担当者フォーラム執筆記事
▶︎https://webtan.impress.co.jp/user/1730/articles
X(旧Twitter)
https://x.com/suzukik

\鈴木謙一が直々に執筆!/

Pubcon Pro Las Vegas 2024 カンファレンス現地レポート

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ディープ検索とジェネレーティブ検索、従来の自然検索の違い

Rio: 今日はBing検索のFabrice Canel氏にお越しいただきました。Fabriceさん、本日はありがとうございます。視聴者の皆様からYouTubeでたくさんの質問をいただきましたので、Bing検索やその将来について、いろいろとお伺いしたいと思います。よろしいでしょうか?

Fabrice: 喜んでお答えします。

Rio: ありがとうございます。では最初の質問です。セッションでもデモンストレーションされていましたが、ディープ検索とジェネレーティブ検索、つまりCopilot検索についてです。これらの違い、そして従来のオーガニック検索との違いを教えてください

Fabrice: Bingでは、検索価値を高めるために様々な検索体験を提供しています。従来の検索、つまりBing検索では、例えば「YouTube」と入力すると、YouTubeのリンクが表示され、クリックすると目的のYouTubeチャンネルに移動することができます。

一方Copilot検索は、任意のクエリから会話を始め、条件を絞り込んで調整しながら、適切な回答を見つける検索体験です。これらに加え、ユーザーのクエリに対してより良い答えを見つけるために、検索結果をより深く掘り下げる、新たな体験が必要だと考えています。従来の青いリンクだけでなく、AIによるカテゴリ分類なども組み合わせた生成型の結果を表示させることで、ユーザーの検索意図を満たすことができるような、ジェネレーティブな体験もあります。つまり、ユーザーの状況や目的、どこで何を探しているかによって、検索体験が異なるのです。

単純なナビゲーション、例えば「YouTube」と入力してyoutube.comに移動したい場合は、従来の検索で十分でしょう。しかし、インターネットのどこかに埋もれているコンテンツを探すなど、難しい検索の場合は、ディープ検索が有効です。ディープ検索では、クエリのあいまいさを解消し、適切な答えを見つけるのを手伝ってくれます。

それから、検索意図によって意味が変わるものもありますよね。「Jaguar」のように、車と動物の両方の意味を持つクエリの場合、動物と車のセクションに分けて結果を表示し、ユーザーが選択できるようにする、といった体験も提供できます。ユーザーのクエリや目的に応じて、最適な体験を提供するということです。

Rio: つまり、ユーザーが入力するクエリや、探しているものによって、表示される結果が変わるということですね。一方で、ディープ検索は、どのような場合に利用できるのでしょうか?

Fabrice:ディープサーチボタンは、すべてのクエリで表示されるわけではありません。表示されている結果で十分に満足できるクエリの場合、ユーザーを混乱させる可能性があるため、ディープサーチボタンは表示しません。ユーザーが何を探しているのかわからない場合や、複数の可能性がある場合に表示されます。通常の検索結果、つまり、基本的な情報のみで十分だと判断された場合には、表示されません。

Rio: 検索結果が十分だという判断は、どうやって行っているのですか?

Fabrice: 過去のクエリのデータを利用しています。例えば「YouTube」と検索した場合、ほぼすべてのユーザーがYouTubeのリンクをクリックします。なぜなら、多くのユーザーはYouTubeにアクセスすることが目的だからです。

他のクエリの場合は、過去のデータや、システムにクエリを投げて返ってきた結果から、様々な視点や関連する別の情報が存在すると判断して、ユーザーに複数の選択肢を提供します。ユーザーが検索結果に満足できるようにすることが目的なので、その場に応じて、適切な選択肢を提供することが重要になります。関連検索が表示される場合とされない場合があるのも、ユーザーの検索体験を助けるためです

Rio: 過去のユーザー行動やデータを活用し、ユニークで最適な検索結果を表示するようになっているんですね。

Fabrice: そうですね、ただ、もし全く新しいクエリで検索されて、これまでに見たことがないものだった場合は、取得したコンテンツに基づいて特定の体験を表示するようにしています。例えば、そのトピックに関する動画や画像がある場合、それが検索結果として表示されることがあります。クエリに応じて、動画や画像などを組み合わせて、特定の体験を提供するというわけです。

参考:【海外カンファレンス現地レポート】Search Marketing Summit Sydney (Day3) ~市川莉緒の登壇~

PerplexityやSearhGPTなどの他のAI検索ツールとの違い

Rio: 先ほどのセッションで、ジェネレーティブ検索のデモンストレーションを行っていましたよね。例えばPerplexityやSearhGPTなどの他のAI検索ツールとの違いは何なのでしょうか?

Fabrice: Bingの大きな利点は、もともとが検索エンジンだということです。つまり、最新のニュースやコンテンツを含む、常に最新の情報を保有しているのです。他のLLMでは、数ヶ月前の情報を結果として表示しますが、Bingは、まさに今インターネットで何が起きているのかを把握し、データとして取り込んでいます。最新で最も新鮮なコンテンツを提供できるため、ユーザーを十分に満足させる検索体験を提供できると確信しています。LLMは過去の情報しか持っていないため、最新のコンテンツはカバーできないのですが、Bingは最新の情報を保有しているため、新しいクエリやトピックをより深く理解し、最新の情報を提供できます。

Rio: もともとが検索エンジンだからこそ、他の検索ツールよりも質の高い結果を表示できるということですね。

Fabrice: その通りです。検索エンジンであることの強みは、昨日・今日に起こったことなど、インターネット上の最新情報を把握していることです。これはLLMにはできません。私たちは、そのギャップを埋めていて、Bingは両方の良いとこ取りをしている状態です。OpenAIなどのAIソリューションも検索機能を強化しているように見えますが、過去のデータだけではなく、あらゆるクエリに対応するためには、リアルタイムの情報が必要だからです。

参考:生成AIの「不自然な文章」を読みやすくするコツ

ユーザー行動データは検索順位の決定に利用されている

Rio: 今年の初め、GoogleのAPIドキュメントが流出[1]し、「NavBoost」が話題になりましたよね。Googleがユーザーのクリックデータをコンテンツのランキングに使用している説が濃厚になったと言われています。Bingでも同様のデータを利用して、検索順位を決めているのですか

Fabrice: クエリの意図やユーザーの行動を深く理解することは、Bingの検索体験をより良くするために非常に重要です。BingもGoogleも、データの利用方法は各検索エンジン独自のものですが、ユーザーの検索結果ページでの行動データを収集し、ランキングに活用しています

例えばYouTubeのクエリであれば、リンクのクリックの99%が、YouTubeのリンクだと言っても過言ではありません。正確には99%か95%かわかりませんが、とにかくほとんどがそこに集中しています。こうしたデータは、AIやシステムがユーザーのニーズや課題を理解するのに役立っています。ユーザーを満足させることが私たちの目標なので、このデータを元に、改善点を見つけていくのです。

例えば、ユーザーがリンクをクリックしてすぐ戻ったり、また別のリンクをクリックしてまた戻るという動きを繰り返している場合、これは完全に満足していない証拠です。一方で、リンクをクリックしてそのままBingから離れていく場合は、ユーザーが求めるものを見つけたということです。このデータ分析は、私たちが改善を進める上で非常に重要だと言えるでしょう

これらのデータの一部は、検索全体のシステムにも確実に影響を与えており、クエリを分類したり、なぜうまく行っていないのかを明らかにするのに役立っています。例えば、コンテンツが十分にないのか、あるいは今のネットの情報では対応しきれないクエリが多いのか、そういった問題を特定するのに使います。これが、ASU(アクティブ検索ユーザー)コミュニティやWebサイトが、ユーザーにとって不十分なコンテンツやクエリを検出して、それに対応する品質の高いコンテンツを作成できる理由でもあります。

Rio: それは納得ですね。

[1]2024年5月に、Google検索のAPIと思われる内部ドキュメントが外部に流出したことは事実ですが、その内容が事実かどうか、現在もそのアルゴリズムが適用されているのかどうかなどは、保証できません。関連するドキュメントを以下にまとめておきますので、興味のある方はこちらをお読みいただくことをお勧めします。
Google検索のランキングシステムのソースコードが流出!?
An Anonymous Source Shared Thousands of Leaked Google Search API Documents with Me; Everyone in SEO Should See Them
Secrets from the Algorithm: Google Search’s Internal Engineering Documentation Has Leaked
[動画]【機密情報が流出?】Googleも暗に認めた?SEOプロの分析と見解

Microsoft Clarityのデータを活用して、ピクセル単位のA/Bテストを毎日実施

Rio: そういえば去年[2]、シドニーのカンファレンスでお話しした時、Microsoft ClarityをBingの検索結果に統合していると伺いましたが、Clarityで収集したBing検索結果のデータもBing検索の改善に役立てているのでしょうか?

Fabrice: はい。Bing検索の中でも、JavaScriptやClarityデータが確認できるクエリについては、Clarityのデータを利用しています。Bing Webmaster Toolでも同じで、ページ内のJava Scriptが対象です。特にClarityのデッドクリックデータは、ユーザーがクリックしようとしたが実際にはアクションがなかったテキストを特定するのに役立ちます。例えば、ユーザーがあるテキストをクリックしようとしても、それがリンクではなく、実際には何も起こらない場合などです。このデータを、BingチームやBing Webmaster Toolチーム、またはClarityを使っている全ての関係者が確認して、リンクを追加したり、テキストを変更して誤解を避けたりといった改善を行っています。

Rio: Clarityのデータに基づいて、具体的に何かを変更したことはありますか?

Fabrice: 常に行っています。具体的な例がパッと出てきませんが、ユーザーがどこで何をしているか知るためにA/Bテストを実行しています。A/Bテストは本当に強力な方法です。チームのメンバーもそれぞれが自分の視点を持っているので、そういった意見を反映しつつ進めています。例えば最近[3]では、「トップインサイト」を「トップレコメンデーション」に名称変更してテストしました。この変更を段階的に導入して、どちらが効果的か確認した結果、「トップレコメンデーション」のほうが明らかに良いとわかりました。

Rio: コンテンツやリンクの表示だけでなく、テキストなどの細部まで最適化しているのですね。

Fabrice: はい。すべての変更で、A/Bテストを行い、検索への影響をきちんと測定することが大切なのです。

Rio: ちなみに、毎月どれくらいのA/Bテストを実施しているのですか?

Fabrice: 毎日です。

もちろん、私たちは独自のテレメトリ―(データ収集システム)や使用状況の情報を持っていて、それを基にテストや導入を行っています。ただ、あまりにひどい結果になるものは、システムが自動的に「ローテーションから除外」してくれるのです。それがまったく機能しないことが明らかだからです。お客さんがそれを嫌がっているのが数秒、数分でわかる場合は、テストを続ける意味はないですよね。もし指標が悪い結果を示しているのなら、それはすぐに除外します。

一方で、その変更によって改善が見込まれる場合は、時間をかけて学習しながら進めます。本当にテストの価値があるものだけが数日から一週間、場合によっては2週間ほどテストを行います。基本的に、本番反映するものはすべて必ずテストしています。テストせずにリリースすることはできません。どんな小さな変更でも、テストが必要なのです。

加えて、初期から変わっていないBingの目標として、エンジニアは朝に次の機能のアイディアを膨らませて、午前中にコーディングして、午後にはテストと導入を始めるべきだという考えがあります。もし結果が満足のいくものであれば次に進むし、だめならまた新しいアイディアを考えるというサイクルを、継続していくのです。

もちろん、午前中に全部作り終わるわけではないこともありますが、とにかく、アイディアをテストできる環境があって、そこからユーザーが本当に求めているものを学び取ることが大切なのです。私たちが正しいと信じていることがあったとしても、それが本当に正しいかどうかは、ユーザーにテストしてみて初めてわかることなのですから。

Rio: 細部までこだわる姿勢は素晴らしいですね。

Fabrice: そうなんです。すべての色、すべてのピクセルが重要なのです。ピクセル一つ一つが意味を持っています。

[2]2023年12月
参考:【海外カンファレンス現地レポート】Search Marketing Summit Sydney (Day3) ~市川莉緒の登壇~

[3]2024年11月時点

Bing検索の将来

Rio: 次の質問は、先ほどもお答えいただきましたが、視聴者からの質問なので改めてお伺いします。AIは今後、Bing検索でどのように活用されていくのでしょうか?ジェネレーティブ検索はその一つであり、今も進化を続けていますが、Bing検索は今後どのように発展していくと考えていますか?

Fabrice: すばらしい質問ですね。

今は、検索業界、そしてユーザーにとって素晴らしい時代だと思います。数ヶ月前、数年前と比べて、Bingをはじめとする検索結果の品質は飛躍的に向上しています[4]。Bingもほかの検索エンジンも、明らかに質が大きく向上しています。

例えば、スパムリンクはまだ存在しますが、以前よりは減っていますし、スパマーにとってはかなり厳しい状況になっています。デッドリンクなどの課題は残っていますが、全体的な品質は向上しており、今後もAIの進化によってさらに向上していくでしょう。AIはその特性上、品質面で指数関数的に進化していきますし、大規模言語モデルのクオリティもどんどん良くなっています。さらに、量子コンピューターなど、新たなテクノロジーも登場しています。

現時点[4]で、ある程度解決されているものもあります。例えば、YouTubeへのクエリのように、確実に機能するクエリもありますよね。一方で、まだ課題を抱えているクエリも多数存在します。そのため、単なるリンクだけではなく、AIを活用した生成型検索結果や短い体験型のコンテンツなどを通して、ユーザーを満足させるソリューションを提供することが解決策になると考えています。これらの新しいUXには、すでに多くのピクセル単位での変更が加えられています。

過去30年間、検索結果はリンクが主流で、ユーザーもそれに慣れていますが、今後はより複雑な検索体験を提供していこうとしています。そうした中でも、結果ページをシンプルでわかりやすいものに保ちたいと考えているのです。理想は、すべてのユーザーが理解しやすい、適切な検索結果ページを提供することです。技術の進化によって、インターネットとユーザーの意図をより深く理解し、ユーザーを満足させることが目標です。

シンプルなインターフェースにすることで、私やRioのようなギーク(オタク)だけではなく、家族や友人のようなテクノロジーに詳しくない人でも簡単に使えて、検索で必要な情報を見つけられるようにするのが理想です。その点では、SEOコミュニティも重要な役割を担っています。検索エンジンと連携して、適切なコンテンツを公開したりページに適切なスキーマを追加したりすることで、私たちがコンテンツをより深く理解できるように手伝ってくれると助かります。まだ課題はありますが、これも進化していく分野だと思っています。

[4]2024年11月時点

AI検索結果の正確性について

Rio: ちなみに、数カ月前にGoogleのAIOverviewがアメリカで全ユーザー向けに公開されましたよね[5]。それについて多くの人が不満を持っているようです。AIOverviewが間違った情報を返してしまうとか、事実確認が不十分だとか、結果がひどいという声も聞きますよね。Bing検索もその例外ではないと思うのですが、この問題についてどう思いますか?

Fabrice: 最優先に行わなければいけないのは、ユーザーの保護です。Microsoftではセキュリティが最優先事項です。単にセキュリティルールを守るだけではなく、質の高いリンクを提供したり、マルウェアや誤情報の提供からユーザーを保護することにも全力を注いでいます。私たちは非常に高い基準を設定しており、この問題に未来志向で取り組んでいます。ただ、もちろん完璧ではありません。だからこそ、ユーザーからフィードバックを提供してもらえると本当にたすかります。それによって、今どこに弱点があるのかを理解し、改善に役立てることができます。

AIを活用した新しい検索体験についても、リリースする際にはユーザーからの多くのフィードバックを収集しました。当初、これは完全に秘密のプロジェクトで、外部にはほとんど知られていませんでした。でもリリース後に気づいたのは、いくつかのクエリでは軌道修正が必要だったこと、そしてたくさんの問題を解決しなければいけなかったということです。私たちは完璧ではありません。だからこそ、フィードバックをいただき続けることが非常に大切だとおもっています。

Rio: 結果についてフィードバックを送ることを奨励しているということですね?

Fabrice: はい。私たちは常に結果を評価しています。そして非常に高い基準を達成することを目指しています。100%の達成は簡単なことではありませんが、いつかは実現すると思っています。それまでは、ぜひフィードバックを送っていただきたいです。ページの下部にフィードバックリンクがあるので、そこから質の高いフィードバックを送信していただければと思います。

一部の問題は解決が本当に難しいものもあります。例えば、正当なニュースサイトや企業サイトが、明日ハッキングされてしまう可能性があります。もしそのドメインの信頼性だけを基準にしてしまうと、非常に有名なニュースサイトだからといって「これは信頼できる」と判断しがちですが、実際にはサイトがハッキングされていたり、不正な従業員が偽の情報を公開していたりする場合があります。こうした問題は、単純にドメインの権威だけでは解決できません。だからこそ、何が公開されているのかを常に検証し続ける必要があります。

簡単なことではありませんが、私たちはサービスの質を上げるために全力で取り組んでいます。フィードバックをいただければ、課題を特定し、調査して修正する手助けになります。

Rio:みなさん、フィードバックをおくりましょう!

Fabrice:ぜひお願いします!全てのフィードバックが本当に役立っています。実際、私はフィードバックにとても敏感なのです。

Rio: すべてのフィードバックを確認しているのですね。

Fabrice: もちろんです。

Rio: どのくらいのフィードバックを受け取っているのですか?

Fabrice: 毎日数百件です。

Rio: 毎日数百件もですか?

Fabrice: フィードバックはプロダクトの向上に役立っていますし、私自身がチームのリーダーとして品質向上を推進する上でも非常に助けとなっています。指標については、私たちが知っている範囲内での目標設定がされており、その目標を全て100%にすることを目指しています。そこに至るまでには、様々な課題を特定し、担当者をアサインして解決し、次のレベルに進むようにしています。

ただし、私たちがまだ完全に把握していない部分もあります。私たちは神ではありませんから(笑)。それに、フィードバックを通じて、「この問題は考慮していなかった」と気づくこともあります。その場合はそれを短期計画に組み込み、早急に修正する必要があるものはすぐに対処します。

また、中長期計画についても、3〜6ヶ月単位の計画サイクルで進めています。フィードバックは、四半期の計画を立てる際にも非常に役立っています。すでに分かっている問題についてはロードマップに含めて影響を最小限にする努力をしてはいますが、私たちが把握していない問題については、フィードバックが本当に重要なのです。フィードバックをいただけるのは本当にありがたいです。

[5]2024年5月、Google SGEがAI Overviewと改名し、米国で一般公開。
参考:Google SGEがAI Overviewに名前をあらため、米国で一般公開

AI検索は上位表示から情報を取得している

Rio: ところで、SEO関係者からよく聞く声として、「GoogleのAIOverviewは上位表示されている記事からのみ情報を取得している」というものがあります。Bingでも同様ですか?

Fabrice: 正直、Googleのことはわかりませんし、それを推測するのもあまり意味がないと思います。重要なのは、Bingが何をしているかです。

Bingではユーザーを満足させることがすべてです。もし、特定のクエリに対して本当に役にたつ高品質な記事があった場合、それを取り上げて目立たせることがあります。その記事がそのクエリにとってトップクオリティの結果であると判断した場合に限ります。しかし、その記事がそもそもランクインしていなければ、目立つ場所に表示されることはありません。基本的には、検索結果の中での価値が重要なのです。そこにランクインしていない限り、高品質な回答として強調されることはありません。

Rio: ランキングとAI生成検索で取り上げられることはやはり関連していますよね。

Fabrice: そうですね。検索エンジンは、常に最新のコンテンツを取り込むことが重要です。

なので私は、IndexNowを通じて、最新の変更をクローラーに知らせることを推奨しています。そして、特定のクエリに対して信頼性のある回答を提供し、ユーザーを満足させることが何より大切です。これはGoogleも他の検索エンジンも同じだと思います。検索エンジンは、日本語のクエリでも英語のクエリでも、ユーザーを満足させるために存在するのです。

インターネット上で最適なコンテンツを見つけ出すためには、コンテンツがインデックスに登録されていなければ、検索結果として取得されることはありません。

他の検索エンジンにない、Bing検索の強み

Rio: 最後の質問です。これは悪意があるわけではなく、事実を述べているだけなのですが、世界的に、そして日本でもGoogleは最も利用されている検索エンジンです。少なくとも日本では、Googleが多くの人に使われています。日本のユーザーにBing検索やジェネレーティブ検索を利用してもらうために、どのようなメッセージを送りたいですか?

Fabrice: このイベントが収録されているカンファレンスにも関連しますが、Bingは皆さんが思っている以上に大規模です。残念ながら、Bingのシェアや規模は、bing.com上のクリック数だけを指標にしていることが多いです。しかし実際には、Bingはエコシステム全体で多くの検索ソリューションやAIソリューションを支えています。

例えばDuckDuckGoもBingを活用していますし、Meta、OpenAI、AmazonなどもBingの技術を利用しています。業界全体で多様なソリューションにBingが利用されているのです。さらに、WindowsにもBingが搭載されています。ただし、Windowsで表示されたコンテンツからクリックが発生しても、Bingのクリック数としてカウントされていない現状があるのですが(笑)。いずれにせよ、Bingの規模は実際には人々が認識しているよりもずっと大きいです。

それから、私たちが重要視しているのは、クリック数だけでなく、クリックの質です。特にショッピングサイトを運営している場合、Bingからの訪問者がどれだけ購入に結びついているか、他の検索ソリューションと比較してみてください。Bingからのクリックは、他の検索エンジンよりもコンバージョン率が高い傾向にあることがわかるでしょう。現時点[6]では、他の検索エンジンがより多くの市場シェアを持っているかもしれませんが、それが必ずしも質の高いクリックに繋がるとは限りません。ユーザー数が多くても、クリックの質が低い場合もあります。その点に注目することが大切です。

特にBingでは、CopilotやジェネレーティブAIを活用した検索体験を提供することで、クリックの質の向上に大きく貢献しています。Bing Webマスターツールに接続すると、、非常に質の高いクリックを獲得していることがわかると思います。これらの検索体験がユーザーを目的のページに誘導し、質の高いクリックを生み出している点は本当に素晴らしいと思います。

重要なのは、クリック数だけを追いかけるのではなく、クリック後の行動を端から端まで追跡することです。例えば、ニュースレターへの登録や商品の購入、イベントへの参加登録など、具体的な行動をどれくらい行ったのか、どんな経緯があってその行動がとられたのか、見極めることが必要です。

まずは、Bing Webmaster Toolに接続して、コンテンツが検索エンジンに正しくインデックスされているかを確認することから始めるのが良いでしょう。ガイドラインや推奨事項に従うことで、BIngだけでなく、Googleなど他の検索エンジンでもメリットが得られるはずです。

Rio: クリックの質が高いことを示す指標にはどのようなものがありますか?

Fabrice: それはサイトの目的によって異なります。例えば、チケット販売サイトであれば、訪問者がイベントに登録してチケットを購入することがゴールですよね。一方、政府の情報サイトであれば、特定の情報を伝えて地震対策の行動を促すなど、住民が必要な行動をとることが目標になります。要するに、クリックを収益やサイトの目的に繋げられるかが重要です。

まずは、訪問者がフォームに記入したり何らかのアクションを起こしたりしているかどうかを見てみてください。それこそが、SEOや検索の専門家としての役割であり、収益や会社の利益に繋げる方法でもあります。単にクリック数が多いだけでは意味がありません。もし訪問者がすぐに戻ってしまうのであれば、そのサイトはユーザーの期待に応えられていないのです。それは良いことではありません。

例えば、靴を探しているのに、目的の靴が見つからないと感じたら、ユーザーはすぐにサイトを離れてしまいます。これが続くとブランドイメージにも悪影響を及ぼします。クリックの質が高いということは、訪問者が求める行動を起こしているということです。これは、ユーザーだけでなく、サイト運営者や関係者全体にとって良いことです。

Rio: つまり、クリック数が多いことが必ずしもユーザーを満足させているわけではないということですね?

Fabrice: その通りです。

[6]2024年11月時点

結局はクリックの質が全てであり、これがとても重要だと考えています。AIを活用することで、特にBingではクリックの質が大きく向上しています。他の場所でも同様だと思いますが、一部のサイトではクリック数が減ることがあるかもしれません。しかし質の高いクリックは、訪問者が戻ることなく、実際にアクションをおこすこと、例えばイベントに登録したり、フォームに記入したり、といった行動を取ることに繋がります。その結果、ユーザーが前後に移動する回数が減り、少ないクリックで求める情報をより早く得られるようになっていると感じています。

日本の視聴者へのメッセージ:Bingはこれから大きく進化する

Rio: 私からの質問は以上です。日本の視聴者に向けてメッセージをお願いします。

Fabrice: まずは、クリックの質に注目してほしいです。Bingの検索はさらに進化していくと信じています。Bingの市場シェアは今も成長していて、業界内の多くのAIや検索ソリューションを支えています。これは、Bingが人々が思っているよりも遥かに大きな存在である理由でもあります。ぜひBing Webmaster Toolに接続して、Bing用に自分のWebサイトを改善するために取るべき行動を確認してみてください。Bingだけでなく、Googleなどの他の検索エンジンにも役立つはずです。新しい視点で自分のサイトを見直し、ツールのデータを元にアクションをとっていただければと思います。

Rio: ありがとうございます。今日はCopilotとBingの統合についてお話しいただきましたが、これからの展開が楽しみです。

Fabrice: Copilotの統合は、現在ベータ版として一部のユーザーにのみ公開していますが、今後数週間でさらに多くのユーザーに公開する予定です[7]。これは本当に素晴らしい取り組みだと信じています。このツールは、ユーザーのデータを深く理解し、SEOを含むサイト改善のための最適なアクションを提案してくれます。健全なコミュニティを持ったり、サイトの質を高めることで、ユーザーがインターネット上で必要な情報を見つけやすくなります。私たちBingは、みなさんのサイトがインデックスされ、より多くの方法で見つけられるよう、これからも支援していきます。

Rio: 本日はどうもありがとうございました。

Fabrice: ありがとうございました。

[7]2024年11月時点

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