ミエルカTOP ミエルカジャーナル Webマーケティング 専門家監修|クッキーレス(Cookieless)時代の広告や計測法とは? マーケターが取り組むべき6つの施策
Webマーケティング

専門家監修|クッキーレス(Cookieless)時代の広告や計測法とは? マーケターが取り組むべき6つの施策

更新日:2024.11.12 公開日:2021.12.15
cookieless

デジタルマーケティングは、すでにクッキーレス(Cookieless)時代に突入しています。かくいう筆者も、かつてはクッキーによるリターゲティング広告の恩恵を散々受けてきました。しかし、それも難しくなるかもしれません。クッキーの代替技術が出てくる可能性はもちろんありますが、今のところ活用できるか不透明です。マーケターは、この問題に今すぐ向き合わないといけません。具体的にどんな対応が必要なのでしょうか? 筆者が考察します。
【Cookie問題のセミナーに多数登壇する、株式会社DataSign宮崎洋史氏 監修】

そもそもクッキーとは?

クッキーとは、パソコン内のブラウザに保存されたテキストファイルのこと。Webサイトのログイン状態を維持したり、閲覧履歴などを記録するために利用されています。

クッキーがあることで、ユーザーはWebサイトを便利に使うことができるのです(ECサイト利用時に、カートの中身を保存できたりなど)。

一方で、追跡型広告(※)の配信などに利用されるのはプライバシーの侵害にあたると問題視され、欧州などでは規制のためのルール「GDPR」が設けられました。

※追跡型広告…ユーザーが閲覧したWebページや商品情報が、別のWebサイトへ遷移しても表示される仕組みの広告。

そんな流れを経て、Googleはサードパーティークッキーの利用を2023年から廃止すると発表。これがマーケター界隈でも大きな話題となっています。

ファーストパーティーとサードパーティーとの違い

「クッキー」と一言でいっても実際は種類があり、主流なのはファーストパーティークッキーとサードパーティークッキーの2つです。

ファーストパーティークッキー
ユーザーが訪問したWebサイトが直接発行するクッキーのこと
(発行目的:そのサイトの運営元が自社での用途に使う)
サードパーティークッキー
ユーザーが訪問したWebサイト以外の第三者が発行するクッキーのこと
(発行目的:発行したWebサイト以外の、別の会社の用途に使う)

2023年からGoogleが利用廃止すると発表したのは、サードパーティークッキーの方です。

たとえばディスプレイ広告の配信では、複数の広告配信サーバーから発行されたサードパーティークッキーによってユーザーの閲覧情報などが収集されます。 収集された情報は分析されて、興味関心などの属性情報が付与されます。

その属性情報を基に、複数の広告配信サーバーによって広告が配信されるという仕組みなのですが、、ちょっと難しいので、下記の図解をご覧ください。

cookie_structure

YouTube動画「ミエルカチャンネル」でも、Option合同会社の柳井隆道代表と、Faber Company 執行役員の月岡克博が解説しています。

このようにサードパーティークッキーは、ユーザーの知らないうちに閲覧情報などを収集しています
そのうえで広告配信を最適化しているわけですが、この仕組み自体が欧州などではプライバシー侵害につながっていると問題になっているのです。

日本国内においてクッキーは個人情報にはあたりませんが、欧州で制定されたGDPR(EU一般データ保護規則)という規則では個人情報として扱われるのです。

☑︎オススメの関連記事:サードパーティークッキーの規制の影響は?

いつからクッキーレス時代になるのか?

冒頭に述べた通り、すでにクッキーレス時代に突入しています。
2023年後半の本格化からは、マーケターへの影響がより大きくなるはずです。
クッキーレス が叫ばれる背景を少しおさらいしてみましょう。

① クッキーレスが叫ばれる背景とその歴史

ざっくりいうと下記のような流れを辿っているのです。

  • クッキーはもともとWebサイトを閲覧する際の利便性を向上させる技術だった
  • やがて、分析や広告配信など企業のマーケティング活動に用いられるようになった
  • 購買行動などの膨大なデータが蓄積され、組み合わせによっては個人を特定しうるまでになった
  • プライバシー保護の観点から、企業や各国で規制の議論が交わされるようになった

その結果、各企業や国々では下記のような動きがありました。

  • 2017年:Appleがクッキー制限のための機能をSafariに搭載
  • 2018年:EUでGDPRが施行された
  • 2019年:Appleがファーストパーティークッキーも制限
  • 2020年:日本も改正個人情報保護法が成立、クッキーに紐づく閲覧履歴などを「個人関連情報」と定義
  • 2021年:Googleがサードパーティークッキーを2023年後半までに廃止すると発表
  • 2022年:日本で改正個人情報保護法が施行。個人関連情報を他社に提供し、個人情報と紐付ける運用に対して本人同意の確認義務が追加

参照:Google The Keyword「An updated timeline for Privacy Sandbox milestones

②GoogleにApple、いつからクッキーレスになる?

デジタルマーケティングへの影響度が大きいのは、デスクトップブラウザでシェアトップのChromeを提供しているGoogleの動向です。
そのGoogleは、Chromeのサードパーティーを2023年後半には廃止すると発表しました。

desktop_browser_share

参考データ:statcounter

しかしAppleはすでにサードパーティーだけでなく、ファーストパーティーにも制限をかけています。

Intelligent Tracking Prevention 2.2(通称:ITP 2.2)という仕組みでは、ファーストパーティークッキーの最大有効期限を24時間に設定しました

これはiPhone利用者をはじめとするSafariユーザーへの広告配信や効果測定に影響します。
Safariはモバイルブラウザではトップシェアです。

sp_browser_share

参考データ:Intelligent Tracking Prevention 2.3

AppleとGoogleという巨大企業の動向からも、クッキーレス時代はモバイルを中心にはじまっており、完全移行は2023年後半であることが分かります。

クッキーレスがデジタルマーケティングに与える影響

では、クッキーレスがデジタルマーケティングに与える影響は具体的にどのようなものでしょうか?
主にサードパーティークッキーを使った広告配信、リターゲティング、効果測定の領域と、AppleのITP2.3の影響によるSafariユーザーの行動分析などが挙げられます。ひとつずつ見ていきましょう。

① Google広告とYahoo!広告

デジタルマーケティングにおける二大巨頭ともいえる、Google広告とYahoo!広告。GDNやYDAによるリターゲティング広告は、サードパーティークッキーの影響を受ける可能性があります。

またコンバージョンを正しく計測できないケースが増加し、結果的に広告の最適化がしにくくなるかもしれません。

特にSafariではファーストパーティークッキーも24時間で削除されるため、より効果計測が難しくなります。24時間経った後のCVが計測されなくなるからです。 ITPへの対応は各媒体社が取り組んでいるものの、ITPの仕様がアップデートされる度に対応が必要になります。

▶︎ Google による広告での Cookie の利用方法

②Facebook広告

Facebook広告は、フィード内での広告配信ならばファーストパーティークッキーを利用しています。そのため大きな影響は受けないでしょう。
ただし、Facebookのフィード外で配信される広告はサードパーティークッキーを利用します。配信や計測に影響が出る可能性は高いです。
また、Safariについては他のメディア同様に計測に影響が出ます。

▶︎ Cookieおよびその他のストレージ技術

③Googleアナリティクス

Googleアナリティクスによる自社サイトのアクセス解析については、ファーストパーティークッキーを利用しているので影響はありません
ただしSafariユーザーに限り、ファーストパーティークッキーであっても24時間で削除されてしまうため、影響を受ける可能性はあります。

④アトリビューション計測ツール

複数の広告媒体の成果を横断的に計測するアトリビューション計測ツールについては、仕組みによっては計測が難しくなる場合も考えられます。
ただしアドエビスなど、サードパーティークッキーを使わない新たな計測方法に対応しているサービスもあります。

▶︎よくあるご質問(FAQ)│AD EBiS

以上が、影響の出る範囲として挙げられます。

クッキーの代替技術

「クッキーの代替技術はないの?」と、気にされるマーケターさんは大勢いるでしょう。いくつか開発は進んでいます。

①フィンガープリント

フィンガープリント(ブラウザフィンガープリント)とは、ブラウザから得られる情報のみで個人(ブラウザ)を特定する技術です。クッキーとは異なる技術を使っていますが、ブラウザ情報から個人を特定するものであることは同様で、規制の対象になりつつあります。

②プライバシーサンドボックス

プライバシーサンドボックスは、W3Cでの標準化を目指しGoogleも提唱する新たな技術です。特徴としてはユーザーを個人として扱うのではなく、同じ興味関心をもつグループとして扱う点でしょう。興味関心という意味ではコンテキストマッチ型の広告(※)に似た使い方が可能です。

Googleはプライバシーサンドボックスがサードパーティークッキーに代わる技術であるとしていますが、正しく活用できるかどうかは現段階(2021年12月)ではまだ不透明です。

※コンテキストマッチ型広告…ユーザーが閲覧している Webページの内容から、興味関心のある文脈を解析し、それに合ったものを配信する広告

クッキーレス時代に取り組むべき6つのマーケティング施策

各マーケティング施策に影響の出るクッキーレス時代において、マーケターは今後どのような施策に取り組めばよいのでしょうか? 5つご紹介いたします。

①オウンドコンテンツによる集客力強化

今後、クッキー規制によって広告の費用対効果がうまく測定できなくなったり、パフォーマンスが出ないといったことが考えられます。
クッキーレス時代に対応するには、広告だけに頼らない自社集客の仕組みをしっかりと構築していくことが、よりいっそう重要になるでしょう。

一つの方法として、ユーザーのニーズを満たすオウンドコンテンツ(自社サイトのコンテンツ)をブラッシュアップしていくことが挙げられます。

代表例でいうと、Googleなどの検索ユーザーを集客しやすいオウンドメディアブログです。
「メディアやブログそのものを持っていない」という企業様は、FAQや各商品ページなどの既存コンテンツのブラッシュアップから着手することをオススメします。

(オウンドコンテンツの作り方はこちらで解説▼) ☑︎ プロが教える「コンテンツSEO 」とは? 始め方&費用対効果、事例も(初心者向け)

②SNSアカウント運用による集客、エンゲージメント強化

広告以外の集客チャネルという点では、SNSアカウントの運用も重要です。フォロワーが増えることで、自社の情報をユーザーに届けやすくなります。こちらも一朝一夕でフォロワーを増やすことは難しいので、早期に取り組むことをオススメします。

③コンテキストマッチによる広告配信

コンテキストマッチとは、個人の行動履歴を追うのではなく、興味関心を基にした広告配信です。クッキー規制の背景はプライバシー保護です。
また、Googleはプライバシーサンドボックスを推進しています。これらを考えると、コンテキストマッチによる広告配信の重要性は今よりも高まるでしょう。
一方で、多くの企業が利用するようになることによる広告費の高騰は考えられます

④MAやCRMなどによる既存・見込み顧客との関係性強化

クッキーレス時代になり、広告による新規顧客の獲得は難しくなる、あるいはコストの高騰が考えられます。
既存のお客様やメールアドレスを取得している見込み顧客との関係性強化はますます重要になるでしょう。
MA(マーケティング・オートメーション)などを活用し、ユーザーの興味関心に沿ったコンテンツ配信を行うことで、関係性強化につなげられます。

⑤クッキーレスに対応したテクノロジーの採用

広告媒体や計測ツールのベンダーは、クッキーレスに対応したテクノロジーを引き続き開発しています。Googleの影響は大きいものの、現段階でどのような技術が業界標準になるのかは未知数です。

⑥SNS内部での広告配信

SNS内の類似ユーザーに対して広告を配信する方法であれば、サードパーティークッキーを利用せずに、新規ユーザーに接触できます。
例えば、FaceBookの類似オーディエンス機能を利用した広告などは検討できると思います。

いずれにしても、なるべく最新の情勢に対応したテクノロジーを採用することは必要になってくるでしょう。

筆者のあとがき

プライバシー保護の観点から、クッキーレスは避けて通れない流れです
広告に頼らず自社サイトの集客力をアップさせるには、コンテンツ(お役立ち情報のページや記事)の力が必要になります。一方で、コンテンツ開発にはコストも労力も必要です。
先にご紹介したとおり、できるところから少しずつ着手するといったやり方も堅実で現実的です。

どこから着手するべきか迷ったら、コンテンツマーケティング支援に強いミエルカへお気軽に相談ください。
最初は、「無料サイト診断」のご利用がおすすめです。

▶︎ミエルカの「無料サイト診断」で自社コンテンツの強みと弱みを調べる

クッキーレス時代に向けて、ぜひ自社サイトの強化へ取り組んでみてくださいね。

クッキーレス時代の集客支援!
「ミエルカ」資料をダウンロードする
本記事の著者
峯林 晃治
峯林 晃治
ファストマーケティング 代表取締役社長
この著者の記事をもっとみるarrow-right
監修者
宮崎洋史
宮崎洋史
ビジネスディベロッパー
この著者の記事をもっとみるarrow-right

関連記事