ソーシャルギフトサービス「GIFTFUL」を運営する株式会社GiftXのいいたかゆうたさんがインタビュアーとなり、様々な領域の「知」を求めて、有識者の皆さんと対談する連載「 #知の探索 」。
今回のゲストは、2023年2月に当社へジョインした業務推進室室長の本田卓也と、代表取締役の古澤暢央です。本田は老舗SEO会社・アイオイクス株式会社にて、17年間にわたり事業部長やCCOなどを歴任してきました。「本田ディスティニー卓也」というキャラクターで、一世を風靡したこともあります(?)
本田は古澤と旧知の仲で、「運命を感じて」当社へ入社したと語ります。彼はなぜ、Faber Companyを選んだのか。これまでのキャリアやFaber Companyへの入社の経緯、今後の展望などを古澤も同席しつつ話を伺いました。
そして、いいたかさんを交えて続けてきた「知の探索」は、今回でいったんの区切りを迎えます。インタビューでは、1年近く続けてきた本企画の感想も振り返りました。
(執筆・撮影:サトートモロー 進行・編集:いいたかゆうた)
ディスティニー本田、Faber Companyにジョイン。
いいたか:
本田さんはSEOのスペシャリストとして、長年SEOの認知拡大に尽力してきました。これまでのキャリアと、なぜこのタイミングでFaber Companyに入社したのかをお聞きかせください。
本田:
僕は1997年に青山学院大学を卒業して、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)に新卒で入社しました。4年間営業職として働き、退職後は新卒入社で同期だったサイバーエージェント創業者の藤田晋さんに声をかけられて、同社の採用などのお手伝いをしていたんです。
その後、EC事業を展開するグループ会社でECコンサルタントとして働き、2005年頃に「SEO」に出会いました。SEOビジネスは今後、絶対に伸びるというのを肌で実感して、転職を決めました。国内でSEOに強い会社はどこかと探し、見つけたのがアイオイクスです。
アイオイクスに転職後、3ヶ月ほどで事業部長に昇格し、そこから17年間、ひたすらSEO事業責任者として活動してきました。これが、2021年1月末までの僕の経歴です。
いいたか:
古澤さんとは、どのタイミングで出会ったんですか?
本田:
2005年頃です。とある勉強会で古澤と知り合い、それからは海外旅行へ出かけたり、2ヶ月に一度食事をしたりと、友達として過ごしてきました。
古澤からは、数年前から「うちに来ないか」と誘われていたんですが、僕に転職する意思はありませんでした。今回転職したのは、2021年にアイオイクスのCCO(チーフ・コミュニケーション・オフィサー)に就任したことがきっかけです。
CCOになり、ひとりで活動することが増えて、事業全体を見なくてもよくなりました。またこのタイミングで、50歳という節目を迎えたんです。
身辺が大きく変化したことで、「次のチャレンジをするタイミングが来たんじゃないか」と思い始めました。時を同じくして、いくつかの会社からもオファーをいただくようになり、古澤にも「本気で転職を考えている」と伝えたんですよね。
すると、古澤から「話そうよ」と声をかけられ、一緒に皇居を歩きながら彼の考えを聞きました。それがまた長くて、1回のウォーキングで皇居周りを2時間歩くんですよ。それが昨年11月から年末にかけて、3回くらいありました。
いいたか:
散歩と呼ぶにはかなりの長時間ですね(笑)。
本田:
オファーの中には、ものすごい高待遇のものもありました。それでもFaber Companyを選んだのは、古澤暢央という人間を心から愛しているから。それと、彼の語る夢と可能性に乗っかりたいという思いがあったからです。
手書きの手紙で、熱いメッセージをくれたのもグッときましたね。「キャリア最後の締めくくりに」という、終活っぽい言葉が入っていたのは気になりましたけど。
一同:(笑)
いいたか:
50歳のタイミングで新たなチャレンジをしたくなったということですが、その前の40歳や45歳ではそう思わなかったのですか?
本田:
キャリアや人生について、40代はあまりポジティブに捉えられていなかったんですよね。17年間SEOに従事してきて、天国も地獄も経験してそれなりに充実していたけれど、それほど大きな変化はありませんでした。
40代後半あたりからでしょうか。「私の人生はこのままでいいのか」と、ふと思ったんです。それから人間力を高めようと、今まで以上に猛烈に本を読んだり、ノートに今の思いを書きつづったりしました。
そうこうするうちに、自分の人生は50歳からが本番なのではないかという考えに至ったんです。自分は大器晩成型で、これから人生がものすごく面白くなると、勝手に思うようになりました。
いいたか:
私は30代半ばで起業しましたが、その決断には「40歳以降だとチャレンジできなくなる」という不安感があったんです。40歳以降で且つ立場もあれば、キャッシュへの不安も出てくるじゃないですか。今持っているものを捨てることへの、恐怖は感じなかったんですか?
本田:
ワクワクする気持ちしかありませんでしたね。僕には子どもがいないので、子どもの将来を考える必要がなかったというのも大きいと思います。今回の転職は、妻も応援してくれました。
古澤からは、「奥さんに会って説得するから!」と言われていましたけれど、幸いそれは必要なかったです(笑)。
いいたか:
私も50歳を迎えた時、そういう心境でいたいです。本田さんは、Faber Companyでどのような役割を担うことになるのですか?
本田:
Faber Companyは「10万人のマーケターのライフラインになる」という目標があります。そのために、Faber Companyあるいはミエルカのファンを作り、マーケターとのつながりを増やすのが僕のメインミッションです。
現在は、Webマーケティング専門の業務委託マッチングサービス「ミエルカコネクト」を介してマーケターの方々とお会いしたり、スカウトしたりしています。あとは、僕の知り合いにミエルカのアンバサダーとなってもらい、ミエルカを利用していただきつつ情報発信してもらっています。
◆ミエルカコネクトとは◆
ミエルカコネクトは、Faber Companyが運営するWebマーケティングに特化した
企業と即戦力のフリーランス・副業マーケターの人材マッチングサービス。
いいたか:
Faber Companyの「認知を広げていくフェーズ」に、本田さんがぴたりとハマったのですね。
採用は「サグラダ・ファミリアを作る仲間探し」に似ている
いいたか:
本田さんのエピソードからは、古澤さんの採用における並々ならぬ情熱を感じました。人に強い関心を持っている、古澤さんらしいエピソードだなと。
古澤:
Faber Companyという会社をひも解くと、そこにいる人や人が紡ぎだすネットワークが、大きな強みなんですよね。話は少し飛躍しますが、僕はFaber Companyを「サグラダ・ファミリアのような芸術作品」だと捉えています。
サグラダ・ファミリアは、考案者であるアントニ・ガウディが亡き後も、その遺志を受け継いだ人々によって建築が続けられています。サグラダ・ファミリアに関わる誰しもが、その遺志を大事にしているわけです。
Faber Companyも、そういう愛される会社でありたい。そして、Faber Companyという作品に関わるのが面白い・楽しいと思ってくれる人に、参画してもらうことが最も重要だと気づいたんです。
採用やマーケターとの面談でも、こうした思いを全面に出しています。それを見聞きして「面白そうだ」「自分も参画したい」という人を、どんどん増やしていきたいなと。
いいたか:
本田さんほどではありませんが、私も古澤さんと長い付き合いです。その時々で使う言葉は変わるものの、言っていることが一貫して変わっていないのが、古澤さんらしいなと思います。
本田:
古澤のいいところは、これまで口にしている目標を、絵空事ではなく本気で目指しているという点です。僕自身、「これは古澤にしかできないだろう」という強い思いがあります。
人をとても大切にしているという点も、古澤のいいところですね。このご時世で、手書きで手紙を送るなんて、手間や時間を考えるとなかなかできません。多忙の中でも、若手メンバーを誘って2人で旅行したりしていますしね。社員を自分の子どものように思っているのが、随所で伝わります。
いいたか:
そういう人への想いというのは、組織作りにも反映されていますよね。
古澤:
そうですね。僕たちは経営理念として「展望」と「DNAマップ」を公開しています。このふたつに共感して、「参画したい!」という強い意思を示してくれる人と、一緒に仕事したいんです。
古澤:
仕事は生活するために必要なこと。これは当たり前のことですが、それだけではつまらないじゃないですか。
せっかく一緒に事を成す仲間なのだから、展望やDNAマップに書かれていることを、真剣に話し合える間柄でいたいんです。この理想を実現するためなら、「古澤さんそれじゃダメですよ」と言ってくれるような、熱量がほしいんですよね。
ちなみに、Faber Companyで活躍している人は、3つのタイプに分けられます。これまでの社員たちのデータを整理して、僕が3年前に定義しました。
① 知的好奇心が強い人
② 「ご縁つむぎ」がうまく、人が好きで人と人とつなげることが好きな人
③ 最上志向
こうした特徴を持っていて、かつ展望やDNAマップに共感できる人が集まった組織にしていきたいです。
いいたか:
自分たちが大切にしていることを、ここまで明示できている会社って、実はそんなに多くないと思います。展望とDNAマップは、自社に合う人材を探すという意味では、採用シーンですごく役立ちそうですね。
一方で、Faber Companyは認知を広げるフェーズにある以上、急拡大するためのリソースが必要じゃないですか。多くの人材を採用するために、ある程度の妥協も必要だと思うのですが…。
古澤:
今まさに、社内ではその問題で紛糾しています。こだわりが強すぎて、なかなか採用が進まない。でも現場はとにかく人手が欲しい。ここの明確なバランスはまだ見えていなくて、常に悩みながら、少しずつ前に進んでいる感じでしょうか。
完璧主義を削ぎ落したプロダクト開発
いいたか:
プロダクト周りについても、話を聞かせてください。Faber Companyを見ていると、高頻度でプロダクトや新機能をリリースしていると感じます。社内ではどんなことを意識して、プロダクト開発や機能開発を行っていますか?
古澤:
会社が小さかった頃から、「3現主義(現場・現物・現実)」という言葉を大切にしています。
例えば、僕たちは直販にこだわり続けていて、代理店さんを活用した販売はほとんどありません。結果、Faber Companyは現在1,800社と直接取引しています。多くの現場を抱えることで、お客様の潜在的な悩みを見逃さないようにしているんです。
毎日数十社のお客様とお話しして、そこで得られた気づきなどをもとに、半年に一度アイデアソンやハッカソンを実施します。その後、2日間くらいで集中的に新機能やサービスのプロトタイプを作成して、お客様に試していただく。
こうしたプロセスを、高速で回しているんです。早くお客様に使ってもらってダメ出しをしてもらう方が、いいモノができやすいですから。
プロダクト開発に関わっている社員からは、こんなことを言われたことがあります。
「うちは『ダメ』『まずは仕様を固めて』という言葉を使いませんよね。パッと作ってパッと出す。完璧主義を削ぎ落しているのがいいなと思います」
いいたか:
今でこそ、モック(試作)は完璧じゃなくてもいいという考えが浸透していますが、古澤さんはいつから、その考えに至ったのですか?
古澤:
きっかけは、ミエルカの最初の開発までさかのぼります。僕は2013年から約1年半かけて、ミエルカを開発していました。基礎研究から念入りに仕様設計をして、とにかく完璧なプロダクトを目指していたんです。「今のアウトプットのレベルでは世に出せない」と、思い込んでしまったんですよね。
ある日、社員がモックをお客様に見せたところ、「これを使いたい」というリクエストがあったと報告されました。特に断る理由もなかったので承諾したところ、お客様から「料金を支払うので、購入方法を教えてほしい」と言われたんです。
僕は「売れるようなレベルではない」と断ったんですが、それでもお客様からは「どうしてもこのサービスが使いたい」と、逆に購入を迫られました。
これがおそらく、今でいうPMFの瞬間だったのでしょう。そこで気づいたんです。僕がこだわりすぎているだけで、現時点でプロダクトには十分な価値がある。それなら、世に出さない手はないなと。
そこから、既存顧客20社くらいにツールを見せたところ、購入したいという声が続出しました。この体験から、完璧主義にこだわるのはやめて、「お客様にまず触ってもらう」という思考に切り替えられました。
もちろん、この方法にはよしあしがあると思います。ERPや会計システムのように、堅牢さや機密性が求められるプロダクトは、この方法だと難しいでしょう。僕たちのようにアイディアや発想の喚起を促すツールには、大いに役立つ考え方だと思います。
Solution as a Service
いいたか:
Faber Companyはコンテンツ発信やセミナーなど、さまざまな施策を展開していますよね。それぞれの施策を立案・実行する時には、どんな考え方を前提としていますか?
古澤:
「Software as a Service」ではなく、「Solution as a Service」という考え方を大事にしています。
Faber Companyの売上比率を見ると、ソフトウェアの割合が高いです。が、それはあくまでお客様の悩みや課題を解決するために、ツールを提供しているに過ぎません。Faber Companyは「ソフトウェア事業の会社」ではなく、「ソリューション事業の会社」なんです。
そして、ソリューションの提案でお客様と関係性を構築するには、結局「人間性が重要だ」という話に至ります。
もちろん、現場は現場でKPIやKGIを設定して、テクニカルにリードを獲得しようと奮闘しています。その一方で、人間関係や人間性といったアナログな部分を大事にしようというのを、マーケティング全体で意識しています。
僕たちはYouTubeチャンネル「ミエルカチャンネル」での発信や、Voicy「ちょいITハック研究所」にも挑戦しています。ROIなどを冷静に分析すると、これらはまったく採算が合いません。ただ僕は、こうしたコンテンツが与える影響力も考慮するべきだと思っています。
実際、ミエルカチャンネルに出演している社員と面談するお客様の中には、「初めて会った気がしない」「有名人に会えた」と、親近感を抱いてくださる方がたくさんいます。これこそ、ROIやCPAでは測れない影響力だなと。
お客様事例記事の数もうちは圧倒的に多くて、すでに100社以上の成功事例が公開されています。お客様にも登場してもらうことで、お客様の社内だけでなく、ご担当のお子さんやご両親にも記事を見せられます。お客様のご家族内でのコミュニケーションを生むというのも、ROIなどの数字では測れない「効果」だと思うんですよね。
いいたか:
私自身、あまり数値を意識したマーケティング施策は選択しない人間なので、今の話に共感しました。そうした定性的な判断と、現場での定量的評価とのバランスって、どう調整していますか?
古澤:
それも、採用と同じく社内の紛糾ポイントです(笑)。最終的には、代表として僕が決断しておさめています。
一時期、ミエルカチャンネルの効果を定量的に評価しようともしました。結局、答えは出なかったんですよね。でも一方で、ミエルカチャンネルを誇りに思うメンバーや、ミエルカチャンネルで僕たちのことを信頼してくれたお客様の数が、結構いたんですよ。
こういう声がある以上、大切にしなくてはいけないなと。一方で、他のメンバーにミエルカチャンネルなどの取り組みが不透明にならないよう、担当者には毎月行う全社会議で取組内容や成果発表をしてもらっています。
いいたか:
本田さんは、むしろ定量的な指標を長年追いかけてきた側だと思います。古澤さんの方針を聞いて、どう思いますか?
本田:
すごく面白いですよね。Faber Companyの展望にある「辺境の知」は、まさにこういう考え方がベースにあるのだと思います。数値化できない、ある種の辺境で活躍している人を除外しないために、必要な考え方ではないかなと。
10万人のマーケターと血を通わせていきたい
いいたか:
「知の探索」は9ヶ月に渡って連載されてきましたが、これもまさに「測れない施策」だと思います。これまでを振り返ってみて、古澤さんの感想をうかがいたいです。
古澤:
オウンドメディアのコンテンツマーケティングというのは、無味乾燥なものになりがちです。特定のキーワードを意識したい記事というのが、多く存在すると思っています。
もちろんそうしたノウハウや解説記事は必要です。それだけではダメで、血の通った人間らしさが感じられるメディアにしたいという思いが、僕の中にはありました。そういう意味で「知の探索」はその可能性を大いに感じられるコーナーになったと思います。
これからも、そういう血の通ったコーナーをどんどん増やしていきたいですよね。連載第7回の戸栗さんの「僕は宇宙へ行くためにマーケティングをしている」という言葉なんて、最高じゃないですか(笑)。
▶僕は宇宙へ行くためにマーケティングをしている。LEAPT戸栗 頌平
株式会社ベイジの枌谷力さんの『速攻オウンドメディア』というプロダクトの話も、商売人としての知恵を垣間見ることができました。
▶「無理せず自然体でいる」という競争戦略。ベイジ枌谷力
僕は第1回に登場しましたが、記事公開後、小学校の同級生からこんなメッセージが来たんです。
「ノブ(古澤の愛称)は昔から、変な奴を集めていろいろやっていたね。今も変わっていないみたいで、嬉しかった」
いいたか:
素敵なエピソードですね。僕自身、このインタビューはすごく楽しかったです。
それこそ、ベイジの枌谷さんにはもう5回くらいは取材していますが、それでもまだ聞いたことのない話が出てきたりするんですよね。お酒や食事の席とはまた違う雰囲気で、インタビュイーがじっくり考えて話してくれる。この点こそ、僕は「知の探索」の財産だと思っています。
いいたか:
今後は、どんな企画を展開していきたいですか?
古澤:
無名だけれど才能ある人に、光を当てるコーナーを作っていきたいです。
ミエルカコネクトという事業を作って以来、僕は「世の中にはこれだけの才能ある人であふれているのか」と、日々驚かされています。社会人2年目だろうが3年目だろうが、大学生だろうがかまわない。もちろん、若手だけではなく古強者もいるでしょう。
こういう存在を集めて、プロデュースしていくというか。つんく♂さんのような発想で、コンテンツを作っていきたいですね。
他にも、「BreakingDown / ブレイキングダウン」のマーケター版みたいなのも面白いかなと。テレビ番組の制作経験がある人にコンタクトを取って、どのくらいの予算が必要かは企画書で提案してもらったので、あとはいつ始めるかですね(笑)。
いいたか:
「知の探索」第1回でもお聞きしたことなんですが、改めて古澤さんと本田さんに、今後Faber Companyはどんな社会を実現したいのか教えてください。
古澤:
2028年の9月末までに「マーケター10万人とのエンゲージメントを紡ぐ」というのが、今の大きな目標です。そのために、当社サービスユーザーだけなく、YouTubeチャンネルやVoicy、各種SNSなどさまざまなツールを活用することになるでしょう。
ここでの「エンゲージメント」というのは、僕たちのことを好きでいてくれること、支持してくれることを意味しています。そんな熱いつながりを、10万人のマーケターと紡げたら最高じゃないですか。
ちなみに、10万人という数字は僕調べです。行政機関にも問い合わせたんですが、そもそも「日本のデジタルマーケター人口」なんて、どこにもデータがなくて。いろいろ考えた結果、僕は国内に50万人はいると推測しました。そのうちの1/4くらいとつながりを持てたら、かなりの影響力と信頼を得られるだろうなと。
ここまでが第1フェーズで、第2フェーズでは「テクニックで実力以上に物を売りつける」という、業界の悪しき風習を変えたいです。
SEOや広告、LPをうまく使いつつ、質の低い商品を販売している事業者は少なくありません。10万人のマーケターとのつながりで得られた信頼を使って、僕たちの声を無視できない状態を作って、この状況を打開する。ここまでが、近い将来で見据えている目標ですね。
その後の話ですが、仮に今後10年のマーケティングの未来図を考えても、きっと誰も予測できないというのが答えだと思うんですよね。間違いなく言えることは、作業の自動化はどんどん進み、ミエルカだけじゃなくて色々なツールが不要になっていくだろうと。
じゃあ、未来のマーケターの仕事は何か。それは「創造的なアイディアで世の中を一歩前進させること」だと思います。ウォークマンを開発したソニーのように、スーパーカブを世に送り出したホンダのように。
そのためには、僕たちが現在ど真ん中で行っている活動、「辺境の知」の探索が不可欠だなと。僕たちの存在意義は、まさに「知の探索者を増やすこと」だと気づいたんです。
いいたか:
本田さんはどう思っていますか?
本田:
古澤の話を聞いているだけで、めちゃくちゃワクワクします。50歳になり、おじいさんになろうとしている中、古澤の目指す世界を実現できたら、僕の老後は最高に楽しいものになるだろうなと。
僕は子どもの頃から、自分が好きなことを熱量たっぷりに誰かに伝えるのが上手だったんです。僕の話に影響されて、僕の趣味にハマった人は数知れません。今はしきりにサウナを布教しています(笑)。
最近はどうやら、Faber Companyのことを話している時がすごく楽しそうだと、周りの人から見えているようで。この熱量で僕自身がめちゃくちゃ楽しめていれば、きっと10万人とつながることも不可能ではない。そういう気持ちを持っています。