ホワイトペーパーは、ダウンロードが最終ゴールではなく、営業からアプローチしたり、ナーチャリングして案件化につなげなければなりません。せっかくリードを獲得しても、その後のフォロー体制や活用方法が定まっていないと、施策が回りません。では、ダウンロード後に効率よく成果につなげるにはどうすればいいのでしょうか?60,000件以上のリード獲得経験を持つ株式会社Faber Company シニアコンテンツディレクター・峯林晃治(みねばやし こうじ)が解説します。
株式会社Faber Company シニアコンテンツディレクター
営業、Webディレクター、SEOコンサルタントを経て、BtoBのWebマーケティング業務に従事。ネットリサーチやBIツールなど主にBtoB領域のデジタルマーケティングに携わる。特に、リード獲得を目的とした自主調査においては7年間で累計400件以上を企画、60,000件以上のリードを獲得した実績あり。
ホワイトペーパーダウンロード後は「無風」が当たり前
ホワイトペーパーを設置し、めでたく何百件もダウンロードされた…。でも、「あの内容が良かったから」とお客様から連絡があることはごくわずかでしょう。こちらからアクションしなければ「無風」が当たり前です。とはいえインサイドセールスなど営業職がやみくもに電話しても、CV(コンバージョン)獲得につながらない“薄い”アポイントにしかなりません。
ではどうすれば商談につなげられるのでしょう。「今回取得したリードのうちどの属性/行動をしたユーザーが“熱い”(CV獲得の確立が高い)のか」を見極められれば、同じ人数で営業していても効率が上がり、売上向上が期待できます。
ホワイトペーパーとリスティング広告なら、後者が優先
まずはホワイトペーパーをダウンロードした人より、リスティング広告を踏むユーザーを優先させましょう。もともとサービスを探している顕在層(商品・サービスをほしいと思って探している人)だからです。しかし多くの企業においてリスティング広告だけで売上目標を達成するのは難しいため、展示会やカンファレンスなどのイベント出展、他の広告、SNSなど複数のコンテンツマーケティング施策を同時に走らせる必要があります。ホワイトペーパーはそのうちの1つに過ぎません。
コンテンツマーケティングについてはこちらでまとめているので合わせてご覧ください。
ホワイトペーパーマーケティングを効率よく成果につなげるコツ7選
ではホワイトペーパーで獲得したリードをどうやって選別していくのか。峯林流7つのホワイトペーパーマーケティングの秘訣を説明します。
1:ホワイトペーパーの狙いと目的を明確にしておく
ホワイトペーパーには大きく分けて2つの目的があると思います。
- ・潜在層に向けた認知を広げるためのホワイトペーパー
- 今すぐ商品を買ってくれそうな顕在層をあぶり出すためのホワイトペーパー
「潜在層向けはそもそもやる意味があるのか?」という問いに、私は「やるべき」と考えます。 例えば自社に10,000件のメールアドレスのリストがあっても、そのうち買う手前まで来ている顕在層は少なく、ほとんどが潜在層です。そもそもサービスを知らない、展示会などで知り合っただけで自社の商品について説明したことを忘れてしまっている…このようなユーザーとの接点がホワイトペーパーです。
アポ率は低くても、潜在層は母数が厚いため、成果につながります。サービス内容や商品を知らない人に反応してもらえるようなホワイトペーパー、ぜひ作ってみましょう。
2:ペーパーの企画段階から営業を巻き込む
ユーザーと接している営業部は需要をよく知っています。ターゲットの得たい情報・ニーズや、見込度の高い業種について聞くことはホワイトペーパーを作る上でとても重要です。「どんな情報を元に購入を決めたか」「競合と何を比較したか」など、彼らから聞いた内容を元に作れば、ユーザーの欲しい情報がつまっているだけでなく、営業担当者の参加意識にもつながりますよね。
3:ホワイトペーパーに優先順位をつける
基本的に、顕在層向けのホワイトペーパーを優先的に制作しましょう。「今買おうと思っている見込度の高いユーザー」に向けたホワイトペーパーをまず作るべきだと考えます。あらかじめ優先順位をつけておくことで、インサイドセールスや営業担当者にも「このホワイトペーパーをダウンロードしたユーザーには電話してね」と言っておくことができます。大量のリードに対してどれが“熱い”ものなのか把握しやすくしておきましょう。
4:営業担当者からフィードバックをもらう
営業担当者からユーザーに「ホワイトペーパー読んでどうでしたか?」と聞いてもらい、その反応をマーケティング担当者として把握しておきましょう。「ダウンロードしたかすら覚えていない」と言われることも実は多いのですが、「もっとこういう情報があればうれしかった」などの情報がもらえたらラッキー。次回に活かせます。
なかには組織が縦割りでなかなか営業とマーケのコミュニケーションが取れないという企業もあると思いますが、このやり取りの中で、営業担当者の参加意識もますます高まるでしょう。効果的な施策を打ち出すために意識共有は必要です。
5:営業からもらったフィードバックを企画に活かす
上記の情報を聞いたら感謝とともに次のホワイトペーパー企画に活かし、「(ホワイトペーパーの要素として)入れましたよ!」と報告しましょう。営業担当者の「自分ごと化」にもつながります。参加意識が醸成されると、積極的にコールもしてもらいやすくなります。
6:ホワイトペーパー毎に成果を計測する
意外とやりがちなミスがリスティング広告、イベント、ホワイトペーパー施策をすべて丸めて計測してしまうことです。当たった広告と当たらなかった広告があるように、ホワイトペーパーも案件(コンテンツ)ごとに計測しましょう。
ホワイトペーパーの成果で見るべき指標
- 訪問率
- 見込み化率
- 成約率
- 案件単価
- 成約までの期間
実際これらはコンテンツごとにかなりばらつきが出ます。ある程度データが溜まったらまた次の施策にも生かすことができるので、来期のシミュレーションや予算組みに精度の高い見通しが立てられます。
たとえばこのサンプルでは、CVR(コンバージョンレート/成約率)と並んでリード件数と商談化率で、結構ばらつきがあります。また「導入事例」ではリード件数が少ないものの、実は商談につながりやすいこともわかります。一方、「マンガ」は全体的に非常によくクリックが出るけれど、商談化率が低い傾向が(実際にも)あります。ただ、「読まれた母数が多い分だけ、商談数にもつながりやすい」というプラス面もあります。バランスの見極めが重要ですね。
一度使ったホワイトペーパーは1回限りでなく、何回も使い回しても問題ありません。1月にメール配信し、6月ごろに再び配信することも全然アリです。あるいはマーケティングオートメーションのツールを使って、1月にメールをクリックしていない人を抽出して送るのもありです。再利用するときにこのデータがあると、成果の見込みが立ちやすいのがメリットです。
7:成果をデータで共有する
溜めたデータは営業サイドとも共有しましょう。データを元にコールの優先度を決めることができますし、こちらの要望を通してもらいやすくなります。
「データをもとに、鉄は熱いうちに打て!」
一般的にはホワイトペーパーがダウンロードされてから翌日、できるなら当日中に電話したほうがアポ取得率は高まります。ユーザーの熱量がまだ高い間にアプローチしてもらえるよう、優先順位をもとにインサイドセールスや営業側に働きかけましょう。社内の協力体制を作っておく基礎となるのがデータ。コンテンツごとの集計を欠かさないことがホワイトペーパー施策の肝です。
ホワイトペーパーマーケティングを成功に導くために
具体的なホワイトペーパーの作り方については下記の記事を参考にしてください。活用法や集客戦略まで解説しています。
動画出演者PROFILE
営業、Webディレクター、SEOコンサルタントを経て、BtoBのWebマーケティング業務に従事。ネットリサーチやBIツールなど主にBtoB領域のデジタルマーケティングに携わる。特に、リード獲得を目的とした自主調査においては7年間で累計400件以上を企画、60,000件以上のリードを獲得した実績あり。PR漫画やホワイトペーパー、調査PR、オウンドメディアなど、コンテンツマーケティング支援サービスを提供。2020年にフリーランスのWebコンサルタントとして独立。
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