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【海外カンファレンス現地レポート】brightonSEO 2023 April (Day 1 & 2) 〜 世界最大級のSEOカンファレンス~

更新日:2023.7.11 公開日:2023.05.16

この記事では、当社の市川莉緒と鈴木謙一(筆者)が参加した brightonSEO. 2024 April カンファレンスの 2 日間分をまとめてレポートします。前日に開催された MeasureFest カンファレンスの現地レポートも併せてお読みください。

brightonSEO

世界最大規模のSEOカンファレンス

brightonSEO には筆者は 2018 年から参加し、今回が 5 回目です。参加者人数だけを見れば、brightonSEO は以前からヨーロッパ最大の SEO カンファレンスだったのですが、回を重ねるごとに規模が拡大し、いまや世界最大規模と表現して差し支えないでしょう。前日に開催される MeasureFest などの Fringe カンファレンスを加えればなおさらです。

会場の様子
参加者でごった返す、朝のエントランス付近

30 社前後の企業がブースを出展しています。日本でも名のしれた SEO ツールベンダーもたくさん見かけました。

会場の様子

会場の様子

会場の様子

会場の様子

なぜか、プレイステーションでゲームで遊べるブースも。

会場の様子

こちらのブースでは、バリスタがコーヒーを淹れてくれます(主催者提供のコーヒーはおいしくない)。

コーヒーのブース

Tシャツやボールペン、オリジナルの LEGO ミニフィギュアなど Swag も豪華です。

公式グッズ売り場

公式グッズ売り場

brightonSEO のマスコットキャラのカモメと記念撮影。

brightonSEO のマスコットキャラのカモメと記念撮影
左にいるのはサイバーエージェントの木村賢 (@kimuyan) さん

セッションの様子

brightonSEO では、5 つのルームでセッションが同時に走ります。

天井から吊るされた各ルームへの案内パネル

いちばん大きなホールは収容人数が 5,000 人です。キーノートスピーチや人気が見込まれるセッションはここが舞台になります。

大ホール
筆者はこの大ホールで海外カンファレンス登壇デビューしました(自慢😉)

brightonSEO 主催者代表の Kelvin Newman 氏のあいさつでカンファレンスの幕が開きます。

Kelvin Newman 氏のあいさつ

まず最初は、Rachel Peason 氏による TikTok マーケティングをテーマにした大ホールでのセッションに参加しました。

セッションの様子

次のようなことを Peason は語りました。

  • 最近のユーザーは、Google 検索のようにTikTok を 検索目的で使う
  • Content(コンテンツ)ではなく、Consistency(一貫性)が TikTok では鍵。スケジュールを管理して継続して投稿する
  • 音声の品質が TikTok 動画では決定的に重要
  • TikTokアナリティクスで分析する

続いて登壇したのは、Carlos Meza 氏。現代の SEO で求められるコンテンツをテーマにしたセッションです。

セッションの様子

Meza 氏は次のように言い切りました。

現代の SEO においては「コンテンツは王様」ではない。
優れたコンテンツが王様」なのだ。

そして、優れたコンテンツを作るために H2E3 を念頭に置かなければならないと提案します。H2E3 とは次のようなものです。

  • Helpful: 有用
  • Human Centric: 人間中心(ユーザーファースト)
  • Engaging: エンゲージする
  • Empathetic: 共感できる
  • Easy to consume: 読みやすい、わかりやすい

また、量よりも質を重視してコンテンツを作成することも大切だと強調しました。

テクニカルなセッションにも参加しました。Headless CMS(ヘッドレス CMS)がテーマです。

セッションの様子

ヘッドレス CMS とは、フロントエンドとバックエンドが分離している CMS です。

現在、最も使われている CMSといえば WordPress ですが、WordPress は内部で動いているシステム(PHP で構築)と、ユーザーがコンテンツを作成するインターフェイスの両方が組み合わさっています。しかし、ヘッドレス CMS は、インターフェイスを持ちません。ユーザーはAPI 経由で、独自のインターフェイスとバックエンドのシステムを接続できるのです。

スピーカーによれば、ヘッドレス CMS には次のような長所があるとのことです。

  • 高速なパフォーマンス
  • より高いセキュリティ
  • スケーラブルなインフラ
  • 柔軟性のあるコンテンツ構成
  • 本質的に SEO に有利

ヘッドレス CMS というテクノロジーを筆者は知らなかったため、新たなことを学べた新鮮なセッションでした。

こちらのセッションでは、Jessica Maloney 氏が、アルゴリズムアップデートでランキングが下がってしまったときの対処策を説明しました。

セッションの様子

アップデートの被害にあったときにすべきことは、「何もしない」ことだと Maloney 氏は言います。これは冗談でも何でもなく、パニックに陥って性急な行動を起こすと、かえって事態が悪化することがあるのでまず落ち着いて状況を把握することから始めなさいというアドバイスです。

アップデートの情報収集には Twitter やフォーラムなどの SEO コミュニティが役立ちます。

経営層にアップデートについて説明する際には次のようなことが重要です。

  • 透明性を保つ(ごかましたり、ウソを言ったりしない)
  • 期待を管理する(およそ実現不可能な理想を抱かせない)
  • 教育する(アップデートについて正しい知識を持ってもらう)

そのほか、アップデート分析で気をつけることについても Maloney 氏は言及しました。たとえば、検索クエリの意図が変化した場合です。同じクエリであっても、時間の経過とともにユーザーが求めているものが変わっていることがあります。こうした場合では、コンテンツにまったく問題がなかったとしても、ランキングが下がる場合がありえます。

今、流行りの AI チャットをテーマにしたセッションももちろんありました。

セッションの様子

スピーカーの Simon Lesser 氏は、ChatGPT をはじめ、Google Bard や Bing チャットなど AI チャットに関する情報、特に SEO に取り組む人が知っておくべき情報を包括的にまとめて解説しました。筆者にとって新しい発見はほどんとなかったのですが、それでも知識整理に役立つ有益なセッションでした。

ちなみに、ふなっしー(のアニメーション)がスライドに使われていました。

ふなっしー

ただし、ふなっしーという存在については何も Lesser 氏は認識しておらず、日本の自治体のマスコットキャラクターだと教えるとそうなんだと驚いていました。

 

こちらのセッションも AI がテーマのセッションです。GPT を利用した SEO コンテンツの自動化について解説しました。

セッションの様子

AI によって次のようなタスクを自動化できます。

  • ブログ記事の執筆
  • 商品説明文の作成
  • ソーシャルメディアの投稿
  • ニュースレターの作成
  • よくある質問とその回答

しかし、スピーカーが勤務する会社では AI が生成したコンテンツをそのまま公開することはしません。人間の介在が依然として必要です。AI は完璧ではないのです。AI で作成するコンテンツには次のような弱点があります。

  • 生成プロセスを完全には制御できない
  • 誤った情報を含む可能性がある
  • 現状では人間のほうが良いものを書ける

Bibi the Link Builder さんによるリンク構築のセッションです。実践的な内容も良かったのですが、かわいらしいスライドがとても印象的でした。

セッションの様子

セッションの様子

もう 1 つリンク構築のセッションを紹介します。スピーカーは、Gregg Gifford 氏。Gifford 氏はローカル SEO のエキスパートで、ローカル SEO の視点からのリンクビルディング手法を説明しました。

Gifford 氏は映画が超大好きで、スライドはすべて映画の 1 シーンを背景にしています。本人は、顔以外のほぼ全身が、映画をモチーフにしたタトゥーが彫られています。

セッションの様子

ちなみに、グレッグと筆者は数年来の仲良しで、カンファレンスで会うと必ずセルフィで記念撮影します。

 

最後に紹介するのは Areej AbuAli 氏のキーノートスピーチです。

セッションの様子

前半は、Google アルゴリズムの歴史など SEO や AI の話。

セッションの様子

SEO の世界は常に変化してたけれど、1 つ変わらないのは
ユーザーを最優先するウェブサイトの構築である

AbuAli 氏はこのように語ります。長年 SEO に取り組んできた自身が学んだこととして次の 3 つを挙げました。

  • 基本原理は同じまま
  • SEO への投資は増加する
  • 重要視するのはユーザーであって Google ではない

このような AbuAli 氏ですが、いっとき SEO をやめようかと悩んだことがあったそうです。技術、分析、戦略どの分野においても一流にはなれていないと感じたからです。自信を喪失したことが理由ですが、それよりも何よりも SEO 業界の代表であるという感覚がないことに嫌気がさしていたそうです。帰属意識に AbuAli 氏は憧れていました。

そこで、SEO をはじめ技術職に携わる女性を対象にした Women in Tech SEO というコミュニティを 2019 年 5 月に自身で立ち上げました。

Women in Tech SEO

少数が集まるミートアップから始まった Women in Tech SEO は、4 年後の今、次のような規模に拡大しています。

  • 5,000 人以上の女性が参加
  • ニュースレターやポッドキャスト、ハブを通じて 2,000 人以上の女性を紹介
  • ワークショップやトレーニングで 1,000 人以上の女性を訓練
  • 500 組以上のペアでメンターシップ実施
  • イベントを 4 回開催し、すべてチケット完売

AbuAli氏にとって、こうした成果はもちろん嬉しいのですが、もっと嬉しいのは長らく求めていた帰属意識を持てたことです。

過去の自分と同じように、帰属意識を持てる場所がない人に向けて、AbuAli 氏は次のように激励のメッセージを送りました。

帰属意識を感じられる場所を見つけられないなら、
自分で作ればいいと自分自身を鼓舞しましょう

AbuAli氏

AbuAli氏は次のようにキーノートを締めくくります。

SEO業界は、アルゴリズムの更新、ランキングの変動、新しい技術、企業の投資など、コントロールできない部分が多く、まだ改善の余地があります。しかし、コミュニティには、自らの未来を切り開く力があり、あなたはこの責任を受け入れ、変化を提唱する人になれるのです。

なんといっても。中東出身、イスラム、ヒジャブの有色人種の女性が今ここで基調講演しているのですから。

今、私が立っているところから見ると、SEO 業界の将来はとても明るいものです。

性別、人種、出身、信仰、職種を問わず、聴いている人全員を勇気づける素晴らしいキーノートスピーチでした。

セッションレポートは以上です。
今回参加した brightonSEO のセッションのハイライトを解説するリキャップセミナーを開催する予定です。日程は未定です(おそらく 6 月下旬以降)。詳細が決まり次第、ミエルカ公式 Twitter アカウントで告知するのでフォローしておいてください。

番外編: 食べ歩き🍽️

ビジネス出張とはいえ、せっかく異国の地に来ているので食事も楽しまなければもったいない。ということで、イギリスならではの料理も堪能してきました。

英国の代表料理、アフタヌーンティーです。

アフタヌーンティー
本場はおいしい

こちらも英国料理を象徴するフィッシュ・アンド・チップス。

フィッシュ・アンド・チップス
フライドポテト多すぎで完食無理

イギリス料理レストランのハンバーガー。

イギリス料理レストランのハンバーガー
パテがジューシー

中東料理のファラフェルをラップスタイルでいただきました。

ファラフェルをラップスタイルで
ヴィーガン向けメニュー

インド・ネパール料理のターリー。

インド・ネパール料理のターリー
ブライトンにはおいしいインド料理レストランがたくさんあるとのこと

著者PROFILE

鈴木謙一
鈴木謙一(すずき けんいち)

株式会社 Faber Company 取締役 Search Advocate(サーチ・アドボケイト)。「海外SEO情報ブログ」の運営者。正しいSEOをウェブ担当者に習得してもらうことをミッションに掲げている。検索関連のカンファレンス/イベントの取材やセミナーでの講師が Faber Company での主な役割。最近では、海外カンファレンスでの登壇も経験している。海外SEO情報ブログは、日本では、最も有名な SEO をテーマにしたブログの1つ。Google 公式ヘルプコミュニティのプロダクトエキスパートとして認定を受けており、Google 社員とのつながりも深い。

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