昨年暮れから、AI がにわかに脚光を浴びてきました。AI を利用してコンテンツを作成している方も多いことでしょう。AIは今や、テキスト、画像、音楽、さらにはビデオを優れた品質と流暢さで生成することができます。AIコンテンツ制作ツールの例として、ChatGPT、DALL-E、Bing チャットなどがあります。これらのツールは、コンテンツ制作者が時間とお金を節約し、繰り返しのタスクを自動化し、新しいアイデアを生成するのに役立ちます。
では、コンテンツ作成において、AIは人間の置き換わりになるのでしょうか? 将来的にはそうなる可能性はかなり高そうですが、現状では、コンテンツ制作において人間の創造性、直感、文脈、感情を完全に置き換えることはできません。
コンテンツ作成において人間の創造性を AI がまだ代替できない理由を 3 つ挙げます。
目次
1. AI が生成するコンテンツのオリジナリティや関連性の限界
AI によって生成されたコンテンツは、独創性、個性、口調、関連性に欠けていることがあります。AI コンテンツ制作ツールは、インターネット上の既存のコンテンツを学習しているため、コンテンツ制作者やブランドの言葉づかいや文体を反映した新規性やユニーク性のあるコンテンツを必ずしも生成できないのです。また、ターゲット ユーザーの特定のニーズや嗜好にうまく適応できないことがあります。例えば、ユーザーの属性や興味関心、苦手なものごと、目標などです。
2. ニュアンスとユーモアの観点から見た、AI が生成するコンテンツの課題
AI によって生成されたコンテンツは、人間が状況に応じて用いるニュアンス、ユーモア、皮肉、文化的な言及をうまく表現できないことがあります。AI コンテンツ制作ツールは、人間の言語や表現の裏にある微妙な意味やニュアンスを捉えることができないかもしれません。また、特定のトピックや状況を理解するために必要な文脈や背景情報を見逃すことがあります。例えば、AI ツールは、ユーザーに関連する現在の出来事やポップカルチャーの言及についてのジョークを書く方法を知らないかもしれません。
3. AIが生成するコンテンツが持つ、正確性と倫理観の面でのリスク
AIによって生成されたコンテンツは、適切に学習されていなかったり人間によってレビューされていなかったりすると、不正確で偏った、または倫理に反するコンテンツを作り出すことがあります。AI コンテンツ制作ツールは、コンテンツの事実や情報源を確認する能力がなく、誤りや誤情報につながることがあります。また、トレーニングデータの偏見や先入観を受け継ぐことがあり、不公平で有害なコンテンツが生成されることがあります。例えば、AI ツールは、性差別的、人種差別的、または特定の人々に対して攻撃的なコンテンツを生成することがあります。
結論
(まだほかにもありますが)主にこのような理由から、ユーザーに響く高品質でエンゲージするコンテンツを作成するためには、人間の創造性がまだ不可欠です。人間のコンテンツ制作者は、AIがまだ再現できない独創性、個性、トーン、関連性を提供することができます。また、AI が見逃すかもしれないニュアンス、ユーモア、皮肉、文化的な言及を理解することができます。さらに、事実や情報源を確認し、偏見や先入観を避けることで、コンテンツの正確性、公平性、倫理性を確保することができます。
AIは人間のコンテンツ制作者にとって強力な味方になることができますが、現状で人間を置き換えることはできません。コンテンツ制作における人間の創造性は、今もなお代替不可能です。
情報開示
実はこの記事は AI ツールを使って執筆しました。トピックの選定から、タイトル・見出しの作成、記事の執筆、翻訳に至るまでのほぼすべてのプロセスに AI が関与しています。
トピックの選定には Bing チャットを用いました。ぼんやりとした構想から、より具体的な内容に落とし込むまでを手伝ってもらいました。
英語で指示しているのは、一般的には英語のほうが AI がこちらの意図をより的確に理解できるだろうという想定に基づいているからです。
概要が決まった後の執筆は、Edge ブラウザのサイドバーから利用できる Bing AI の作成機能を利用しました。先ほど(筆者ではなく Bing チャットが)考えた草案を入力して記事を書かせます。
文章スタイルは Informational(情報提供型)を指定しました。ほかには、Professional(専門的)や Casual(砕けた感じ)、Funny(面白おかしく)などの文章スタイルも選べます。
フォーマットにはブログ記事を選択し、文章量は短めにしました。長文を書かせることもできます。
英語でできあがった記事を、今度は ChatGPT に翻訳させました。Bing チャットでも翻訳できますが、せっかくなので別の AI チャットを今回は使いました。
上手に翻訳できていますが、ところどころ意味がわかりにくいところがあります。筆者が修正しました。必要に応じて加筆してあります。また内容に不適切な表現や見解が入り込んでいないことも確認しています。
こうしてできあがったのがこの記事です
多少人間の手が入っているとはいえ、大部分は AI が書いた記事です。AI 生成コンテンツだと気付いた人はいるでしょうか? おそらく気付かなかったのではないでしょうか?
こんなふうに、AI を使うと立派なコンテンツを作ることができる時代になりました。とはいえ、AI ライターが書いているように、今のところは完全には人間を置き換えることはできません。AI が書いたこの記事も個人的には独創性を感じません。筆者が完全に自力で執筆していたらもっと良いものが書けるでしょう(笑)。文体も自分のスタイルとは異なるので、自分の名前で公開するのはためらわれます(文体を教え込んで、執筆させる方法もあり)。
それでも、AI は筆者たちの創作活動を巧みにサポートしてくれることは間違いありません。上手に使いこなしたいものです。最後に、筆者が先日参加した Pubcon カンファレンスで、主催者代表の Brett Tabke(ブレット・タブキ)氏が基調講演で残した言葉を引用して終わりにします。
“AI があなたに取って代わることはない。
AI を使いこなす人があなたに取って代わるのだ”
著者PROFILE
株式会社 Faber Company 取締役 Search Advocate(サーチ・アドボケイト)。「海外SEO情報ブログ」の運営者。正しいSEOをウェブ担当者に習得してもらうことをミッションに掲げている。検索関連のカンファレンス/イベントの取材やセミナーでの講師が Faber Company での主な役割。最近では、海外カンファレンスでの登壇も経験している。海外SEO情報ブログは、日本では、最も有名な SEO をテーマにしたブログの1つ。Google 公式ヘルプコミュニティのプロダクトエキスパートとして認定を受けており、Google 社員とのつながりも深い。