同じ記事はGoogleからペナルティを受ける原因になる?「他のニュースサイトなどで自社サイトと同じ内容を配信している場合」は、どうやって重複コンテンツと見なされるのを避ければいいの?海外SEO情報ブログの鈴木謙一が、記事配信における”確実な”重複対策について解説します。SEO施策全体のやり方と合わせてご参考下さい。
重複コンテンツとは?基準は主に以下2パターン
重複コンテンツとは、その名の通り、重複=同じコンテンツのことです。ただ、重複コンテンツには2種類あります。
自分のサイト内で同じ内容を配信している
自社サイトの中で同じ内容を別のURLで配信している場合があります。たとえば私たちFaber Companyでも、お客様事例をコーポレートサイトとサービスサイトどちらにも載せるケースがあります。
他サイトで自分のサイトと同じ内容を配信している
外部コンテンツで配信を許可した内容を、自社内でも掲載している場合があります。自社発信のコンテンツをメディアにも配信してもらうといったケースです。
この記事では、後者(他サイトとの重複)の対策についてご紹介します。
複数のサイトに同じコンテンツが載る理由
Googleは自社サイトでも、別サイトでも配信した記事を「重複コンテンツ」とみなします。ユーザー体験(UX)を損ねるため、どれか1 つしか検索結果に表示しません。また厄介なのが、検索結果に表示されるのは必ずしも配信元のオリジナル記事とは限らないということです。
無断で他サイトに盗用(コピー)されてしまった
自分が許可した覚えがないのに他サイトに自社コンテンツの内容がそのままコピーされて使われていた場合、明確な著作権違反となります。
デジタルコンテンツ上の著作権に関する法律であるDMCA(Digital Millennium Copyright Act/デジタルミレニアム著作権法の略称)違反の場合、あなたが著作権保有者であれば、Googleサーチコンソール上から、権利侵害の申し立てができます。この申請により、「盗用」とみなされたコンテンツは検索結果から削除されます。
Googleサーチコンソール:著作権侵害による削除フォーム(フォームへのアクセスにはログインが必要)
DMCAの申し立て情報は、国際調査機関と連携して削除リクエスト情報を提供するサイト「Lumen」に掲載されます。なお、Lumenでは政府による削除要求が増えているといった最新動向も読むことができます。
自分がシンジケーション(同一記事の他サイト配信)の許可を出した
たとえばニュースメディアに配信されるシンジケーションを許可していた場合、配信元である自社サイトではなく、Yahoo!など配信先の記事が検索結果に出てしまう可能性もあります。まったく同じ内容の重複コンテンツである場合もありますが、許可している以上、著作権的に問題がありません。
重複コンテンツはSEO上はペナルティなのか?
重複コンテンツはペナルティではありません。インデックス削除や手動対策でもありません。
Googleの考え方としては、「1位〜5位まで同じ内容の記事が並んだ場合、ユーザーを無駄に迷わせることになる。ユーザー体験が落ちないよう1つに絞るべき」という理論です。
オリジナルである自社コンテンツが上位表示されるのが基本ではありますが、配信先が有名で信頼性の高いサイトだった場合、配信元ではなく、配信先が上位表示されることもあります。あなたが許可を出した以上、これはある程度許容しなければなりません。
記事配信における3つの重複対策
記事配信を許可した場合、自社コンテンツを完全に上位表示させられるという確証はありません。しかしどうしてもオリジナル記事を表示させたい場合は、以下の対策が考えられます。
ベストな対策はオリジナル記事を正規化する「canonical(カノニカル)」
どの記事が正規コンテンツかを示す手がかりを、タグを埋め込むという形で、検索エンジンに知らせる方法です。
配信先の記事に rel=”canonical” を追加してもらい、自分のオリジナル記事に正規化してもらうことで、検索結果に表示させたいURLを指定することができます。ただGoogleから「複数ページにまたがるコンテンツの 1 ページ目を rel=canonical のリンク先とする」など、下記5つの注意点が提示されているので、ご一読をおすすめします。
Google検索セントラルブログ:rel=canonical属性に関する5つのよくある間違い
配信先に重複コンテンツを「noindex」化してもらう
許可を出した配信先の記事を「no index」にしてもらうことで、検索結果に反映されなくする方法もあります。一見、「配信許可を出した意味がなくなるのでは?」と思われますが、「SNS経由で見てもらえばよい」「RSSリーダーで最新記事が更新されると自動的にリンクが一覧表示される」「メールで更新記事が配信される」といったケースでは、特にWeb検索結果画面で検索順位に反映される必要はないというケースも想定されます。
Google検索セントラル:noindexを使用して検索インデックス登録をブロックする
自社サイトのオリジナルコンテンツを最速でクローラーに知らせる
確実な手ではありませんが、他サイトで記事配信をされる前に、自社サイトのオリジナルコンテンツを公開し、サイトマップ(自社サイトのURL一覧)送信を行うことも一案です。
GoogleがWebサイトを巡回する際に、効率的に新規作成したコンテンツを読み込んでもらえるよう、刷新したサイトマップを先に送っておくのです。繰り返しますが、これだけを見てGoogleは検索ランキングを決めるわけではないので、100%確実な施策とは言えません。
Google検索セントラル:サイトマップの作成と送信
番外編:究極の回答は「記事配信しない」
自分のサイトだろうが、他サイトだろうが、経由を問わず多くの人に読んでもらうのが目的であれば、割り切って記事配信を許可しましょう。
しかしそうではなく、あくまでも自社サイトにPVを集める、たとえば広告配信の効果を上げることが目的なら、読んでくれる人がそれだけ減るのは許容して、シンジケーションの許可を出さない!というのも確実な手です。ご自身で何を優先したいのかをよく考え、判断してみて下さい。
動画出演者PROFILE
株式会社 Faber Company 取締役 Search Advocate(サーチ・アドボケイト)。「海外SEO情報ブログ」の運営者。正しいSEOをウェブ担当者に習得してもらうことをミッションに掲げている。検索関連のカンファレンス/イベントの取材やセミナーでの講師が Faber Company での主な役割。最近では、海外カンファレンスでの登壇も経験している。海外SEO情報ブログは、日本では、最も有名な SEO をテーマにしたブログの1つ。Google 公式ヘルプコミュニティのプロダクトエキスパートとして認定を受けており、Google 社員とのつながりも深い。