複雑な構造のURLは検索結果に影響する?ユーザー視点からは、どんなURLがおすすめ?検索エンジンがページの内容を理解する手助けになるURLとは?URLの基礎知識と、SEO観点やUX観点などで推奨される付け方について解説します。
URLの基礎構造とは
URLは5つの要素から構成されています。それぞれの役割を説明します。
プロトコル
インターネット上におけるブラウザとサーバー間の通信種別を表します。以前はhttpが一般的でしたが、よりセキュリティレベルを高めるため、数年前から暗号化されたhttps(Hyper Text Transfer Protocol Secure)が推奨されています。
SSLのサーバー証明書の取得をしていないhttpの状態だと「保護されていない通信」という警告が出て、ユーザーにも心理的にマイナスになってしまうだけでなく、検索順位にも微細ながら影響が出てしまうので、httpsに統一しましょう。
ホスト名
意外かもしれませんが、URLの「WWW」の有無はSEOに対してまったく影響がありません。今後新規にサイトを立ち上げるのであれば、つけてもつけなくてもどちらでも好きな方を選んで大丈夫です。
ドメイン
末尾のトップレベルドメイン(.comや、.co.jpの箇所)についても、ある程度自分で選択可能です。分野や国を表す意味を持つこともあります。特に国別(末尾がjp=日本、us=アメリカなど)は、商売の対象となる国や地域を表します。好き嫌いや語感で選んでしまうと、自分のサイトとマッチしないドメインを選んでしまい、Googleもサイト種別の参考にしてしまう可能性があるので注意しましょう。
たとえばこの「ミエルカチャンネル」をYouTubeで開設しようとする場合。「URL末尾は.comでもいいけど、面白みがない。どうせなら『ミエルカチャンネル』の頭文字を取って.mcにしよう!」とドメイン取得するとします。ところが「.mc」はモナコを意味する国別コードトップレベルドメインなので、「モナコに向けたサービスを提供しているサイトである」という誤解を招く情報をGoogleやユーザーに送ってしまうことになります。
末尾以外のドメインについても、長く使う可能性も考え、ご自身のビジネスや意図に関係しているアルファベットを選びましょう。
ディレクトリ
ウェブサーバーでファイルを格納するためのフォルダです。これも好きに名称を決めて良いのですが、これもページ内容と関連のある名称にすることが推奨されます。ユーザーがそのディレクトリを目にした時に、ページの理解促進につながるからです。アクセス解析も楽になる可能性があります。
たとえばディレクトリが「aaa」ではどんなページか想像もつきませんが、「cat」であると「猫に関係するコンテンツ群なのかな」とある程度推測できます。
ファイル
ディレクトリ同様、ファイル名も関連性があるものが好ましいとされています。意味不明な数字や文字の羅列だと、サイトの信頼性を損ねてしまう可能性があるからです。ただ、ランキング要因に直接影響するわけではなく、細かく一致させる必要はありません。ユーザーやGoogleがそのURLを見た時に内容が推測できるものであることが望ましいという認識です。
GoogleとユーザーにとってわかりやすいURL構造のポイント
Google検索セントラルを見ると、どのようなURLが望ましいとGoogleが考えているかおおまかなポイントが分かります。
- シンプルでわかりやすい単語をURLに使用する
- 極力英語で意味が通るようにする(日本語は自動でエンコードされ意味不明な文字の羅列になる)
- 極力簡潔に短いディレクトリ構造にする
- コンテンツの内容と関連したキーワードを使う
- 国別のドメインをつける
- 判読できないような長いID番号はURLに使用しない
- URLにはアンダースコア(_)ではなくハイフン(-)を使用する
- URLに含まれる不必要なパラメータは削除する
- 1つのページに1つの正規URL(大量生成される場合は後述の正規化処理を)
Google検索セントラル:シンプルなURL構造を維持する
長いURLはSEOにマイナス?
URLの長さ自体はSEOに影響しません。長いゆえに認識に差が出る、時間がかかるといったこともありません。検索エンジンスターターガイドというGoogleのSEOの公式ガイドには「Googleは非常に複雑な構造のURLもクロールすることができる」と明言されています。
ユーザーの行動心理と利便性を考えても短いほうが良い
ただ、ユーザー視点からはわかりやすいURLが推奨されます。極端に長いとユーザーも認識しづらい上に、私の場合は、「なぜこんなに長いのかな?変なプログラムが仕込まれているのでは」と疑ってしまうこともあります。
長過ぎるURLは視覚的にもスペースを無駄に使ってしまいます。SNSに貼られている場合は視認性が下がりますし、いざ自分自身が拡散しようとする時も、短いほうがコピー&ペーストがしやすくなりますよね。場合によっては、URLは検索エンジンがページの内容を理解する手助けになることもあります。
ドメインやURLは変更しても大丈夫?
もちろん変更しても大丈夫です。ただ一般的には
- 社名変更があった
- ホームページを管理するシステムを移管した
といった重要な理由がない限り、安易に変更しないことをおすすめしています。
変更の際、Googleからは一字変換しただけでも別のURLと認識され、評価し直されてしまう点に注意しましょう。これまで積み上げてきたSEO上の実績がなくなることは覚悟しなければならず、一時的に順位が落ちることも考えられます。
旧URLから新URLには、301リダイレクトの処理を行うことを忘れないようにしましょう。
参考記事:リダイレクトとは? 種類・設定法・URL変更の注意点|初心者向け解説
参考記事:301リダイレクトはいつまでかけ続ければいいのか?
避けたほうがいいURLや注意すべきURLは?
他社の著作権侵害/公序良俗に反するURLはNG
他社の商標を侵害しないかきちんと調査してから指定しましょう。公序良俗に反するキーワードのURL使用も言うまでもなくNGです!
URLフラグメントを使用した場合はインデックスされない可能性
Webページなどの特定情報の場所を指定するために用いられる識別子「URLフラグメント」が変化してしまう場合は、両方インデックスされない可能性が出てきます。たとえば以下のように1ページ内の特定の場所にジャンプさせる目的でname属性またはid属性として「#」を利用する場合などがこれにあたります。
このフラグメント#はページ内ブラウザのスクロール先を示すため、Googleはインデックスせずに無視をします。特別なシステムを利用する場合を除き、「/file.html#p1」と「/file.html#p2」はインデックスされない可能性もあり、注意が必要です。
動的パラメーターは複数利用しない
たとえばECサイトでTシャツの一覧ページがあるとします。そこからサイト内の絞り込み検索機能を利用して、「赤いTシャツ」「スモールサイズのTシャツ」など条件を選ぶ場合、気をつけておかないと同じコンテンツに対して、複数のURLが大量に発行されてしまう仕様になってしまうことがあります。Googleが検知してしまうと重複コンテンツと見なされてしまう可能性があります。
この場合は、同じ意味を持つコンテンツには、必ずインデックス対象としてふさわしい一つ正規URLを割り当てられるよう、以下いずれかの処理をすると良いでしょう。
- 前出の301リダイレクトをかける
- 正規URLを示すカノニカルタグを埋め込む
根本的な対策として、正規URL(正しい順序のURL)だけが存在し、Googleに検知されるようにチューニングを心がけましょう。
動画出演者PROFILE
前職でSEOに出会い2010年にFaber Company入社し10年以上SEOに携わり続けてきた専門家。 内部SEO対策を中心にUX設計・セミナー講師などの職務を受け持ち、最新情報に加えクライアントの生の相談を元に培った深い知見を使いコンサルタント・SEO顧問として現在も活動中。 SEOコンサルタントとして分析してきたWebサイトは800を超える。
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