校正と校閲は一字違いで一見よく似ていますが、何が違うのでしょう。Webライティングや編集に携わる方に向けて、それぞれの作業のポイントや具体的なチェック方法を元オウンドメディア編集長の中山が紹介します。
☑︎編集・校正・校閲を知り、高品質なコンテンツを作るコツ(ライター&編集さん必見!)
株式会社Faber Company コンテンツ・エバンジェリスト YouTube『ミエルカチャンネル』の管理人。freeeで税務/会計/人事労務領域のB2B オウンドメディア『経営ハッカー』を月間400万PVに成長させた後、Faber Companyでエバンジェリストとして「検索エンジンはもちろん、人の心も鷲掴みするコンテンツ作り」のノウハウを布教。月間50万PVの個人メディア『サイクルガジェット』を運営しつつ『ねとらぼ』『MarkeZine』等で連載中。公私にわたって24時間365日「おもしろいコンテンツのこと」を考えている。趣味はロードバイク。
編集とは:読みやすさの確認、企画趣旨に沿った修正作業
編集とは、その原稿が読みやすい文章か(たとえば改行や句読点が適切か)?のほかに、企画、趣旨、ポリシーに沿っているかをチェックする役割も担っています。
たとえば初心者向けの企画なのに、専門知識がないと読めないようなハイレベルな文章になっている場合は、初心者向けに書き直すといった作業も編集にあたります。
Webライティングにとって特にキモとなるのが、検索結果画面に表示されるディスクリプションです。これが適切に編集できていなければ、どんなに良い情報でもクリックしてもらえません。グロービス経営大学院が運営する『グロービスキャリアノート』を1年半で月間60万PV閲覧されるサイトへと成長させた新宅千尋編集長によるディスクリプション編集術もぜひ参考になさってください。
メタディスクリプション(meta description)とは?文字数や書き方、SEO効果、クリック率などを事例付で解説
校正とは:誤字・脱字・表記ミスの洗い出し
校正とは、文章を読まずに、一語一句チェックし、誤字・脱字・表記ミスを洗い出す作業です。意味を理解しようとすると引っ張られるので、表面のみをザーッとなめていくのが校正です。
- 文章の内容は読まない
- 徹底して文字の誤りをチェックする
- 同音異義語(謝るor誤る)
- 変換ミス(放送しないor包装紙ない)
- 送り仮名(断るor断わる)
- 表記の統一(千人or1,000人)
目を皿のようにして確認!校正のチェックポイント
Webメディアを運営する時は、文字の半角やカッコの種類、漢字の閉じ・開きなど、自分たちのルールを決めなければなりません。新聞で使っているルールを参照したい時は、共同通信社が発行している記者ハンドブックなどがおすすめです。
校閲とは:矛盾や事実誤認を洗い出すファクトチェック
校閲とは、校正の逆で、しっかり熟読した上で事実誤認、矛盾等を洗い出す作業です。文字は抜け漏れがない、改行も句読点もしっかり入っていてわかりやすい文章でも、事実と違うことが書いてあればダメですよね。たとえば歴史の記事では、年号が違っていたら世に出せません。こういったファクトチェックも校閲の仕事です。
- 熟読→間違いを訂正
- 矛盾は?事実誤認は?表現ミスは?
- 校正よりも対応領域が広い
- 固有名詞や数字
- 事実・因果関係
- 史実関係
多角的に事実を見極める校閲のワザ
校閲では、その文章に書かれた歴史的な背景や物体の構造、天気や季節まで確認することもあります。「書かれているのとは別の属性の人が読んだら不快にならないか」と、視点を変えて見ることも大切。逆にここまでやるから、専門の仕事として成り立つのです。企業の書くビジネス文書は以下のような厳しい校閲が入ることはないかもしれませんが、このような視点をもってドキュメントを確認していくと、さらに原稿の質が上がることは間違いありません。
原稿が完成してからを世に出すまでの理想的な流れ
原稿が世に出るまでのチェックの工程は、どんな流れで行うのが理想的でしょうか。
- 編集→校正→校閲が終わったら、もう一度編集をし直す
- 一人で全部やらず、各項目を別の人間が担う
3段階を一人ですべてやるのは、さながら「国語の文章を見ながら算数の問題を解く」ようなもの。上で述べたように、校正だけでもたくさんのチェックポイントがあるので、これらを確認しつつ、校閲で事実関係を確認するのは、かなり難易度の高い作業です。
もし編集・校正・校閲を一人でやる場合でも、作業は時間を置いて別々にやることをおすすめします。書いてすぐだと自分のミスに気づけず、半日〜1日以上寝かせてみるとミスや抜け漏れに気づくこともあります。
編集・構成・校閲でミスや漏れを防ぐ5つのコツまとめ
不思議なことに「声に出してみる」「PCの画面上ではなく紙に印刷してみる」ことも有効です。誤った情報は時に企業の信頼性を損ねることにも繋がりかねないので、専門的な内容は監修者を入れるようにしましょう。
- 複数人&複数回チェックする
- 時間をあけて見直す
- 音読する
- 印刷する
- 専門知識を持つ監修者に依頼する
Googleが提供するファクトチェックツールも
なお、校閲の段階でWeb検索をすると「これ本当かな?」と思う情報に出会うこともあります。世界的に誤情報や真偽不明の情報が拡散されるのを防ぐ試みが広がる中、日本でも非営利団体・FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)が2017年に発足。ファクトチェック・ガイドラインの普及活動を行っています。
また、Googleも日々アップされる膨大なコンテンツの中に虚偽または誤解を招く情報が含まれている状況を改善しようと、ファクトチェックツールを提供しています。特定のキーワードを入力すると、すでにその件についてファクトチェックをした組織が提供する記事と、事実か虚偽かを解明するまでの裏付け過程を見ることができます。
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動画出演者PROFILE
コンテンツ・エバンジェリスト&YouTube 『ミエルカチャンネル』事務局。freeeで税務/会計/人事労務領域のB2B オウンドメディア『経営ハッカー』を月間400万PVに成長させた後、株式会社 Faber Companyへ。 『ねとらぼ』『MarkeZine』等で連載。個人でYouTubeチャンネルも運営する。