【独自調査】HRテック系オウンドメディアの運用状況を徹底調査!更新頻度が高いほどお役立ち資料の数も多い傾向に!?(前編)
更新日:2024.11.18 公開日:2023.06.12春は人が動く時期です。人事異動や転職、そして新卒入社。近年は、社内の人事異動や採用活動にタレントマネジメントなどのHRテックを活用する企業も増えつつあります。そんなHRテック業界はオウンドメディア激戦区でもあります。そこで今回は、HRテック系企業32社のオウンドメディア運用状況を徹底調査しました。そこから見えてきた「オウンドメディア運用の勝ちパターン」とは? グラフ付きで紹介します。
- 調査対象:タレントマネジメント並びに関連システムを提供する、上場企業または資金調達実績のある企業32社。
- 調査項目:ドメイン形態、運用期間、記事本数、更新頻度、お役立ち資料の数など25項目
- 調査期間:2022年11月~12月
- 調査方法:各オウンドメディアを目視にてチェック
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9割以上がオウンドメディアを所有
調査対象となった32社の企業のうち、1つ以上のオウンドメディアを運用している企業は94%となりました。ほとんどの企業が情報発信に力を入れていることがわかります。
約7割がサブディレクトリで運用
オウンドメディアのURL構造については、ドメイン配下にコンテンツを置く「サブディレクトリ型」が最も多く、73%でした。ついで「サブドメイン型」が17%、「別ドメイン型」が10%となっています。SEOを意識したURL構造が優先されていると推測されます。
運営期間は5年以上が最多で約4割、最大は14年以上
運営期間について見てみると「5年以上」が40%と最も多くなりました。ついで「3年以上5年未満」が33%でした。平均的な運営期間は約5年、最大で14年以上という企業もありました。
※最も古い記事と調査時点における最新記事の、日にち差分で運営期間を推定しています。
記事本数は100以上~500未満が4割で最多
記事本数は「100以上~500未満」が40%で最も多くなりました。ついで「100未満」が33%、「500以上」が27%となっています。最大では2270本という強烈なメディアも。平均は約402本となっています。
運用年数が長いほど記事本数は増えるが、短い運営期間でも500本以上の割合は高い
記事本数と運営期間をクロス集計してみると、基本的に運用年数が長いほど「100本以上」の割合は高くなりますが、短い運用期間でも「500本以上」の割合が高く見られました。先行する企業は優位ですが、それを猛追する企業もいる、という構図が見て取れます。
1か月あたりの平均本数は4本未満が最多で4割、平均は9本、最大で72本
1か月あたりの記事本数は「4本未満」が40%で最多、ついで「4本以上~8本未満」が17%でした。平均は9本、最大で72本という猛者もいました。
※直近3か月の公開本数を目視で集計しています。
調査コンテンツを活用しているのは約3割
自社で行った調査(自主調査)を記事コンテンツとして活用しているメディアは、33%となりました。設問設計から集計、記事化の手間や時間を考えると、活用が難しいのかもしれません。
半数がインタビューコンテンツを活用
対談や識者への取材など、インタビューコンテンツを活用している割合は50%でした。HR業界は専門知識が必要で法改正なども多く、専門家の見解は読者にも有益といえます。
動画コンテンツの活用は3割強
YouTube動画の埋め込みなど、動画コンテンツを活用している割合は37%でした。中には動画専用のカテゴリを設けているメディアもありましたが、3分の2以上のメディアではまだ活用しきれていない状況です。
7割がホワイトペーパーダウンロードの導線を設置
お役立ち資料や調査レポートなど、いわゆるホワイトペーパーダウンロードの導線を設置しているメディアは73%となりました。オウンドメディアを運用する目的として「新規リード獲得」に重きが置かれている印象です。
約3割がメルマガ登録の導線を設置
メルマガ登録の導線を設置している割合は、33%とホワイトペーパーよりも少ない結果となりました。架電などの後工程のことを考えると、ダウンロードコンテンツから見込み顧客の興味関心を推測できるホワイトペーパーの方が、CTAとしての優先度は高いといえます。
関連記事への誘導枠は約9割が設置
93%とほとんどのメディアが、記事の下部などに関連記事への誘導枠を設けていました。関連記事の表示は、ユーザビリティ向上にもつながりますし、SEOの観点からも重要です。
CTAのタイプはページ下部が9割、記事中が約7割、サイドバーが約6割
ホワイトペーパーダウンロードなど、CTA(コールトゥアクション)の設置箇所については「ページ下部」が92%、「記事中」が69%、「サイドバー」が58%でした。ページ下部だけでは、そこにたどり着くまでにユーザーが離脱することも考えられるため、できればコンテキストに合わせて適宜、段落の間などに設置するのも有効です。
※1つの記事で複数設置されているため、合計が100%を超えます。
お役立ち資料の数は10本未満が最多で4割、10以上30未満が約3割
ホワイトペーパーなどお役立ち資料の掲載数は、「10本未満」が40%と最も多くなりました。ついで「10本以上~30本未満」が33%となっています。
更新頻度が高いほど、お役立ち資料の数も多い傾向に
更新頻度とお役立ち資料の数をクロス集計したところ、更新頻度が高いほどお役立ち資料の本数も多いことが判明しました。一定の更新頻度を維持するためには、そのための体制も用意する必要があります。運用体制が手厚いため、お役立ち資料もコンスタントに作成できるのではないでしょうか。同時に、よりシビアに結果を求められているともいえそうです。
YouTube、Twitterアカウントは約半数が所有、インスタは2割
今回の調査対象は主にブログ形式のメディアですが、それ以外のチャネルについて調べたところ、「YouTube」でも情報発信をしている企業は53%、「Twitter」は47%でした。
半数以上が執筆者情報を掲載
記事が誰によるものなのか、「執筆者情報」を掲載している割合は57%でした。Googleのアルゴリズムの影響もあってか、執筆者情報や監修者情報を掲載するオウンドメディアも増えています。
※「site:」検索で調査、および直近3か月の記事を目視で確認しています。
監修者情報を掲載しているのは約2割
記事に「監修者情報」を掲載している割合は23%でした。執筆者情報よりも割合は低くなりました。監修者をつけるとなると、社外の専門家アサインや記事制作フローの見直しなどが生じるため、ハードルが高いのかもしれません。
※「site:」検索で調査、および直近3か月の記事を目視で確認しています。
約9割がオリジナル画像を記事に使用
ストックフォトだけでなく、オリジナルのアイキャッチや図版を記事に使用している割合は、90%となりました。ほとんどのメディアでオリジナル画像が使われています。
※「site:」検索で調査、および直近3か月の記事を目視で確認しています。
記事中にポップアップを設置しているのは約3割
記事中にポップアップを設置している割合は33%でした。約7割がホワイトペーパーのダウンロード導線を記事下部などに設置していることを考えると、ポップアップは比較的少なめのようです。
お役立ち資料の入力項目は5個以上10個未満が最多で6割
ホワイトペーパーなどお役立ち資料をダウンロードする際の、入力項目の数は「5個以上10個未満」が61%で最多となりました。
製品資料の入力項目は10個以上が最多で半数
ホワイトペーパーではなく、サービス資料、製品紹介資料の入力項目を見てみると「10個以上」が50%で最多となりました。一般的に、お役立ち資料をダウンロードするユーザーよりも、製品資料をダウンロードする(=製品に興味がある)ユーザーの方が、商談につながりやすい傾向です。製品資料をダウンロードする際は、しっかりと情報を入力してもらいたい、という意図が見受けられます。
お役立ち資料のフォーム入力後の挙動は直DLが6割以上
フォームへ情報を入力した後の挙動についてもチェックしてみました。お役立ち資料のダウンロードでは65%がフォーム入力後、すぐに資料を閲覧できました。「後日メールで送付」というケースは9%でした。
製品資料のフォーム入力後の挙動は直DLが4割も、後日メールも3割強
製品資料のフォーム入力後の挙動は、「直接ダウンロード」が42%と最も多くなりましたが、「後日メールで送付」が33%と、お役立ち資料に比べ非常に高い割合となりました。競合からのダウンロードを防ぐ目的や、確度の高い問い合わせには個別に対応する目的があるのかもしれません。
導入しているMA、1位は「Pardot」
今回、調査した32社のうち、MAツールの導入が確認できたのは18社でした。そのうち、最も導入割合が高かったのは「Pardot」で39%でした。主要SFAのひとつである「Salesforce Sales Cloud」との連携が強いというのも要因かもしれません。
※タグ等の状況を見て可能な範囲で判別いたしました。
まとめ:リード獲得のためのオウンドメディアには一定の傾向あり
今回、調査を行ってみてHRテック系のオウンドメディアの多くが、SEOによるリード獲得に注力していることがわかりました。なかでも以下のような傾向が見受けられます。
- サブディレクトリで運用
- 記事本数は100本~500本未満
- 1か月あたりの基本数は平均9本
- お役立ち資料等の導線を複数設置
- お役立ち資料の数は10本未満
- 執筆者情報を記載
- オリジナル画像を使用
- YouTubeやTwitterも運用
- 製品資料はフォームの挙動を変える
- MAを導入
自社のオウンドメディアと比較いただき、今後の運用の参考にしていただければ幸いです。次回はさらに突っ込んで、この調査結果を「順位が取れているメディア」と「そうでないメディア」に分けてみていきたいと思います。どのような違いがあるのでしょうか? お楽しみに。