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【海外カンファレンス現地レポート】Search Marketing Summit Sydney (Day1~2) ~鈴木謙一の登壇~

更新日:2023.12.26 公開日:2023.12.15

【海外カンファレンス現地レポート】Search Marketing Summit Sydney (Day1~2) ~鈴木謙一の登壇~

この記事では、当社の鈴木謙一、市川莉緒(筆者)が登壇・参加した Search Marketing Summit カンファレンスの 2 日間分をまとめてレポートします。

Search Marketing Summit とは

オーストラリアのシドニーで 11/27~11/30 の 4 日間に渡って開催された検索マーケティングのカンファレンスで、2006年に初めて開催されました。マーケティングのカンファレンスといえば、ヨーロッパやアメリカが多いですが、オーストラリアでも検索マーケティングやSNSのカンファレンスがいくつか開催されています。

とはいえ brightonSEOPubcon のようにホールを貸し切るわけではなく、貸し会議場を借りての開催だったので、規模は小さめとなりました。おそらく全体の参加者も登壇者含めて40人くらいだったようです。

会場の様子

ただ、今年参加したカンファレンスの中で最も実りがあるものだったと筆者の市川と鈴木謙一は実感しています。この後の記事の中で詳しくレポートします。

グローバルな登壇者

最初はこれに一番驚きました。大規模なカンファレンスならまだしも、この規模でしかもオーストラリアでの開催でここまでいろんな国からのSEOエキスパートが登壇するのは珍しい気がします。

ヨーロッパのカンファレンスならヨーロッパの方々が、アメリカのカンファレンスなら北米の方々の登壇が目立つのですが、今回は母数が少ないとはいえ、約半数がオーストラリア以外からの登壇でした。

登壇者

もう一つ、海外SEO情報を追っている方ならお気づきかと思いますが、なんと Google の Gary 氏、Bing の Fabrice 氏も登壇されました。その他にもいろんなカンファレンスで顔を合わせるような方も数名います。規模が小さいとはいえ、有名な方々の参加もあって価値の高いカンファレンスだったと思います。

どうやら元々2015年の開催まで、SMX Sydney としてSMXのブランド名で開催していたそうです。SMXも歴史ある有名なSEOカンファレンスです。それもあってか毎年有名な方々の登壇や参加もあるのかも知れません。

Day1 ~鈴木謙一も登壇したSEOワークショップ~

11/27 の Day1 は、SEOワークショップの開催です。カンファレンスでワークショップが併設されていることは珍しくはないのですが、別料金であることがほとんどなのと、グループワークやディスカッションをすることが多いです。

ですが今回のワークショップは普通のカンファレンスでの講演とほぼ同じで、登壇者が各々発表していました。

アジェンダはこのような感じ。

アジェンダ

最初の2講演はAIとSEOについてです。正直題名を見た時は「またか」感があったのですが、特に2人目 Frederic Chanut 氏の生成AIを使って旅行サイトのセッションを13%向上させた話は興味深いものでした。

カンファレンスでChatGPTや生成AIをSEOに活用する話となると、大体がキーワード調査や競合調査などその辺の話であることが多く、特に新しい発見はないのですが、この講演ではGPTのAPIを使って事前に旅行関係の情報を学習させ、自動的にQ&Aを生成させるというものでした。

鈴木謙一の登壇

鈴木謙一の登壇

今年3度目となる登壇ですが、今回のテーマはSGEについて。SGEとは、Googleが現在テスト運用している新しい検索体験、Search Generative Experience のことで、Google検索結果画面の上部に生成AIによる回答結果が示されるというものです。

SGE例
鈴木謙一が運営する海外SEO情報ブログより引用:https://www.suzukikenichi.com/blog/google-sge-now-inserts-links-to-related-web-pages-in-japan/

通常通りGoogleの検索バーで検索をすると、検索結果の最も上部にこのようにAIによって生成された回答が大きく表示されます(※クエリによっては表示されないことも)。

従来であれば、通常のページが表示されたり、クエリによっては広告、画像、動画などが表示されていましたが、SGEの登場によって通常のページが検索結果下部に押し下げられるため、自然検索流入が大きく減ってしまうのではないか、という不安を抱いている方も多いかと思います。

今回の講演では、鈴木謙一が独自で調査したSGEの機能や特徴のまとめを中心に紹介しました。

特にオーストラリアではまだSGEは展開されておらず、何ができるかまだ身をもって体験していない方も多く、たくさんの人が興味津々に聞き入っていました。

鈴木謙一の登壇

上の画像でも少し見えている通り、クエリによってはSGEのスナップショット(生成された回答)が画面の大部分を占めるため、通常のオーガニックリンクが何度かスクロールしてやっと初めて表示されるようになっています。

SGEの登場により、SEO担当者はどうすればいいのか?一番気になる答えはそこだと思います。

鈴木謙一は次のように締めくくりました。

「SGEにおいても通常の検索と同じように、信頼性のあるユーザーのためになるコンテンツであることが重要。高いEEATを担保した記事を作ることを心がける」

鈴木謙一の登壇

また、自然検索でのセッション低下のための対策としては次のように:

  • ブランディングを強化すること
  • 広告やSNS、メールマーケティングを使ってSEO以外でのユーザー獲得チャネルを持つこと
  • ページに今来ているユーザーをいかにコンバージョンに導けるか、CRO改善をすること

この3つを強調しました。

鈴木謙一の登壇

つまりは、SGEによって自然検索流入が減ってしまう可能性は大いにあり得る上、SGEよりも上に記事を出すことができるわけでもないので、SGEにどう対抗するかを考えるよりも、引き続きユーザーのためになる高品質(高E-E-A-T)な記事を作り続け、ページに来たユーザーのUX(ユーザーエクスペリエンス)を改善させることが重要ということですね。

登壇を終えた鈴木謙一からのコメント
海外カンファレンスでの登壇は通算で5回目、今年3回目でしたが、今まででいちばん良い感触でした。SGEというまだ新しい機能、しかもオーストラリアでは未導入の機能を扱ったことと、ワークショップだったため十分に時間を使えたことが功を奏しました。いい質問も多く出たし、終了後にもポジティブなフィードバックをもらえたり、LinkedInでコネクション申請してくる人もいたりしました。人数が少ない分、参加者のとのインタラクションが盛んだったことも良かった点に含められます。
ただ合格点は付けられるとしても、英語でのプレゼンなのできちんと通じるように話すことにどうしても意識が向いてしまい、日本語の場合よりも参加者に意識が向けられないのが今後の課題かなとも同時に感じました。

とはいえ、高品質な記事の確固たる定義が世の中に存在しているわけではないので、どんな内容を用意すればいいのか困っている方も多いでしょう。現に筆者の私もそのうちの1人です。

鈴木謙一の次に登壇した Rekha Marsh 氏は改めてユーザーの検索意図を深ぼって理解してみることが大事だと、ECサイトを例にとって伝えました。

以下は検索意図を4つに大別し、それぞれでユーザーが何を求めているのかを示した図です。

 Rekha Marsh 氏のセッション

さらにそれらの意図ごとに、各ページにどんな情報を置くべきかを例に示してくれました。

 Rekha Marsh 氏のセッション

普段からSEOをされている方からすると、基本中の基本で当たり前の話だと思います。しかし、最近のChatGPTやSGEなどAIの台頭によって、また、上位表示を保たなければいけないという焦燥感によって、小手先の技に目がいってしまってこういった基本的なことが頭から抜けてしまうことも多々あるのではないでしょうか?

変化の激しいデジタルマーケティング、SEOの世界ですが、ユーザーのためになる情報発信をする、という根本的なことを忘れないでおきたいものです。

Day2 ~Google の Gary氏の登壇から開始~

カンファレンスの目玉でもある Gary Illyes 氏の基調講演からスタートです。

Gary Illyes 氏のセッション

Gary氏の講演からは、今年あったGoogleの仕様変更やアップデートについて振り返りました。実はこの時まだ11月のコアアップデートは終了しておらず、世間を騒がせている真っ只中でした。この数日後にアップデート完了のアナウンスがあったのでほっとしましたが、もちろんカンファレンスでいつ終わるかの言及なんてありませんでした笑

今回の講演では、2023年にあったGoogle検索の重要ニュースのTOP5を紹介しました。

2023年にあったGoogle検索の重要ニュースTOP5

実は本講演の内容は、2023年9月にアメリカのオースティンで行われた、Pubcon Pro Annual 2023 にてGary氏が話された内容と同じものだったので、気になる方はこちらのレポートをご覧ください。

Pubcon Pro Annual 2023 参加レポート

この日 Gary 氏とはカンファレンスの合間に一緒にランチしました。鈴木謙一と筆者の市川と、サイバーエージェントSEOラボ研究室長の木村賢さんとの4人です。

Gary はとても気さくでユーモアに富んだ方です。日本がとても好きで、少し日本語も理解されています。
今回実りのあるカンファレンスになった2つ目の理由がこれで、Gary と沢山ディスカッションができました。色々な都合で何を話したか全ては書けないのですが、Garyは日本のSEO担当者やサーチコミュニティについてとても気にかけてくれているのは確かです。

一つだけ共有できる話がこちら:

Q: AIが生成したコンテンツをペナルティにするような予定はあるのか?ランキングシステムにも組み込まれるのか?

A: AI生成コンテンツを見抜いてランキングシステムに組み込む必要性は今は大きくは感じていないが、今後はなりうる可能性はある。

ビーフサンド
筆者の市川とGary氏が食べたビーフサンドイッチ

市川・Gary氏

Gary はハンバーガーは「食べにくい」という理由で嫌いだそうで、「食べにくいくらい具が豊富だから美味しいんじゃん!」と対抗する市川。この後もずっとディベートは続きましたが、2人ともダイビングが好きということで無事に和解(?)….。笑

Garyに寄生サイトについてインタビューした動画もミエルカチャンネルで公開しています!

 

BingのFabriceさんに質問してみた

このカンファレンスが良かった3つ目の理由は、Bing のプロダクトマネージャー、Fabrice Canel 氏とも沢山話せたことです。

Fabrice も気さくな方なのですが、大きいカンファレンスだとその分参加している人数も多く、ゆっくり話せる機会があまりありません。今回は1対1で話せるタイミングがかなり多かったこともあり、Bingの今後やBing Chatの反響、Fabrice 氏はClarityをどう使っているかの話からUXについて、またFabrice さんのキャリアについてまで色々お話ししました。

そのうちの一つがこちら:

 

Fabrice は検索結果を「質の良いものにする」ことを使命としているそうで、思いの外、Bing Chat がそれに寄与している結果が既に出てきている、と話していました。

また、Fabriceは毎度講演で IndexNow を使うようにお願いしているのですが、Googleも導入するようにいまだに働きかけているそうです。

 

カンファレンス期間中、GaryとFabrice が行動を共にしているところを何度か見かけたのですが、Google vs Bing (Microsoft) という構図ではなく、プラットフォームは違えど、より良い検索体験を作っていくという目指すところはどちらも同じようです。Fabrice もGoogle と協力しあうべきことは沢山ある、と言っていました。

Day2 終了後はクルージングで交流会

2日目終了後は、登壇者や参加者20名ほどでクルージングをしました。

クルージング

だがしかし、あいにくの雨…..

雨の街

クルージングの様子

食事や飲み物を前にみんなで交流しました。SEOや仕事の話をすることもあれば、家族の話や生い立ちなど、ざっくばらんに会話をしました。やはり今回のカンファレンスは規模が小さいこともあり、各参加者との距離も近かったのが何よりも良かったと思います。

食事の様子

 

途中から雨が止んだので、甲板に上がって綺麗な夜景をみることもできました。

シドニーの街

Day2 は以上で終了。Day3 では筆者の市川がいよいよ登壇します。その様子は鈴木謙一がこちらでレポートしてくれていますので、ぜひチェックしてみてください!

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