ミエルカTOP ミエルカジャーナル SEO Google検索に導入予定のBardとは?対話型AIのチャットは検索の驚異となるのか
SEO

Google検索に導入予定のBardとは?対話型AIのチャットは検索の驚異となるのか

公開日:2023.03.10

マイクロソフトは「ChatGPT」を開発したOpenAI社へ100億ドル(日本円で1.3兆円)を投資しました。検索エンジンBingへチャット型検索も実装されており一部ユーザーで利用することが可能となっています。これに対抗してGoogleも「Bard」を発表。ここ最近話題になっているChatGPTやAIチャットモデルについて解説し、今後の検索やAIチャットの問題点について予測していきたいと思います。

Google検索に導入予定のBardとは?対話型AIのチャットは検索の驚異となるのか

伊藤公助

解説:伊藤 公助 (いとう こうすけ)

株式会社Prompta. 代表取締役

出版社、学校法人広報、SEOベンダー企業を経て2013年に個人事業主として独立し2015年に法人化。9年間SEOコンサルティングのみで事業継続。マーケティング戦略立案、担当者育成やブランドマネジメントなども行う。数社のマーケティング顧問やアドバイザーとしても活動。

ChatGPTとは

会話型AIなので複数回の会話の往復が可能で質問を深掘りしたり、追加質問の候補をサジェストのように表示する機能もあります。この変更に合わせてBingトップページのデザインも大きく変化しました。

Bingトップ

アメリカのベンチャー企業「OpenAI」が開発している対話ソフトです。OpenAIはマイクロソフトが投資をしていることでも有名です。

チャットのようなUIをしており、会話のような形で質問したいことを入力すると、チャットが人間のように回答してくれます。追加で質問していくことも可能で、仕事で利用できないか?など利用方法が模索されたりして一気に利用ユーザーが増えました。自然な形で回答してくれるため、検索に取って代わるのでは?と話題になりました。

プログラムの文法ミスの発見や、○○を実行するためのプログラムを書いてほしい。○○から△△まで楽しみながら移動する方法を教えて、といった内容まで回答してくれます。

私はExcel関数を作ってもらったりする、といった使い方もしてみましたがちゃんと動作する関数が出来てきたので感動しました。こういった回答を得ることは従来の検索エンジンには難しかったことなので革新的だと感じています。

GoogleのBardとは

マイクロソフトがBingへAIチャットモデルを実装すると発表する1日前、Googleも「Bard」という会話形AIの導入を発表しました。こちらは2023年2月現在まだ一般公開されていませんが、UIなどのデモンストレーションは公開されています。

▶AI の次の重要な一歩
https://japan.googleblog.com/2023/02/ai.html

BardはGoogleが開発したLaMDA(ラムダ)という大規模言語モデル(はLLM)をベースとした会話型AIチャットです。

LaMDAとは、Language Model for Dialogue Applicationsの略です。機械学習により膨大なテキストデータを学習させて言語を生成したり要約したり、構成したり、意味を理解する、といった事をできるようにするものです。

LaMDAが登場した時にも対話機能がデモンストレーションされていました。

GoogleにBardが導入される際には、検索結果の上部にチャット用のボックスが準備され、そこで会話をしながら答えを探すようなUIになると予想されます

引用:AI の次の重要な一歩
https://japan.googleblog.com/2023/02/ai.html

公式ブログに掲載されいていたデモンストレーションのgif画像です。

BardはLaMDAの軽量版をベースにしているとのことで、LaMDAの一部機能を使って多くの負荷に耐えられるようにするそうです。多くのユーザーに提供することでフィードバックを得て回答の品質や安全性を満たして行く様子です。

一般公開されたとしてもフィードバックは恐らく必要になるので、多くの会話型AIのようにフィードバックや修正を受けながら精度の高いものにしていくと予想されます。

会話型AIは検索に取ってかわるのか?

筆者は、BardもBingのAIチャットも検索の置き換えにはならないと予想しています。使い分けはされると思いますが、検索のほうが便利であったり正確性が担保されていたりするので、検索のほうが早くて正確、という場面は今後も残ります。

AIに質問する内容と検索する内容が徐々に分かれていき棲み分けされる、というのが当面起こることかな、と思います。それでも、一部の検索がBardやBingAIチャットに置き換わる可能性はあるので、今後もユーザー行動が変化する可能性はあります。

今、SEOやデジタルマーケティングに携わる方々はBardの登場でどうなるのか?

全てが会話型AIに置き換わる可能性は低い以上、検索自体はなくならないと考えています。

最も重要なのは、会話型AIで何ができるのか?を知り、使い方を学ぶことです。使ったことがない、という状態にせず、楽しみながらBardのような会話型AIに触れていくことがまずは大切です。

「何ができるのか?」
「どういった変化があるのか?」

Bardに関しては今現在、デモ画面以上の情報は公開されていないため、既存の検索とどう融合するのか?といった点をチェックしていくことがまずは重要です

会話型AIが持つ問題点

ここからは会話型AIが今現在抱えている問題について解説します。

間違えた情報を当たり前のように伝えてくる

多くのニュースで話題になっていますが、会話型AIはBingAI型チャットもChatGPTも間違った回答が指摘されることが多くあります

知ったかぶりして回答しているのかな?と思うような回答をしてきたり、存在しない理論を提唱したり、といった問題もあります。こういった状況が検索に導入されたら。。場合によっては笑えないような問題を引き起こす可能性もあります。

Googleは2023年2月8日に開催されたイベントの中で「Bard」の使い方を公開しましたが、このデモの中に誤りがあり、Alphabet(Google親会社)の株価が8%下落する、といったニュースもありました。

参考:アルファベット株急落、AIチャットボットの回答の正確性に懸念
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-08/RPRPHGT1UM0W01

Bing会話型AIの発表の1日前に急いで発表した、といった点もあったのだと思いますが、この出来事から会話型AIはまだまだ多くの問題を抱えている事がわかります。

正式な公開はまだ早いといった段階であっても、検索市場のシェアが奪われる懸念を払拭するために発表せざるを得なかったGoogleの厳しい状況が見えました。

犯罪のような悪意をもった用途に使われる可能性がある

会話型AIは善悪やサイバー犯罪に関するリスクを理解している訳ではありません。利用方法によってはフィッシング詐欺やコンピュータウィルス生成のためのコード作成のサポートをしてくれる、といった事例もありました

参考:「Chat(チャット)GPT」「Bard」AIの対話ソフトの使い方と懸念は?
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20230215a.html

違法行為のある質問への回答はされない仕組みになっているそうですが、質問の仕方次第では違法行為のために利用できてしまう、という懸念もあります。

検索のゼロクリック問題を更に大きくする可能性がある

Googleの検索結果は非常にリッチになっており、検索キーワードによっては検索結果に表示されているページへ訪れることなく回答を得ることも可能になっています。

この影響もあり、検索結果のゼロクリック問題(検索結果から自分たちのサイトへ訪れてくれない)がサイト運営者からの不満として出ていました

検索結果に表示する情報は、コンテンツを提供しているサイト運営者が作成したものです。
サイト運営者が作成したコンテンツの一部をGoogleが利用して検索ユーザーへ答えを返しているのに、サイト運営者に見返りがない状態、というのはフェアな状態ではありません。

現在のGoogle検索でも問題になりつつあるのに、Bardが導入されてしまったら、更に大きな問題になる可能性があります。

Bardが回答するテキストの元となる情報は多くのサイトをクロールして得たコンテンツです。これらをGoogleのサービスで活用しておいて見返りがない状態が果たして多くのサイト運営者に受け入れられるのか?といった問題も起こりそうです。

また、Googleの収益の大きな柱でもある広告収入にも影響が出る可能性があります。UIによっては広告が目立たなくなってしまい、Googleの収益悪化に直結し、結果的にサービス品質が下がる可能性もあります。

同様の問題はBingAIチャットも抱えているので、今後この問題がどうなるか?これも含めて注意が必要です。

Bardが登場した段階で改めて性能や問題をチェックしていく必要がある

デモで誤った回答をしてしまっただけで株価に影響するほど、Googleが提供するプロダクトには大きな期待があります。

ChatGPTが登場し多くのユーザーが利用するような状況になっても、Googleが慎重にBardを公開せざるを得ないのは「Googleのサービスで問題があってはいけない事」を彼ら自身がよく分かっていたからではないでしょうか

ChatGPTがBardと同じ誤りを返したとしても「ChatGPTまた間違えているよw」くらいで誰も大きなニュースにしなかったでしょう。面白がって利用者を増やす結果になったかも知れません。実際、私もChatGPTの誤回答を引き出して遊ぶようなことをしていました。

それが許されないGoogleだからこそ、Bardを一般公開するまで多くの問題を解決しようと必死になっているのだと思います。

Googleが2018年6月11日に公開したGoogle と AI : 私たちの基本理念でAIの利用について7つの基本指針を公開しています。

1. 社会にとって有益である
2. 不公平なバイアスの発生、助長を防ぐ
3. 安全性確保を念頭においた開発と試験
4. 人々への説明責任
5. プライバシー・デザイン原則の適用
6. 科学的卓越性の探求
7. これらの基本理念に沿った利用への技術提供
引用:Google と AI : 私たちの基本理念

この記事の最後の一文にある、

短期的な利益を犠牲にしても長期的な視点を採用する、と、当時、手紙に記しました。その考えは、今でも変わりません。
引用:Google と AI : 私たちの基本理念

は今も変わっていない、と私は感じているので、Googleが考えるAIとの問題との向き合い方にも注目したいと思います。

予想されるBardとBingAIチャットの違い

BingはChatGPTで利用していたモデルの進化系を組み込んでいます。BardはGoogleが開発した大規模言語モデルLaMDAの軽量版を利用しています。

どちらも似たUIになる予想がありますが、デモを見た感じだとBardの方がより既存の検索結果に馴染む形で利用できそうです。BingAIチャットは通常の検索結果とチャットが分けられた画面で表示されています。

BingAIチャット

また、BingAIチャットは回答する際に利用した情報ソースを表示しますが、デモ画面を見ている限りだとBardは情報ソースを公開しない様子です

恐らく多くの方は参照元の情報ソースへアクセスすることは無いとは思いますが、この違いはゼロクリック問題もあるのでサイト運営者への心象にも影響しそうです。ユーザーの立場からは、どっちでも良い、となりそうですけれども。。

BardとBingAIチャットが登場し検索がまた大きく変わったら面白くなりそう

新しい技術には大きな問題がつきものではありますが、Googleはインフラである、という意識も強いため、かなり慎重に公開せざるを得ない様子です。(それでも早急な公開をせざるを得なかった様ですけれども)

どちらも完璧とは言えず、大きな問題や今現在気づいていない問題が起こる可能性を孕んでいます。ただ、問題も理解しつつ、それを1つ1つ解決しながら、検索やビジネスは変わっていく可能性もあります。

Bardの公開は非常に楽しみではありますが、ローンチ初期はちょっと嘘つきなAIである可能性が高いです。利用者側も温かい目で見守りながら検索の変化に乗り遅れないようにしていきたいところです。

ミエルカSEOではGPT-3を活用した「AIコンテンツアシスト」機能をアルファリリースいたしました!
本機能では、世間一般のインターネットにある情報だけではなく、各社の属する業界情報やWebサイトにある情報・コンテンツなどを学習・チューニングし、各社のWebサイトやオウンドメディアに合わせたコンテンツ案を提案します。アルファリリースにおいては、まずコンテンツタイトル案からコンテンツ構成(見出し構成)を提案する機能を提供します。

ミエルカSEOに、自然言語処理モデルGPT-3を活用した「AIコンテンツアシスト(α)」機能を搭載

詳細を見てみる

著者PROFILE

伊藤公助 (いとう こうすけ)
伊藤 公助 (いとう こうすけ)

株式会社Prompta. 代表取締役
出版社、学校法人広報、SEOベンダー企業を経て2013年に個人事業主として独立し2015年に法人化。9年間SEOコンサルティングのみで事業継続。
マーケティング戦略立案、担当者育成やブランドマネジメントなども行う。
数社のマーケティング顧問やアドバイザーとしても活動。

関連記事

ミエルカミエルカでできること

  • 1検索ニーズを自動調査できる

    検索ユーザーの検索意図をAIが自動分析
  • 2サイトの改善点がわかる

    競合サイトとの順位状況を瞬時に比較
  • 3プロにSEO相談できる

    改善ページを特定し、改善提案
オンライン対応可

運営会社