検索エンジンとは、インターネット上に存在するWebページや画像、動画などあらゆる情報を探すためのシステムです。日本では、GoogleやYahoo!といった検索エンジンがよく使われています。WebマーケティングやSEO施策をするうえで、検索エンジンの基本的な仕組みを知っておくと役立つことも多いでしょう。本記事では、検索エンジンの基本概要や仕組み、検索上位表示を目指す施策についてわかりやすく解説します。
目次
検索エンジンとは?
検索エンジンとは、インターネット上に存在するWebページや画像、動画などあらゆる情報を探すためのシステムです。検索エンジンの検索窓と呼ばれるボックスに調べたい事柄に関するキーワードを入力し、「検索」のボタンを押すと、キーワードと関連性の高いWebページや画像、動画などが表示されます。検索エンジンがあれば、無限にある世界中のWeb上の情報から、自分の欲しい情報を探し出せるのです。
検索エンジンの役割
検索エンジンの役割は、主に2つ挙げられます。
- ユーザーの検索ニーズを読み取り、最適なコンテンツを提供してくれる
- サイト運営者、広告を出稿する広告主に利益をもたらしてくれる
検索エンジンには、情報を得たいユーザーに、最適なコンテンツを素早く的確に情報を提供するといった役割があります。検索エンジンがなければ、世界中のWebサイトから自分に必要な情報を探し出すこともままなりません。そこで検索エンジンはユーザーの検索したキーワードから、検索意図を予測して、よりニーズにマッチしているWebページを検索結果上に順番に表示させます。
検索結果ではオーガニック検索の上部と下部にリスティング広告が表示されることがあります。リスティング広告は検索連動広告ともいい、ユーザーが検索したキーワードに応じて広告が表示されます。
また、サイト運営者はサイト内にはGoogle AdSense(アドセンス広告)を掲載することで収入を得られ、広告主はGoogle AdSenseに出稿することでより多くの人にサービスや商品をアピールできます。このような機会を提供することも検索エンジンの役割です。
検索エンジンの機能
ここからは検索エンジンの仕組みを、Googleを例に解説します。検索エンジンには、4つの機能が備わっています。
オーガニック(自然)検索
ユーザーが検索したキーワードに対する検索結果のことで、リスティング広告表示領域の下部に表示されます。検索結果に表示されるページ(URL)の表示順は、Googleのアルゴリズムがページを評価し決定しています。ユーザーにとって役立つような検索結果になるよう表示されます。
☑︎関連記事:オーガニック検索とは?基本を学ぼう
リスティング広告
ユーザーがキーワードを検索したときに連動して検索結果に表示される広告のことです。クリック単価(CPC)がオークション形式で決まり、クリックするたびに出稿している広告主に広告費がかかります。
☑︎関連記事:リスティング広告も含む「Web広告」とは? 種類や媒体、費用などを一覧でダウンロード
バーティカル検索
検索対象を特定の分野やコンテンツに限定して参照できる検索機能のことです。例えばサッカーのニュースを知りたい場合には、検索画面の「ニュース」を選択して検索窓に「サッカー」と入力することで、サッカーのニュースのみを表示することができます。
ユニバーサル検索
ユーザーが検索したキーワードに対して地図・画像・ニュース・動画などの関連性の高いコンテンツを検索結果に反映する機能のことです。ローカルパック・アンサーボックス・ナレッジパネル ・リッチスニペットなどが該当します。
このようにGoogleにはさまざまな機能が備わっています。機能を理解したうえで、Webページがどのように検索結果に表示されるのかを予測しながらコンテンツ作りをしましょう。
検索エンジンの種類
世界にはさまざまな検索エンジンの種類がありますが、日本でよく知られているのはGoogleとYahoo!の2つです。また最近、bingの利用率も高くなっています。Statcounter Global Statsによると、2024年6月時点での日本の検索エンジンのシェアは、以下のようになっています。
- 1位:Google(74.97%)
- 2位:bing(14.55%)
- 3位:Yahoo!(9.18%)
出典:Search Engine Market Share Japan | Statcounter Global Stats https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/japan
圧倒的にGoogleのシェア率が高いため、「検索エンジン=Google」と捉える人は多いです。
他にも、中国の「Baidu(バイドゥ)」、ロシアの「Yandex(ヤンデックス)」、広告が一切ない「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」などの検索エンジンがあります。
つい先日「Yandex」の検索ランキング決定ロジックが流出し、色々と話題になりました。しかし、いま話題はマイクロソフト社傘下のOpenAIが提供する「chatGPT」を搭載した「Bing」でしょう。Googleも対抗するかのように「Bard」を発表。AIを活用した検索体験は、これからどのように進化していくのか楽しみですね。
参考:【動画解説】SEO施策はGoogleだけでいい?Yahoo! やBing など他検索エンジンへの施策は?
検索エンジンの仕組み
検索エンジンの検索結果で上位表示させるためには、仕組みを理解しておかなければなりません。
今回は、日本で最もよく使われているGoogleを例に、検索順位が決まる仕組みを「クロール」「インデックス」「ランキング」の3つのステップに分けて解説します。
代表的な検索エンジンとして、Googleで検索順位が決まる仕組みを3つのステップに分けて解説します。
【クロール(クローリング)】検索エンジンがページ内容を認識
クロール(クローリング)とは、Googleの検索エンジンロボットである「クローラ」がWebページを巡回してコンテンツの内容を認識することです。
まず、Web上に新しく公開されたWebサイトや写真、動画などをGoogleが認識するためにクロールします。クローラはリンクを辿ってWebページを発見するため、XMLサイトマップを送信したり、Webサイト内の全ページを辿れるよう内部リンクの工夫が必要となります。
以前は、クローラはJavaScriptを正しく処理できないと言われていましたが、現在はJavaScriptの処理能力が向上しており、特に対策をしなくても問題なくクロール・インデックスされるようになりました。サーバーへの負荷を避けるためにrobots.txtでクローラの巡回をブロックしている場合には、クローラがサイトを正しく認識できなくなります。ユーザーとクローラが同じ状態でページを参照できるようにしましょう。
Googleがどのように認識してレンダリングしているのかは「URL検査ツール」で確認できます。レンダリングとは、GooglebotがページからHTMLやCSS,Javascriptなどの情報を取得し、ユーザーがブラウザでページを見るのと同じように描画する作業のことです。これによってページのレイアウトや構造を理解します。正しくレンダリングされていない場合には検索順位にも影響があるため、クローラを阻害していないか、複雑すぎるJavascriptになっていないかなどを確認しましょう。
クローラはコンテンツをレンダリングしませんが、インデクサーはレンダリングします。インデクサーは、クローラが収集したWebページを解析する役割を担っています。より詳細な情報は以下のGoogle検索セントラルをご参照ください。
【インデックス】ページ内容をデータベース化する
続いて、Webページがインデックスされます。インデックスとは、クローラの巡回によって認識したWebページがGoogleのデータベースに登録されることです。そのままWebページの状態で登録されるのではなく、検索エンジンが必要なときに必要な情報を取り出しやすいよう整理されて格納されます。
ページが適切な構成でなければ検索エンジンはコンテンツの内容を正しく理解できず、適切な評価が受けられません。また、質の低いページや似通ったページはインデックスされにくいと言われています。
検索エンジンからもユーザーからも理解されやすい構成でコンテンツを作成し、インデックスされることを目指すのが、上位表示への第一歩と言えるでしょう。
【ランキング】検索順位を決定する
最後に、Googleのアルゴリズムに従ってインデックスされたWebページを分析し、検索結果をランキング(順位決定)します。
検索キーワードの検索意図との関連性が高いページを選出してランキングするからこそ、ユーザーはよりスピーディーに求めている情報を得ることができます。Google検索をすると上から順番に10サイトが表示されますが、上位に表示されるほどユーザーの目に触れられます。
そのため、キーワードからユーザーの検索意図を推測し、ユーザーのニーズに応えられる質の高いコンテンツを作成することがSEOで大切です。
Googleのアルゴリズムには200以上もの要素があるとされ、さらに日々アルゴリズムの改善がなされています。検索エンジンはユーザーファーストであることを目指しているので、テクニックにこだわるのではなく、何よりユーザーにとって役立つ情報を提供することが欠かせません。
Googleで上位表示されるサイトの特徴
Googleで上位表示されるサイトには共通の特徴が2つあります。
Googleの理念を理解している
Google検索で上位表示を目指すのであれば、Googleの理念を理解する必要があります。というのも、Googleのアルゴリズムの根底に企業としての理念があるからです。
「Googleが掲げる10の事実」には企業としての理念が書かれています。特に意識して覚えておきたい理念は「ユーザーの利便性が第一である」ことです。
引用:Google「Googleが掲げる10の事実」
ユーザーのニーズを満たすコンテンツを作るには、ユーザーの検索ニーズをよく理解し、ニーズに対する答えを簡潔に提示することが大切です。Googleキーワードプランナーやオートコンプリート機能(通称:サジェストキーワード)を確認して、ユーザーのニーズを把握することが求められます。
検索意図の把握は下記のコンテンツをご覧ください。
また、コアアルゴリズムアップデートの傾向を理解することも忘れてはなりません。コアアルゴリズムアップデートが行われると、大きく検索順位が変動するため、ネガティブなイベントとして捉えるWebサイト運営者もいるでしょう。
しかし、コアアルゴリズムアップデートはよりユーザーに寄り添ったコンテンツを検索上位表示させるために行われるもののため、ユーザーにとっての利便性は向上する傾向にあります。(たまに使いにくくなることもありますが…)Googleのコアアルゴリズムアップデートは年に数回行われますが、アップデートに右往左往するのではなく、「Googleが掲げる10の事実」に則り、ユーザーに役に立つWebサイト(コンテンツ)作りを心がけてください。
E-A-T(改め、E-E-A-T)が高い
Googleの推奨する「E-E-A-T」が揃っているWebサイトは、検索上位表示されやすい傾向にあります。
E-E-A-Tとは、経験(Experience)・専門性(Expertise)・権威性(Authoritativeness)・信頼性(Trustworthiness)の4つの頭文字をとった造語です。これら4つ揃っていればユーザーが満足できるコンテンツであると判断されやすく、ランキングを決める1つの要素とされています。
経験(Experience) ※2022/12追加 | 商品レビューを行う場合は実際に使用した事があるかどうか、その場所へ行ったことがあるかどうか。専門的な技能を有するものであれば、その経験がある否かを伝えられると評価が高まる可能性。 |
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専門性(Expertise) | さまざまな内容を含まず、1つの内容に特化しているコンテンツを作成しているWebサイト運営者であることを指す。その分野に精通した人がコンテンツを作っていると、より評価が高まる傾向にある。 |
権威性(Authoritativeness) | 特定のジャンル・トピックにおいて多くの人に認められたWebサイトやコンテンツ作成者であることを示す。コンテンツの信憑性やWebサイト運営の期間などの要素によって評価される。 |
信頼性(Trustworthiness) | Webサイトの運営者やWebサイトのコンテンツ自体が信頼できることを示す。公共性の高いWebサイトほど高い信頼度が得られるように、運営者情報を詳しく発信することで評価が高まる。 |
E-E-A-Tが高いとコンテンツの品質が高いとされ、検索結果のランキングにも大きな影響を与えます。SEO施策に欠かせない概念と言えるでしょう。また、業界によって重視される要素が異なることも理解しておかなければなりません。
特に、YMYLに該当するWebサイトは信頼性が重視されます。YMYLとは、「Your Money or Your Life(あなたのお金と人生)」の頭文字をとった略語です。つまり、お金や生活、健康を扱う以下のような業界では、信頼性の高いコンテンツ作りが必須と言えます。
- 金融(保険・投資・税金・ローンなど)
- 医療(健康・病気・薬・メンタルヘルスなど)
- 法律(離婚・裁判・相続など)
- その他(児童養子縁組・安全情報・重要なニュースなど)
☑︎関連記事:E-A-Tを意識したSEO施策のススメ
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☑︎関連記事:YMYLとは?SEOでEATが最も求められる領域となる対象ジャンルは?
Googleで検索上位表示させるための施策
そもそもアルゴリズムは数百の指標があるため、コンテンツ内容が良いだけでは検索上位表示されるとは限りません。Googleで検索上位表示させるための施策は、大きく分けて内部対策・外部対策の2つがあります。さらに、コンテンツの内容以外にドメインパワーやE-E-A-Tもランキングに影響を与えます。
Googleで検索上位表示させるための施策について、4つの観点から詳しく解説します。
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ユーザーファーストのコンテンツ施策
Googleが理念に掲げる「ユーザーファースト」のコンテンツを作成しましょう。
そもそもユーザーファーストとは、ユーザーにとっての利便性が高く、情報が有益なコンテンツであることを指します。そのため、検索意図を的確に汲み取り、ユーザーの求める情報や価値を提供できるコンテンツを作らなければなりません。技術的なことよりも、ユーザー目線でWebサイトやコンテンツを作ることを意識しましょう。ユーザーに評価されれば、結果的にGoogleからも評価されやすくなります。ただし、例外として業界によってはE-E-A-Tの影響が強すぎて検索上位のコンテンツがイマイチなケースもあります。
SEO内部対策
内部対策とは、サイト内部に対して実施するSEO施策です。内部対策の目的は、クローラにWebサイト情報を正しく認識させて適切な評価を受けることにあります。
具体的には、以下のような対策があります。
- XMLサイトマップの作成・送信
- Webサイトの階層構造の最適化
- 内部リンクの最適化
- 構造化データのマークアップ
しっかりと内部対策すれば、素早くクローラが巡回してくれ、インデックスされることにつながります。また、noindexやrobots.txtを活用して、低品質なコンテンツや重複するコンテンツのインデックスをブロックすることで、効率よくクロールやインデックスを促すことができます。
SEO外部対策
外部対策とは、他のサイトから被リンクを獲得してSEO評価の向上を狙うことです。
他のサイトから「役立つ情報が掲載されている」と紹介(リンク)されることでドメインが強くなり、Webサイト全体の評価が上がります。
しかし、以下のようなGoogleが低品質とみなす被リンクの獲得は避けなければなりません。
- 有料リンク
- 順位操作を目的とした相互リンクサイトやディレクトリ登録サイト
- 隠しリンクなど順位操作を目的とした人工リンク
- 被リンクを目的としたコピーサイト、サテライトサイト
- 中身のない低品質のサイトからのリンク
これらの被リンクはペンギンアップデートと呼ばれるコアアルゴリズムアップデートで無効化されるようになりました。もし該当する被リンクが見つかった場合には、サイト運営者へリンク削除の申請や、否認ツールを活用しましょう。
E-E-A-Tを高める施策
E-E-A-Tを高めることで、Webサイトの評価が上がりやすくなります。
E-E-A-Tのそれぞれの評価対象は、以下の通りです。
- E(経験):メインコンテンツ作成者
- E(専門性):メインコンテンツ作成者
- A(権威性):メインコンテンツ作成者・メインコンテンツ自体
- T(信頼性):メインコンテンツ作成者・メインコンテンツ自体
GoogleはE-E-A-Tをどのように数値化して評価しているのかは非公開ですが、以下のような情報が重要であることは推測できます。
- サイトに掲載する情報を特化させる
- 運営者や執筆者の情報を公開する
- ドメインパワーの強いサイトから被リンクを獲得する
- 編集ポリシーを公開する
- 事実に基づいた情報が掲載されている
あわせて、検索品質評価ガイドラインやGoogle検索セントラルブログもご参照ください。
検索エンジンの仕組みを理解して、Webサイトを上位表示させよう!
検索エンジンは、インターネット上に存在するWebページや画像、動画などあらゆる情報を探すためのシステムです。ユーザーが求める情報をより早くより正確に表示させることを目指しています。
世界的にGoogleが圧倒的なシェアを持っているため、SEO施策にはGoogleの企業理念やアルゴリズムを理解することが欠かせません。クロール・インデックス・ランキングの3つの流れを理解し、適切にWebサイトを運営することが求められています。