Webサイトの制作やリニューアル時に決めておく必要がある要素の1つにWebサイトのディレクトリ構造があります。ディレクトリ構造が整理されているサイトは管理がしやすく、逆にそうなっていないサイトは管理コストが高くなります。そこで今回は管理コストを下げてSEOにより集中できるディレクトリ構造について解説します。
目次
株式会社Prompta. 代表取締役
出版社、学校法人広報、SEOベンダー企業を経て2013年に個人事業主として独立し2015年に法人化。9年間SEOコンサルティングのみで事業継続。マーケティング戦略立案、担当者育成やブランドマネジメントなども行う。数社のマーケティング顧問やアドバイザーとしても活動。
SEOを意識する場合、ディレクトリ構造は「順位が上がるから」といった直接的なメリットのために設計されることは多くありません。この辺りはSEO会社や担当者によって意見が分かれるところかと思いますが、順位アップのために、というよりも管理コストの側面からディレクトリ構造について考えることをオススメします。
人によって意見が分かれる、ということは、それほど効果として分かりにくい、という事でもあります。私自身はあまり影響しない、という立場を取っており順位のためではなくサイトの運営や管理がしやすくなることを期待しディレクトリ構造を考えることが多いです。
今回の記事を読んで、ディレクトリ構造の構築方法を理解しSEOを成功させるために活用していただければ幸いです。
ディレクトリ構造とは?階層構造からディレクトリを理解する
ディレクトリ構造とは、Webサイトの階層構造を指します。
ミエルカジャーナルのディレクトリ構造は、
https://mieru-ca.com/blog/
となっています。
太字の/blog/のように区切られているものがディレクトリです。このディレクトリを複数作り並列に並べたり、階層構造にしたものがディレクトリ構造です。
ミエルカジャーナルの場合、
https://mieru-ca.com
というドメインの中に/blog/というフォルダがつくられています。
その中に
https://mieru-ca.com/blog/increase_backlink/
のようにファイルやディレクトリが入っているのがディレクトリ構造です。ディレクトリ構造は情報を整理し、どこに何が入っているのか?を検索エンジンやユーザーから情報が見つけやすくするために設計します。
パソコンでもファイルごとに別々のフォルダに分けて格納することであとでファイルを探しやすく整理しておくと思います。それをWebサイトに適用したものがディレクトリ構造です。文字だけだと分かりにくいので実際のディレクトリ構造を表と図にしたものも参考にしてみてください。
ミエルカジャーナルのディレクトリ構造
階層 | サイトの役割 | URL |
---|---|---|
第一階層 | サイトトップページ | https://mieru-ca.com/ |
第二階層 | ミエルカジャーナルトップページ | https://mieru-ca.com/blog/ |
第三階層 | ミエルカジャーナルSEOカテゴリ | https://mieru-ca.com/blog/category/seo/ |
ミエルカジャーナルはURLが少しずつ長くなっていて、それぞれの情報がどこに格納されているかが分かりやすく整理されていますよね。これが分かりやすいディレクトリ構造です。
例では、第三階層まで記載していますがサイトによっては更に深い階層まで設置される場合もあります。この辺りはサイトの規模や種類によって変わりますし「第○階層以内にする必要がある」といったルールはありません。
ミエルカのオウンドメディアが見たいと思ったら
https://mieru-ca.com/blog/
にアクセスするとミエルカジャーナルトップページが表示されます。
更にその中でSEOの記事が見たい場合は
https://mieru-ca.com/blog/category/seo/
へアクセスするとSEOについての記事一覧が表示されます。
ユーザーが目的の情報を探しやすくなりますし、パンくずリストの設置も容易になります。
SEOにおけるディレクトリ構造の重要性
ディレクトリ構造はSEOにおいても考慮すべきポイントですが、直接的な順位アップのため、という意味ではあまり効果が高いわけではありません。順位アップ以外の要因が大きいため、ディレクトリ構造は重要とされています。
参考:最新のSEOについて理解するにはこちらもご参照ください
https://mieru-ca.com/blog/seo-measures/
検索エンジンとユーザーにとってのナビゲーション
ディレクトリ構造は目的のページを見つけるために重要である、と記載しましたが、これは検索エンジンにとっても同様です。
検索エンジンはWebページを評価する際、そのページがWebサイトの中でどれほど重要であるか、も同時に理解しようとします。サイト全体の中でページの立ち位置を判断するためにディレクトリ構造をヒントにしています。
例えば「SEO」ディレクトリに複数の記事を入れておくことで「SEOでどんな情報を持っているサイトであるか?」を判断します。更に、SEOディレクトリに格納されているコンテンツを評価する際に「SEOの中で何の役割を担うコンテンツなのか?」を判断します。
パンくずリストの設置がしやすくなる
パンくずリストはサイトのナビゲーションをする上で重要な役割を果たす内部リンクです。1つ上の階層に戻ったり、更に上の階層に戻ったりする場合に使われます。
このリンクの設置をし、ユーザーが求める情報にたどり着きやすくするためにディレクトリ構造が重要です。パンくずリンクは構造化データマークアップも可能なので、検索結果に階層構造を表示することも可能になります。
▶構造化データについて解説した記事はこちら
検索エンジンがページ発見とクロール範囲拡大に利用する事がある
ミエルカジャーナルへアクセスしたユーザー行動の例を考えてみます。
検索エンジンから
SEOがマーケティングの中で担う役割とは?SEOの基本的な考え方も解説
へアクセスしたあるユーザーが、更に別のSEO情報を見たくなったとします。
その際、パンくずリンクを利用して
ミエルカジャーナルの「SEO」カテゴリの階層
へアクセスし、そこで別のSEO関連情報をチェックする、といった行動を取ることがあります。
この行動はユーザーだけではなく検索エンジンも(似たようなことを)行います。検索エンジンの場合、サイトの中でクロールの範囲を広げURLを発見するためにディレクトリ構造を利用します。
クローラビリティの向上という側面でもディレクトリ構造はSEOにおいて重要です。小規模なサイトは気にすることではありませんが、特に10万ページを超えるような大規模なサイトの場合、クローラビリティへの配慮はSEOの成否に大きく影響します。
サイトの管理コストを下げるためのディレクトリ構造
ディレクトリ構造をしっかりと考えることは、SEOにおいてクローラビリティやパンくずリストの設置など多くのメリットがあります。それ以外の重要な要素としてサイト管理コストを下げる、という役割があります。最も恩恵があるのはアクセス解析です。
カテゴリごとにディレクトリが分けられている場合、どのカテゴリがどのくらい評価されているか?が把握しやすくなります。これは実際のサイト運用の現場において多くの関係者と意思疎通しやすくするために非常に重要な要素です。
ミエルカジャーナルのアクセス解析をしたい場合の例で考えてみます。ミエルカジャーナルのURLは以下のディレクトリに格納されています。
https://mieru-ca.com/blog/
/blog/ ディレクトリ内を分析すればミエルカジャーナルだけのアクセス解析は完了します。
これが /blog/ 以外にもミエルカジャーナルの記事がある場合はどうなるでしょうか?複数のURLの評価を合算した指標を得るための手順や準備が必要になってしまいます。更にカテゴリ毎にディレクトリが分けられていた場合、カテゴリ単位でのアクセス解析もしやすくなります。
サイト運用においてアクセス解析は非常に重要ですが、サイト構造によっては重いタスクになってしまいます。誰もが容易に解析しサイトの状況を把握しやすくするためにもディレクトリ構造を整えて解析に備えることが重要です。
サイト内の情報量管理にも活用できる
もう1点、ディレクトリごとの情報量がチェックしやすくなるので、サイト内で何の情報が多く、何の情報が少ないのか?どういった情報が必要なのか?がチェックしやすくなります。
スプレッドシートなどに現在のサイト内のコンテンツを書き出し管理しているサイトであれば特に気にする必要はありません。そうなっていないサイトが情報を整理しコンテンツの過不足をチェックしようとした場合の手間は、ディレクトリ構造の状況によって大きく変わります。ディレクトリ構造が適切に整理されているサイトの方が、どこに何の情報があるのかをサイト運用者も把握しやすいはずです。
現在のサイトの状況を把握するために、ディレクトリ構造と設計は非常に重要です。直接的なSEOのメリットにはなりませんが間接的に大きなメリットとなりサイト運営者を助けてくれます。
SEOを成功させるためには、コンテンツマーケティングやSNS、広報など重要な施策が多くあります。それぞれの施策には多くのリソースが必要になるため、より重要性の高い施策へ集中するためにもディレクトリ構造を整えてサイト運用を効率化しましょう。
3クリック以内に目的のページへ到達する必要はない
「サイトトップページから目的の情報へ到達するために3クリック以内であることが理想的である」、こういった情報を目にしたことはあるのではないかな、と思います。
この情報の意図は、ディレクトリ構造や内部リンクを適切に行うことでユーザーを迷わせること無く目的の情報へ導けるようにしましょう、ということです。3クリックというのは必須ではなく、それ以上になっても迷わないのであれば問題ありません。
もう1点、”サイトトップページから”という点は、現在のインターネットの状況を考えた場合、必ずしも適切とは言えません。
指名検索数が非常に多い有名なサイトであればサイトトップページからの流入は非常に多くなります。それ以外のサイトの場合、
サイトトップページへの流入はサイト全体のトラフィックの何%でしょうか?
サイトトップページへの流入はそれほど多くないのではないでしょうか?
検索エンジンからの流入が当たり前になった現在、どのページからサイトへ訪問するかは分かりません。オウンドメディアの記事コンテンツが全体の8割のアクセスを担っている、といったサイトも多くあります。こういった状況でサイトトップページから3クリック以内に、という想定自体、あまり意味がありません。
現在のインターネットの状況においては、マルチエントランス(ユーザーの数だけサイトへの入り口がある)を想定しサイト運用することが必要です。「3クリック以内に目的の情報へ」よりも「どこから流入しても目的の情報が探しやすい構造」を目指すようにした方が使いやすいサイトになると思いませんか?
ディレクトリ構造はSEOの難易度を下げリソースを確保するための重要な施策
ディレクトリ構造を適切に設計することは、
- パンくずリストの設置
- クローラビリティの向上
- 検索エンジンがページ同士の関連性を把握するヒント
- アクセス解析難易度を下げる
- マルチエントランスへの対応
など、多くのメリットがあります。
検索順位向上への直接的な効果でいうと高くはありませんが、他の施策がやりやすくなったり、管理コストが下がるなど間接的なメリットは多々あります。SEOには多くの施策や選択肢があり、常にリソースの管理に悩まされます。そういった状況を少しでも改善するためにディレクトリ構造を適切に行なってSEOを成功させて欲しいと思います。
Faber CompanyではWebサイト改善の無料相談も受け付けています。ユーザービリティ向上についても承っていますので、お気軽にご相談ください。
著者PROFILE
株式会社Prompta. 代表取締役
出版社、学校法人広報、SEOベンダー企業を経て2013年に個人事業主として独立し2015年に法人化。9年間SEOコンサルティングのみで事業継続。
マーケティング戦略立案、担当者育成やブランドマネジメントなども行う。
数社のマーケティング顧問やアドバイザーとしても活動。