月岡が頑張って考えた挙句、「SEOで成果をあげるには、SEOだけじゃダメだ!」という禅問答みたいな結論にたどり着いたので、そこに至った経緯と「それでも何をすべきか」をまとめてみた。
☑︎最新のSEO事情について知るならこちら:正しいSEO対策とは?SEOの基本施策をわかりやすく解説
2017年のSEO業界の振り返り
最初に、変動の大きかった2017年にSEOの現場に起こったことを振り返ってみよう。
最もインパクトがあったのは12月にあった健康アップデート(仮)であろう。2015年末の某問題を発端に色々な調整を行ったGoogleだったが、このアップデートは多くの医療・健康系クエリに影響を与え、信頼性の乏しいサイトが検索結果から消えた。一部業界には大激震が走ったのだが、これまで以上に情報やコンテンツの「信頼性」や「品質」に注意が向けられることになった。
もう一つのトピックとしては、MFI(Mobile First index)やAMP(Accelerated Mobile Pages)、PWA(Progressive Web App)などのモバイルを中心デバイスに据えたアップデートや技術の普及が挙げられる。大きく影響があるのがMFIで、かなり前から「いつ導入になるのか」とWebマスターたちがヤキモキしていたと思う。すでに一部では始まっているらしいが。。
他にも「UXとSEOの関係」なども取り上げられたりしたが、それぞれの詳細については詳しいところに任せたい。ここではこの流れも押さえつつ、2018年にやるべきことを考えてみたい。
※当社)鈴木謙一も2017年を振り返っていたのでチェックしておいてほしい。
「2018年のSEOを読むために重要な、2017年の10大SEOトピック」(2018/1/12UP)
SEOで注目は「強調スニペット」「音声検索」「メンション/サイテーション」
まず、2018年に注目されそうなトピックは「強調スニペット」「構造化マークアップ」になるだろうか。少しレイヤーが異なるが「メンション/サイテーション」の影響も理解しておきたい。
合わせて「音声検索」は、すぐすぐ大きな動きにならないと思うが押さえておきたいところだ。2017年末に当ブログではPubcon2017のイベントレポートをアップした。このイベントでも「強調スニペット」「構造化マークアップ」が注目されていたようだ。最近、特定クエリにおいて検索結果が特殊表示されるケースが増えているのはご存知だろうか(特に「●●とは」というクエリではアンサーボックスが表示されやすい傾向にある)。
これらの表示は「強調スニペット」と呼ばれ、検索1位よりも検索結果(SERPs)上位に表示され、クリックや流入トラフィックに大きく影響している。とある弊社事例だが、検索1位表示時よりアンサーボックス採用時のほうが2倍近いアクセス(クリック率)を稼ぎだすこともあった。
Pubcon2017では「強調スニペット」をどうすれば表示させられるのかといったセッションもあったが、当然ながら明確なるメソッドは見出されてはいなかったようだ(こうしたらいいかもしれないレベル)。少なくともスニペット表示には「構造化マークアップ」と関係しているので、トレンドは押さえておくべきだろう。
また、強調スニペット表示は「音声検索」が普及した際にも大きく影響する可能性がある。音声検索が今までの検索行動と大きく異なる点があることは意識しておきたい。
何が大きく変わるかお分かりだろうか?
「OK、Google。近くでインスタ映えするまじ卍なカフェはある?」
と、街なかでスマホと1人会話している光景が散見される(まじ卍なカフェ?)以外に大きく変わるのは、「ユーザーが検索結果で能動的に閲覧したい情報を選ぶ」という行為がなくなってしまう可能性が高いことだ。
ユーザーの質問(検索)に対して、音声で1アンサーが返ってくる。
つまり「検索1位よりも3位のほうが自分の知りたい情報に近そうだな-」というような、検索結果画面でのユーザーに依る部分(目視による選択)がなくなってしまうのである。このとき、音声検索が返すアンサーはどのページの情報か?最も信頼のおける可能性の高い、検索0位(or 1位)のコンテンツじゃなかろうか。
いままで以上に検索ユーザーにとって「最もふさわしい回答」になるかが重要になってくる。でないと、Webサイトやコンテンツ、ひいては会社やサービスをユーザーに知ってもらう機会すらなくなってしまうのかもしれない。
最後に「メンション/サイテーション(評判・言及)」の話。
様々な調査から、Webサイトやソーシャル上でどれだけ会社やサービスなどのポジティブな言及をされるかが、SEO上のパフォーマンスに影響しているのではないかとも考えている。ここでいう言及というのは、FacebookやTwitterに書き込まれるとか、Webメディアやブログなどで紹介されるとかそういうことだ。
2017年12月に更新されたSEOスターターガイドはすでに読んでいると思う(もしまだならぜひご一読いただきたい)。約7年ぶりの更新となったわけだが、この中では「コンテンツと評判」に関して次のような記述がある。
自然なクチコミの評判は、ユーザーと Google の両方でサイトの評判を高めるのに役立ちますが、質の高いコンテンツがなければ生まれません。
Pubconでも、GoogleのGary氏は、この考えをぶつけた我々に対して「直接的には影響しないがメンションが増えてエンティティを形成し、ポジティブであれば良い事であろう。」という主旨の回答をしてくれた。Pubconレポートでも引用しているが当社古澤のTwitterを再度引用しておく。
どうすれば自社や自社サービスについてのポジティブな言及=メンション/サイテーションを増やせるのか、を施策として考える必要がありそうだ(もちろんこれはWebだけの施策に留まらない)。
Garyにとある実測データを示して質問。Q:ブランド検索(サイト名、サービス名)の検索数増がランキングに影響する度合いは?テレビCM露出量と順位相関が見られるがどうか?
A:直接的には影響しないがメンション(評判・言及)が増えてエンティティを形成しポジティブであれば良い事であろう。#Pubcon pic.twitter.com/GN2ZoBEg2t— 古澤暢央 (@samurai_nobu) 2017年11月9日
以上、2018年にSEOで注目すべきことを挙げてみたが、考えてみるとミクロな話でしかなく、これだけやっていても成果は上がらない…と思う。なぜならメンションのことも考えてもらったらいいのだが、SEOで成果を上げようと思うとSEOだけ考えていても上手くいかなくなりつつあるからだ。
☑︎EATに関してはこちら:E-A-Tを意識したSEO施策のススメ
☑︎強調スニペットに関してはこちら:強調スニペットとは?SEOの影響や表示されやすくなる設定テクニックも解説
☑︎構造化データ(マークアップ)に関してはこちら:
【構造化データとは?】テストツールやメリット・デメリットを徹底解説
これからはSEOで成果をあげたいならSEOだけじゃダメだ!
では、SEO担当(もっと広義にいくとWeb担当)は何をしなければならないのか。2017年の振り返りでも触れた通り、一部の大規模サイトを除き、テクニカルなSEOよりも「コンテンツ」が重要になっているのはご理解いただけている通りである。
中でも、E-A-T(専門性、権威性、信頼性)の重要度はより高まっている。そこで考えなければならないのはただ1つ。
「自社サイト利用ユーザーを満足させること」
…これまた当たり前のことでしかなくてアレなのだが、これしかないとも言える。E-A-Tを意識した優れたコンテンツで、サイト利用ユーザーが訪問目的をきちんと達成して、満足してもらうことが重要だ。ユーザーが満足すればよい評価のメンションも生まれるに違いない。
サイト利用ユーザーに満足してもらうことは、、、
- いつ、どこで、なぜその情報を欲しているのか、検索しているのか
- そのときに最も適したユーザー体験とはなんなのか(デバイス含む)
- もっと早く情報を閲覧できるようにできないか(表示スピード含む)
- 情報Aに触れたユーザーが、次に必要な情報Bはなんなのか
- それはリンクとして提示すべきなのか、バナー、ポップアップなのか
- 情報の提示順(構成)は最適なのか
- 「問合せたい」「購入したい」と思ったらストレスなくできる状態か
- 購入、問合せした後も適切な対応になっているか
(物流も、商品/サービスを消費するまでの満足も含む)
※少し前の話だが、Webでは豪華な写真だったのに、届いたらスカスカのお節だったという事件があったがあの「がっかり感と深い絶望」は想像するだけで辛い。。
などなどを考える事に他ならない。
つまり「SEOで成果をあげること」は「Webサイト、サービス全体でパフォーマンスをあげること」とほぼ同義になりつつあるのだと思う。となると、SEO担当やWeb担当は業務カバー範囲が爆発的に増えることになるのだ。
文章にするとこんな感じだろうか。
貴方は、SEOだけではなく、PPCやソーシャルなどの各チャネルの施策を理解し、時には連係して施策を回さなければならない。流入はとれるものの、直帰率やCV率の数値を改善が必要になり、そのためのUI/UXやフォームの改良には、A/Bテストが欠かせない。
また、レコメンドエンジンやマーケティングオートメーション、Web接客ツールも活用して、サイト訪問者と適切なコミュニケーションをとらなければだし、もちろんデータ活用も求められるので、DMPを用いて1st~3rdパーティデータを活用することも考えなければならない。
それだけではなく、リアルなコミュニケーションも大事なので、コミュニティを形成したり、オフラインイベントやマスメディアまでも組み合わせた施策が必要になるだろう。これら以外も含めた施策の全てに、上手いこと優先順位をつけて、成果を検証しながら実行していかなければならない。
「おいおい、そんなスーパーマンみたいなやついるわけないだろ・・・」
そんなツッコミをいただきそうだが、仰る通りである。とりあえず業界用語を書き並べてみたが、書いてて自分でもこんな人、ほんとにいるんだろうかと思えてきた。
…うん、たぶん、、、いないんだろう(もちろんスーパーマンはいるんだろうが)。
これから必要なことは、継続的な発展のための「チームづくり」
あらゆる施策や手法を理解し駆使することで、SEOのみならずWebサイト全体でパフォーマンスを上げるためにどうするのか。自分1人でやってのけてしまうスーパーマンになるのも、他で探してきて採用するなんてのも難しい。だったら、今すぐできることとして、それぞれに長けた専門家とそれを束ねるディレクターやプロデューサーによる「チームづくり」が求められるんじゃなかろうか。
それぞれの専門家が社内にいればよいが、いないのであれば社外のリソースも活用してもいい。ただし、施策の全体指揮をとり、方向性を決めるプロデューサーは社内に必要になる。プロデューサーも言ってしまえば「役割」でしかないので複数人で担ってもいいかもしれない。大事なことは各施策と担当者が有機的に連係し、「同じ目標に向かって進む、一蓮托生のチーム」になることだ。
いま現在、SEOやWeb担当である貴方は、社内外で積極的に動いて仲間を集め、最高の成果を出す「チーム」を編成しなければならない。それが貴方のいまの目標を達成することにも繋がる。それぞれ施策は各専門家に任せるにしても、良いか悪いか判断ができるだけの各分野の知識取得は最低限必要だし、すぐに動けることだ。
いますぐ自分の専門外の情報アンテナも高くし、インスタ映えするカフェに行って、まじ卍の意味を考えつつ、働き方改革よろしく!で情報を仕入れ、血肉にしていこう。以前とあるセミナーで聞いたのだが、マクドナルドの足立さんは「マーケターたるもの、流行りの場所は押さえておくべきだし、平穏無事な生活なんか望むな」的なことを言っておられた。
そう、ここまでやると、もはや貴方はSEOでも、Web担当でもないのかもしれない。
私が言うにはおこがましいが、「マーケター」にならなければならないんだと思う。
「マーケター」の定義も難しいが、考え出すときりがないので、ここではこう定義したい。
「最高のユーザー体験を提供し、成果を最大化するために、がむしゃらに頑張る人」
マーケターを目指す(である)貴方が率いる・所属するチームが、いきなり結果を出すのは難しいかもしれない。ただ2018年もその先も、継続的に成果を出し続けるチームを築き上げるには、長い時間がかかる。今年、そのチームづくり最初の一歩を、誰でもない貴方が踏み出すチャレンジを陰ながら応援したい。
私もイチ担当として頑張ります。
ちなみに、最新の取組事例として、インハウスでSEOを意識したコンテンツマーケティングに取り組まれた富士フイルムさまのインタビューを公開した。チーム作りのよいお手本になっているかと思うので、ぜひ参考にしていただきたい。
#最後の最後に、いつも勉強させていただいている「業界人間ベム」さんのブログでも2018年予測が掲載されていて、「マーケターが得るべきもの」が記されていた。そこだけ一部引用して終わりにする。
・パブリッシャー(メディアから優良なアフィリエーターまで)とダイレクトなやり取りをしてネイティブコンテンツ開発をするスキル“
・・・面白いコンテンツが作れる企画能力がほしいです。わん。
著者PROFILE
SFA導入コンサルからCRMベンダーのセールスに転身し、営業マネージャーに。その後Faber Company営業部長を経て、マーケティングを担うIMC部を設立。現在は執行役員として、ミエルカのプロダクトマネージャーやセミナー登壇などの活動をメインに行っている。
■ 講演実績:マーケティングアジェンダ/日経クロストレンドForum 他■Twitter:@tsuuky09